魔暦27年(2025年)8月30日・31日に、Kアリーナ横浜にて『聖飢魔II vs BABYMETAL~悪魔が来りてベビメタル』が開催された。
■メタル界の悪魔とメタルの神・キツネ様が対決
メタル界の悪魔・聖飢魔IIと、メタルの神・キツネ様との対決が行われる本公演。両日のチケットは即日完売ソールドアウト、熱狂的なHR/HMファンが会場を埋め尽くした。
BABYMETALはその昔、メタルの神「キツネ様」が3人の少女にメタルのパワーを与え、メタル界の救世主(メシア)となる使命を達成するため、彼女たちはそれぞれ異なる力を持ち、キツネ神のメッセンジャーとしての役割を果たすために召喚された。
聖飢魔IIもまた、魔暦元(1999)年12月29日〜31日に行われた解散大黒ミサで地球征服を完了し解散したが、約5年おきに人類の悪魔化を視察するために再集結していた。本年、魔暦27(2025)年も40周年で再集結し、8月19日愛知県芸術劇場大ホールにて全国ホールツアーを完遂した。
HR/HM界を揺るがす悪魔と神の2組による世紀の一戦がついに対決の日を迎えた。
■DAY.1『遭遇 -Encounter-』レポート
魔暦27(2025)年8月30日 DAY.1『遭遇 -Encounter-』と称した1日目、冒頭「決戦」の前提と題した映像が流れ、敵なのか、味方なのか!? 勝ち残った方がこの世の真の支配者となるのか? とお互いの信者(聖飢魔IIファン)&THE ONE(BABYMETALファン)の心中に火を注ぎ、会場に詰めかけた2万人の観客が固唾をのんで待つなか、最初に登場したのは聖飢魔IIだ。
暗転から轟音とともにメンバーが姿を現すと、会場のボルテージは一気にヒートアップした。オープニングの「創世紀」から重厚なサウンドを叩きつけると、続く「1999 Secret Object」「老害ロック」と新旧を織り交ぜたセットリストで観客を圧倒。
「アダムの林檎」では突如、「BABYMETAL Is Dead」と題した替え歌(「HMID」の替え歌)が披露され、会場は驚きと笑い、そして熱狂に包まれた。BABYMETALへの挑発とも愛情とも取れるパフォーマンスに、信者だけでなくTHE ONEからも大歓声が巻き起こる。
終盤の「Fire After Fire」では、炎のようにうねるLED演出がステージを赤く染め上げる。その光景はまるでBABYMETALを威圧するかのように激しく、観客は拳を高々と掲げ、身体全体で応える。信者もTHE ONEも垣根なく一体となり、場内は究極の熱狂に包まれた。
いよいよ対決! ついにBABYMETALがステージに姿を現す。オープニングを飾ったのは「BABYMETAL DEATH」。重厚なリフと圧倒的なコールで会場は瞬く間に火がつき、Kアリーナ横浜は“儀式”の場さながらに熱狂の渦へと飲み込まれていく。
続く「ヘドバンギャー!!」ではヘドバンの波が広がり、「PA PA YA!! (feat. F.HERO)」では観客のタオル回しが発生。火柱とレーザーが熱狂をさらに煽り、フロア全体が大ジャンプで揺れた。
中盤では全米ビルボードアルバム総合チャートで日本人グループ史上初となるTOP10に入った最新アルバム『METAL FORTH』から、「METALI!! (feat. Tom Morello)」「Sunset Kiss (feat. Polyphia)」「Song 3 (feat. Slaughter to Prevail)」と強烈なコラボ曲が畳みかけるように披露され、会場の熱気は頂点を更新し続ける。ライブも終盤に突入すると、「RATATATA」「ギミチョコ!!」「from me to u (feat. Poppy)の」とヒット曲を連発。畳み掛けるようなパフォーマンスで攻めに攻めまくる。
そして初日フィナーレ。「イジメ、ダメ、ゼッタイ」が始まると、なんとデーモン閣下がBABYMETALのステージに乱入するような形でステージ上にサプライズ登場。まるでBABYMETALをいじめにきたかのように茶々を入れるがBABYMETALも負けじと「悪魔、ダメ、ゼッタイ」と応戦し、「悪霊退散!!」とデーモン閣下を追い払い、ステージから去っていった。想定外のサプライズに2万人の観客は惜しみない拍手と歓声を送り、DAY.1『遭遇 -Encounter-』は幕を閉じた。
■DAY.2『衝撃 -Impact-』レポート
2万人の観客が再びKアリーナ横浜に集結した2日目。DAY.1『遭遇 -Encounter-』で歴史的な邂逅を果たした聖飢魔IIとBABYMETAL。その続章となるDAY.2『衝撃 -Impact-』の幕開けは、ついにBABYMETALが先陣を切った。暗転と同時に、地を揺るがす重低音。オープニングのストーリームービーではデーモン閣下をオマージュしたキャラクターがメタルの神として登場し早くも客席が沸いた。
