「Gifted.」でのデビューから2026年11月3日で5周年を迎えるBE:FIRST。記念すべきその節目に、彼らは4thアルバム『BE:4U』をリリースする。今年9月にはEP『WATCH ME』をグローバルリリースし、ドメスティックとグローバルを直接交差させる新フェーズへと突入した彼ら。そのうえでリリースされたメンバー自身も制作に深くコミットした本作は、改めて“BE:FIRSTという存在”そのものを強烈に提示する一枚となった。本稿では、このアルバムの全貌を紐解いていく。
■BE:FIRSTデビュー5周年の歩み
◎音楽シーンの中心へ
2021年開催のBMSGのオーディション『THE FIRST』での結成、プレデビュー曲「Shining One」、そして「Gifted.」でのデビュー以来、作品の完成度や動員規模を着実に押し上げ、音楽シーンの中心的存在となったBE:FIRST。その躍進の決定的な契機となったのが、2023年の「Mainstream」だろう。“自らがメインストリームを創出する”という強いメッセージに貫かれたリリックと、削ぎ落とされたミニマルなトラックにボーカルとラップが交差する同曲は、チャート116冠を獲得。翌2024年には東京・大阪でのドーム公演『BE:FIRST LIVE in DOME 2024 “Mainstream – Masterplan”』を成功させ、確固たる成果を示した。
▼BE:FIRST / Mainstream -Music Video-
▼BE:FIRST LIVE in DOME 2024 ”Mainstream-Masterplan” -Digest-
◎日本から世界へ
同年8月の2ndアルバム『2:BE』では、世界1億回再生を突破した「Boom Boom Back」やメンバー主導のユニット曲をとおし、セルフプロデュース能力をも発揮。アーティストとしての存在意義を決定づけた。そのライブスケールは約30万人動員の全国ドームツアー、2025年の世界12都市を巡る初のワールドツアーへと到達。
▼BE:FIRST / Boom Boom Back -Music Video-
世界累計3億回再生を誇る「夢中」などを収録した、音楽的軌跡を『Mood』と『Banger』で総覧するベスト盤『BE:ST』をリリースし、盤石な足場を固めた。2026年5月には、2日間で10万人と対峙した初の単独スタジアムライブ『BE:FIRST Stadium Live 2026 We are the “BE:ST”』を成功させ、その規模をさらに拡大。9月リリースのGlobal EP『WATCH ME』は米ビルボード『Billboard 200』入りを果たす結果を残した。
▼BE:FIRST / Scream – Live from BE:FIRST Stadium Live 2026 We are the “BE:ST” –
■前作から約2年ぶりのオリジナルアルバム『BE:4U』

発売日:2026年11月3日
Streaming & Download:https://BEFIRST.lnk.to/BE4U_STRDL
既発曲「Rondo」のクレジットにメンバー全員の名が刻まれていたように、本作『BE:4U』では全収録曲の作詞・作曲などクリエイションの根幹に、メンバーがそれぞれ深く携わっている。これまでも楽曲やコレオグラフィなど多方面にアイデアを反映させてきた彼らだが、そのクリエイティビティをアルバム全編の軸に据えたことで、本作は“BE:FIRST自身の視点から捉えた現在地”をリアルに物語る作品となった。それは“誰が、何を、どう表現するか”という当事者性こそが説得力を持つというヒップホップのイズムを色濃く受け継いでいるからであろうし、生成AIが浸透する現代において“生身の表現”をそこに注ぎ込んだ意味は極めて大きい。
4つ打ちからブーンバップ、ポップスから2ステップまで軽やかに横断するトラックと、自己主張から他者肯定まで広がりのあるリリック、それを体現する6人のパフォーマンスというコントラストを鮮烈に作品に落とし込んだ本作で同時に特筆すべきは、世界基準を見据えながらも、視線がリスナー一人ひとり、“あなた(4U)”へと注がれていることだ。マクロに拡散するのではなく、グループとリスナー個人を丁寧に結びつけるという、彼らのスタンスはこれまでと変わらない。進化した音楽構造と、変わらないアイデンティティを結実させる構成からは、彼らの成熟と、音楽に正面から向き合うという初期衝動が感じられる。進化と原点回帰を並行して形にした作品だ。
■リード曲「NOW U KNOW」の意味とは?
