2021年にリリースされた「僕らまた」が、令和の卒業ソングとしてロングヒット中のSG(エスジー)。「僕らまた」がなぜここまで多くの人の心を掴むのか? 歌詞の魅力を中心に紐解くとともに、日本と韓国にルーツを持つ、 シンガーソングライター・SGに迫る。
■日本と韓国にルーツを持つ、シンガーソングライター
◎SG(読み:エスジー)
・出身地:韓国
・ソロ始動:2020年6月
・レーベル: SUPERGENIUS Entertainment
・メジャーデビュー:2023年11月13日発売「Palette」
OFFICIAL SITE https://supergenius-entertainment.com/
X @SG_A11
Instagram @sg_a11
TikTok @sg_a11
YouTube @sg_official
◎音楽の目覚めはBIGBANG
韓国出身のSGは、BIGBANGをはじめとするK-POPで音楽に目覚める。なかでも、G-DRAGON(BIGBANG)のスタイルに強い衝撃を受けており、自身のSNSでもたびたび楽曲カバーを披露している。
▼Untitled, 2014 (無題) / G-DRAGON Japanese Lyric ver. ( cover by SG )
日本にもルーツを持つSGは、自然に日本のカルチャーにも惹かれ、宮城県仙台市に留学。
アニソンにハマり、様々な楽曲を聴いていくうちにRADWIMPSなどのバンドサウンドを好むようになり、自身のバンドを結成。
しかし、コロナ禍の影響でバンドは活動休止し、2020年6月より心機一転、TikTokとYouTubeを基点にソロとしての活動をスタートさせた。
▼TikTok初投稿はYOASOBI「夜に駆ける」原曲キーカバー
@sg_a11 韓国人が日本でバズってる曲(原キー)を本気で歌ったニダ。nory君に届いたらいいな🥺🥺🥺#おすすめにのりたい #YOASOBI #夜に駆ける #歌ってみた #歌うま
◎“音楽には国境がないことを証明する”を信条に活動するSG
日本と韓国にルーツがあることで、差別に苦しんだSGは「Music has no borders.(訳:音楽には国境がないことを証明する)」を掲げている。
2022年6月には、毎月フィーチャリング楽曲をリリースするプロジェクト「#SGproject」をスタート。りりあ。、吉田凛音、Aile The Shota、竹中雄大(Novelbright)、Rude-α、Nobel Core、鈴木鈴木といった幅広いアーティストとのコラボ曲を発表した。
さらに、2023年11月13日には配信シングル「Palette」でメジャーデビュー。
「Palette」は読売テレビ系ドラマ『好きやねんけどどうやろか』の主題歌に起用。J-POPとK-POPの垣根を超えた、親しみやすい楽曲が魅力のシンガーソングライターである。
▼Palette – SG (Official Music Video)
◎日本語と韓国語を織り交ぜて歌う、ルーツを活かした独自スタイル
ドラマ『梨泰院クラス』の主題歌を歌うGahoとのコラボでは、日本語と韓国語を織り交ぜた歌唱を披露。日本と韓国を中心に大ヒットしたimaseの「NIGHT DANCER」では、韓国語訳詞を行い、反響を呼ぶ。
▼【가호 × SG】 【이태원클라쓰 OST】 시작 (Start) / 가호 (Gaho) Korean × Japanese Lyric Collaboration 【梨泰院クラスOST】
▼【imase × SG】NIGHT DANCER / imase ( Korean × Japanese Lyric Collaboration )
持ち前の歌唱力で様々な楽曲を原曲キーで歌いこなし、カバー動画でも多くのリスナーを獲得。日本語の曲を韓国語でカバーしたり、韓国語の曲を日本語でカバーするというSG独自のスタイルが人気だ。
TikTokのフォロワーは81万人、YouTubeの登録者数は46万人を突破。YouTubeの総再生数は7億回を突破している。
■SG「僕らまた」が令和の卒業ソングとして親しまれる理由
