8月6日、SCHOOL OF LOCK!とSony Musicがタッグを組んで贈る10代限定の夏フェス『マイナビ 閃光ライオット2026 produced by SCHOOL OF LOCK!』のFINAL STAGEが開催された。
――“いつか”じゃない。
“今”しか鳴らせない音がある。
10代限定の夏の音楽フェスとして、これまでいくつものドラマを生み出してきた、いわば“音楽の甲子園”。
2026年もハイレベルな予選を勝ち抜いて、10組の10代アーティストが満員のZepp DiverCityに立ち、配信でも多くの人が見守った。
各アーティストの持つ衝動や感謝、見返したい気持ち、ただ楽しむという本能…。あらゆる思いや覚悟が交差して沸かせたその”閃光”をレポートする。
■1. 三節棍:これが夢を正夢に変える逞しさ
トッパーはリスナー投票を経て最後のひと枠を掴み取った三節棍。紹介VTRが終わると高橋志奈(Ba/Cho)と青木浬(Sup/Dr/Cho)が力強い低音を響かせ、「狂い咲け、『花』」と倉井大斗(Gu/Vo)が1曲目を告げてライブスタート。「かかってこいよ!」と叫べば、演奏も照明も激しさを増し、フロアも合わせて拳やクラップで応えた。高橋の音は終始ぶっとく、倉井もギターソロで沸かせる。この2人が素足というのも、その野性味に拍車をかけていた。
咲き誇ったあと、倉井は2023年に復活した閃光ライオットに憧れ続け、2025年は3次ライブ審査で敗退も経験しながら、4年かけてラストイヤーでようやくFINALに辿り着いたことを、周囲や投票してくれた人々に感謝を伝える。
「いつか閃光ライオットに出て、この場所で輝いてみたいなって、そんなこと仲間とずっと話していました。辞めた仲間もいたし、病気で退いたやつもいた。そんな同世代の期待を背負って、ようやくここまで辿り着きました。俺たち馬鹿だからさ。ひとりじゃ何もできないんだよ。でも家族、仲間、今観ているお客さんや画面の向こうのお前! あなたたちに支えられて、ようやくここまで来ることができました! やっとひとつの夢を叶えることができました!」と伝え、次の曲を歌い出す。
その曲名は「正夢」。夢を持ったからこそ、人より苦しんだり、もがいたりもしただろう。しかしその夢を現実にし、その舞台を踏み締め、充実感のある表情で歌う倉井を見れば、もう一度、そして何度でも夢に向かって走り出したくなるエネルギーが全体に湧いてきたのは、フロアの拳を見ればわかった。
泥臭く咲き狂い、正夢の中で輝き狂った3人は最後に「憧憬」を演奏。「4年前の俺!Zepp立ったぞ!」と倉井は過去の自分に伝える。夢見た“いつか”を現実にする逞しさを最後まで見せ、トッパーの役目を見事に果たした。
このライブ後に青木は正規メンバーに加入した。彼らの泥臭い挑戦はまだまだ続く。
■2. 白壁ガールズ:もう何にも縛られない、彼女たちだけのロックンロールスタイル
こちらも2025年の3次ライブ審査敗退からの雪辱を果たした名古屋発4ピースガールズバンド。2025年は高校生で制服姿でのライブも注目を集めたが、高校卒業後も彼女たちにしかないロックンロールスタイルを磨き、衣装も自分たちで決めて、FINALの舞台を掴んだ。
「ごきげんよう。イエーーーーイ!」と二ノ宮弥空(Gu/Vo)が高らかに叫んで「The night goes on」からスタート。歌い出しのアカペラの時点でグッと引き込めば、そこから濃い一音一音がゆっくりどっしりと響く。そこから二ノ宮が《大した事ないよね》と印象的に歌詞を届けて始めたサビは一気に加速し、終えるとまたゆっくりどっしりに戻る。独自の色を持つロックンロールでZeppを染めていき、トドメは爆発力のあるアウトロで完全に空気を掌握した。
そのアウトロからそのまま「Keep on seventeen summerdays」へ繋ぐ。大石詩乃(Gu)の古き良きロックンロールの遺伝子を感じるテクニカルで力強いギターメロディはカッコよく、森野愛理(Ba)もステージ上を広く動き、コーラスでもバイブスを上げていた。最後の二ノ宮、大石、森野が同時に拳を上げるシーンも見事に決まり、会場からは拍手が巻き起こった。
