2009年のデビュー以降数々の楽曲をリリースし、老若男女の共感を呼んでいる阿部真央。とりわけ「貴方の恋人になりたいのです」は彼女の代表曲となっており、今もなおリスナーの心に響き続けている。本稿では、そんな阿部真央の魅力を改めて紐解いてみたい。
■幅広い層から支持を集めるシンガーソングライター阿部真央とは?
阿部真央(読み:あべ まお)

・生年月日 : 1990年1月24日
・出身地 : 大分県
・星座 : 水瓶座
・血液型 : A型
・メジャーデビュー:2009年1月21日(アルバム『ふりぃ』)
OFFICIAL SITE https://abemao.com/
facebook abemaoofficial
YouTube @abemaofficial
X @abemao_official
Instagram @abemao_official
TikTok @abemaofficial
2009年にアルバム『ふりぃ』でデビューを果たした阿部真央。表題曲の「ふりぃ」がBillboard JAPANのJapan Hot 100で1位を獲得するなど、同世代の女性を中心に共感を呼び、一気に注目を集めた。
▼Mao Abe/阿部真央 – ふりぃ (Free)[Official Music Video]
2023年7月にはポニーキャニオンIRORI Records内にプライベートレーベルKAGAYAKI RECORDSを設立し、2024年8月に11thオリジナルアルバム『NOW』をリリース。
また、圧倒的な存在感を伴ったライブパフォーマンスも阿部真央の魅力のひとつだ。2024年にはデビュー15周年を迎え全国5都市9カ所にて『15th Anniversary Abe Mao Solo/Zepp Live Tour 2024』、2025年1月26日にはファイナルとして『阿部真央らいぶ2025 -15th ANNIVERSARY- at 東京ガーデンシアター』を開催するなど、今もなお精力的にライブ活動を行ない、多くの人を魅了し続けている。
また、シンガー・ソングライター、アーティストとしての活動以外に楽曲提供も行なっており、活動の幅を広げている。
◎【MV】全45作品のストリーミング配信もスタート
デビューから約16年、阿部真央は楽曲でリスナーの人生に寄り添ってきた。そんな彼女の楽曲のミュージックビデオ全45作品が、2025年8月1日から各ストリーミングサービスで配信されることに。さらに、TikTokでは全楽曲が配信されており、動画のBGMとしても使用できるようになった。今まで以上に気軽に彼女の曲が聴けるようになったことで、さらに多くの人々の人生に彼女の楽曲がフィットしていくことになるのだろう。
■阿部真央の魅力とは?
いつの時代も“等身大の女性像”を表現してきた阿部真央。彼女の力強さと繊細さを兼ね備えた歌声、そして真っ直ぐな表現力は時代を越えて愛され続けている。その魅力はどこにあるのだろうか。
◎唯一無二な歌声

「阿部真央の歌声をひと言で表すと?」と問われると、答えるのは容易ではない。それほどまでに彼女の声は多彩な表情を持っている。例えば、透明感のある高音は聴く人の心をスッと浄化するようであり、低音は胸の奥に直接響いて思わず息をのむほどの迫力を放つ。この振れ幅こそが、リスナーの感情を揺さぶり続けてきた理由だろう。さらに、楽曲ごとに歌い方を自在に変え、言葉の意味をより深く伝える表現力は群を抜いていると言える。阿部真央の魅力とは、“歌声に込められた無限の可能性”なのかもしれない。
◎世代を超えて共感を呼ぶ等身大の歌詞
“阿部真央と言えば歌詞の良さ”と言っても過言ではないほど、歌詞で多くの人々の心を掴んできた。その歌詞は誰もが一度は経験する感情を、飾らない言葉でまっすぐに表現している。彼女自身、これまで様々な人生経験を重ねてきているのだろう。恋愛の喜びや苦しみ、人生の葛藤や迷いをリアルに描いており、リスナーが“これは自分の物語だ”と感じるほどだ。実際、「私の青春そのもの」という声も少なくない。彼女の歌詞は、世代を超えて共感を呼び起こしてきたのである。そして、時代が変わっても色褪せることなく、今も多くの人に寄り添い続けている。
◎圧倒的なライブパフォーマンス

阿部真央の魅力を語る上で欠かせないのが、その圧倒的なライブパフォーマンスだ。アコースティック編成でじっくり聴かせる時もあれば、バンド編成で力強く響かせる時もあり、ステージごとに異なる演出で観客を惹き込んでいく。一曲ごとにしっかりと感情を込めて歌い上げる姿は、多くのファンの胸を震わせてきた。また、プロフェッショナルだからこその圧倒的なパフォーマンスを見せるいっぽうで、MCでは飾らない言葉で会場を和ませ、距離の近さを感じさせている。音楽と人柄、その両面があることで阿部真央のライブは唯一無二の時間となっているのだ。
