■公式YouTubeチャンネル登録者609万人! 世界中から愛されるアニメIP『Spookiz(スプーキッズ)』
威張っているけど憎めないドラキュラの「Cula(キュラ)」、食いしん坊だけど優しいフランケンシュタインの「Frankie(フランキー)」、のんきで自由奔放な子鬼の「Kebi(ケビ)」、ちょっと意地悪でよこしまなキョンシーの「Kongkong(コンコン)」、かわいいのになんだか臭うゾンビの女の子「Zizi(ジィジィ)」。誰もいない真夜中の小学校で、一風変わったキュートでひょうきんな子どもモンスターたちが、頼れる先生の死神「Mr. Reaper(リーパー先生)」とドタバタな日常を繰り広げる3DCGアニメーション『Spookiz』。
韓国のキーリング・クリエイティブ・スタジオがアニメーション制作を手がける『Spookiz』シリーズは、2015年にスタート。2021年までにシーズン1~4と映画版『Spookiz: The Movie』が公開中。日本ではサブスクリプションサービスでも過去シリーズが視聴できる。また、作品発表のメインプラットフォームである公式YouTubeチャンネル「Spookiz – Cartoons for Everyone」は、チャンネル登録者609万人(2025年6月5日現在)を数える人気を誇り、キャラクターがセリフを話さない非言語型コンテンツとしての特徴を最大限に活かして国の壁、言語の壁を越え、キッズから大人まで世界中から愛されるアニメへと成長した。
▼Spookiz | 102 – Wiggle Wiggle (Season 1 | Episode 2) | Cartoons for Children
▼Spookiz: The Movie – TRAILER | Cartoons for Kids
そんなアニメ『Spookiz』が、4年ぶりに再始動!多くの人気アーティストの音楽制作を手がけるレコードレーベル、ソニー・ミュージックレーベルズ(SML)が『Spookiz』全権利を取得し、今年、アニメ新シリーズが世界に向けて発信されるという。多彩なエンタメを創出するソニーミュージックグループの中で、音楽レーベルとしては初のアニメーション制作/キャラクターIPビジネスにトライするSML代表取締役執行役員社長であり、『Spookiz』プロジェクトのエグゼクティブプロデューサーを務める辻󠄀野学氏に、『Spookiz』プロジェクトのビジョンを聞いた。
英語版インタビュー記事(English version of the interview article)はこちら
■SMLが『Spookiz』全権利を取得した理由
──今回、SMLが全権利を取得した『Spookiz』が、新シリーズをスタートさせると発表されました。SMLはそもそも発掘・育成や音源・映像制作、プロモーションなどを通じて、アーティストの音楽活動をプロデュースする音楽レーベル。なぜ、初めてのアニメ制作/キャラクタービジネスに乗り出したのでしょうか?
辻󠄀野学(以下、辻󠄀野):我々SMLは、音楽をベースに世界に発信することができる新しい形をずっと模索しています。中でもここ3年ほどは、“音楽×キャラクター”というコンセプトによる新たなチャレンジを、ずっと課題にしてきました。ただ、我々は音楽レーベルですから、才能あるアーティストの発掘や育成の知見はありますが、架空のキャラクターをゼロから生み出すノウハウは、残念ながら持ち合わせていません。であれば、SMLのビジネスと親和性の高い既存キャラクターや作品とご一緒させていただくのが最良だと考えてきました。そんな中で、約1年ほど前に縁あって出会えたのが『Spookiz』だったんです。『Spookiz』の原作者たちは作品やIPをもっと世に広めるためのパートナーを探していて、両者の需要と供給がマッチしました。あとは、驚くべきことに4年のブランクがありながら、チャンネル登録者数がこの取得のお話を進めていた1年で、さらに30万人以上も増えたことも、いかにこのIPが世界で愛されているかということを思い知ることになりました。
■『Spookiz』と音楽の親和性の高さ
──SMLにとっても『Spookiz』は魅力的なコンテンツだったのですね。
辻󠄀野:まさにそうですね。SMLはアーティストという才能を育て、その才能とともに楽曲をヒットさせるビジネスを続けてきましたから、“音楽×キャラクター”を実現するには、そもそも音楽と親和性の高いキャラクターでなければ他のキャラクターたちとの差別化をゼロから始めることになります。その点『Spookiz』は、YouTubeの「Spookiz – Cartoons for Everyone」チャンネルを観ていただくとよく分かるように、人気動画の上位は「Spookiz Songs」と呼ばれるMVコンテンツなんです。O-Zoneの「Dragostea din tei」(邦題「恋のマイアヒ」)を使用し、キャラクターたちがダンスを披露する「Travel The World」は7000万回、 スキャットマン・ジョンの「SCATMAN (Ski-Ba-Bop-Ba-Dop-Bop)」を使用した場合では6000万回を超える再生数を誇っていますし、さらには『Spookiz』オリジナル楽曲での映像も7000万回近い数字となっています。『Spookiz』のキャラクターとSMLの音楽がコラボレーションすれば、もっとすごいことができそうだという、わくわくする感触がありました。
▼Travel The World Song | Spookiz | Cartoons for Kids
▼Spookiz – SCATMAN (ski-ba-bop-ba-dop-bop) MV | Spookiz Songs | Cartoons for Kids
──音楽との親和性以外で、『Spookiz』に感じている魅力はなんですか?
