三代目 J SOUL BROTHERS(以下、JSB3)が、デビュー15周年を記念した初の単独スタジアムライブ『三代目 J SOUL BROTHERS 15TH ANNIVERSARY STADIUM LIVE “JSB FOREVER 〜ONE〜”』を10月4日・5日に大阪・ヤンマースタジアム長居にて行った。
■目標としてきたスタジアム単独公演
2010年のデビューから音楽シーンに数々の歴史を刻んできたJSB3が、目標としてきたスタジアム単独公演。それを祝うために10万人のMATE(ファンの呼称)も本気でぶつかった2日間だった。そんなスタジアムライブの初日をレポートする。
雨に包まれていた空も、開演直前には予報を覆す晴れ間が差し込む。そんな天の祝福もあるなか、オープニング映像が流れ始め、徐々にアリーナにいるMATEも、スタンドにいるMATEも立ち始める。映像はこのヤンマースタジアム長居が次第にJSB3のための王国に変わっていくさまを描いており、迫力のある映像美とBGM、ライトスティックを使った演出、サポートダンサーのフラッグを用いたパフォーマンスによって、ライブへの高揚感を極限まで高めていく。
そして「J.S.B. DREAM」が鳴り出し、メンバーの姿が見えると、爆発の演出を凌ぐほどの凄まじい歓声がスタジアムを包み、早くも大熱狂。そこから次第に楽曲に合わせてアリーナもスタンドも体を動かし始め、一体感が生まれていくさまは圧巻だ。ØMIの歌声がスタジアムで綺麗に響くと、NAOTO、小林直己、ELLY、山下健二郎、岩田剛典もこの景色をじっくり味わうように踊っていた。味わいながらもダンスで客席を煽り、おなじみの両手で三角を作るポーズを促すと、会場との一体感をさらに強固なものにしていく。
■コール&レスポンスが響きわたる場内
あとはなんと言ってもコール&レスポンス。スタジアム中に「HEY!」や「OOH!」という声が響きわたり、その勢いを受けたØMIもさらにパワフルに歌い上げる。そこから夜空を思わせる映像がモニターに映し出され、ØMIが「準備はいいか、MATE!」と問いかけて「O.R.I.O.N.」がスタート。今度はハンズアップをしながらの「YEAH!」というレスポンスと、クラップがスタジアムを包む。ØMIの「さぁ行くぞ!」という掛け声から、息の合ったダンスでも会場を魅了。踊るなかで客席を指す指先は、この大人数でも確かに一人ひとりに向けられている。同じ空の下で繋がっている絆を感じる瞬間だった。
「最後までいくぜ、Everybody!」というØMIの言葉どおり、勢いそのままに「LET’S PARTY」へ。また、この曲からメンバーはアリーナ中央を囲むムービングステージに乗り始め、客席付近を移動しながらパフォーマンス。全員そのステージのギリギリまで前に出てパフォーマンスする姿から、少しでも近い距離で想いを届けたい意志が伝わってきた。それに応えるように盛り上がり続けるMATEの様子を見て、「あったまってきたか、スタジアム!」とØMI。終わると今度は全体が青に染まり、「懐かしい曲行くぞ!」と2014年リリースの「JSB Blue」。ØMIの爽やかな歌声が吹き抜ける。
続くは一転、ネオン感のある「Welcome to TOKYO」。色気と力強さを兼ね備えたダンスで魅せていく。山下も「後ろまで見えてるぞ!」と言わんばかりのマイム。360度どこから見ても隙のないパフォーマンスを、メンバーは届け続ける。ムービングステージが最後方まで到着し、始まったのは「FIGHTERS」。ムービングステージから吹き出す火花の演出が、闘志剥き出しのパフォーマンスをさらに引き立て、観客も拳を掲げた。続く「1st Place」にも大歓声。メリハリのついたアーティスティックなダンスで、JSB3の表現の引き出しの多さを見せつけた。
■大量の水がセンターステージからスプラッシュ!