MCで二ノ宮は「去年悔しい思いをしてから1年。今、この4人でこのステージにいられるのがうれしいです。最高で悔いのないライブにしたいと思ってます。最後の曲を聴いてください」と話し「My way」を演奏。尾里彩矢(Dr)の鳴らす静かな音の入りから、怪しげに大石のギターや森野のベースが絡み出し、二ノ宮が幽玄さを持って歌声を響かせていく。不思議と次第に夕空が広がっていくように見えて、その果てのない世界へ羽ばたいて行く鳥の姿も見えた。その姿は彼女たちの姿にも重なり、余韻を残す音にドキドキと「これから白壁ガールズはどうなっていくのか」という期待感を抱かせてライブは終了した。
■3. BOTTON:クソみたいな軽音部を抜け出した先
軽音部の余り者で組んだという彼らは「いちばん下から上を目指していこう」という思いを込めてBOTTOM(底)をもじってバンド名を付けたとのこと。ライブ終了後、応援アンバサダーの山崎天(櫻坂46/「崎」は、たつさきが正式表記)に「余り物には福がある!」と興奮させるライブを届けた。
1音目から、底から湧き出すようなエネルギーが溢れていくのを感じさせると、ちの(Gu/Vo)が「山梨から、BOTTONです! よろしく!」と挨拶して「軽音部を抜け出して」を演奏し始める。地に足の着いたリズムの良いサウンドが自然にクラップを誘う。サビもキャッチーかつ執念のこもったフレーズで心を掴むと、みなと(Ba)のアグレッシブなステージングやシャウト、りゅうき(Gu)のギターソロも合わさって会場を沸かせた。続く「都会に飲まれて」は伸びやかな音が情景を想像させ、サビではハンズアップを引き起こした。
ちのは「閃光ライオット2023を観てバンドを始めようと思った」と伝える。そんな憧れの舞台でラストは彼らにとって初のオリジナル曲の「かえりみち」。自分の弱さもすべて曝け出し、もうこれしかないんだ! という俺の姿を見てくれと言わんばかりに前に出るちの。当然、りゅうきもみなともちっぴー(Dr)も全身で演奏。最後は倒れ込みながら演奏し、熱狂に包んだ彼らは「ライブハウスでまた会いましょう」と告げた。
小さな部室の世界や変わらない日常に、自分たちのやり方で逆襲や革命をしている姿からは、この4人は高校で、都会のライブハウスで、すでに様々な修羅場を乗り越えてバンドをしているから、こんな大舞台は楽しいでしかない! のだったろうと思った。正統派に見えて、歌詞だけでなく音からも、彼らがひねくれていることが伝わったが、スペシャルサポーター谷口鮪(KANA-BOON)の「ちの君はすごく殻の中にいるような気がするけど、破らなくていいからね。これからも殻の中から音楽を届けてください」というメッセージは、彼のようなバンドマンにとって最高の褒め言葉だったに違いない。
■4. 伽乱堂:獣のような音で、Zeppは頭を振り乱した
「頭空っぽにしてライブを楽しんでください」という紹介VTRが終わると、開始1秒でまず自分たちがその状態になって本能的に激しい音を鳴らし始める3人。山田べにこ(Ba/Vo)がシャウトしながら改めて上記の言葉を伝え「獣の盗人」から始める。踊るようにヘヴィな音を鳴らす岩上然(Gu/Vo)のギターに、ドラムだけでなく声色も巧みなコーラスや「全員手上げろ!」という煽りでも盛り上げる松井潤(Dr)。フロアはノリながらも「気抜くと喰われる!」という動物的な勘も働いてしまうという、ある種異様な空気を作っていた。
2曲目は「gifted」。山田の悲哀ある女性ボーカルと岩上のクールな男性ボーカルの絡み合いが心を妙にくすぐる。重厚な音も繊細にコントロールし、また先ほどとは違った姿を見せた。
最後に岩上が「今日は皆さんの魂を震わせるような演奏をしに来ました。僕らのライブではいろんな辛いことすべて忘れていきましょう。いけるかー!」と、ついに彼も言葉でフロア強く先導し「GOMEN」が始まれば、完全にアンコントローラブルになった3人。そんな状態の松井に「ひとり残らず飛べー!」と言われたら飛ぶしかないし、山田から強烈なシャウトで「お前らのこと、めっちゃ大好きだからー!」と狂気的な純愛が届いたら、もう普通じゃ満足できない体に…いや普通って何? 楽しければなんでもいいじゃーーん!!! …すいません。書いてて頭空っぽになっちゃいました。最後に「名前だけでも覚えて帰ってください!」と叫んでいたが、これから“がらんどう”の“らん”は、本来の“藍”より“乱”のほうが好きという人と、今後も彼らとライブハウスでめちゃくちゃに乱れたい人が増えたはずだ。
