2024年から3年連続の開催となった[Alexandros] 主催の野外音楽フェス『THIS FES ’26 in Sagamihara』。10月31日と11月1日に、川上洋平(Vo/Gu)と白井眞輝(Gu)の出身地である神奈川県・相模原市で開催された。
10月31日には[Alexandros]をはじめChevon、Been Stellar(US)、クリープハイプ、coldrain、THE ORAL CIGARETTES、奥田民生という7組が出演し、観客を熱狂させた。本稿では、初日公演Day1の模様をレポートする。
■Chevon
お馴染みの「Burger Queen」が流れると、『THIS FES』の主催者である[Alexandros]の4人が登場。川上洋平(Vo/Gu)が「『THIS FES’26』にようこそ!」と開幕を宣言し、磯部寛之(Ba)とともに快晴の空を喜ぶ。川上は「これだけ天気の良いTHIS FESは初めてです!」と笑顔を見せ、晴れバンドである札幌発のスリーピースバンド・Chevonを景気よく呼び込んだ。
不穏なSEに合わせてハンドクラップが巻き起こり、小気味よいギターリフが印象的な「FLASH BACK!!!!!!!!」からライブがスタート。谷絹茉優のパンチのあるボーカルと巧みなグルーヴで、早くもオーディエンスの心を掴む。間奏では谷絹が勇ましい咆哮を上げ、「朝っぱらだからって容赦しないぞ! THIS FES!」と気合十分にアジテート。ベース・オオノタツヤとギター・Ktjmによるバキバキのフレーズを叩きつけるように「冥冥」へとなだれ込む。和の旋律を織り交ぜながら、会場を異空間へと誘った。
[Alexandros]が「盛り上がっている後輩を見ると電源を抜きたくなる」という話を聞いた谷絹が、「今日は電源を抜かれちゃうかもしれません」とユーモアたっぷりに予告した。さらに「北海道札幌市から極上ジンギスカン、届けに参りました!」と[Alexandros]の前説を引用し、「あなたたちを休ませないセットリストになってます」と言い放つ。
歌詞に「相模原」というワードを入れ込んだり、10月31日にリリースされた新曲「アルパカシンドローム」を披露するなど、フェスのトップバッターを任せられた感謝の気持ちを随所に感じさせつつ、ラストは谷絹が「踊れるか!?」と挑発し、「ダンス・デカダンス」へ。曲中に演奏を止め、谷絹は「THIS FES、ここから始まりまっせ。フェスは熱をぶつけ合うことができるのがいちばんかっこいいんだ」と言葉を残し、トップバッターとしての役割を完璧に果たした。
TEXT BY 小松香里
◎Chevon セットリスト
1. FLASH BACK!!!!!!!!
2. 冥冥
3. 銃電中
4. Banquet
5. B612
6. Lamipus
7. アルパカシンドローム
8. 六ノ輪
9. Capretto
10. ダンス・デカダンス
◎Chevon ライブ写真
■Been Stellar
毎年『THIS FES』には海外アーティストが名を連ねている。2026年は、ニューヨークを拠点に活動する5人組バンド・Been Stellarが登場。
川上洋平がステージに現れ、「次のアーティストはニューヨークから相模原にやってきましたよ!」と紹介する。メンバーに「時差ボケは平気ですか?」と尋ねたところ、「全然平気です」と答えながらワインをがぶ飲みしていたというエピソードを披露。「日本の力を見せてやりましょう!」と、敬愛するBeen Stellarの名前を呼んだ。
低音のビートが響き、サム・スローカムのボーカリゼーションが相模原の空へと伸びていく。披露されたのは「Scream from New York, NY」。ニューヨークのインディーロックの系譜を受け継ぐ、ざらついたバンドサウンドが会場の空気を一変させた。
続いて、荒々しいポストパンクとシューゲイザーを融合させた「Manhattan Youth」へ。反復されるフレーズを軸に、ノイジーなサウンドとポップなメロディを絶妙に交錯させていく。サムは時折タンバリンを叩き、彩りを添える。
メンバー全員が激しく頭を振りながら演奏し、躍動感を高めていった新曲に続いては、サムのシャウトが印象的な、ダークで混沌とした「Passing Judgement」へ。「日本に来て演奏することがずっと夢でした。来てくれてありがとうございます」とサムが日本語で感謝を伝えると、温かな拍手が送られた。「Pumpkin」ではチルな雰囲気へと会場を誘い、そこから一転して、「All in One」ではアグレッシブかつスピーディーなアンサンブルを展開。巧みに緩急をつけながら、オーディエンスを深い陶酔の世界へと引き込んでいった。