ここでØMIが「改めて皆さん、三代目 J SOUL BROTHERSです!」と挨拶し「ここまで楽しんでくれてますか!」と尋ねると、当然の大歓声。「晴れましたね」とつぶやいたあと、「今日は感謝の気持ちをしっかり伝えて、最後までひとつになりましょう!」と伝え、「次の曲も一緒に歌っていくよ。準備はいいか?」から「Feel The Soul」に。
「一緒に歌って」「MATEの声、聴かせて!」とØMIが言うと、全体から歌声が聴こえた。メインステージのモニターに歌詞が表示されていたが、観客の大半の目線はパフォーマンスが行われていた後方のステージへ。それでも見事に歌われていたのは、楽曲そのものの良さがしっかりとMATEに根付いている証拠だろう。また、アリーナにはカラフルなバルーンも投げ込まれ、ワクワク感が増幅。パフォーマー5人も、ゆっくりムービングステージの上から全方位に手を振って、そして目を見て感謝を伝えていた。
完全に全員の魂のチューニングが合わさっている無敵のスタジアム。「もっともっと俺たちにぶつけてください!」という「Yes we are」のコール&レスポンスも完璧な連携。次の「(YOU SHINE) THE WORLD」でメインステージに戻り、歌い進めていくと「さぁタオルの準備、そして濡れる準備できてますか!」とØMIが伝え、スリーカウントで大量の水がセンターステージからスプラッシュ。驚きと「これを待っていた!」という反応が良い意味でもみくちゃとなって、さらにテンションが上がる会場。曲終わりにもう一発噴射され、改めてその量と吹き上がった高さにざわめきがしばらく止まらなかった。
■「誰も置いてかないよ。一緒に行こう」(ØMI)
ざわめきのなか、モニターに彼らの軌跡をまとめた映像が流れ出す。2025年から1年ずつ遡っていき、2010年のデビュー年まで遡ったあと、ステージで披露されたのは「Best Friend’s Girl」。デビュー曲だ。メインステージ上に設置された階段の上で、衣装も着替えたメンバーがパフォーマンス。しっとりとした曲調にØMIの甘美な歌声とパフォーマーの指先まで情感たっぷりなダンスがマッチし、この15年で磨き上げたものを感じさせた。
「On Your Mark 〜ヒカリのキセキ〜」でも、そのしっとりさは継続。アッパーなチューンとは違う、NAOTOや小林の背中が語るダンスにも引き込まれた。もう陽もほとんど落ちたこの時間帯、「SO RIGHT」での光の演出も合わないわけがない。「Go my way」「Kiss You Tonight」ではメインステージの両端に移動しながらパフォーマンスし、移動の際にはカメラに向けてサービスも。
続く「Always」でピュアな空気感を作ったあと、大きく映し出された夕日の映像をバックに「みんなこのイントロを聴けばわかるよね? みんな一緒に歌おう。アリーナも、スタンドも、誰も置いてかないよ。一緒に行こう」というØMIの言葉から「君となら」へ。アコースティックサウンドに観客の大合唱が乗ると、メンバーから「さすがMATE」という表情を引き出す。一面オレンジ色に染まるスタジアムの景色は圧巻。終盤、ØMIは“信じられる MATEとなら”と歌詞をアレンジするような場面も。
■ØMIから生まれる美しく雄大な歌のエネルギー
続いて、ムービーには花火の映像。それに合わせてライトスティックも反応し、和のBGMが流れると、ムービングステージでサポートダンサーが扇子、メインステージでは和傘などを用いて、情熱的なパフォーマンスを披露。一気に空気が変わり、花火の音が物寂しさを帯びてきたところで「花火」へ。代表曲のひとつでもあるセンチメンタルなバラードが会場を染め上げた。
ここでピアノの伴奏をBGMに、ØMIが「楽しんでくれてますか?」と尋ねたあと、「とうとう迎えましたね、この日を」と語りかけると、大きな拍手が起こる。往年のナンバーが続いたここまでの流れを振り返り、「懐かしみました?」「皆さんに想いを伝えるセットリストになってますので、どうか最後まで楽しんでください」と伝えた。
開催するにあたって、ステージに立った意味、巡り会い、たくさん夢を叶えてきたこと、生きてきた証、今日までのMATEのことも考えて、「自分たちの歩んできた人生を、今なら見せたいと単純に思って、このステージに立とうと決めましたし、みんなのパワーもあって、この雨男にも勝ちました。完敗です」とMATEを讃えながら想いを届けた。
そして「いろんな節目で歌ってきた曲」と説明し、「次の時代へ」を披露。アカペラで1パート歌うと、会場に温かな音の波が広がる。照明も最小限で、演奏もピアノのみ。ただただØMIから生まれる美しく雄大な歌のエネルギーを味わった。
■「これが三代目 J SOUL BROTHERS!」と叫ぶELLY
続く映像パートでは、パフォーマーメンバーを動物に模したキャラクターが活躍。恐竜に立ち向かう姿をコミカルに描き、笑いを誘っていた。最後にはキュートなキャラクターがCGのタッチも変わって、恐竜に負けない強い姿に大進化。NAOTOを模したカワウソは…かわいいまま!