辻󠄀野:1つ目はキャラクターのモチーフが世界中の誰もが知るモンスターであることですね。世界中の誰もが、そして私自身も、幼い頃に一度は必ず興味を持つのがオバケやモンスターです。子どもはオバケを怖がりますが、有名モンスターは必ず世界中にいて、その特徴も含めてとてもなじみがある存在です。2つ目は、さらに『Spookiz』のモンスターキャラクターたちは、子どものようにピュア。『Spookiz』の中で見られる、「あの頃子どもだった」我々大人が忘れてしまっている純粋な心は、きっと今後もさらに多くの人々の心を動かすと感じました。加えてデザイン的なかわいらしさも併せ持っているところは、とても魅力的です。社内の『Spookiz』プロジェクトの女性スタッフも、スタッフのお子さんも見始めると止まらないと言っています(笑)。
■『Spookiz』キャラクター一人ひとりをアーティストとして捉えて育てていきたい
──そんなキャラクターの魅力にもあふれる『Spookiz』を、音楽レーベルであるSMLがどのように発展させていくのかが、とても気になります。
辻󠄀野:まず大前提として、『Spookiz』プロジェクトがいちばん大切にしているのは、あまたある他キャラクターコンテンツとの差別化です。そこで我々は『Spookiz』のキャラクター一人ひとりをアーティストとして捉え、『Spookiz』というプロジェクトもアーティストプロジェクトのようにして、このIPを育てていこうとしています。それが音楽レーベルとしてのノウハウを最も活かせるスタイルですし、音楽レーベルがキャラクターコンテンツを手がける意義は、そこにこそあると思うんです。
──例えばどういうことでしょうか。
辻󠄀野:アーティストとキャラクターのいちばんの違いは、本人がリアルな歴史を紡げるかどうかだと思います。アーティストは楽曲やライブ、その人自身が語る言葉などがオーディエンスの心を動かし、そのストーリーが伝播することでビジネスも成長させていきます。当たり前ですが、キャラクターはそうではないですよね。私たちの中では、『Spookiz』は生きていて、もっと徹底的に擬人化を演出したいと考えています。つまり、これからは、『Spookiz』のキャラクターたちにより深いパーソナリティを感じてもらえるよう、アニメの中では喋らないキャラクター本人がSNSでいろんな発信をしたり、アニメとしての『Spookiz』でも、より人間味あふれる個性を発揮できるストーリーを展開していきたいと思っています。『Spookiz』は今でも人気者ですが、まだキャラクター界で誰もが知っているスーパースターにはなれていない。日本のアーティストでいうと、Zeppツアーは満員御礼、もうすぐ武道館ライブ!という段階かなと(笑)。そこからよりファンを増やせるよう、プラスアルファの展開をこれからしていこうとしています。
──ちなみに作品の制作体制は、どのようになっていますか?
辻󠄀野:もともと『Spookiz』は、韓国のアニメーションスタジオであるキーリング・クリエイティブ・スタジオが制作をしていましたが、これからはSMLがグランドプロデュースとマーケティングでさらに盛り上げていき、具体的な作品制作は今まで通りキーリング・クリエイティブ・スタジオと手を組んで参ります。信頼のフレームワークがあるうえで、新シリーズ制作にあたってSML側からも要望を出させていただいています。
■音楽色のある新キャラクター登場の可能性も?
──どのような要望を出されたのでしょうか?
辻󠄀野:大きく3つありました。まずは先ほど申し上げたような、『Spookiz』キャラクターたちをアーティストとして育てていきたいということ。2つ目は、我々がどうしても実現したかった、新キャラクターの登場ですね。これまでの『Spookiz』は、ドラキュラの「Cula」、フランケンシュタインの「Frankie」、子鬼の「Kebi」、キョンシーの「Kongkong」、ゾンビの女の子「Zizi」に加え先生役の死神「Mr. Reaper」の6人がメインに織りなすお話でしたが、より音楽と親和性を高めるために、音楽色のある新キャラクターをいくつか増やすことををお願いしています。クリエイティブチームも、より人間味あふれるキャラクターを『Spookiz』に盛りこみたいというアイデアには、とても賛同してくれています。現在、毎週行っているミーティングを通じて、我々からもアイデアを出させていただいているところです。
──新キャラクター! それは楽しみですね。やはりモチーフはモンスターですか?
