映画『君の顔では泣けない』の公開記念舞台挨拶が11月14日に東京・TOHOシネマズ 新宿で実施され、芳根京子、高橋海人(「高」は、はしごだかが正式表記)、林裕太、そして坂下雄一郎監督が登壇した。
■芳根京子&高橋海人、共闘の絆を振り返り涙ぐむ
全国約196の映画館で生中継されるなか、ステージにラインナップした一同。中継カメラに向かって手を振りつつ、坂平陸を演じた芳根は「公開を迎えることができて本当に幸せです。みんなで大切に育ててきた我々の子供を皆様に『届け!』とする今日はなんだか夢のようです!」と念願の封切りに胸がいっぱいの様子。
水村まなみを演じた高橋も「暑いなかで撮影を頑張って苦楽をともに過ごした仲間たちとの日々を思い出してエモーショナルな気持ちになります。上映前のワクワクした観客の皆様の顔を見ながら、嬉しい気持ちでいっぱいです」と心境を打ち明けていた。
映画化にあたり、15歳から30歳のあらたな“男女入れ替わり”という点に新鮮味を感じたという坂下監督。キャスティングについては映画『Arc アーク』の芳根、連ドラ『だが、情熱はある』の高橋に注目したそうで、「自分が思う、演技がうまい人にお願いしようと思った。『Arc アーク』『だが、情熱はある』のおふたりはトリッキーな役だったけれど、今回の役もトリッキーな役なので、親和性があるのではないかと思った」と理由を述べた。
陸の弟・坂平禄役の林は「入れ替わることのコミカルさがあるのかと思って物語を辿って行ったら、思いがけず人間のいろいろなところが見えてくる物語だった。自分の体や心の距離についても考えさせられて面白かった」と本作ならではの魅力を口にした。
そんななか、原作者の君嶋彼方よりサプライズで手紙が届いた。「(芳根と高橋の)おふたりは、本当に見事に陸とまなみを演じきってくださいました。性別を主張しすぎない細やかな演技は言わずもがなですが、何よりもおふたりの醸し出す雰囲気が素晴らしく、原作者にもかかわらず『もっとこのふたりのやり取りを見せてくれ!』と思いました。『君の顔では泣けない』は小説としてはもうこれ以上書くことのない作品だと思っていたのですが、芳根さんの陸を見て『もっと陸のことが書きたい』と強く感じてしまいました。高橋さんのまなみも素晴らしく、原作ではほとんど内面が見えない難しいキャラクターだったにもかかわらず、感情豊かに表現してくれていました」と、じんわりと心に広がる手紙に会場も、あたたかな雰囲気に。
芳根は「とてもうれしいですね。原作の先生がどう思われるかって、私たちも怖い部分でもあって、それでも、“もっと陸を好きになる”、なんてうれしいんでしょう。そんな光栄なことあるんだなって思います。そしてその先の陸私もぜひ読ませてもらいたいなと思ったので楽しみにしております」と感激。
高橋も「グループとしての活動のときもそうだけれど、世の中の皆さんに自分たちの作品を出す前に、自分たち作る側の人間が満足した気持ちで送り届けることがエンターテインメントとして素敵なことだと思っています。作品を作るなかでハードルが高いのが原作の先生を納得させることでもあるし、原作者の先生は作品を作っていくなかでのボスでもあるので、すごく安心しました。ムチャクチャうれしかったです。胸を張って皆さんに観ていただけると思いました」と原作者の太鼓判に胸を撫でおろしていた。
さらに、坂下監督も「この物語の0を1にした方なので、初号試写にいらっしゃったとき、本当にいちばん緊張しました。緊張するというか、この方が“ダメ”と言ったら、他の人全員が“良い”と言っても、それは何か違う気がするというような方なので、そう言っていただけてすごくよかったです」と率直な気持ちを吐露した。
最後に、林が「この映画を観て、いろいろな思いを抱えてくださると思うんですが、“誰かのことを好きになる”というのは、“その人がその人でいるから好き”ということで、そう言えるのはその人を本当に愛しているということなんだなと、僕は思えました。この映画を観終えると、それぐらい自分のこと、他者のことを考えられるような作品だと思っています」と真っすぐに想いを伝える。
続いて高橋は「自分の人生で選択する分岐点はたくさんあると思うけれど、それを自分の考えと体を持って選んで進んでいけるのは幸せなことだと気づかされました。それから今まで歩んできた自分の道のりがかけがえのない素敵なものだと自分を肯定できるような、そんな気持ちにさせてくれる『君の顔では泣けない』に出会えたことに胸がいっぱいになりました」と目を潤ませながら感謝。
同じく主演の芳根は「この作品が少しでも皆さんの心に残れば良いなと、今はそう思います」と声を震わせながら「この場をお借りして高橋君、本当にありがとうございます! 撮影中も初号を観ても不安で…でも高橋君といろいろな取材を受けるなかで少しずつ氷が溶けていく感覚というか、怖いけれど、高橋君とだったら大丈夫だと思えた。本当にまなみが高橋君で良かったなと思うし、一緒に戦うのが高橋君で良かったなと思う。あ、なんだか泣きそう。お互い?」と感極まって、高橋も「芳根ちゃんの顔を見ていると泣きそうになります」とウルウルだった。
しかし高橋が青色のハンカチをポケットから取り出し、芳根に紳士的に渡そうとすると、芳根は「あ、いったん大丈夫!」と意外と冷静に受け取るのを拒み、すかさず林が飛び出して「僕が泣きそう!」と青色のハンカチで目元を拭って場内からもすすり泣く声と笑いが起こるアットホームな空気となった。
芳根は「またご一緒できるのかなと、これからが楽しみになりました。この場をお借りして、ありがとうございました!」と改めて高橋に頭を下げると、高橋も「こちらこそありがとうございます」と感動ニッコリ。そして最後に高橋は、映画のイメージカラーでもあるブルーのハンカチをヒラヒラさせて会場および全国に手を振っていた。
■映画情報
『君の顔では泣けない』
11月14日(金)TOHOシネマズ 日比谷ほか全国ロードショー
出演:芳根京子 高橋海人
西川愛莉 武市尚士
中沢元紀 林裕太/石川瑠華 前野朋哉/前原滉 ふせえり
大塚寧々 赤堀雅秋 片岡礼子 山中崇
原作:君嶋彼方『君の顔では泣けない』(角川文庫/KADOKAWA 刊)
監督・脚本:坂下雄一郎
製作幹事・配給:ハピネットファントム・スタジオ
(C)2025「君の顔では泣けない」製作委員会
■関連リンク
『君の顔では泣けない』作品サイト
https://happinet-phantom.com/kiminake/