そして、ここからPERFORMERコーナーがスタート。ELLYの「ブチ上がれるかい!」という声かけを皮切りに、アウトサイダーなモード全開なユニゾンナンバーを展開。そこからまずNAOTOが、捉えどころのないスタイルを見せて撃ち抜いていく。「要!」ではおなじみの大きな手も登場し、会場をひとつに。続く小林は、刀を使った武士的なパフォーマンス。「S.A.K.U.R.A.」に合わせ、季節外れの桜吹雪が吹き荒れる。最後にはギタープレイも見せ、観客を引き込んだ。
ELLYは海外ドラマにありそうなワンシーンから始まり、「マジでヤバいですね!」と観客とコミュニケーションを取りながら、スタジアムを巨大なクラブへと変えて盛り上げた。そして、また5人となり、女性ダンサーとともにムーディな空気を充満させるダンスを見せたあと、岩田が闘争心満点のドSモードで会場を煽る。その姿はバトルで成り上がっていくラッパーのよう。その強い言葉の弾丸からは、決して順風満帆な15年間ではなく、ここまで本気で戦ってきたことが伝わってきた。
最後に、山下がメインステージにハーレーダビットソンで登場。サポートダンサーと一体となったダンスは本能をビリビリと刺激し、「STORM RIDERS」のタイトルどおり存在感を残した。ラストはまた5人でパフォーマンスし、「これが三代目 J SOUL BROTHERS!」とELLYが叫ぶと、大爆発の演出でPERFORMERコーナーは終了した。
■本編を締め括ったのは、誇り高きダンスナンバー「R.Y.U.S.E.I.」
ØMIの動物キャラクターも登場するムービーを挟み、ステージ上にØMIも合流すると、「MUGEN ROAD」でまだまだ燃やしていくJSB3。心なしか演出の炎の量が増え、サポートダンサーのフラッグも熱気を煽り、チーム全体でスタジアムの熱を上げ、燃やし尽くす勢いで始まった後半戦。続いて、モニターに“LOVE”の文字が映し出されたら「Feel So Alive」だ。ELLYのラップもキマっていて、中毒性もある楽曲。今度はアリーナの真ん中を通っていくフロートステージに乗って、観客に近づいていくメンバーたち。さらなる至近距離にアリーナは沸き立ち、グルーヴもまた一段階上がる。
そして、ここからは9曲のメドレー。ダンスもジャンプもコール&レスポンスも止まらないラインナップだった。「Summer Madness feat. Afrojack」「Share The Love」「Rat-tat-tat」とダンスが話題になったナンバーや爽やかで心が軽くなる楽曲たちの応酬は、天国級のピースフル。バルーンも再度投入された。メドレーの最後は「STARS」。辺り一面、一番星のように輝く笑顔に溢れ返っていた。
本編ラストは「R.Y.U.S.E.I.」。日本の音楽シーンにも燦然と輝く誇り高きダンスナンバーが、このスタジアムライブの最後を締め括る。ØMIの「踊ってくれますか!?」もあり、アリーナもスタンドも思い思いのランニングマンを見せて熱唱する。曲中には本物の花火が打ち上げられたが、もう余裕で掻き消すコール&レスポンスとØMIのシャウト。これが正真正銘スタジアムアーティストのキラーチューンだということを見せつけた。マイクにすべてをぶつけたØMIは「改めて、三代目 J SOUL BROTHERSでした! ありがとうございました! また会いましょう!」と告げ、最後はカメラに何度も投げキッスを送って、本編は終了した。
■「10年近く言い続けたステージ。夢が叶いました!」(岩田剛典)
アンコールの要求はすぐに起こり、幕間は客席参加型のダンスコーナーで楽しませる。続いて、山下主催の『山フェス2026』、NAOTOの2度目となるソロツアーの開催決定を告知して盛り上げた。そして、ロンドンバスがスタジアムに向かっていくムービーが流れると、前方下手側にバスの実物が。バスの上にメンバーが登場し、「BLAZE」のパフォーマンスからアンコールがスタートすると、バスはアリーナの外側を回り、スタンドにいるMATEを喜ばせた。赤い衣装に身を包んだメンバーは、もちろんまだまだヒートアップさせる気満々で、全身で歌い踊る。
続く「J.S.B. LOVE」では、今にでもバスから飛び降りてきそうな勢いでアグレッシブにパフォーマンスするメンバー。ダンスの体力や変わらぬハイトーンは、どれだけストイックにここまでやってきたのか想像もつかない。途中、バンドメンバーやサポートダンサーをスクリーンに映して紹介すると、メンバーだけでなく、サポートや裏方も含めた協力により、この日が生まれていることが改めて感じられた。最後は、この日何度目かの大爆発演出で愛に満ちた時間を締めた。
