■「300人のキャストを動かすような大規模な撮影はNetflixならではのものでしたが、そのぶんプレッシャーもありました。全員に熱量を伝えることが大変でした」(岡田准一)
『Netflixラインナップ発表会「Next on Netflix 2025」』が2月12日、東京ミッドタウン・ホールBで開催された。
イベントでは、2025年に配信を予定しているNetflixの新作作品情報を一挙紹介。冒頭公開されたラインナップ映像では、シリーズ作品から『グラスハート』『ソウルメイト』『今際の国のアリス』シーズン3、『イクサガミ』、このたびタイトルが決定した『匿名の恋人たち』、映画作品からは『新幹線大爆破』の映像が初公開された。
そして、3部構成のトークパネルの最後の“シリーズ”パートに、11月に配信スタートする『イクサガミ』の藤井道人監督と、主演・プロデューサー・アクションプランナーの岡田准一が登壇した。
この企画は、このコーナーの進行も務めたエグゼクティブ・プロデューサーのNetflixコンテンツ部門 高橋信一(「高」は、はしごだかが正式表記)が岡田にプロデューサーとしての参加を提案したことから始まった。
岡田は原作小説について、「原作者の今村(翔吾)さんの作品は以前から拝読しており、時代劇を継承しながら現代の視聴者にどのように伝えていくかを常に模索され戦われている姿勢にすごく敬意を抱いていました」と明かし、本作の映像化にあたっては、幅広い世代が楽しめるエンターテインメント性を備えた作品として、「あらたな時代モノの道を切り拓くことができるのではないか」との可能性を感じたという。
また岡田は「歴史モノではこうあるべきだとか日本人の美しさを描くべきだという高いハードルがある一方で、本当に面白いエンターテインメントとして再考する必要がありました」と述べた。そのうえで、「黒澤明監督が39歳で『羅生門』を制作したように、上の世代の知見を借りつつ、若い世代のエネルギーとともに時代モノと向き合うことが重要だと考え、藤井監督の参加は不可欠でした」と振り返った。
そのビジョンに強く共鳴した藤井監督は「これまで自分が生きていない時代を描く経験はありませんでしたが、原作が非常に魅力的で、エンターテインメント性をしっかり捉えた作品だと感じました」と語り、オファーを即決したことを明かした。
制作のうえで最も大切にしていたのは、「様式美や精神を継承しながら、新しいものへ再構築・アップデートを果たす」ことだった。そのなかでも特にこだわったのが“キャラクター”であり、そのキャラクターを演じる俳優陣には、日本屈指のオールスターキャストが集結した。先日のキャスト解禁時にはSNSでトレンド入りを果たすなど、すでに大きな話題を呼んでいる。
キャラクターを描くにあたり、岡田は「物語上のゲーム性だけでなく、それぞれの人生や背景を折り込みながら、どのようにキャラクターを立てていくかを重視し、脚本は何度も作り直しました。日本、そして世界中の人々が理解しやすいキャラクターを意識し、衣装や武器、役者のトレーニングも考慮しながら構築していきました」と振り返る。
脚本づくりやキャスティングといった準備段階から徹底的にこだわり抜かれた本作は、あらたな時代モノの可能性を追求する試みとして、岡田と藤井監督の強い想いのもとで制作が進められている。
撮影が終了し、現在はポストプロダクションの段階に入っている本作。物語序盤の見せ場となるシーンでは、総勢1,000名のキャスト、スタッフが集結し、ワンシーンを数日かけて撮影するという大規模な撮影が行われた。
岡田は「300人のキャストを動かすような大規模な撮影はNetflixならではのものでしたが、そのぶんプレッシャーもありました。全員に熱量を伝えることが大変でした」と撮影時の苦労を振り返る。また、アクションプランナーとしても携わった岡田は、現場で役者一人ひとりに演出を行い、「アクションはこうなんです!」と熱心に指導する姿も見られたという。
藤井監督は「岡田さんは現場の士気を常に高めてくれました」と語り、彼のリーダーシップが作品のクオリティ向上に大きく貢献したことを明かした。
さらに重要視したのが、一つひとつの画作りの強さだった。岡田は「CG技術が発達し、派手な映像表現が可能になった今だからこそ、日本的な伝統をつなぎながら、印象的な画作りにこだわりました。監督ともルック(画)については日々話し合いを重ねました」と振り返る。そして、「黒澤監督の口癖が『かっこいいのか?』だったと聞き、非常に驚きました。自分たちの美意識が通用するのかを常に意識しながら制作に臨みました」と本作のビジュアル面への強いこだわりを明かした。
「30代を中心とする若いチームが作品創りに携わる」ということも大きな挑戦であり、「若いスタッフが考えたアイディアをベテランのスタッフの方が否定せず、面白がってくれてさらにいろいろな意見がでました」とベテランスタッフの知見と若手スタッフの感性の融合がポイントであったとふたりは語る。
撮影当初は大変な現場ゆえに不安点もあったそうだが、撮影が進むにつれ、スタッフを含めみんなで戦い抜いてモノづくりの醍醐味を感じた作品になったという本作。藤井監督が「岡田さんのエネルギーが循環してつくっていけた」と表現するポジティブな影響が現場に広がり、大きな収穫と共に撮影を終えたという。
そして高橋が話すのは、「日本、そして世界でも戦えるモノづくり」をしようというビジョンをチームで掲げていたということ。最後に岡田は、「若い世代の力を借りてMade In Japanを世界に向けてやってきましたが、世界にむけて、そして日本の方にかっこいいよねと言ってもらえるクオリティの作品になっていると思います。ぜひ、若い日本のクリエーターたちの才能を感じてほしいです」とコメント。
藤井監督は「自分が生まれて初めてできたプラットフォームが配信サービスで、配信ドラマを同世代と感じています。ここからどういうふうに進化していくのか退化していくかを目をそらさず、当事者として戦っていきたいという思いで挑みました。その責任は大きなものだったのですが悔いはないですし、期待を裏切らないように完成まで頑張っていきたいと思います」と日本のみならず、世界にも届く作品づくりを目指したことを明かした。
なお、トークパネル1『アンスクリプテッド』には、佐久間宣行とMEGUMI、トークパネル2「映画」には、樋口真嗣(映画『新幹線大爆破』監督)が参加した。
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