BE:FIRST「夢中」は、日本中を“胸キュン”で包んだドラマ『波うららかに、めおと日和』の主題歌であり、グループにとって自身最速でストリーミング累計1億回を突破した楽曲。本コラムでは楽曲の魅力や、歌詞で描かれる世界観を考察する。
■BE:FIRST「夢中」とは?

・配信リリース:2025年4月25日
・発売日:2025年5月28日
・収録作品:7thシングル『GRIT』、10月29日リリース ベストアルバム「BE:ST」
・作詞:SKY-HI / eill / Ryo ‘LEFTY’ Miyata
・作曲:SKY-HI / eill / Ryo ‘LEFTY’ Miyata
◎フジテレビ系木曜劇場『波うららかに、めおと日和』主題歌
2025年春クール放送のドラマ『波うららかに、めおと日和』(フジテレビ系)の主題歌として書き下ろされた「夢中」。ドラマは昭和11年を舞台に、“交際ゼロ日”で結婚した新婚夫婦・なつ美と瀧昌が過ごす甘酸っぱい時間を描き、多くのドラマランキングで1位を獲得するなど、一大ムーブメントを巻き起こした。
「夢中」は主人公ふたりの純愛をそのまま表現したような楽曲で、恋愛をドラマチックに見せるのではなく、日常の中で感じるささやかな幸せにフォーカスして描いている。歌詞には《流れる星うららかな 言葉のつづきを贈るよ》と、直接的に作品タイトルとリンクするパートもある。
◎ゴスペルをベースにした新しいJ-POP
サウンドはゴスペルをベースとしており、メンバーの温かな歌声が、何気ない日常を祝福するように響きわたる。作詞・作曲を手がけたのは、BE:FIRSTの生みの親でありプロデューサーのSKY-HI、そしてBE:FIRST「Betrayal Game」の作曲でもタッグを組んだeillとRyo ‘LEFTY’ Miyataという布陣だ。eillは主にブラックミュージックをルーツに持つシンガーソングライターで、Ryo ‘LEFTY’ Miyata はBE:FIRSTのライブでバンドマスターをつとめている、メンバーの盟友である。安定感のあるトリオが、ソウルフルでありながら優しさを内包したあらたなJ-POPの魅力を開拓している。
▼BE:FIRST / Betrayal Game -Music Video-
◎7人が醸し出す個性とグルーヴ
ダンス世界大会1位の実力を持つSOTAを筆頭に、高いパフォーマンススキルとステージでの圧倒的な存在感で知られるBE:FIRST。しかし「夢中」では、メンバーそれぞれの優しく伸びやかなボーカルの魅力を存分に味わうことができる。包容力を感じさせるLEO、最年少とは思えぬ余裕を漂わせるRYUHEI、唯一無二の中低音を放つSHUNTO、ピュアさが際立つまっすぐな声のSOTA、安定感がありつつどこか儚さをまとうMANATO、ラップでスパイスを加えるRYOKI、そしてハイトーンの美しさに定評があるJUNONの声が合わさり、個性をぶつけ合うのではなく寄り添うことで、温かな愛を表現している。
◎SNSでの広がり
「夢中」の楽曲配信直後から、SNSでは『踊ってみた』『歌ってみた』動画が急増。特にTikTokでは、カップルや夫婦が日常のスナップに「夢中」をBGMとして使う投稿が数多く投稿された。ありふれた日常に寄り添うような歌詞が幅広い世代の心に刺さり、“特別ではない幸せ”を可視化する曲として拡散されていった。
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@meotobiyori 🌸「夢中」ダンスをおさらいしよう🌸 振り付けをおさらいする なつ美と瀧昌の様子をお届け💌 事前にダンスを練習してきていたなつ美✨✨ 復習後、「完璧!」とカメラの前に戻ってきてくれました👏 一方でちょっぴり不安そうな表情の瀧昌🤭 果たして、ふたりのダンスの仕上がりは⁉️ 今夜投稿のダンス動画をお楽しみに🫶 1〜3話・最新話はTVer見逃し配信中🤍୭:* #めおと日和 👘🌸 #BEFIRST #BF_夢中 #芳根京子 #本田響矢
♬ オリジナル楽曲 – 『波うららかに、めおと日和』4月期木10ドラマ【公式】 – 『波うららかに、めおと日和』4月期木10ドラマ【公式】
@meotobiyori 主題歌「夢中」ダンス✿⠜ 芙美子・深見が踊ってくれました✨✨ 息ぴったりでさすがです👏❣️ 最後まで楽しそうなふたりにもご注目👀 今朝投稿の練習動画もあわせてご覧ください🫶 次回のダンス動画もお楽しみに🥰 みなさんもぜひ踊ってみてくださいね🕺💫 1〜3話・最新話はTVer見逃し配信中🤍୭:* #めおと日和 👘🌸 #BEFIRST #BF_夢中 #山本舞香 #小関裕太
◎ストリーミング全世界累計再生回数が自身最速で1億回再生
「夢中」は9月10日発表の『オリコン週間ストリーミングランキング』で累積再生数1億回を突破。発売20週目での1億回突破は、「Bye-Good-Bye」の22週を上回るBE:FIRST史上最速のヒットとなった。
■「夢中」の意味とは?歌詞考察
「夢中」
ねぇ 言いかけた
昨日のごめんも
頼り甲斐のない相槌も
裏側で泣いてる I love you気にしてないって嘘はつけたけど
たまに胸騒ぐのもわかってよ
好きが募ってローラーコースター
回って揺れて落ちて君に届くかな今夜の恋模様
流れる星うららかな
言葉のつづきを贈るよ
Hey, look at me baby君に夢中
I say, I love you
僕の瞳にずっといて
来世でも 前世でも
ずっと会いたくて
君に夢中 四六時中
ちゃんと言うから ねぇ聞いて
何回でも 何万回でも
名前を呼ぶよWill you stay with me forever?
