生きざまが細やかに描かれるヒューマン作品をはじめ、医療系、ラブコメ、サスペンスなど、見応え十分な2025年放送のドラマ。色とりどりのアーティストによる主題歌もストーリーを引き立て、揺るぎない存在感を放っている。今回は特に話題を呼んだドラマ主題歌30曲を紹介する。
■2025年放送!ドラマ主題歌30曲 楽曲一覧
01.「涙の正体」SUPER BEAVER
02.「声」羊文学
03.「Eureka」星野源
04.「HEART」King & Prince
05.「エルフ」Ado
06.「シネマ」aiko
07.「Puppets Can’t Control You」ONE OK ROCK
08.「賜物」RADWIMPS
09.「ブルーアンバー」back number
10.「mimosa」浜崎あゆみ
11.「紫陽花」離婚伝説
12.「Black and White」Da-iCE
13.「BEAT」WurtS
14.「僕にはどうしてわかるんだろう」Vaundy
15.「夢中」BE:FIRST
16.「騙シ愛」tuki.
17.「Spiral feat. Yura」レイニ
18.「W」Snow Man
19.「いちについて」あいみょん
20.「Never ends」Uru
21.「フェイクショー」Omoinotake
22.「巡ループ」Perfume
23.「us」yama
24.「笑ったり転んだり」ハンバート ハンバート
25.「ファンファーレ」玉置浩二
26.「悪戯な天使」Snow Man
27.「My Answer」緑黄色社会
28.「劇上」YOASOBI
29.「シェイプシフター」This is LAST
30.「i love you」ちゃんみな
【楽曲リンク:2025年ドラマ主題歌人気30曲】
■人気30曲の聴きどころは?
NHK総合 夜ドラ『バニラな毎日』
「涙の正体」SUPER BEAVER(スーパービーバー)
葵(演:蓮佛美沙子)と真奈美(演:永作博美)が開くお菓子教室へやって来る人々との触れ合いが胸を打つ、賀十つばさの同名小説を実写化したスイーツヒューマンドラマの書き下ろし主題歌。優しさゆえの葛藤を《言葉より早く こみ上げる涙》と歌い、思い悩む気持ちすら丸ごと抱きしめるような、深くて温かい歌詞とメロディが印象的だ。
フジテレビ系 月9ドラマ『119 エマージェンシーコール』
「声」羊文学(ひつじぶんがく)
羊文学にとって初の月9主題歌。《あなたが呼んでる 声が聞こえてる》《どんな深い闇の底でも 必ず行くと誓うから覚えていて》という歌詞は、羊文学の音楽に対する信念のようにも、ドラマ内で困難な状況に立ち向かう消防局通信指令センターの管制員たちの覚悟のようにも感じられ、心に染みる。アコギで始まり、じわじわとロックサウンドに変わるアレンジもいい。
TBS系 火曜ドラマ『まどか26歳、研修医やってます!』
「Eureka」星野源(ほしのげん)
水谷緑のコミックエッセイを実写化した医師1年目の研修医(演:芳根京子)の成長物語に、星野源が主題歌を書き下ろし。ドラマの主人公はもちろん、今を悩んで生きるすべての人に響く、メロウで煌びやかなソウルナンバーだ。“Eureka=わかった!(ひらめきを表す言葉)”のタイトルに反し、《わからない》と繰り返す歌詞に、安直とは対極のリアリティが滲む。
カンテレ・フジテレビ系 火ドラ★イレブン『御曹司に恋はムズすぎる』
「HEART」King & Prince(キングアンドプリンス)
《ハートの矢印は君へ/どうしよう… 止められない》と恋に気づいた瞬間の素直な気持ちを爽やかにキンプリが歌い上げる、王道ラブソングだ。永瀬廉演じる筋金入りのナルシスト御曹司と山下美月演じる堅実な努力家のド庶民女子によるラブコメドラマにマッチした世界観、ピアノやストリングスの豪華アレンジも胸キュンを加速させる。
TBS系 金曜ドラマ『クジャクのダンス、誰が見た?』
「エルフ」Ado(アド)
浅見理都の同名漫画を原作とするヒューマンクライムサスペンスに寄り添った、てにをは書き下ろしの哀愁バラード。予期せぬ父の死で絶望し、あらたな事実に何度打ちのめされても、真相に迫ろうと生きる主人公(演:広瀬すず)を“エルフ”になぞらえた、Adoの力強く切実な歌唱に心が揺さぶられる。ストリングスが織りなす情感たっぷりなアレンジも素晴らしい。