・配信シングル「僕らまた」
・発売日:2021年4月4日配信リリース
・作詞作曲:SG
・DL/Stream https://linkco.re/ycQ3BgMv
◎令和の卒業ソングとして広がりをみせる「僕らまた」
2021年4月4日に配信リリースされた「僕らまた」。
歌詞に直接的な“卒業”という言葉はないものの、リアルな情景描写や、相手に語りかけるような歌詞から“令和の卒業ソング”としてじわじわと広がり、多くの人の心に刻まれている。
これまでにLINE MUSICチャートでは最高1位を獲得し、通算638日間チャートイン。Spotify「Weekly Top Songs」には通算483日間チャートイン、iTunesでは通算134日間チャートインするなど、各種音楽チャートにランクインし続けるほどのロングヒットぶりだ。
▼「僕らまた (Us, again) – SG (Official Lyric Video)」
◎「僕らまた (吹奏楽 ver.)」配信リリースに、「カロリーメイト」受験生応援CMへの起用
2022年には「僕らまた (Piano Ver.)」が制作され、のちに「卒業式で歌いたい!」というリクエストに応え、混声4部とピアノ伴奏の合唱用楽譜を無料公開している。
▼僕らまた (Us, again) Piano ver. – SG (Official Lyric Video)
2024年には「カロリーメイト」の受験生応援CM第11弾『それぞれの音色』篇への起用をきっかけに、SG自身の提案により「僕らまた (吹奏楽 ver.)」が制作されることに。
▼僕らまた (吹奏楽 ver.) – SG(Official Behind Music Video)
埼玉県の花咲徳栄高等学校の吹奏楽部の学生がレコーディングとMVの撮影に参加した。
▼SG “僕らまた (吹奏楽 ver.)” Behind The Scenes
■【歌詞全文】SG「僕らまた」に込めたメッセージは?
「僕らまた」
僕らまた
それぞれの道をさ
歩み始めたのさ
その先にある
交差点でまた会えたら
その時は二人で
長い長い話を
夜が明けるまで
語り明かしたいね
今はグッドバイ片道の人生に
出逢いと言う宝物
これからの長い旅に
思い出と言う贈り物
夢を握り締め
旅立つ背を眺め
涙はグッと堪え
それじゃまたね僕らまた
それぞれの道をさ
歩み始めたのさ
その先にある
交差点でまた会えたら
その時は二人で
長い長い話を
夜が明けるまで
語り明かしたいね
今はグッドバイ覚えてる?あの日のアイスの味
茜色の二人の帰り道
何がそんなに 可笑しかったのかな
一生で一番笑ったんじゃないかな
傘を忘れた日には二人びしょ濡れ
それを見てまた腹を抱えて
一生分の借りができたよ
またあったときにでも返すとするよ
まだ散らぬ桜を
雲一つない空を
背を押すそよ 風を
いつの間に流れる涙を
僕らの青い春を
涙を堪える君を
いつまでも忘れないよ
それじゃまたね僕らまた
それぞれの道をさ
歩み始めたのさ
その先にある
交差点でまた会えたら
その時は二人で
長い長い話を
夜が明けるまで
語り明かしたいね
今はグッドバイ
僕らまた
それぞれの道をさ
歩み始めたのさ
その先にある
交差点でまた会えたら
その時は二人で
長い長い話を
夜が明けるまで
語り明かしたいね
今はグッドバイ作詞:SG
作曲:SG
「僕らまた」はサビ始まり。《僕らまた/それぞれの道をさ/歩み始めたのさ》という歌い出しはすぐに“別れ”や“旅立ち”を想起させ、聴き手がすぐに曲の世界観に入り込める親しみやすさがある。歌い出しの後の歌詞は《その先にある/交差点でまた会えたら》。再会の可能性をすぐに提示することで、この“別れ”や“旅立ち”がポジティブで前向きなものであることが伝わる。
「僕の人生観として、別れを重く捉えたくないと思っています。ポジティブな別れはないと思うのですが、心の中にその人がいると思うことが大事。また、生きていく中で悲しいことや落ち込むことはあると思いますが、僕の場合、結局何らかの形で自分が成長するための糧になっているんですよね」(SG)