TEXT BY 小松香里
◎Been Stellar セットリスト
1. Scream from New York, NY
2. Manhattan Youth
3. Dig Me Out (New Song)
4. Passing Judgment
5. Mirror Song (New Song)
6. Pumpkin
7. All in One
8. Sweet
9. Kids 1995
10. 1 Have the Answer
◎Been Stellar ライブ写真
■クリープハイプ
「さっき、裏から見たら、虹が架かってて。[Alexandros]すごいなと思いました。」そう告げた尾崎世界観(Vo/Gu)は、続けて「THIS FES、いただきます」と不敵に宣誓し、「生レバ」からライブをスタートする。
小川幸慈(Gu)が奏でる[Alexandros]の「ワタリドリ」のリフからシームレスに繋ぐ形で披露された「キケンナアソビ」では、尾崎が2番の《だからさ もっと色々しようよ》の部分の歌詞を替えて「今日は洋平さんが徹底的に遊んでくれるでしょう」と告げる一幕もあった。
続けて尾崎は、9月の『RUSH BALL』の台中公演の移動時に、[Alexandros]の磯部寛之にバスで落とした財布を拾ってもらったが、まだしっかりお礼できていなかったと振り返ったうえで、「俺の全財産の10パーセントくらいを返せるようなライブをしたいと思います。」と告げ、「HE IS MINE」へと繋いだ。
「せっかく架かった虹が恥ずかしくなってしまうくらいの大声でお願いします」と尾崎が呼びかけると、観客が全身全霊の《セックスしよう》コールを届ける。
その後、4人は、初期のナンバー「身も蓋もない水槽」などを交えつつ、パラつきはじめた小雨をまったく気にさせないような気迫に満ちた歌とバンドサウンドを次々と放ち続けていく。最後に尾崎が、「いろんなことがあるし、いろんなことがあったけど、やっぱり負けたくないなと思います。[Alexandros]に、あの時からずっと」「これからもお互い末永くバンド続けていきましょう」と語り、最後は「栞」で鮮やかな幕締め。渾身のライブを終えた尾崎は、深々と長くお辞儀をしてステージを去っていった。
TEXT BY 松本侃士
◎クリープハイプ セットリスト
1. 生レバ
2. 火まつり
3. キケンナアソビ
4. HE IS MINE
5. 身も蓋もない水槽
6. ナイトオンザプラネット
7. ラブホテル
8. 一生に一度愛してるよ
9. 栞
◎クリープハイプ ライブ写真
■coldrain
「What’s up? 相模原!」Masato(Vo)の熾烈なアジテーションとともに、1曲目の「EX-HUMANITY」へ。まず、深く鋭く轟く重厚なバンドサウンドの圧に驚かされる。Masatoは、その音塊を一身に背で受け、また、目の前の一人ひとりの観客と真正面から対峙しながら、鮮烈なハイトーン&壮絶なシャウトを高らかに届けてゆく。そして観客は、5人の熱き想いに呼応するように、何度もヘドバンを重ね、ジャンプを繰り返し、怒涛のコールを送ってゆく。
「打ち解けた気がするなー!」と語ったMasatoは、『THIS FES』初出演を楽しみにしていた一方、少し不安があったことを赤裸々に明かしつつも、出番前に[Alexandros]のメンバーに背中を押されたことを振り返り、その後も容赦なく超ヘビーなナンバーを次々とドロップしていく。
「The Revelation」では、会場内に超巨大なサークルが次々と現出。その狂騒的な光景を前に、Masatoは「最高ー!」と万感の想いを叫んだ。後半、Masatoは、各出演者に45分というフェスとしては比較的長めな持ち時間を託している[Alexandros]にリスペクトを表明したうえで、「初めて、ツアーでしかやったことない曲をフェスでやろうと思います。」と告げ、美麗なバラード「SING」を披露した。
ラストは、「VENGEANCE」「FINAL DESTINATION」の2連打。曲中にMasatoが告げた「(coldrainに対して)いろんなイメージがあるかもしれないけど、俺たちも音楽が好きってこと。一緒ってこと」という言葉は、今回初めてcoldrainと出会った観客の心に深くまっすぐ響いたと思う。
TEXT BY 松本侃士
◎coldrain セットリスト
1. EX-HUMANITY
2. PICTURE PERFECT HELL
3. PARADISE (Kill the Silence)
4. THE REVELATION