▼「NOW U KNOW」MV
アルバムのオープニングを飾る「NOW U KNOW」。TR-808のキックとブーンバップ的なヒップホップビートが絡むタイトなトラックに、メンバーが曲中で歌うコーラスのフレーズを使ったスクラッチが乗る、王道のヒップホップ感がまず印象に残る。
そして《if you didn’t know then now you know》というフックの結句となるこの言葉には、明確なサンプリング元がある。それは90年代のヒップホップの代名詞的ラッパー、The Notorious B.I.G.が1994年にリリースした「Juicy」だ。
▼The Notorious B.I.G. – Juicy (Official Video) [4K]
ストリートからトップラッパーに成り上がったキャリアを歌うこのクラシックは、ビギー楽曲のなかでも屈指の人気を誇り、ヴァースの結句である《if you〜》は、これまでも様々な形で引用されてきた名文句である。
「NOW U KNOW」のMVも、「Juicy」のなかで《one-room shack》(ワンルームのあばら家)と歌われたような家で、BE:FIRSTのメンバーがバイトをしながら夢を追いかける共同生活から、プロデューサーと思しき人物と出会いスターダムへと駆け上がっていく姿を描いており、「Juicy」へのオマージュとBE:FIRSTの歩みをリンクさせている。
またMVでは、レッドカーペットを歩くようになった6人が、そのあばら家を買い戻すというシーンで締めくくられる。それは、自分たちの原点を忘れないということでもあるだろうし、原点回帰を感じるアルバムのテーマ性とも通底している。《賞賛も/栄光も/振り返らない》《最新が/最高作》と常に前進を続ける意思を歌い、それを和訳すれば《知らなかった?もうこれでわかったはずだろ?》という言葉で締める構造は、現在の自分たちへのプライドと自信をのぞかせ、アルバムの冒頭を飾るのにふさわしい、現在進行形のメッセージに貫かれた一曲といえるだろう。
■全曲解説
「BE:FIRST ALL DAY」
▼BE:FIRST / BE:FIRST ALL DAY -Music Video-
《Let go/Let’s go》(手放し、進もう)という言葉に新章への強い意志を込めた意欲作。“生涯BE:FIRSTであること”を掲げ、東京から世界へ挑む決意とシーンの中核を担う自負を、骨太なヒップホップビートに刻み込むアプローチは、グループの真髄そのものだ。グラミー賞にノミネート経験もあるDavid Arkwrightを筆頭に、Will JayやGrant Boutinら世界水準の制作陣が集結している。「Exercise」
SOTA、SHUNTO、MANATO、RYUHEIが制作に加わり、Taka Perryをプロデューサーに迎えた「Exercise」。ライブ会場や日常で踊ることを“エクササイズ”と捉え、彼らの音楽に触れている瞬間だけは日常の抑圧から解放され、自由に音へ身を委ねようと呼びかける。ダンスミュージックとしてのフィジカルな強度と、しなやかなグルーヴを併せ持った快活なR&Bナンバーだ。
「Why, Why」
▼BE:FIRST / Why, Why -Lyric Video-
恋愛のポジティブとネガティブという相反する感情や心の機微を描く「Why, Why」のリリックを共作したのはSKY-HIとRYUHEI。トラックはChaki Zuluプロデュースのもと、栗原暁、キーボードプレイヤーのHiromu、SKY-HIのコライトで構築。2step/UKガラージテイストの弾むサウンドが、シビアな恋愛模様を軽やかに描き出す。音と詞世界のコントラストが鮮烈な印象を残すナンバーだ。
「Diva」
SHUNTO、MANATO、JUNONによるユニット曲。イタリア語で“女神”を意味するタイトルが冠された「Diva」。愛する対象に溺れ、自分を見失うほどの激しい感情をリリックに落とし込んだのはSHUNTO、MANATO、JUNON。そしてその存在は“音楽”や“アート”の暗喩とも捉えることができ、“完璧なアート”を追い求めるという渇望としても生々しく響く。ダークなR&Bビートに乗るボーカルがその内省的な情熱を引き立て、深い表現力を際立たせている。
「#Conbini」
SOTA、RYUHEI、LEOによるユニット曲。 SOTA、RYUHEI、LEOが制作に加わり、INIMIのZENがプロデュースを手掛けた「#Conbini」。疾走するテクノビートに乗せ、自らをコンビニになぞらえるユーモアを覗かせた一曲は、24時間365日リスナーの求めに応じたいというホスピタリティを示しながらも、しかしどこにでもある存在ではなく、独自のクオリティで虜にしてみせるという野心的なアティテュードと強い矜持がそこに込められている。ある種のアイロニーや遊び心が同居したパーティチューンだ。
「It’s not a bad life」
▼BE:FIRST / It’s not a bad life -Live from BMSG FES’26-