SGの言葉を裏づけるように、《片道の人生に/出逢いと言う宝物/これからの長い旅に/思い出と言う贈り物》という歌詞があり、出逢いと思い出は人生にとって宝物であり、贈り物だと捉えている。
《その時は二人で/長い長い話を/夜が明けるまで/語り明かしたいね/今はグッドバイ》と再会が楽しみになるような歌詞も綴られており、出逢いに感謝する曲になっているところが、長く歌い継ぎたくなる理由のひとつだろう。
アイスを食べながら人生でいちばんくらいに笑いあった帰り道、傘を忘れた日に友人とびしょ濡れになって笑いあった日…学生時代の思い出が鮮明に蘇るようなリアルな歌詞が盛り込まれているところも聴きごたえがある。
SG自身は、卒業式は経験したことがない。しかし、その前に行われた終業式に韓国から母が来てくれた経験を踏まえ、桜の木があるグラウンドでの卒業式を想像しながら「僕らまた」の歌詞を書いたという。加えて、SG自身の学生時代の思い出を盛り込み、リアリティを増大させた。
「恋なのか、友情なのかはわかりませんが、卒業式での卒業生一人ひとりの想いを想像しました。妄想するのが好きなので、卒業式は経験できていませんが、リアルで等身大の曲になったと思っています。学生時代、仲の良い友達2人とよく遊んでいたんです。夏場にはじゃんけんで勝った人が行き先を決めて、自転車に乗ってそこに向かう。到着したらまたじゃんけんをして行き先を決めるっていう遊びをしていたら海に辿り着いたことがありました。その近くのコンビニでアイスを食べた思い出が歌詞には盛り込まれています」(SG)
「僕らまた」には直接的に“卒業”という言葉は出てこないが、《まだ散らぬ桜を》というフレーズが登場する。
「学生時代バンドをやっていたのですが、コロナ禍になりメンバーが脱退することになりました。『僕らまた』は、そのメンバーとの思い出を連ねた彼に贈る曲として作り始めたんです。だから1対1の描写が多いんです。でも書き進めていくうちに、青春を過ごしている多くの方たちに届ける曲にしたら共感していただけるんじゃないかと思い、《まだ散らぬ桜を》という卒業式の描写を盛り込みました」(SG)
SGの大切な思い出や大切な仲間への想いをもとに、ブラッシュアップされた「僕らまた」だからこそ、こうして令和の卒業ソングとして長く愛され続けているのだろう。
■「僕らまた」が長く愛されている3つのポイント
◎口ずさみたくなるグッドメロディ
先述した通り、本楽曲はサビ始まりだ。しかも、すっと入ってくるメロディであり、SGの歌唱もとてもナチュラルで親しみやすい。SGの歌と言葉を際立たせるべく音数が極めて少ないトラックからスタートし、途中、SGの歌がエモーショナルになるのと同時に音数が増え、カラフルに。終盤のコーラスパートでさらに音数は増え厚みが増すが、一貫してノイズにならないような抑え気味のトラックメイクが巧みだ。歌い出しからラストまで、すぐに歌いたくなるようなグッドメロディとうまくマッチングしている。
◎聴く人によって様々な解釈ができるメッセージ
「令和の卒業ソング」として知られるが、卒業だけでなく、あらたな環境に進む人々の不安を取り除き、背中を押す曲としても受け入れられている。
これについてSGは「不安はいつか過ぎ去ってきれいな思い出になると感じ取ってくれた人もいます。いろいろな解釈ができる自由度の高さがある曲ですね」と語っている。
また、スマホやSNSが出てこず、時代が特定されない高い普遍性があることと、別れを重く捉え過ぎずに前向きなものとして描いているところも共感を呼んでいる。
「時代を問わず思い出に残るものはいかにシンプルであるかが大事だと思いました。今は距離が離れていても簡単に繋がることができる時代。でも、僕は対面でぶつかり合った思い出の方が鮮烈に残っています。昔は卒業したら簡単には会えないという重みがあったと思うんです。今はLINEなどのSNSで繋がり続けるので、昔よりは卒業がライトになっていますが、だからこそ『僕らまた』で描かれている別れの前向きさに共感をしてくださる方が多いのかもしれないですね」(SG)
◎ピアノバージョンと吹奏楽バージョン