最新型のミクスチャーロックを存分に見せた山田は「自分たちの良さを全面に出せれて良かった」と喜び、スペシャルサポーターのとーやま元校長も「打ちのめされた」と伝えた。
■5. NENE:夢見る少女は強い
前半戦の最後は今大会唯一のSSW、NENE。最初に届けたのは「14age」。夢を語ると「なれるわけないじゃん」と否定されてきたという彼女。そんな孤独を表すような暗い照明の下で、この芯のある歌声と自身の名前を入れたヒップホップ調のリリック、アコースティックギター1本の演奏で跳ね返して、このステージを掴んだという強さを、満員の会場にさっそく証明する。
2曲目は「夢を頑張って追いかける人に、あなたはどんな声をかけますか?」とフロアに問いかけ「人を下げることで何が生まれるんだろう。私はいつだって挑戦する側でいたい」と「DEMOSA…」へ。またも自身の名前の入った力強いラップ×アコギのスタイルを届けるが、思うように演奏できなかったのか、一時演奏を中断。ただ、それを謝るNENEにフロアから温かいエールの拍手が贈られると、再開して以降は自身の挑戦したいという気持ちを込めた歌詞が、今の自身の背中を押しているように見え、歌うたびにNENEが過去のNENEを超えていき、全員がそれにより圧倒されながら彼女の歌を聴いていた。そして演奏が終わって「ありがとうございます」としっかり伝えて深々と礼をする姿にまた大きな拍手が送られた。
最後のMCでNENEは「初めて閃光ライオットに挑戦して、どんな人に届いているのか不安だったけど、先日SCHOOL OF LOCK!で応援してくれている人がいて、すごくうれしかったし、ひとりじゃないんだ。自分の声がちゃんと届いているんだと実感できました。自分ももっともっと頑張ってひとりでも多くの人に曲を届けられるように頑張ります!ありがとうございます!」と涙ながらに決意と感謝を伝え「今、頑張っているあなたに伝えたい!」と「buzzer beat」を届けた。その姿を、もうひとりじゃないと告げるような希望に満ちたイエローの照明が彼女を包んでいた。
「誰かひとりでも寄り添えるアーティストになりたい」と夢を話していたNENE。この日、その夢は確実に叶っていた。
■6. E’sekai(コピバンステージグランプリ):まだまだバンドの可能性は無限大!
2026年に復活したコピバンステージで優勝したのは、沖縄アクターズスクールから世界を目指す“歌って踊れる”ガールズバンド、E’sekai。
その特徴はさっそく1曲目「ワンダーランド/FLiP」のスタートから現れ、愛音(Dr)のドラムに合わせ、楽器を持った心優(Ba/Vo)、波美(Gu/Vo)、結南(Gu)が息の合ったキレのある本格的なダンスをしてからバンド演奏に入るという、まさに見たことない“異世界”なステージを一瞬で創っていた。その後は心優が楽曲の持つヒリつくヒーロー性をしっかり自分のものとして歌い、波美もコーラスでよりその世界観に没入させる。結南も笑顔で躍動しながら演奏し、誰よりも体全身でライブの熱量を届けていた。
もう1曲は「はじめてのチュウ/Hi-STANDARD」。弾むようなビートに、先ほどとは違うラブリーな心優のボーカルが合わさり、つられてフロアも歌って、多幸感が会場を包んだ。
コピーバンドでありながら、そのダンスとバンドの合わせ方は新しい体験を与えた。賞金でディズニーランドに行きたいと言っていたが、そこで見たものもパフォーマンスに取り入れて大きくなるのではないだろうか。
■7. Pitch Blue:音楽と閃光ライオットを愛し続けた神戸の3人の青年、覚醒