『BMSG FES’26』で初披露された「It’s not a bad life」。JUNONが出演する映画『RYUJI 竜二』の主題歌として書き下ろされた本曲は、自らの信念をどう貫き、いかに肯定していくかを問うシリアスなリリックが胸を打つ。哀切な表情を滲ませたメンバーのタフなボーカルと、2000年代初頭のThe Neptunesを思わせる隙間を活かしたドラム主体のビートのアンサンブルが、楽曲の芯の強さを際立たせている。
「Rondo」
▼BE:FIRST / Rondo -Special Dance Performance-
Chaki Zuluがプロデュースを手掛けた、クワイアやパイプオルガンといった荘厳なサウンドから始まる「Rondo」。メンバー全員が制作クレジットに名を連ね、そのリリックは自分たちの音楽を世界に誇り、シーンにおける重要性をリプレゼントするという強烈な内容だ。メンバー個人の記名性の高い、スリリングに展開するマイクリレーから、YouTubeにもアップされたスキルフルなダンスパフォーマンスまで、全てにおいて“いまここ”のBE:FIRSTという姿勢に貫かれた一曲だ。
「for you」
ドラマティックな「Rondo」から一転、甘やかなアダルトコンテンポラリー/R&Bの質感が心地よい「for you」には、MANATO、JUNON、LEOが楽曲制作に参加。作品タイトルや《(I can’t say goodbye)/どれも大事な今までの足跡》という歌詞に端的に表れているように、デビューからの5年間で紡いできた物語を振り返り、メンバーやBESTYへの感謝を分かち合うように歌い、《ありのままでいれる/そう思えるこの先の未来も歩んで行こう》と結句する、確かな明日を見据える温かな一曲だ。
「Missing」
▼BE:FIRST / Missing -Music Video- (Move ver.)
「Don’t Wake Me Up」に続き、総ストリーミング数 220億回超、シングル売上8,500万枚以上を記録するUKのプロデューサー・Jonas Blueと再タッグを組んだ「Missing」。アコースティックギターとフィンガースナップに歌声が重なるシンプルな導入から、感情とともにドラマティックにリフトアップしていく展開が鮮烈。全編日本語で綴られたリリックが《ねぇ消えないで》という痛切な思いを浮き彫りにし、切ない哀愁と高揚するダンスビートを情緒豊かに結びつける。
「H.A.R.E.」
日々の喧騒を忘れ、《いつだってありのままで居れる My friends》という気の置けない仲間と過ごす休日を描いた「H.A.R.E.」。制作とボーカルにはSOTA、MANATO、JUNON、LEOが参加。ポップなトラックの上で軽やかに躍動する4人の歌声は、リスナーの心をも弾ませる鮮やかさに満ちている。爽快なパーティチューンでありながら、仲間との絆や人生の歩みを肯定するポジティブな感情に貫かれたナンバーだ。
「街灯」
▼BE:FIRST / 街灯 -Music Video-
ゴスペルを背景にした温もりあふれるウィンターソング「街灯」。《特別な当たり前》と歌われるとおり、日常や家族・友人と過ごす時間のかけがえのなさを伝える幸福な詞世界を、BE:FIRSTが慈しむように柔らかく、そして力強く歌い上げる。その歌声は聴き手の心を芯から温めてくれる。打ちひしがれた状況から前を向く姿をポップかつコミカルに描いた、ワンカット撮影のMVも含め、明日へ踏み出す希望を灯す。
「Mainstream -2026 ver.-」
BE:FIRSTのクラシックともいえる「Mainstream」を、3年の時を経て6人で再構築した「-2026 ver.-」。オリジナルと比して際立つ声の芯の強さやボーカル表現の奥行きは、彼らが重ねてきた実績の賜物といえるだろう。そして、リリース時の「自分たちの活動をメインストリームに“する”」という果敢な宣誓は、いまや“した”という確固たる証明へと結実している。楽曲のアティテュードと彼らの現在地、そして社会やリスナーが受け取る説得力の変化も興味深い。
■続くBE:FIRSTの物語をチェック!
2027年にはデビュー5周年を記念した自身最大規模のドームツアー『BE:FIRST 5th Anniversary DOME TOUR 2027』を控えるBE:FIRST。本作の楽曲がライブという空間でどのように体現されるのか。それをとおして彼らがどのような表現の地平を切り拓いていくのか。大きな期待を寄せずにはいられない。
TEXT BY 高木”JET”晋一郎
▼BE:FIRSTの最新情報はこちら
https://www.thefirsttimes.jp/keywords/843/
■『BE:4U』トラックリスト
▼Streaming & Download
https://BEFIRST.lnk.to/BE4U_STRDL
01. NOW U KNOW
02. BE:FIRST ALL DAY
03. Exercise
04. Why, Why
05. Diva
06. #Conbini
07. It’s not a bad life
08. Rondo
09. for you
10. Missing
11. H.A.R.E.
12. 街灯
13. Mainstream -2026 ver.-