■片思いを切なく歌った「貴方の恋人になりたいのです」
▼Mao Abe / 阿部真央 – 貴方の恋人になりたいのです[Official Music Video]
▼阿部真央 – 貴方の恋人になりたいのです [2023 Acoustic Ver.](Official Audio)
・リリース:2009年8月5日
・作詞:阿部真央
・作曲:阿部真央
・編曲:安藤正和
◎誰もが共感できる恋する気持ちを表現
「貴方の恋人になりたいのです」は、阿部真央の代表曲のうちのひとつ。切なさや愛おしさが入り交じる、恋する気持ちを誰もが共感できるストレートなワードで表現しているのが特徴だ。気取らないフレーズで構成されているため、リスナーは自分と重ね合わせて聴けるのではないだろうか。
また、阿部真央の感情が乗った歌声も同曲の魅力を構成している要因の一つだ。彼女の歌声はどこまでもまっすぐ響いており、恋することのドキドキや不安が曲となって胸に迫ってくるかのよう。16年前にリリースされた同曲だが、“青春時代の恋の思い出”として長く聴かれ続けているのは、いつの時代でも変わらない恋愛の普遍性を表現しているからなのかもしれない。若い世代は自分ごととして、かつての若者たちは青春の1ページとして、いつでも聴き返したくなる楽曲だ。
◎「貴方の恋人になりたいのです」歌詞解説
「貴方の恋人になりたいのです」
昨日送ったメールの返事はやはり
夜が明けた今も来ないまま
あぁ 送らなければ良かったな
悔いだけが募ります貴方をもっとちゃんと知りたいけれど
今よりもっと仲良くなりたいけど
深入りしたら 嫌がりませんか?
そう思うと聞けなくて「バイトはなんですか?」
「彼女はいますか?」
聞きたいことはたくさんあるわ夏は貴方と落ち合って一緒に花火を見たいです
厚かましい願いではありますが、貴方の恋人になりたいのです降り続いていた雨も上がり
雲間に抜ける青空見ました
貴方もこの空見るのでしょうか
秋のにおいがします「どんな人が好き?」
「髪の長さは?」
気になることはまだまだあるわ貴方と出会ったあの日から 他に欲しいものはないよ
決して派手な恋じゃなくていいから、貴方の恋人になりたいのです西の空、雲を紅く染める あぁ 夏が終わってしまう
この季節が過ぎる前に一緒に花火を見たいです
厚かましい願いではありますが、貴方とふたりで…叶わぬ恋を夢見ては 今日もひとり眠りにつく
決して派手な恋じゃなくていいから、貴方の恋人になりたいのです
同曲の主人公は、片想いをしている女性。“好きな人に想いを伝えたいけれど、一歩踏み出せない”という誰でも一度は経験したことがある、恋に揺れている心境が描かれている。
冒頭では、恋をしている相手への不安や、一歩踏み出せない戸惑いがそのまま言葉になっており、リスナーは主人公の心境と自分と重ね合わせて一気に楽曲に引き込まれてしまう。サビでは“恋人になりたい”という願いがストレートに書かれていく。しかし、あまりにも真っ直ぐな想いが、逆に片想いの切なさを際立たせているようにも感じてしまう。
さらに後半に進むにつれ、想いの強さを見せたり、かと思えば《決して派手な恋じゃなくていいから》と遠慮がちになってみたり。よりリアルな“片想いをしている主人公像”が浮かび上がっている。
誰もが経験してきた片想いの苦しさや、ときめき、不安などが詰まっているからこそ、同曲は多くの人にとって“自分自身の歌”のように響くのだろう。それを阿部真央が情熱的に歌い上げ、同曲は世代を超えた名作となっている。
◎THE FIRST TAKEで披露した「貴方の恋人になりたいのです」
▼阿部真央 – 貴方の恋人になりたいのです / THE FIRST TAKE
リリース当初とまったく変わらない歌声を披露した『THE FIRST TAKE』での「貴方の恋人になりたいのです」。一発撮りというプレッシャーを微塵も感じさせない、安心して聴ける生歌かつ、感情がたっぷり乗った表現力に称賛の声が多く集まっていたのは記憶に新しい。曲冒頭部分からストリングスが入るというアレンジがされており、より洗練された印象ではあったが、原曲の雰囲気の邪魔は一切していないという秀逸さが際立っていた。また、パフォーマンス終わりに「よかったんじゃない?」、「早く帰りたい! ここから逃げ出したい!」と言って笑う阿部真央の人間的魅力も、同曲にとってのスパイスの一つになっていたはずだ。