Will you stay with me forever?月夜照らされる横顔
見惚れる時間がもっと欲しいよ
心に君映るたび
Make me hot
正直になれずにずっと
Torn in loveただいまとおかえり
幸せ跳ね返し
傍らにさりげなく咲いた
恋の花
ずっと一緒
言葉はいらないよ
心のもっと奥で覚えてるから君に夢中
I say, I love you
僕の瞳にずっといて
来世でも 前世でも
ずっと会いたくて
君に夢中 四六時中
ちゃんと言うから ねぇ聞いて
何回でも 何万回でも
名前を呼ぶよPlease
その涙と一緒に
溢れ落ちそうな祈り
すぐ拭いに行くから
僕を呼んで
抱きしめるずっと
ひとり泣かないよう君に夢中
I say, I love you
僕の瞳にずっといて
来世でも 前世でも
ずっと会いたくて
君に夢中 四六時中
ちゃんと言うから ねぇ聞いて
何回でも 何万回でも
名前を呼ぶよWill you stay with me forever?
「夢中」の歌詞は、誰もが共感できる日常のワンシーンから始まる。《ねぇ 言いかけた 昨日のごめんも / 頼り甲斐のない相槌も / 裏側で泣いてる I love you》という描写から察するに、主人公とその相手は、前日にケンカをしてしまったのだろう。謝ろうと思っても素直に言葉にできなかった不器用なさまとその後悔が、等身大の言葉で綴られる。
3回登場するサビでは、そんな主人公の、胸に秘めた相手への深い愛情が全開に。《君に夢中》というフレーズが繰り返され、《来世でも 前世でも ずっと会いたくて》《何回でも 何万回でも 名前を呼ぶよ》と、計り知れないほどの深い愛がストレートに、そしてロマンチックに表現される。《来世でも 前世でも》というフレーズは時間を超える誓いを意味し、ドラマのテーマとも共鳴する。
その後も《月夜照らされる横顔》《ただいまとおかえり》と、主人公の毎日の情景が鮮明に浮かんでくるような等身大の描写が登場。終盤のラップパートでは、相手の涙を《すぐ拭いに行くから 僕を呼んで 抱きしめるずっと ひとり泣かないよう》と、ヒーローのような主人公の強い決意が示され、最後にもう一度、永遠の約束のようにサビが繰り返されて幕を閉じる。
「夢中」で描かれるのは、恋の刺激的な側面ではなく、誰かを真剣に想い、日常を愛しんで生きる尊さ。それをゴスペルの祈りのようなハーモニーに乗せてBE:FIRSTが誠実に歌い上げることで、あらゆる人々の人生に重なり、大きな共感を呼んでいるのだ。
■『THE FIRST TAKE』で披露した「夢中」
▼BE:FIRST – 夢中 / THE FIRST TAKE
「夢中」のオリジナルバージョンはリズミカルなビートに乗せて、ホーンも交えた華やかなサウンドが特徴的だが、『THE FIRST TAKE』ではピアノの弾き語りに乗せて、バラード調で披露。6月に音源が配信された「夢中 -Piano ver.-」のアレンジを踏襲し、スローテンポの伴奏に合わせて、メンバーが感情をじっくりと感情を込めて歌い上げている。最後のサビの前、JUNONがひと息ブレスをしてから透明感ある高音を響かせ、SHUNTOが繰り出す美しいロングトーンに連なるパートは大きな見どころのひとつだろう。
▼夢中 – Piano ver. –
2年ぶりの『THE FIRST TAKE』登場ということで、部屋に入りマイクを前にすると「緊張しますね」と話すメンバー。しかし国内ドームツアーやワールドツアーなど近年多くの大舞台を経験してきただけに、余裕と貫禄が随所に漂うパフォーマンスを見せている。
■BE:FIRSTが歌う「I Want You Back」
◎The Jackson 5の名曲
