5月30日に奄美大島・アマホームPLAZAにて、10代のための音楽フェス「AMAMI TEENS FES」が開催。公式レポートが到着した。
■ReoNaからのメッセージやオープニングゲスト・楠田莉子など、奄美出身のプロから10代へのも熱いエールが!

梅雨明けを間近に控えた奄美らしい快晴の下、会場には約400人が来場。九州本土鹿児島県及び奄美群島のティーンエージャーたちが、バンド演奏やダンス、弾き語り、ループステーションを用いたパフォーマンスなど、それぞれの“好き”を音楽にのせて披露し、世代や島を越えて交流した。
2021年にユネスコ世界自然遺産に登録された奄美大島は、豊かな自然環境とともに、独自の言語や文化が今も息づく島として知られている。なかでも、三線とともに歌い継がれてきた「シマ唄」は、暮らしや祈り、土地の記憶と深く結びつきながら受け継がれてきた、奄美を象徴する音楽文化のひとつだ。
一方で近年は、島内で音楽活動に触れる機会や、若い世代が自由に表現できる場が限られつつあるという声もある。そうした中で、「AMAMI TEENS FES」は、音楽を愛するティーンエージャーたちが自分らしく表現し、同世代と出会い、互いの感性に触れ合う場として企画された。2回目の開催となる今年は、昨年以上に多彩なジャンルと表現が集まり、奄美の新たな音楽文化の芽吹きを感じさせる一日となった。
フェス開催に先立ち、5月23~24日には出演者を対象としたワークショップも行われた。今回は、多くのメジャーアーティストを手掛けてきたボイストレーナー海老沼俊輔が講師として参加。発声やパフォーマンスの基礎に加え、観客へ思いを届けるための表現方法など、実践を交えながらレクチャーを行った。
参加した10代たちは、自分自身の表現と向き合う時間を体験。島内では限られている“プロの現場感覚”に触れられる貴重な機会となり、本番を前にそれぞれが手応えを深めている様子が見られた。
「AMAMI TEENS FES」ではあまみエフエムのパーソナリティ・渡陽子と、鹿児島読売テレビのアナウンサー・永田莉紗がMCを務めた。
チヂンというシマ唄を歌う時の賑やかしに用いる奄美の島太鼓を叩きながら登場した渡。渡は奄美では誰もが知る“声の顔”。あまみエフエムディ!ウェイヴを通して、島の日々の出来事や声をつなぎ、地域のコミュニティを育んできた存在だ。そんな彼女の温かい進行が、イベントの空気をより島らしく、和やかな空気が会場全体に広がっていった。
イベント内では、奄美大島出身のアニソンシンガー、ReoNaから寄せられたコメントもサプライズで紹介された。
私が10代の頃、どう音楽を発信しようかと悩んで最初にはじめたのはアプリに音楽を投稿することでした。
そんな当時に、もしこのフェスが開催されていたら、いの一番に応募していたかもしれないです。
10代のみんなが、“好き”を好きなだけ届けて良い晴れ舞台。
きっと、眩しく輝く時間が流れていることでしょう。
音楽が根付くシマに生きるあなたが、今日はめいっぱい、あなただけの音を響かせられますように。ReoNa
同じ奄美大島から羽ばたいたReoNaからの出演する10代へのエールに、出演者や観客たちは真剣に耳を傾け、大きな歓声と拍手で応えた。
オープニングゲストとして登場したのは、奄美大島出身のシンガーソングライター・楠田莉子。幼い頃から歌手に憧れ、奄美出身アーティスト・元ちとせに影響を受けてきたという楠田は、MCの中で自身の音楽ルーツでもあるシマ唄について語った。
「シマ唄は歌詞の表現が本当に豊かで、人の生活の些細なことが格好いい歌詞に生まれ変わる」と話し、「大人になるほど、島の人たちの生活の記録の仕方が素敵だなと思うようになった」とコメント。そうしたシマ唄の魅力に触れる中で、自身も日々の小さな出来事や感情を歌詞にしていきたいと思うようになったという。
ステージでは、奄美のシマ唄「朝花節」「イトゥ」に加え、オリジナル楽曲「lemon」も披露。「イトゥ」では、観客も合いの手「ハーラー ヘィヨゥホー」で応え、会場は奄美ならではのリズムと空気に包まれていた。
■奄美という地で育まれたフレッシュな「音」や「ダンス」が弾ける唯一無二のフェス
オープニングゲスト・楠田莉子によるパフォーマンスで会場があたたかな空気に包まれた後、いよいよ10代の出演者たちによるステージがスタート。バンド、弾き語り、ダンス、ビートボックスなど、それぞれの想いや個性を込めたパフォーマンスを携え、全18組が登場した。会場には、10代ならではのまっすぐな表現と、それぞれ異なる“好き”が次々と響き渡った。
出演者は奄美大島だけでなく、徳之島や沖永良部島など奄美群島各地、さらには鹿児島本土からも参加。この日のステージのために島を越えて集まり、「AMAMI TEENS FES」が群島をつなぐ交流の場となっていることを感じさせた。
シマ唄を習っている小学生と中学生の姉妹は、父親が手がけたオリジナル楽曲を披露。節まわしや歌い方にはシマ唄ならではのニュアンスが感じられ、島で育った感性が自然とにじむステージとなった。披露された楽曲の中には、シマ唄の歌詞に使われる奄美の方言“島口”での語りを聞いたときの姉妹の心情を歌ったオリジナルソングも。世代を越えて受け継がれてきた奄美の音楽文化と、現代的なポップス感覚が交差するようなパフォーマンスに、観客たちも静かに聴き入っていた。