日本テレビ系 土ドラ10『アンサンブル』
「シネマ」aiko(アイコ)
現実主義な先輩弁護士(演:川口春奈)×理想主義な新人弁護士(演:松村北斗)のバディを軸に描くリーガルラブストーリーの主題歌で、aikoの人生観がナチュラルに投影された楽曲。ドラマと重なるように恋の切なさや儚さが歌われ、《今日も都合よく生きる》の一節には共感しかない。ワルツのリズム、壮麗なストリングスも魅力的だ。
TBS系 日曜劇場『御上先生』
「Puppets Can’t Control You」ONE OK ROCK(ワンオクロック)
ワンオクが放つ社会への反感や怒りに満ちたメッセージ、攻撃的でダイナミックなヘヴィロックが、悪しき慣習にまみれた社会を変えようと挑む東大卒エリート文科省官僚兼教師(演:松坂桃李)の熱量と鮮やかに共鳴。“Puppets Can’t Control You=操り人形はあなたをコントロールできない”のタイトルどおり、自分らしくあってほしいという気概が滾る一曲。
NHK連続テレビ小説『あんぱん』
「賜物」RADWIMPS(ラッドウィンプス)
『アンパンマン』を生み出した、やなせたかしと小松暢の夫婦をモデルに描く、戦争の時代を駆け抜ける波瀾万丈ストーリー『あんぱん』。RADWIMPSが全身全霊で応えた結果、自由でポップで他に類を見ない、組曲的アレンジの痛快ナンバーが完成した。この人間讃歌は聴けば聴くほど味がする。
カンテレ・フジテレビ系 月10ドラマ『あなたを奪ったその日から』
「ブルーアンバー」back number(バックナンバー)
サスペンスフルな親子愛ドラマの主題歌をback numberが書き下ろし。《悲しいのは一人で充分だから》《これ以上醜くなりたくないの》と切ないトーンで歌われるサビをはじめ、娘を突然失って人生が一変してしまうドラマの主人公の心情を代弁するさまに、多くの視聴者が涙した。むせび泣くようなギターとストリングスもたまらない。
フジテレビ系 月9ドラマ『続・続・最後から二番目の恋』
「mimosa」浜崎あゆみ(はまさきあゆみ)
「how beautiful you are」「Hello new me」に続き、『最後から二番目の恋』シリーズ11年ぶりの新作の主題歌も担当した浜崎あゆみ。今回書き下ろした「mimosa」では、いつかの自分と対話するようなメッセージが印象的で、経験を重ねた今だからこそ歌えることや大切にしたい(しなくてはいけない)想いが丁寧に綴られている。
TBS系 火曜ドラマ『対岸の家事~これが、私の生きる道!~』
「紫陽花」離婚伝説(りこんでんせつ)
初のドラマ主題歌ながら、多部未華子が演じる専業主婦の物語(原作は朱野帰子の同名小説)に心温まるミディアムチューンで寄り添った離婚伝説。揺れる心のメタファーとして“紫陽花”を用いつつ、抑制の効いた深く染みる歌声、雨音のような存在感で耳を惹くサウンドが素晴らしい。誰かと生きていくことの大切さに気づくこともあるだろう。
テレビ朝日系 火曜ドラマ『天久鷹央の推理カルテ』
「Black and White」Da-iCE(ダイス)
知念実希人による同名小説シリーズを原作とした医療ミステリーの書き下ろし主題歌。《愛して 満たして》と凛々しく歌い出す花村想太のハイトーンボイスに冒頭から惹き込まれ、驚異の診断能力を誇る天才ドクター・天久鷹央(演:橋本環奈)が抱える葛藤など、ドラマの世界観とのシンクロ率も高い。SNSを中心に絶賛の声が相次いだ。
日本テレビ系 水曜ドラマ『恋は闇』
「BEAT」WurtS(ワーツ)
志尊淳×岸井ゆきのダブル主演で贈る恋愛ミステリーに、“葛藤の中で本当の自分を追い求めてほしい”というメッセージを込めて書き下ろした主題歌。連続殺人事件を通して出会ったジャーナリストたちの関係性、真実に迫ろうとするも届かないストーリーを慮り、本ドラマに不可欠な救済のロックバラードとして絶大な支持を得た。
テレビ朝日系 木曜ドラマ『PJ ~航空救難団~』