「閃光ライオットを取り戻す」。斉藤(Gu/Vo)は予選から一貫して「かつての自分のように閃光ライオットに出ている俺らを見て、閃光ライオットに出たいという人が出てきたら」と言い続けていた。そんな彼らのアプローチは深みもあり、洗練さもありながら、どこか人間臭く、優しい人間性も見えるようなオルタナ。1曲目「言えない」は斉藤のギターが冷たく輪郭をなぞるようなメロディに、唸り上げるベースを響かせるYoske(Ba)と堀田大和(Dr)のドラムが加わると、導火線に火が付いたように爆発。このような緻密さと破壊力を絶え間なく共存させれば、一人ひとりを深海のような青に染めていく。
一転「螺旋」は、海のような広大さよりは、大きな岩石を砕くようなスケール感がある。そのドリルは誰もが孤独な夜に抱く負の感情を壊すためにも向けられているように聴こえたし、照明もそんな人を探すサーチライトのようだった。堀田のドラムが力強くも常にクリティカルなのも、この曲の攻撃力を高めていた。
実際に憧れの舞台に立った斉藤が最後に話す。「高2のときから閃光ライオットに出会ってから、ずっと俺にとっての希望になっている。そこからバンドを組んで、本当に死ぬ思いでやってきたつもりです。閃光ライオットはこれからも俺みたいな凡人やけど音楽が好きな気持ちは誰にも負けへんという人の希望であり続けてほしいと思っています。何かと戦い続ける誰かの希望であってほしいと思っています。やることはいつも一緒。いつまでもあなたの人生に何かを喰らわせ続けることが、俺たちが一生やり続けることだと思います!」とステージに立つバンドマンのプライドそのもののような「馨」を投下。Yoskeの動きもより大きくなり、終始圧倒。きっと聴く人の中には自分の中に眠っていた感情を思い出したり、探していた感情を見つけた未来のバンドマンもいただろう。その起爆剤の名は「神戸! 衝動! 凡人代表! Pitch Blueでした!」
■8. Head Hunt:世界中の優しい人たちへ
08〜09世代で最強で最高のバンドになるために、メンバーをヘッドハンティングして結成したロックバンド。実際、他のコンテストでも結果を残しており、その強さはじわじわと知られていっている。
愛(Gu/Vo)が静かに曲名を告げたミディアムバラードな「円満」からスタート。その運命を心底呪う気持ちも、心底感謝する気持ちも果てなく届く失恋ソング。君への気持ちを引き合いに宇宙や世界といったワードを出すのは、下手すると陳腐になるものだが、愛の体が弾け飛びそうなほどのエモーショナルなボーカルとそれを支える3人がいれば、そういったワードに必然性しか感じない。音楽という魔法を言葉に与えて、ここまで強くするバンドは久しぶりだった。
そこから疾走感のあるロックモードに切り替わって「金魚草のように」へ。リョースケ(Gu)がクラップを促して一体感を高めると、愛の捲し立てるようなボーカルがどんどん刺さってくる。生存価値みたいなものを確かめる歌詞に合わせて鳴り響くたいき(Ba)と優雅(Dr)のリズム隊の音は心臓の鼓動のようにも聴こえ、完全にHead Huntの生命力に魅了されている自分がいた。
愛は優勝を目指しながらも「それ以上にもっと自分の気持ちを広い世界に伝えていきたくて、来てくれている人や配信を見てくれている人に自分たちの音楽を知ってもらえたらという気持ちで今日ここに来ました。優しい人がそれで損をしないような世界を作りたいし、誰かが誰かの言葉で傷つき合うことが少しでも少なくなるように今日は歌を届けます。私がもう自分の過去に後悔しないように」と伝え「最低限の愛」を歌う。《まぁどうでもいいやで片付けないで》。誰もがわかっているけど、どこか諦めている大事なことを、この次世代を担うバンドは諦めていないことが痛切に伝わり、ハッとした。各世代を代表する最高で最強のバンドに共通する“カリスマ性”を持っていることを完全に証明する15分だった。
■9. PrizzM DoLL:彼女たちがスカパンクを鳴らせば、もうどこでも一緒
「夜」の最初こそひゃん(Ba/Vo)のアカペラで会場を引き込んだが、その後の「やだなー。」まで、パートやらなんやら関係なく、全員がフロアを極限まで煽り散らかす。早く立ちたくてウズウズしていたという言葉どおり、ねね(Gu)もおう(Gu)もステージから落ちても知らんでというほど前に出ていく。ただ演奏能力は高いし、魅せ方も上手く、のあフロアたむ(Dr)の爆発的なドラムでもギターソロでも沸かせていた。