▼阿部真央 / 「貴方の恋人になりたいのです – From THE FIRST TAKE」音源
https://abemao.lnk.to/anakoi_TFT
■異色のラブソング「ストーカーの唄~3丁目、貴方の家~」
▼Mao Abe/阿部真央 – ストーカーの唄~3丁目、貴方の家~ [Stalker’s Song](Live at YouTube Space Tokyo)
・リリース:2011年6月1日
・作詞:阿部真央
・作曲、編曲:阿部真央
◎狂気と恋する切なさをコミカルに表現
「ストーカーの唄~3丁目、貴方の家~」は、タイトルのイメージとは相反する軽やかな弾き語りナンバー。ユーモラスな印象の中に、狂気と恋する切なさが見え隠れしており、聴けば聴くほどクセになる楽曲だ。好きな人を追いかける心理や、“好き”という気持ちが溢れ出る苦しさをコミカルかつ明るいメロディで表現しているいっぽうで、歌詞に垣間見える嫉妬心や独占欲といったダークさがあるのも面白い。この対比こそが同曲の魅力と言っても過言ではないだろう。そして、こうした特徴的な楽曲も自分らしく歌い上げる表現力の高さを象徴する楽曲とも言えそうだ。
◎「ストーカーの唄~3丁目、貴方の家~」歌詞解説
「ストーカーの唄~3丁目、貴方の家~」
職員室の連絡網、盗んで知った 番号にかけるのはこれで63回目
持つだけの情報網、駆使して知った 貴方のお家は3丁目公園を抜けた先 川を突き当たり 右折したところ3丁目
放課後の新習慣 青春の場所 貴方の住んでる3丁目怖がらないでね?好きなだけ
近づきたいだけ 気づいて3丁目、3丁目、そこを曲がれば
赤いお屋根の貴方の家
3丁目、3丁目、うろうろしてた
3丁目、3丁目、貴方の家表札を見て知った 二世帯住居
貴方のお部屋の電気がつくのは午後8時
妹さん、可愛いね 「萌ちゃん」って言うのね
愛の張り込み場3丁目怖がらないでね?見てるだけ
愛してるだけ 気づいて3丁目、3丁目、見上げればホラ、
愛しい貴方の眠るお部屋
3丁目、3丁目、勘違いしてしまいそう
私の中じゃもう ふたりの家
3丁目 3丁目3丁目、3丁目、見上げればホラ、
愛しい、愛しい 貴方の家
3丁目、3丁目、うろうろしてた
会えますようにって 貴方のすぐ側3丁目、3丁目、そこを曲がれば
赤いお屋根の貴方の家
3丁目、3丁目、うろうろしてるよ
いつだって、3丁目、貴方の家見てるよ いつも 知ってるよ 何でも
見てるよ いつも 愛しているよ ね
「ストーカーの唄~3丁目、貴方の家~」の主人公は、強い執着心と嫉妬心を抱えつつも、それを軽やかでコミカルに見せてしまうという女性だ。
冒頭部分は恋する女性にありそうな至って普通の行動が描かれており、一見するとどこか微笑ましくもある。しかし、やはり手段や回数がおかしい。《職員室の連絡網、盗んで知った》、《番号にかけるのはこれで63回目》。明らかにやり過ぎだ。
家を特定して2コーラス目に入ると、好きな人への執着や独占欲が増しており、リスナーに“恋の狂気”という刺激を届けている。《怖がらないでね?》と言っているものの、完全にホラーだ。
しかしその中にも、主人公に悪意があるわけではないこと、ただ真っ直ぐに相手を思う気持ちから生まれている感情であることも伝わってくるから不思議だ。絶妙なバランスが、ユーモアとダークさを同時に感じさせることが、リスナーを虜にしている理由なのかもしれない。
◎THE FIRST TAKEで披露した「ストーカーの唄~3丁目、貴方の家~」
▼阿部真央 – ストーカーの唄~3丁目、貴方の家~ / THE FIRST TAKE音源
アコースティックギター1本を携えて、1人でパフォーマンスした『THE FIRST TAKE』での「ストーカーの唄~3丁目、貴方の家~」。言わずもがな色褪せない歌声は素晴らしく、思わず聴き入ってしまうほど。ピッチもかなり正確で音源を聴いているのかと錯覚してしまうくらいである。しかし、一発撮りだからこそダイナミクスさは、より際立っており、時折太い声で歌ってみせたり、表情を変えたりという遊び心も垣間見えていた。それにより、かわいいだけではなく、しっかりと“ストーカー”らしい狂気も際立っていたのではないだろうか。ちなみに、衣装の特攻服を着て、同曲をチョイスして歌うという阿部真央のかっこよさも心に留めておきたいポイントだ。
▼阿部真央 / 「ストーカーの唄~3丁目、貴方の家~ – From THE FIRST TAKE」
https://abemao.lnk.to/stalker_TFT
■阿部真央の人気曲5選を紹介!
