昭和の時代にも、卒業の節目に寄り添う数多くの名曲が生まれた。別れの切なさや未来への希望をまっすぐに描いた楽曲は、時代を超えて今なお多くの人の心を揺さぶる。今回は、色褪せない魅力を放つ昭和の卒業ソング20曲を紹介する。
■昭和の卒業ソング20曲
「卒業」尾崎豊
「時代」中島みゆき
「卒業」斉藤由貴
「高校三年生」舟木一夫
「卒業写真」荒井由実
「夢をあきらめないで」岡村孝子
「翼をください」赤い鳥
「想い出がいっぱい」H₂O
「いい日旅立ち」山口百恵
「MY GRADUATION」チェッカーズ
「卒業-GRADUATION-」菊池桃子
「乾杯」長渕剛
「じゃあね」おニャン子クラブ
「なごり雪」イルカ
「春なのに」柏原芳恵
「贈る言葉」海援隊
「『いちご白書』をもう一度」バンバン
「さよなら」オフコース
「卒業」キャンディーズ
「恋のダイヤル6700」フィンガー5
【楽曲リンク:昭和の卒業ソング】
■色褪せない魅力を持つ昭和の卒業ソング!聴きどころを解説
「卒業」尾崎豊
1985年1月リリース。理不尽なルールを一方的に押し付けられる学生生活に息苦しさを抱いていた当時の若者からの圧倒的な支持を集め、今なお幅広い層から愛されている。卒業式の際に抱く感情は、晴れやかな希望だけではない。この曲のリアルな描写の数々は、これからも人々の胸を打つに違いない。
「時代」中島みゆき
1975年12月リリース。自身による複数のアレンジによる音源が存在し、他のアーティストによってカバーされる機会も多い。積み重ねていく日常は喜びと悲しみの繰り返し。つらかった日々もいつか懐かしく振り返ることができる…そんな人生の真理を穏やかなメロディで表現している。
「卒業」斉藤由貴
1985年2月リリース。作詞:松本隆、作曲:筒美京平という黄金コンビで制作された。瑞々しさで溢れているが、誓い合う永遠の友情が本心でありつつも不確かなものだと歌う《それは嘘では無いけれど》など、はっとさせられる表現が散りばめられている。のちに俳優としての才能を開花させていく表現力も要注目。
「高校三年生」舟木一夫
1963年6月リリース。この曲でデビューした頃の舟木は、高校を卒業した直後。学生服で歌う初々しい姿は、今でも音楽番組などで度々紹介されている。卒業式が近づくなかで抱く気持ちを描いた歌詞は、いつの時代も変わらない普遍性の塊。《ああ 高校三年生》の甘酸っぱいメロディが昭和の息吹を伝える。
「卒業写真」荒井由実
ハイ・ファイ・セットに提供されたあと、ユーミンによるセルフカバーが1975年6月リリースのアルバム『COBALT HOUR』に収録された。卒業写真をモチーフとしたこの曲が描写しているのは、卒業してからしばらく経った時期の感情。遠く離れてしまった“あの人”を写真を眺めながら思い出す姿が切ない。
「夢をあきらめないで」岡村孝子
1987年2月リリース。昭和末期のムードが、温かなメロディとともに甦る。終わった恋、愛する人との別れを描いている曲だが、共に過ごした人とは異なる道へと踏み出す風景は、学生の卒業とも重なる。《あなたの夢を あきらめないで》は、それぞれの進路へ向かう友へのエールにもなる一節だ。
「翼をください」赤い鳥
1971年2月リリース。赤い鳥によるフォークソングだが、教科書に掲載されたことによって合唱曲の定番としても愛されるようになった。学校を卒業して広い世界へと飛び出して行く際の心情と《悲しみのない 自由な空へ 翼はためかせ 行きたい》が重なる。若者が抱く希望に力強い翼を授ける曲だ。
「想い出がいっぱい」H₂O
1983年3月リリース。あだち充原作のテレビアニメ『みゆき』の主題歌。全国の学校で合唱曲としても歌われるようになった。高校生の兄と血の繋がっていない妹、その周辺の人々の間で繰り広げられる恋模様を描いた『みゆき』。「想い出がいっぱい」は、少女時代を経て大人へと近づいていく“卒業”の歌。
「いい日旅立ち」山口百恵
1978年11月リリース。当時、国鉄のキャンペーンソングに起用され、後に新幹線の車内チャイムに使用されるなど、旅行のイメージとも結びついていった。人生という旅の岐路=卒業式も彩れるフレーズを満載。郷愁を誘う柔らかなメロディは、幼年時代の記憶も静かに呼び起こしてくれる。
「MY GRADUATION」チェッカーズ