東京のデカいステージに緊張もあったらしいが、楽器を鳴らした瞬間に「いつものライブハウスと何も変わらない!」と感じたとのこと。モッシュダイブこそ禁止で起こらなかったが、フロアがスカを踏んでいるときの空気感は、彼女たちが大事にしている大阪のライブハウスの阿倍野ロックタウンや心斎橋BRONZEの景色と確かに一緒だった。
ひゃんは「バンドでいちばん大事なことはカッコいいライブをすることだと思っています! だから私たちは直接届けられるこの時間をいちばん大切にしてきました。もらった時間は15分。たったの15分だよ。でもここで伝説を作る時間には十分すぎるよなぁ!? バンドである以上、ライブで証明しなきゃ意味がねぇんだよ!」と爆音を鳴らしながら感情をぶつける。そして「最高の夜にしよう。ここにいる全員の光になれますように!」と「暁月の光」を届けた。パワフルさはそのままに、「大丈夫。何も心配いらないよ!」(ひゃん)と寄り添う1曲。この曲の前からひゃんのベースはおかしくなっていたが、もうそんなことは一蹴。「また絶対ここで会いましょう!」という約束は、きっとそう遠くないことを示すハッピーな時間だった。
■10. 札幌某所:最後に地元の雪を降らし、閃光を放ち終えた
最後を飾るのは札幌某所。1曲目「Don’t remember me」は疾走感のあるサウンドがクラップやハンズアップを誘発。石川隼士(Gu)の体から気合が滲み出ているギターと、「これが僕たちの最後の閃光」と伝えた滝口開斗(Gu/Vo)の澄んだ歌声で放たれる歌詞も、全体に高い純度のまま届いていた。
「お待たせ」と滝口が伝え、中塚俊輝(Sup/Ba)と葛西トシキ(Sup/Dr)の生み出す血が沸々と湧くようなイントロから「最前線」を演奏。さらにいちだんとギアが上がったロックナンバーに会場の盛り上がりもさらに上がる。「スーパーギター、石川隼士!」と送り出された彼のギターソロでも沸かせた。トドメはラスサビ前の滝口の「準備できてる?」。4人だけでは引き起こせない感情の大爆発を起こし、音が止まると大歓声が起こった。
「ありがとうございました。札幌某所でした」とひと言だけ伝え、最後は自分たちの地元のバラード「札幌」。イントロが鳴り出した瞬間、その音は優しい雪を降らせた。モニターに映る滝口こそ汗だくで熱唱しているが、季節ごと一気に変わる描写力で、その雪はトリまでに高まった会場の温度をすべて優しく包んで、空に還した。歌い終えると滝口は「さようなら」と言い、このライブと閃光ライオットに別れを告げた。
2025年、音楽を辞めるきっかけのために応募したが、3次ライブ審査終了後に音楽を続けるきっかけへと変わり、この日を目指して1年間頑張ってきたバンド。「おかげでいろんな出会いや機会があった。バンドを続けていて良かった。そんな閃光ライオットに感謝を込めて歌う」とも紹介VTRで話していたとおり、一音一音を大事に鳴らし、どこか勝利よりも閃光ライオットのために一曲入魂でいたのではないかというライブ。何より音楽の苦しい部分にギリギリまで追い詰められたであろう滝口が随所で楽しそうに笑顔で歌っていたのが印象的なライブだった。
■結果発表
ハンブレッダーズによるゲストライブのあと、結果発表が行われた。
◎マイナビYell Song賞…『暁月の光』PrizzM DoLL
◎スペシャルサポーター特別賞…NENE
◎グランプリ…札幌某所
グランプリを受賞した札幌某所は感想を聞かれ、滝口は「音楽が簡単に辞めれないところまで来た」と話したあと、「閃光ライオットのおかげなのか、せいなのかわからないですけど、でもこうやって同世代のめちゃくちゃカッコいいバンドと一緒にここに立てたというのは、本当に光栄なことですし、去年の自分たちのようにここまで来れなかった人たちも、来年はきっとここにいるんじゃないかと思います。観ているあなたも音楽始めるかもしれないし。(石川)隼士が(ライブ終了後の感想で)言っていたとおり、ギターってめっちゃ楽しいので」、石川は「本当に爆音で鳴らしてほしいです。後悔しないので」と、朴訥にも音楽の未来にしっかり繋がる言葉で話した。