「Believe in yourself」
タイトル通り、“自分を信じる”という決意を後押ししてくれる応援ソング。疾走感ある軽快なメロディと力強い歌声が印象的で、落ち込んだり、迷ったりしている時に“自分を信じろ”と熱く語りかけてもらっているような気持ちになる。歌詞の中には、コツコツ積み重ねていくことの大切さも書かれており、聴くだけでも自然と前向きな気持ちになってくる。どこか青春感もあり、瑞々しい気持ちも蘇ってくるようで、ふとした瞬間に聴きたくなる応援ソングと言えるだろう。
「じゃあ、何故」
恋愛のもどかしさをリアルに切り取ったナンバー。歌詞では、うまくいかない恋愛における“なぜ?”という疑問と、苛立ちが率直に表現されており、聴いているだけでも切なくなってくる。さらに鋭い歌声が、冷静さと胸の奥に溢れる激情の両方を表現しており、リスナーに恋のリアルを突きつけているかのよう。あまりにもリアルが故、思わず曲の主人公に自身を投影してしまう人もいるはずだ。もどかしい恋愛を疑似体験しているかのような気持ちにさせてくれる一曲。
「ロンリー」
遠距離恋愛中の彼に会いたいのに会えない、という思いを描いた「ロンリー」。大好きな人に会えない孤独や不安をわかりやすい言葉で綴ることで、似た境遇にいるリスナーに寄り添うような内容になっている。歌声はどこか繊細でありつつも、力強さも感じられ、恋を信じたい気持ちを絶妙に表現している。《何気に頑張っているから ねぇ神様早くご褒美をください》というフレーズなど、恋するかわいらしい女性像が見えるのも聴きどころの一つだ。
「I wanna see you」
会いたい気持ちをまっすぐに歌ったラブソング。離れた相手を思う気持ちを英語のフレーズとシンプルな言葉で繰り返し綴っており、その真っ直ぐさが胸に響く。会えない時間のもどかしさや不安、孤独感がありつつも、相手を思い続ける強さも感じられる歌詞は多くの人が共感できるのではないだろうか。さらに優しさと切なさが宿った真っ直ぐな歌声も、リスナーに寄り添っているかのようで、恋に迷った時に繰り返し聴きたくなる曲と言える。
「Somebody Else Now」
別れの痛みを真正面から描いたエモーショナルな楽曲。愛した人が“もう別の誰か”になってしまったことを受け止める主人公の姿が、切ない歌詞となって表現されている。しかも、すんなり受け止めているわけではなく、未練と諦めが入り混じる複雑な心情が滲み出ているのも秀逸だ。静かな吐露から感情が爆発するような高まりまでを鮮やかに表現し、失恋の苦しみを生々しく伝える歌声にも、共感する人は多いだろう。
■阿部真央の最新情報も要チェック
9月13日の『ROCK IN JAPAN FESTIVAL 2025』や、『New Acoustic Camp 2025』『Mt. FUJIMAKI 2025』への出演も続々と決まっている阿部真央。10月からは『阿部真央 ホールツアー2025 – On My Way Home -』、11月からは地元・大分を含むアコースティックツアー『阿部真央 アコースティックツアー2025 – On Your Way Home -』もスタートする。キャリアを重ねてもなお精力的に活動を続ける、彼女の生歌に酔いしれてみてはいかがだろうか。
TEXT BY 高橋梓
PHOTO BY 森好弘
▼阿部真央の最新記事はこちら
https://www.thefirsttimes.jp/keywords/1874/