「僕にはどうしてわかるんだろう」Vaundy(バウンディ)
愛知の航空自衛隊小牧基地を舞台に描かれるレスキュードラマの書き下ろし主題歌。救難教育隊の主任教官(演:内野聖陽)らが抱く葛藤や使命感を繊細に表現したバラードで、《僕以上に、僕以前に、僕よりも 僕のことつくってる》など、己の信念に向き合う詞が物語と美しく呼応している。Vaundy本人が吹いた間奏のサックスもいい。
フジテレビ系 木曜劇場『波うららかに、めおと日和』
「夢中」BE:FIRST(ビーファースト)
西香はちによる同名コミックが原作のハートフルなラブコメを彩った、BE:FIRST初のゴールデンプライム帯ドラマ主題歌。《君に夢中》《僕の瞳にずっといて》など、昭和11年を舞台に交際ゼロ日婚から幕を開ける、不器用で甘酸っぱい新婚夫婦の物語にぴったりな純愛リリックが微笑ましい。ゴスペル調のアレンジもおしゃれだ。
TBS系 日曜劇場『キャスター』
「騙シ愛」tuki.(ツキ)
tuki.初のドラマ主題歌。報道番組を舞台に、型破りなキャスター(演:阿部寛)が真実を追求し、悪を裁いていく。そんな社会派エンタメ作の台本を読んで書き下ろされた、《どうして嘘をついてしまったの》とまっすぐに疑問を投じる、騙し合いの世界を憂うこの曲は、歌詞に偽りが感じられず、切ないボーカルと相まって心にズシンと響く。
フジテレビ系 木曜劇場『愛の、がっこう。』
「Spiral feat. Yura」レイニ
高校教師×ホストの禁断かつピュアなラブストーリーを彩った「Spiral」は、新進気鋭のシンガー同士によるデュエットソングだ。ドラマのふたりを想像しながら“暗闇の中の一筋の光”をテーマに歌われ、そのハーモニーが胸が締め付けられるほどに切なく美しい。混沌と希望を表現したようなサウンドも絶品だ。
日本テレビ系 土曜ドラマ『放送局占拠』
「W」Snow Man(スノーマン)
これまでに引き続き、占拠シリーズ第3弾主題歌を担当したSnow Man。面で顔を隠した武装集団“妖”に放送局が占拠されるドラマの只ならぬ緊迫感、櫻井翔演じる刑事・武蔵三郎らの葛藤や強い意志を織り交ぜた歌詞、そして疾走するサウンドが胸熱なダンスチューンとなっており、聴けば激しく心揺さぶられることだろう。
TBS系 日曜劇場『19番目のカルテ』
「いちについて」あいみょん
富士屋カツヒトの漫画を原作とするヒューマン医療エンタメドラマに書き下ろされたフォーキーなミディアム曲。19番目の新領域として加わった総合診療科の医師(演:松本潤)が患者の最善を親身に探るストーリーと、“生きてほしい”と願うようなあいみょんの声がとても合っている。息づかい、宅録的で朴訥な感じのドラムも印象深い。
TBS系 金曜ドラマ『DOPE 麻薬取締部特捜課』
「Never ends」Uru(ウル)
他人には言えない秘密を抱えながら事件を解決しようと挑んでいく、登場人物の痛みを優しく包み込むような珠玉のバラードだ。《君》からもらったすべてが愛であると痛感する、主人公の心情や切実さを湛えつつも澄み切ったUruのボーカルが素晴らしい。
読売テレビ・日本テレビ系日曜ドラマ『DOCTOR PRICE』
「フェイクショー」Omoinotake(オモイノタケ)
医療過誤を巡る痛快なサスペンスドラマに、Omoinotakeが書き下ろしたアップテンポな同曲。何が正義なのかを問いかけ、自分の真実を追い求めていくような《僕を信じてやれるのは この心だけだから》といった歌詞は、まさにこのドラマに打ってつけだ。軽快なピアノサウンドやファルセットボイス、ブラスアレンジも冴えている。
日本テレビ系 水曜ドラマ『ちはやふる−めぐり−』
「巡ループ」Perfume(パフューム)
映画に続いてドラマでも『ちはやふる』と再タッグを果たしたPerfume。過去シリーズの青春が10年後の世代へと受け継がれるイメージのもと、中田ヤスタカ(CAPSULE) によって制作された。タイトルどおり、ループするように耳を揺らすメロディが印象深く、ダンスミュージックでありながら内省的なムードを纏っていて味わい深い。
テレビ朝日 ドラマ『誘拐の日』
「us」yama(ヤマ)