ウイニングライブの準備の間、応援アンバサダー・スペシャルサポーターの5人も感想を話す。
◇山崎天(櫻坂46・応援アンバサダー)
「応援アンバサダーという立場だったんですけど、私自身が応援されているようなライブで全部に心を掴まれました。同世代として頑張ろうと思いました。熱いライブを見せてくれて本当にありがとうございました!」
◇コレサワ(スペシャルサポーター)
「自分が10代の頃に初めてステージに立ったことを思い出して、初心を忘れずに頑張ろうと思いました」
◇高塚大夢(INI・スペシャルサポーター/「高」は、はしごだかが正式表記)
「本当に1つひとつの出演者にドラマがあって、閃光ライオットの良さを身をもって感じられた。賞で決めたくないような魅力が全員にあったので、これからの皆さんの活躍を楽しみにしたいと思います」
◇谷口鮪(KANA-BOON・スペシャルサポーター)
「グランプリを取れなくても、今僕たちと同じ土俵でやっている仲間たちもいます。皆さんそれぞれ好きな出演者がいたと思いますけど、これからもどうぞ応援お願いします。そして新しい好きな出演者に出会った人は、これからどうぞよろしくお願いします。音楽の未来をよろしくお願いします」
◇とーやま元校長(スペシャルサポーター)
「今までと同じことを言っているかもしれませんけど、グランプリを取れなかった全組はすぐでなくてもその思いを音楽にしてほしい。きっとそれを鳴らす場所はここなので。だから大人の皆様、来年もどうぞよろしくお願いします!」
そしてウイニングライブで札幌某所が再び「最前線」を演奏。その滝口の表情は先ほどとは違い、決意を込めて真っ直ぐと前を見ていた。荒削りにも未来に進んでいく爆音と力強さを増した滝口のボーカルと「届いて!」という叫びは、たしかに音楽の未来を明るくした。
演奏後にも感想を求められた滝口は「昨年の3次のときみたいに、もう喉を潰してもいいんだなという気持ちで歌えた。これからはどうなるかわからないけれど、この景色は忘れられないと思うので、この閃光を追い続けるんじゃないかと思います」と答えた。最後は滝口と石川は健闘を讃えるように背中を叩き合って、退場した。
最後にアンジー校長から黒板に「存在証明」という文字が書かれた。
◇アンジー校長
「閃光ライオットはそれぞれの人生の存在証明が音になって届いています。この閃光ライオットに関わってくれたすべてのアーティスト一人ひとりの存在証明が音色に変わるのが閃光ライオットです。辛いこと、悲しいこと、楽しいこと、笑ったこと、人に伝えるのが怖いこと…閃光ライオットに関わった人たちは言葉にできないそんな思いを音楽に委ねて“自分はここにいる”と存在証明していると思ったんです。アーティストだけでなく、ここに来てくれたみんな、観てくれているみんな、観れてなくても応援メッセージを送ってくれたみんな、その音楽がとにかく大好きだという閃光ライオットに関わるすべての人の存在証明が今日ここで放たれました。閃光アーティストはこれからもあなたの存在証明をしてくれます。でも今日これを見て、何か踏み出したい、届けたいという気持ちができたなら、音楽じゃなくてもいい。どんな形でもいいから「私はここにいるよ」「僕はここにいるよ」と存在証明してください。みんなが生きた証を刻んでほしいと強く思いました」
そう言葉を届け、関わるすべての人に拍手が贈られて、閃光ライオット2026は閉幕した。
「なぜ、それをやるのか」
「なぜ、それを続けるのか」
そんな言葉がありとあらゆる方向や方法で自分に向かってきてしまう現代。
人間が本当にそれをやるべきかさえ問われる現代を我々は生きている。
その答えをいろいろ難しく考えてしまうが、
「一度しかない人生だから、閃光を放ちたい」
それでいいんじゃないかと思った。
だからそれを受け止める場所がこれからも続き、あらたに生まれていくことを切に願っている。
そこに音楽があれば、もっといいな。
TEXT BY 遊津場
※メイン写真:グランプリを受賞した札幌某所
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