映画『秒速5センチメートル』で主演を務めた松村北斗(SixTONES)とメガホンを取った奥山由之監督が、『第30回釜山国際映画祭』に参加。
同映画祭のメイン会場「映画の殿堂」にて行われた野外ステージグリーティングに登壇した。
■「映画の殿堂」で行われた野外ステージグリーティングに登壇
1996年に創設され、アジアを代表する映画の祭典として常に注目を集めている『釜山国際映画祭』。なかでも、本映画祭の目玉であり、人気・芸術性に富んだ新作や国際的に評価された作品が選出されるオープンシネマ部門に、『秒速5センチメートル』が正式出品することが決定。
9月22日には、釜山最大の座席数(5,000席規模)を持つメイン会場「映画の殿堂」の野外スクリーンにて公式上映される。
9月18日、松村と奥山監督が釜山に到着。韓国を代表する海雲台(ヘウンデ)ビーチを前に、「初めて海外の皆さんに観ていただくということで緊張もしていますが、ちょうど日本での舞台挨拶を終えて、日本の皆さんからいいお言葉をたくさんいただき、勇気をもって胸を張って韓国での上映を迎えられそうです」(松村)、「日本の春夏秋冬がたくさん映っている作品だと思うので、釜山の海風を感じながら観ることができるというのがとても光栄です」(奥山)と、釜山国際映画祭への意気込みを語ったふたりが、9月19日、メイン会場「映画の殿堂」を訪れた。
会場内にはいたるところにフォトウォールやロゴをモチーフにしたモニュメントが点在しており、会場のにぎやかな様子に、ときおり「おー!」と声を漏らしながら会場内を散策。さらに、韓国における日本映画の歴史をまとめたジャパンパビリオン、『秒速5センチメートル』のサイネージや、カフェなどを訪れ、映画祭の華やかな空気感を堪能。写真家でもある奥山監督が自ら、松村の写真を撮影。映画祭を楽しみながら、野外グリーティングへ気持ちを高めた。
そして、9月19日12時30分より、「映画の殿堂」で行われた野外ステージグリーティングに登壇。奥山監督は「アニョハセヨ。奧山由之です。釜山の街でこの作品が上映されるということで光栄に思っています。今日は皆さんに会えてとてもうれしいです」、松村は「アニョハセヨ。普段住んでいる日本を飛び出して、韓国に来られたこともうれしいですし、『秒速5センチメートル』という作品を通して皆さまとつながれたこともすごくうれしく思っています。カムサムニダ!」と挨拶。
最初にモデレーター(MC)から、「奥山監督は、春にはmarie claire映画祭、夏には『アット・ザ・ベンチ』、そして秋には今回の新作を持って釜山国際映画祭に来てくださり、季節ごとに韓国を訪れられています。昨日、インターナショナルプレミアとして釜山国際映画祭で上映されましたが、いかがでしたでしょうか?」と質問されると、奥山監督は「『秒速5センチメートル』は、日本のなかでもいろんな地域で、春夏秋冬4つの季節をまたいで撮っているので、桜や雪、島の夕日などの自然の景色と、東京の街の景色がひとつの映画のなかで一緒になっている作品です。それをこの釜山という、自然と都市の共存している街で上映できることをすごくうれしく思っています」と回答。
「2023年に岩井俊二監督の『キリエのうた』で、この釜山国際映画祭の舞台に立たれたことがありますが、2年ぶりに釜山を来られた感想と、昨日、映画を上映された感想を教えてください」と聞かれた松村は「2回目の釜山訪問ですが、まだ2回目だという気持ちもあります。皆さんの温かい眼差しのなかで上映を終えて、幸せな気持ちでした。当時来たときより、よりお客様の質問や反応から伝わってくるものを柔らかく柔軟に得ることができて、今回の釜山国際映画祭を幸せに楽しめています」と韓国の訪問を楽しんでいることを明かした。
また、「この映画は1990年代初頭から2009年までの、SNSやスマートフォンなどがなかった時代を扱っています。当時は気持ちを伝えるために手紙を書いたりしていますが、役作りをするうえで慣れないということはありましたか?」と聞かれると、「僕が1995年生まれで田舎のほうに住んでいたので、都会から想像されるような最先端のすごくストイックな生活とはかけ離れていました。なので、この『秒速5センチメートル』のなかで描かれている90年代はすごく肌なじみのいいもので。台本を読み進めるにつれて思い出すことや、当時記憶すらしてなくて今さら気づくこともあって。今の時代と作品のなかの時代との間のギャップに対して、意外と抵抗や難しさはなく、すんなり入っていける作品でした」と語った。
「この作品は新海誠監督のアニメーションを原作としています。監督は2007年の公開当時10代だったそうですが、当時からこの作品が好きだったのでしょうか? その頃からこの作品を自分で新しく作ってみたいと思ったのでしょうか?」と問われると、奥山監督は「高校生のときにDVDで原作のアニメを観ました。そのときに、この作品は、遠野貴樹という主人公の内面を深く、もぐりこむように、心のちょっとした機微を描くことで、その先には普遍的な、誰しもが感じてきたような繊細な感情の変遷があることが伝わるような物語になっていて。個人的でありながら普遍的なものが混在するこの作品をすごく新鮮に受け止めることができました。今30代になって改めてアニメーションの『秒速5センチメートル』を見返すと、貴樹の、30歳前後の大人になることの迷いのようなものを僕も実感しているので、今回は自分自身の気持ちも投影しながら作りました。」と制作に対する想いを語った。
最後に、松村は本作の見どころについて、「多くのキャラクターが3つの時代にわたって過ごしていく話なので、それぞれに人生があり、いろいろなキャラクターのことを、切なく、愛おしく思えると思います。あれは自分かもしれない、これは親友のことかもしれないとか、そういう想いになりながら観ていただくこともできるだろうし、ときにはこのキャラクターのような人生を歩んでみたかった、このキャラクターが見上げている空と同じぐらい美しい空を見てみたかったなど、キャラクターの誰かに憧れたりするかもしれません。皆さんの人生が、もっと胸がドキドキしたり、ときめいたりする人生に変わる体験をプレゼントできる映画だと思っています」と述べた。
■映画情報
『秒速5センチメートル』
10月10日(金)公開
原作:新海誠 劇場アニメーション『秒速5センチメートル』
監督:奥山由之
脚本:鈴木史子
音楽:江崎文武(「崎」は、たつさきが正式表記)
主題歌:米津玄師「1991」
劇中歌:山崎まさよし「One more time, One more chance ~劇場用実写映画『秒速5センチメートル』Remaster~」
出演:松村北斗 高畑充希
森七菜 青木柚 木竜麻生 上田悠斗 白山乃愛
岡部たかし 中田青渚 田村健太郎 戸塚純貴 蓮見翔
又吉直樹 堀内敬子 佐藤緋美 白本彩奈
宮崎あおい 吉岡秀隆
制作プロダクション:Spoon.
配給:東宝
(C)2025「秒速5センチメートル」製作委員会
■関連リンク
『秒速5センチメートル』作品サイト
https://5cm-movie.jp