小学6年生から高校1年生のメンバーで結成されたダンスグループも出演。洋楽に合わせた力強いダンスパフォーマンスを披露し、髪を大きく振りながら踊るエネルギッシュなステージに、会場からは歓声が上がった。
出演のきっかけは、保護者たちからの「せっかくだから出てみたら」という声かけだったという。当日の衣装も、“カウボーイ”をテーマに保護者たちが一緒に考えたもの。ステージに立つ10代たちだけでなく、家族や地域の人たちも一緒になってフェスを支えている様子が感じられる場面となっていた。
また、ループステーションを用いたビートボックスパフォーマンスを披露する徳之島からの出演者も登場。声やリズムをその場で重ねながら楽曲を構築していくステージに、観客たちは真剣な表情で見入っていた。ジャンルやスタイルにとらわれない多彩な表現が集まることも、このフェスならではの特徴となっていた。
各組のパフォーマンス後には、MCの渡と永田が出演者へインタビュー。音楽を始めたきっかけや、今回のステージに込めた思いなど、一人ひとりの言葉を丁寧に引き出していった。
中でも印象的だったのは、中学時代に不登校を経験したという高校生の女子生徒。高校生になって初めてライブハウスを訪れた際、「自分が言いたかったことを音楽にのせてみたい」と感じたことをきっかけに、オリジナル楽曲を作り始めたという。この日のステージでは、自身の思いをまっすぐに込めた楽曲を披露し、観客は静かに耳を傾けていた。
また、Instagramで島内のメンバーを募集して結成された高校3年生のバンドも出演。それぞれ進学や就職で進路が分かれることから、このステージを最後に解散する予定だと語り、「最後に大きなステージに立てて嬉しい」と話す姿に、会場からは大きな拍手が送られていた。
すべての出演者によるステージが終了した後、ゲストバンドとして登場したのは奄美出身のロックバンド、SOUTH BLOW。
ライブ前のMCでは、「僕たちも昔、奄美で開催されていたオーディションイベントを目指してバンドを組みました」と、自身の10代の頃を振り返りながら、「去年からまたこういうイベントが始まって、奄美でこうしてパフォーマンスできることが嬉しい」とコメント。
さらに、「当時の自分たちにとっても、イベントは音楽をやっている人同士で交流を深められる場所だった。この場が、みなさんにとっての道しるべみたいな存在になったら嬉しいです」と、出演した10代へ向けてエールを送った。
ステージでは、「Process」「春風」「ユートピア」「月の向こう」「ラブソング」を立て続けに披露。力強いバンドサウンドと熱量の高いパフォーマンスに、会場の熱気は一気に最高潮へ。観客からは自然とアンコールが沸き起こり、最後に披露された「ココロノコトバ」では、出演者や観客も一体となって盛り上がり、会場は大きな一体感に包まれた。
SOUTH BLOWの熱気あふれるステージで会場が一体感に包まれる中、イベントの最後には特別賞とベストパフォーマンス賞の発表も行われた。特別賞には、小学生と中学生の姉妹ユニット”たむと”が選出。副賞として、SONYのワイヤレススピーカーが贈られた。そしてベストパフォーマンス賞に輝いたのは、女子高校生4人組バンド”ぱっしょん”。副賞として、本土で開催される夏フェスへの観覧招待が贈呈された。

受賞結果が発表されると、会場からは大きな拍手が送られ、思いがけない受賞に両グループとも驚きと喜びをにじませた。”ぱっしょん”のメンバーは、「自分たちの頑張りが少し認められた気がして、とても嬉しいです」と、率直な思いを語っていた。
イベント運営には、奄美市名瀬を拠点に活動する高校生団体・annacotoも参加。会場ではオリジナルグッズの販売をはじめ、受付対応や来場者の案内、ステージ進行のサポートなど、フェスを支えるさまざまな役割を担った。
annacotoはこれまで、ファッションショーや地域の歴史をテーマにした企画などを通して、奄美の文化や風景を若い世代ならではの視点で発信してきた団体。今回の「AMAMI TEENS FES」でも、出演者と運営スタッフの双方に若い世代が関わることで、音楽文化を次世代へつないでいく場となっていた。
バンドやダンス、弾き語りなど多彩な表現が交わり、島内外の若い世代がつながった今回の「AMAMI TEENS FES」。
出演者と来場者、そして運営に関わる若者たちそれぞれが、このフェスを通して奄美の音楽文化の現在地を形づくっていた。
なお、本イベントの模様は、鹿児島読売テレビにて6月27日(土)14:30~15:00に特別番組として放送される予定となっている。
■イベント情報
『AMAMI TEENS FES』
05/30(土)鹿児島・アマホームPLAZA
MC:渡陽子(あまみエフエム)/永田莉紗(鹿児島読売テレビ)
ワークショップ講師:海老沼俊輔
オープニングゲスト:楠田莉子
ゲストバンド:SOUTH BLOW
運営サポート:annacoto
■関連リンク
AMAMI TEENS FES公式サイト
https://www.sonymusic.co.jp/sd/amami_teens_fes/