いよいよアンコールも終盤。最後の曲の前にMCが設けられる。いつの間にか雨は日中のように強く降り出しており、メンバーは「MATEも濡れてるから、俺らも濡れよう。みんなでビショビショになろう」とステージの前で話す。岩田は「ほんまおおきに」のあと、「(このスタジアム単独公演は)10年近く言い続けたステージ。夢が叶いました! ありがとうございます!」と重ねて感謝する。「今後の活躍も楽しみにしてほしいですし、さらに盛り上がっていくぞ!」と伝えた。
京都出身の山下は煽りに煽って「関西ただいまー!」と叫ぶと、「おかえりー!」と返ってくる声に「気持ちいい…!」とひと言。「ここまで来られたのはMATEのおかげ」と感謝を伝える。また、「『1st Place』で盛り上がったのがうれしかった」と15年という歴史を共に歩んできたファンの姿に喜びを滲ませた。
■「今日しかできないライブができた」(小林直己)
NAOTOはMATEに「あんたらすごいわ」と伝え、「俺たちの力を見せつけるぞ! と思ってたんですけど、MATEの力をまざまざと見せつけられたライブでした。このステージまで伝わってきました!」と感謝。「MATEのダンスも成長していると感じた」と話し、「これからも僕らとMATEで歴史を一緒に作っていきましょう!」と約束した。
続くELLYが「楽しかったですか?」と聞くと大歓声。「俺らのライブのスタイルは、どこのグループにも負けないNo.1のライブの作り方だと思う」と自信を示し、「この先も一緒に楽しんでいけますか?」と最後に問いかけ、再び大きな声が返ってきた。
小林は「感動しました」と感慨深げに伝える。それは「1曲目に登場した瞬間から、スタジアムの景色、歓声を聞いて感じた」とのこと。「皆さんもこのライブに“絶対に来るんだ!”という強い想いを持って様々な準備をして、このスタジアムに臨んでくれたことが伝わった」と話す。「15年の中からいろんな曲をやって、客席がそれを“あのときああだった”というのを噛み締めながら楽しんでいるように見えた」と振り返ると、「一生忘れられない日になりましたか?」と問いかけ、「今日しかできないライブができた」感謝を伝えた。
最後はØMI。「なるべくベストを尽くそうと」と話すと、メンバーと客席から労いの言葉と拍手が届く。「みんなに助けられた」と感謝し、「雨が止めば、虹がかかります」「皆さんにもいろんな大事な人がいると思います。僕らにとっても大事な人がいますので、どうかその虹の向こうに届くように、一緒に歌ってください」と伝え、最後の曲「RAINBOW」に繋げた。
ライトスティックで虹色に染まるスタジアムが、メンバーと一体となって歌う。一体となって手を振る。その手をメンバーに向けると、たしかに手を取り合った感触がそこにはあった。いろんな感情が押し寄せたのか、ELLYは堪らず感極まると、“歩き出した day 1”からの道のりを思い返すように空を見上げ、ØMIの目にも光るものがあった。そしてØMIは「大丈夫。また会えるよ」と伝えたあと、最後の1パートを歌い上げた。感動的なアウトロのなか、「三代目 J SOUL BROTHERSでした! ありがとうございました! 今日来られなかったすべてのMATEにも感謝してます! 本当にありがとうございました!」とØMIが感謝を伝え、ステージをあとにしたメンバー。最後にモニターに“FOR MATE”という言葉が映し出されて、スタジアムライブ初日は終了した。
この日は5万人が集まったが、会場は完全に一体となり、スタンド最上階の端まで楽しむ姿が見られた。その理由はいろいろあると思うが、このスタジアムライブで印象的だったのは、MATEとメンバーとの絆が1本1本強く繋がっているということ。15年の歩みを経て、タイトルの“ONE”のように強く結びついていたことだった。一人ひとりとの出会いに彼らは本当に感謝しているからこそ、MATEも記念すべきスタジアムで15年間の想いを重ねながら全身でその一体感を感じられたのだろう。その共鳴が止まらないライブだった。そんな彼らが約束してくれた、これからもずっとMATEと一緒に紡いでいく未来を心待ちにしている。
■関連リンク
三代目 J SOUL BROTHERS OFFICIAL SITE
https://jsoulb.jp