大きな反響を受けて制作された「僕らまた (Piano Ver.)」(2022年)は、SGの歌声が美しくもウォームに響くアカペラからスタート。優しく流麗なピアノ演奏が情感たっぷりの歌を引き立たせる。「カロリーメイト」のCMソングに起用された「僕らまた (吹奏楽 ver.)」(2024年)は、SGが提案したことをきっかけに制作。吹奏楽部の学生が奏でる多様な楽器と伸びやかなコーラスが、楽曲に多大な奥行きと瑞々しさをもたらしている。
■SGの世界観に浸る!おすすめ5曲
「君に会いたいと願ったって」
2022年8月30日に配信リリース曲。ファルセット気味の歌声から始まる、好きな人に思いを伝えられないまま夏が終わってしまうという切なさを歌った同曲は、夏の終わり特有の爽やかさと儚さを感じさせる。MVにはZ世代から絶大な支持を受ける韓国出身インフルエンサー・らんが出演。SGの「日韓の架け橋になりたい」という想いのもと、夏の日本の田舎を舞台にらんが浴衣を着て花火をしたり、縁側でスイカを食べたり、ラムネを飲むなどの日本の夏の原風景が描かれている。
「Palette」
2023年11月13日に配信リリースされた、記念すべきメジャーデビュー曲。自分自身のこれまでと対峙する主人公が己の未熟さ辟易とする、ダークな始まり。しかし、《人生はなから退屈さ/それでも愛を歌うんだ》と、とことん自問自答したうえでの“答え”を掴んでからは、一気にサウンドが華やぎ、SGの歌にも喜びと力強さがみなぎる。ストリングスやチアフルなコーラスに彩られながら、“どんな状況でも愛を歌う”というSGの根幹にある想いを感じさせる一曲だ。
「Cheese」
2024年5月22日に配信リリースされた「Cheese」は、SGのハイトーンと高らかなホーンが映えるソウルフルなナンバー。歌詞のテーマは“チグハグのBuddies”。性格もタイプも違う相手と、別れを惜しむほどの関係を構築していくのだが、関係が深まっていくなかでの心境の変化や時間の流れの感じ方の違い、そしてどれだけ自身にとって相手が大切なのか、曲が進むにつれて絆が深まっていく描き方が見事である。ハッピーなヴァイヴス満載のサウンドと歌、《最後まで笑ってくれよ/共にしたGoodTimes/忘れないGood Smiles/Cheese》という歌詞は、別れの寂しさを払拭しようとする“強がり”でもあり、「僕らまた」にも通じる前向きさを感じさせる。
「花びら」
歌い出しから繊細な表情をたたえた歌声が、花びらが舞い散る幻想的な光景を浮かび上がらせる「花びら」。鍵盤とストリングスが入った華やぎのあるトラックが、それぞれの道を進むための別れと新しい生活が始まる期待を内包した“春の匂い”を運ぶように響くのが印象的だ。春が来るたびに思い出す、鮮明な記憶…戻ることができないからこそ思いが募り、その儚さに美しさを見いだす、人生経験を重ねるほどにぐっとくる曲ではないだろうか。
「死んでもいいや feat. 竹中雄大」
国・ジャンルを問わず、様々なアーティストをゲストに迎え、フィーチャリング楽曲を連続配信するプロジェクト「#SGproject」で発表された一曲。圧倒的な歌唱力を持つNovelblightのボーカリスト・竹中雄大を招いた切ない恋愛バラード「死んでもいいや」。歌詞はSGと竹中の共作だ。雪景色での君との時間。《これが幸せなんだと/これが愛なんだと》気づく“僕”。暗闇や絶望に襲われようとも永遠に君といられたら死んでもいいという、究極の愛をエモーショナルに歌い上げるふたりの力強いハーモニーが圧巻。
■SGの最新情報をチェック
長く愛され続ける、令和の卒業ソング=「僕らまた」がロングヒットする中、“Music has no borders.”を掲げ、ボーダーレスで共感性の高い楽曲を生み出し続けるSGに今後も注目だ。
INTERVIEW & TEXT BY 小松香里
▼SG 最新記事はこちら
https://www.thefirsttimes.jp/keywords/5209/
▼楽曲リンク:SG
https://tftimes.lnk.to/SG2026T1