辻󠄀野:はい。どんなキャラクターになるかはこうご期待ですが、日本の妖怪のように世界各国にローカルモンスターは存在しています。例えばインドネシアにはインドネシア、メキシコにはメキシコでよく知られているモンスターがいます。それぞれにお国柄を反映したキャラクター付けがあり、ご当地でのなじみも深いですから、そういうキャラクターを増やしていけば『Spookiz』がより世界中で愛されるようになると考えました。
──『Spookiz』の世界戦略にも繋がりますね。3つ目はどのような?
辻󠄀野:これは少し抽象的な表現になってしまいますが、ストーリーに少し“人間のメタファー”を入れたいとお願いしました。もともと『Spookiz』は非常によくできたコメディなので、スラップスティックな“楽しさ”や“面白さ”は十分にありますが、そこに人間的なリアリズムを付加することで、キャラクターにも深みを持たせられます。楽しいだけ、面白いだけが人生ではないので、そういう部分も描いていきたい。イメージとしては、アメリカのカートゥーンアニメを、ジャパニーズアニメに近づけるような感覚でしょうか。そうすることで現状、子ども向けコンテンツとして愛されている『Spookiz』ファンのコア年齢層を、キッズ層からティーン層以上に上げられる。我々SMLはマーケティングにおいても、ティーンエイジ以上の音楽ファンをターゲットにこれまでやってきたので、そこでのノウハウを『Spookiz』にも活かしたいと思います。
■日本のアーティストと『Spookiz』が音楽でコラボすることで、国内の認知度、人気も高めたい
──では、最も期待される“音楽との親和性”を高める要素は、どのようなものをお考えでしょうか。まず想像されるのが、SML所属アーティストとのコラボレーションですか?
辻󠄀野:はい、それはもちろん進めていきます。SMLが世界で人気の『Spookiz』の獲得に動いた最大の目的は、日本の音楽をもっと海外に広めたいからでもあります。『Spookiz』を、J-POPを中心に我々が契約させていただいているアーティストの曲を海外に届けるためのツールとして使うことで、アニメコンテンツ、キャラクターコンテンツとしてのセールスと、既存のジャパニーズミュージックのヒット、一石二鳥を欲張りたいんですね(笑)。現在、YouTubeでの視聴国割合は、北米が特に多く、その下にフィリピン、インドネシア、インドなどのアジア圏、ブラジル、メキシコなどの南米にも及んでいます。残念ながら、日本はかなり下位にありますので、日本のアーティストと『Spookiz』が音楽でコラボすることで、国内の認知度、人気も高めたいと思っています。どのアーティストや楽曲とのコラボレーションが実現するか、ぜひ楽しみにしていてください。
──では、今後はどのような展開を考えていらっしゃいますか? とてもかわいいキャラクターがたくさん登場するので、グッズ展開なども期待してしまいます。
辻󠄀野:そういっていただけると、とても励みになりますね。グッズ化やゲーム化などはまずは4年のブランクを解消してからという気持ちが強いので、今まだお知らせできるものは実際ないのですが(苦笑)、同じソニーミュージックグループ、ソニーグループには世界中にMD事業の会社もあり、話は始めていますので、まずはグッズ化もご期待いただければ。またグッズに限らずアニメ作品やキャラクターは、事業コラボレーションがとてもやりやすいものなので、グループ内連携はもちろん、外部メディアや各クライアントともアクティブに進めていきたいです。
■ゆくゆくはSMLを代表するマスコットに育ってくれたらうれしい
──キャラクターのSNS発信、新キャラクターの登場や新ストーリーによるアニメーションの始動、日本の音楽とのコラボレーションと、数々の施策が実現する『Spookiz』新シーズンがとても楽しみです。公開はいつ頃を予定されていますか?
辻󠄀野:今年中を予定しています。アニメ新シーズンは『Spookiz』初期を踏襲した1話完結の非言語のショートアニメで、プラットフォームは現在と同じくYouTubeがメイン。さらに海外では、より強力なコンテンツへと成長できるよう、これまでSMLがお付き合いのある各種ベンダーとの交渉も進めているので、YouTube以外の複数プラットフォームでの展開も実現していく予定です。正直なところ、『Spookiz』の新作が出るのは4年ぶりになりますので、本編公開に向けてSNSの取り組みや、新情報のメディア露出はアクティブに行っていきます。特に日本国内は『Spookiz』自体を知らない方も多いので、認知度を高める施策はより頑張っていきたいですね。『Spookiz』は魅力あふれるキャラクターが大活躍する、楽しく愛すべきアニメーションです。SMLがそこに音楽ビジネスで培ったノウハウを注ぎ込むことで、今までにない“音楽×キャラクター”コンテンツ、今までにないキャラクタービジネスを創出していきたい。ゆくゆくはSMLを代表するマスコットに育ってくれたらうれしく思います。新しい『Spookiz』の世界を、ぜひ楽しみにお待ちください。
TEXT BY 阿部美香
PHOTO BY 関信行
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