1987年5月にリリースされたアルバム『GO』に収録。チェッカーズのメンバーたちのルーツにあるドゥワップの要素を色濃く反映したメロディ、ハーモニー、コーラスワークが印象的。16歳から18歳にかけての恋の思い出と別れが、古き良きオールディーズのテイストで表現されている。
「卒業-GRADUATION-」菊池桃子
1985年2月リリース。ほぼ同タイミングで斉藤由貴の「卒業」がリリースされたことを鮮烈に記憶しているリアルタイム世代もいるはず。都会へと旅立った恋人のことを想い続ける女性の心情を綴った歌詞が切ない。当時、トップアイドルだった菊池の可憐な魅力にもじっくり浸れる曲だ。
「乾杯」長渕剛
1980年にリリースされたアルバム『乾杯』のタイトル曲として収録。1988年に再レコーディングされて、オリコンチャート1位。もともとは、結婚した友人を祝福するために長渕が書き下ろした曲。人生の岐路を迎えた人に贈る《君に幸せあれ!》は結婚式だけでなく、卒業式の風景にもマッチする。
「じゃあね」おニャン子クラブ
アイドルグループ“おニャン子クラブ”が、人気の絶頂期にあった1986年2月にリリースしたシングル曲。《春はお別れの 季節です》《春はSAYONARAの 港です》など、シンプルでありながらも卒業の風景を鮮やかに浮き彫りにする歌詞を手掛けたのは秋元康。素朴なトーンの曲だが、若者の心に温かく寄り添う。
「なごり雪」イルカ
かぐや姫のアルバムに収録されていた曲をイルカがカバー。1975年11月にリリースされて大ヒットした。自分のもとを去る恋人を駅のホームで見送る主人公の心情、取り残されて眺める風景を描いた歌詞は、物語をありありと想像させてくれる。温かな春の到来と寂寥感のコントラストが美しい。
「春なのに」柏原芳恵
1983年1月リリース。作詞作曲をした中島みゆきが、のちにセルフカバー。繰り返される《春なのに》に続く《お別れですか》《涙がこぼれます》《ため息 またひとつ》が、始まりの季節であると同時に別れの季節でもある春を描写。柏原の歌声が温かであるからこそ、悲しみが浮き彫りにされている。
「贈る言葉」海援隊
1979年11月リリース。海援隊のボーカリスト・武田鉄矢が主演したテレビドラマ『3年B組金八先生』主題歌。放送の終盤で卒業式が描かれたこともあり、卒業ソングの定番となっていった。《人は悲しみが 多いほど 人には優しく できるのだから》など、心に刻みたいメッセージが多数込められている。
「『いちご白書』をもう一度」バンバン
1975年8月リリース。『いちご白書』とは、1970年に公開されたアメリカの映画。同作をモチーフにしたことにより、当時、日本の若者の間にも漂っていた虚無感が曲に織り込まれている。若者の反抗の象徴である長髪を切る描写など、社会に取り込まれていくことも意味する“卒業”を描いているのが印象的。
「さよなら」オフコース
1979年12月リリース。《もうすぐ外は白い冬》というフレーズがあるので、舞台となっている季節は晩秋。恋人との別れを描いているので厳密には卒業ソングではないが、繰り返されるフレーズ《さよなら さよなら さよなら》の切ないトーンは、学生生活の終わりにもフィットする。
「卒業」キャンディーズ
1975年4月にリリースされたアルバム『年下の男の子』に収録。バラエティ番組『みごろ!たべごろ!笑いごろ!』内で放送されたキャンディーズ主演のドラマ『美しき伝説』のオープニングテーマ曲。好きな人に気持ちを伝えられないまま卒業式を迎えたことへの後悔を歌っている。多くの人の実体験にも重なるはず。
「恋のダイヤル6700」フィンガー5
1973年12月リリース。《明日は卒業式だから》というフレーズが示すとおり、歌われているのは卒業式の前日。想いを伝えるために電話をかける際のドキドキを軽快なビートとメロディにのせて表現している。電話機のダイヤルを回す描写が昭和の風景を想像させてくれるのも、この曲の魅力。
■昭和の名曲魅力に触れてみて!
今回紹介した昭和の卒業ソングは、時代を超えて今なお聴き継がれている名曲ばかりだ。リアルタイムで知らない世代にとっても、楽曲に込められた別れや旅立ちの想いは、きっと心に響くはず。新たな門出を迎えるこの季節に、昭和の名曲が持つ普遍的な魅力に触れてみてほしい。
TEXT BY 田中大