巨大スクリーンに「BABYMETAL」の文字が赤黒く浮かび上がると、雷鳴のようなリフが炸裂。ステージ全体から火柱が立ち上がり、BABYMETALが登場した。
オープニングの「BABYMETAL DEATH」――DAY.1でも披露されたこの曲が、さらに凶暴で攻撃的な演出で放たれると、観客はまるで戦場へと引き込まれたかのように絶叫。SU-METALの力強いシャウト、MOAMETAL&MOMOMETALの鋭いダンス、そして圧倒的なコールが重なり、Kアリーナは一瞬にして“衝撃”の渦に包まれた。
さらに「METALI!!(feat. Tom Morello)」では、イントロから神バンドのソロ回しでオーディエンスを盛り上げると、BABYMETALのメンバーは花道を回りながら観客を地べたに座らせ、MOMOMETALの「Are you ready?!」のグロウルの合図とともに一気にジャンプ。
その後も「Kon! Kon!(feat. Bloodywood)」「Song3(feat. Slaughter to Prevail)」と最新アルバム『METAL FORTH』収録曲を立て続けに披露すると、代表曲「ギミチョコ!!」で会場のボルテージは一気にヒートアップした。そして「KARATE」では、途中、ステージが満員の客席からスマホライトで照らされ、光に包まれて会場全体がひとつになった瞬間が本日のハイライトでもあった。
「We are!! BABYMETAL!!」。最後の曲「Road of Resistance」のエンディングでオーディエンスとのコールアンドレスポンスを繰り返し、完全燃焼したBABYMETALは清々しくも凛とした勇姿でステージをあとにした。
BABYMETALが怒涛のパフォーマンスで会場を揺るがした直後、暗転。巨大スクリーンに不穏なノイズが走り、重低音が地鳴りのように響きわたる。「聖飢魔IIがやってくる」そんな予感が観客の胸を掻き立てた瞬間、ステージ中央から轟音とともに聖飢魔IIが姿を現した。
「創世紀」の重厚なイントロが鳴り響くと、場内は再び異世界へと変貌。DAY.1では“威嚇の一撃”として放たれたこの曲も、この日は“悪魔の逆襲の狼煙”のように観客を飲み込んだ。
「Kiss U Dead Or Alive」「Next Is The Best!」は新譜大教典『Season II』からの新曲で怒涛のリズムで攻め立て照明は赤から青へと切り替わり、疾走感が加速した。「ろう人形の館」が始まりフロアからは世代を超えた大合唱が巻き起こった。「Fire After Fire」DAY.2ではよりいっそうの迫力を増し、まるで「最終的な舞台の主導権は聖飢魔IIにある」ことを誇示するように燃え上がり本編は終了した…かのように見えた。
■フィナーレに巻き起こった“共鳴”
そこで、何と互いはこの日、雌雄を決する必要が無いという知らせが届く。「なるほど」とつぶやく閣下。「では…」と、最後に互いを認め合う様に聖飢魔IIの楽曲「EL DORADO」でなんと共演が始まったのだ。聖飢魔IIのカリスマ的なパフォーマンスが、BABYMETALの若き熱量と激しく共鳴する火花を散らした瞬間だった。聖飢魔IIの圧倒的な存在感とBABYMETALへのリスペクトを滲ませた何とも「老害」いや貫録の演出は、この夜ならではの“儀式”を完成させたのだった。
最後に残ったのは、敵対ではなく共鳴。悪魔と神、信者とTHE ONEが同じ拳を掲げたこの二夜は、まさに世界のHR/HM史に刻まれる世紀の一戦となった。
最後、お互いがフラッグを交換する儀式が行われ、両バンドが互いに協力し合い世界征服を進めることを誓いあってDAY.2『衝撃 -Impact-』は終演を迎えた。
キツネ様は敵だと思っていた聖飢魔IIとBABYMETALがかなり同じ理念の下に世界征服を進めていたことを知る。そして、両者とも、人類をそそのかしたゼウスこそが共通の敵だと再認識し闘いは勝敗ではなく、調和によって終結した。
悪魔も神も、信者もTHE ONEも、誰ひとり置き去りにしない圧巻のフィナーレ。この夜、横浜に集った全員が「HR/HMの未来は、悪魔とキツネ神が共に切り拓いていく」ことを確信した。
メイン写真:PHOTO BY Taku Fujii
■関連リンク
『聖飢魔II vs BABYMETAL〜悪魔が来たりてベビメタる〜』特設サイト
https://skiivsbbm.com
BABYMETAL OFFICIAL SITE
https://babymetal.com
聖飢魔II OFFICIAL SITE
https://www.seikima-ii.com