“私たち”“明日”のダブルミーニングが込められた書き下ろし主題歌。上手くいかない人間関係、そんななかでも温もりを求めてしまう性を、yamaが切なくも優しい、光が差し込むような声で表現しており、壮麗なストリングスアレンジがその歌をさらに引き立てている。ドラマで描かれる風変わりな逃避行とも鮮やかに共鳴した。
NHK連続テレビ小説『ばけばけ』
「笑ったり転んだり」ハンバート ハンバート
佐野遊穂と佐藤良成による夫婦デュオが、作品のモデルとなった小泉セツの手記を繰り返し読み、舞台となった島根県松江市を訪ねながら、丁寧に書き下ろした楽曲。ふたりのハーモニーは心にスッと染み入る耳当たりで、視聴者から絶賛の声が相次いでいる。《毎日難儀なことばかり》など、現代社会とシンクロして聴こえる歌詞も秀逸。
TBS系 日曜劇場『ザ・ロイヤルファミリー』
「ファンファーレ」玉置浩二(たまきこうじ)
競馬の世界で夢を追う大人たちのドラマを、劇中のメイン舞台である北海道出身の玉置浩二が、自身の幼少期を重ねて誕生したのが「ファンファーレ」である。雄大な牧場の情景が浮かぶイントロから心奪われ、なだれ込む疾走感溢れるメロディ、美しいストリングスアレンジ、圧倒的な歌唱力で告げられる《愛に向かって行きなさい》のメッセージに涙する。
テレビ朝日金曜ナイトドラマ 『恋する警護24時 season2』
「悪戯な天使」Snow Man(スノーマン)
主演・岩本照×ヒロイン・白石麻衣で贈るアクションラブコメのシーズン2も、前作「LOVE TRIGGER」に引き続き、Snow Manが主題歌を担当。歌謡曲のような懐かしいムードを纏いつつ、シンセベースを使ったEDM寄りのアレンジなどは現代的で、ハイブリッド感が魅力的だ。ドラマとリンクした《君を護り抜く》の歌詞に胸が熱くなる。
テレビ朝日系 木曜ドラマ『緊急取調室』
「My Answer」緑黄色社会(りょくおうしょくしゃかい)
前シリーズから続いて、人気刑事ドラマシリーズ第5シーズンの主題歌に緑黄色社会が再登板。時にやるせない感情で被疑者と対峙する“キントリ”メンバーの心情を汲み取った繊細なリリック、間を豊かに活かした緊迫感のあるアンサンブル、こだわりが感じられるアコギやシンセの配音が聴きどころだ。
フジテレビ 水10ドラマ 『もしもこの世が舞台なら、楽屋はどこにあるのだろう』
「劇上」YOASOBI(ヨアソビ)
同ドラマの源流となる、三谷幸喜の半自伝的小説『劇場ものがたり』をもとに書き下ろした、YOASOBI初の連続ドラマ提供曲。“この世界は舞台であって、人間はみんな役者である”という考えを軸に、メリハリの効いたバンドサウンドにリズミカルなikuraの歌声が快活に舞う。YOASOBIとしては初の試みであるAyaseのボーカルも新鮮な響きを宿す。
TBS 火曜ドラマ『じゃあ、あんたが作ってみろよ』
「シェイプシフター」This is LAST(ディスイズラスト)
料理を作るという行為を通じて物事を見つめ直すドラマに寄り添った、ゴールデンプライムタイム帯TVドラマ主題歌初担当のThis is LASTによるミディアムチューン。ストリングスやピアノを交えたバンドサウンド、ソウルフルで甘い歌声に乗せて表現された“変わりたい”という想いが染みる。
TBS 金曜ドラマ『フェイクマミー』
「i love you」ちゃんみな
《うまく出来てない、よね》《あなたが笑うと/すべてを犠牲にしたっていいの》と、これまで見せてこなかった弱さやちゃんみなが注ぐ愛情がいかに深くて優しいものかがにじみ出た“柔らかな愛”を歌うさまが印象的な「i love you」。大切な子供を守ろうとする女性たちのストーリーとも見事にマッチし、ゆったりと温かな音像のなか、踏まれる韻も心地よい。
■楽曲リンク:2025年ドラマ主題歌人気30曲(Apple Music/Spotify/LINE MUSIC)
ベテランからフレッシュなアーティストまで、様々な顔触れが担った2025年のドラマ主題歌。どの曲もストーリーや世界観を汲む真摯な制作ぶり、クオリティの高さに改めて驚かされた。グッとくる音楽を欲しているなら、ぜひ聴いてみてほしい。
TEXT BY 田山雄士