1969年にリリースされたThe Jackson 5の「I Want You Back」は、世界のポップス史に燦然と輝く名曲だ。モータウン・サウンドの黄金期を象徴するファンキーなベースラインと軽やかに跳ねるピアノに、マイケル・ジャクソンの瑞々しいボーカルが折り重なり、時代を超えて愛され続けてきた。ボーイバンド文化の出発点ともいえるThe Jackson 5は、BE:FIRSTのメンバーにとってもアーティストを志すきっかけとなった“原点”といえる存在。彼らはこれまでの活動を総括するベストアルバムのタイミングで、自らのルーツへのリスペクトを込めて、「I Want You Back」のリメイクを制作した。レコーディングではメンバーが普段よりさらに何度もテイクを重ね、仕上がりにこだわり抜いたという。
◎BE:FIRSTの「I Want You Back」
2025年10月29日リリース、BE:FIRST初のベストアルバム『BE:ST』のリード曲。10月27日に先行配信され大きな話題を呼んだ。
プロデュースを手がけたのはSKY-HIと、BTS、安室奈美恵、LE SSERAFIMら名だたるアーティストの楽曲に携わり、BMSGのBullmoose RecordsでジェネラルプロデューサーをつとめるSunny。The Jackson 5のオリジナルへのリスペクトを根底に据え、伝説的なアナログ・コンソール(Neve 8068)を使用して生バンドの音を録音し、そのサウンドをサンプリングソースとして再構築するという手法で新たなトラックを生み出した。原曲のファンキーなグルーヴを継承しつつ、ソウルフルなコーラスワークとラップを織り交ぜ、今を生きるボーイバンドの姿をBE:FIRSTらしく刻みつけている。またコレオグラフにはBE:FIRST「Boom Boom Back」の振付やマイケル・ジャクソンの象徴的なポーズが盛り込まれており、彼らのルーツへのリスペクトが示されている。
▼BE:FIRST / I Want You Back -Dance Performance-
▼BE:FIRST / I Want You Back -Dance Practice-
◎新たな日本語詞
原曲の歌詞は、別れた恋人に「もう一度チャンスを」と懇願するような純粋なラブソング。BE:FIRSTのリメイクではそのテーマを引き継ぎつつも、日本語詞を交えて新たにリリックが紡がれており、より多層的なメッセージが込められている。奥に感じるのは、あらゆるものが消費されていくこの時代において、ボーイバンドというアートフォームで音楽を鳴らし続けるという彼らの矜持だ。《巻き戻せない移りゆく時代》取り戻す記憶の奥にまた火を灯す》には音楽やカルチャーへのメンバーの思い入れと感謝がにじみ、《Bring it back》というフレーズはまるで“音楽を原点に立ち返らせる”決意のように響く。
■『THE FIRST TAKE』で披露した「I Want You Back」
▼BE:FIRST – I Want You Back / THE FIRST TAKE
60’sなファッションに身を包んで『THE FIRST TAKE』のブースに登場したBE:FIRST。並々ならぬ情熱をもって制作した楽曲だけに、やや緊張気味のようだが、SOTAは「リスペクトを込めて、僕たちらしく楽しんでいきたいと思います」と意気込む。『THE FIRST TAKE』ではホーンセクションの音が加わったより華やかなアレンジで届けられ、メンバーのボルテージは歌いながらどんどん上昇していく。全員のテクニカルで隙のない歌唱、余裕に満ちたコーラスワークに圧倒されるが、一番心を打たれるのは、「上手く歌おう」という意識がどこにも介在していないかのような、彼らの音楽へのひたむきな愛情だ。結成5年目に突入したBE:FIRSTの円熟も存分に堪能できる魂のパフォーマンスは、多くの人の心を打つに違いない。
■BE:FIRSTの最新情報をチェック!
デビュー5年目に突入し、ボーカルもダンスパフォーマンスもさらに磨き上げて魅力的な楽曲を次々に世に送り出しているBE:FIRST。今後の彼らの活躍もお見逃しなく。
TEXT BY 岸野恵加
▼BE:FIRST最新情報はこちら
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