5. CUT ME
6. DIGITOLL
7. SING
8. VENGEANCE
9. FINAL DESTINATION
◎coldrain ライブ写真
■THE ORAL CIGARETTES
山中拓也(Vo/Gu)が「はじめまして、THIS FES!」と挨拶し、恒例の4本打ちで初の『THIS FES』のライブをスタートさせたTHE ORAL CIGARETTES。「LIMIT」でノリノリで楽しむオーディエンスを見て、山中が「優しいね~、みんな!」とご満悦。4人が一体となった圧巻のアンサンブルで魅せる。
山中が「暴れようか!」と煽れば、あきらかにあきら(Ba)も「最後まで楽しんでいくぞ! 声上げな!」と畳みかけ、「GET BACK」へ。さらに「Mr.ファントム」を続けるという容赦のないセットリストだ。
「我々の2マンイベントにアレキが出たのが2019年。7年の時を経て、THE ORAL CIGARETTESがTHIS FESに来たぞー!」と、[Alexandros]との縁に触れる山中。「OVERNIGHT」では、「俺らを初めて見る人も、『好き』って思ったら感情を爆発させてください」と呼びかけ、初見のオーディエンスも巻き込んでいく。「相模原、飛ぶぞ!」の声に合わせてオーディエンスがジャンプし、「頭振れますか!?」という煽りにヘッドバンギングの波が広がった。
山中が「今年は夏フェスに出ていなかったので、なかなかこういう機会がなかったんですが、[Alexandros]が俺たちをつないでくれました。かかってこい!」と言うと、coldrainのMasatoが登場し、「DUNK feat. Masato(coldrain)」を披露。ゴリゴリのヘヴィーなアンサンブルのなかで、山中とMasato、ふたりのデスボイスが交錯。会場の熱気を最高潮へと押し上げた。ラストは「奈良で何か大きなことをするときは[Alexandros]を誘います!」と山中が口にし、「LOVE」で会場をピースフルな空気で包み込んだ。
TEXT BY 小松香里
◎THE ORAL CIGARETTES セットリスト
1. LIMIT
2. GET BACK
3. Mr.ファントム
4. UNDER and OVER
5. OVERNIGHT
6. DUNK feat.Masato(coldrain)
7. 狂乱 Hey Kids!!
8. LOVE
◎THE ORAL CIGARETTES ライブ写真
■奥田民生
SEもなく、バンドが待つステージにふらりと現れたのは、『THIS FES』初出演となるレジェンド・奥田民生。「日本から来ました、奥田民生です! 今日は外国の名前っぽい人が多いなか、読みやすかったと思います」と、さっそくユーモアたっぷりに自己紹介する。
「スルドクサイナラ」から芳醇なロックンロールを響かせ、重厚で心地よいグルーヴで魅了。「解体ショー」では、シンプルながら味わい深いリリックとアンサンブルで、すっかり日が落ちた会場を心地よく揺らす。「ライオンはトラより美しい」を演奏し、「ありがとう!」と告げると、あちこちから「民生!」という歓声が上がった。
「持ち曲はたくさんありますから、その中から今日は半分くらいやって帰ろうと思います」と、らしいジョークで笑わせて「うちょうてん」へ。メロディアスで流麗な鍵盤の音色が、バンドアンサンブルを鮮やかに彩る。「天気が良くて良かったね。晴れ男がいるんでしょうね。僕は違いますけど(笑)」と会場を和ませ、「呼んでいただいてありがとうございます。こんないいところがあるのを知らなかったんで」と感謝を伝える。
飄々としたMCを挟みながらも、「何と言う」「スピード」「MTRY」と次々に披露。「相模原ー!」とシャウトし、奥深いロックンロールの世界へとオーディエンスを誘っていく。「1、2、」とカウントを刻んで歌い始めたのは、国民的ヒット曲「さすらい」。フロアでは無数の腕が左右に楽しげに揺れ、会場中にシンガロングが響きわたった。最後に届けたのは、リリースから30年を迎えた「イージュー★ライダー」。時代を超えて愛される不朽の名曲に、会場中が酔いしれた。
TEXT BY 小松香里
◎奥田民生 セットリスト
1. スルドクサイナラ
2. 解体ショー
3. ライオンはトラより美しい
4. うちょうてん
5. 何と言う
6. スピード
7. MTRY
8. さすらい
9. イージュー★ライダー
◎奥田民生 ライブ写真
■[Alexandros]
初日のトリのステージの壮絶な幕開けを飾ったのは、「Girl A」。リアド偉武(Dr)が轟かせる重厚な4つ打ちのビートがトランシーな高揚を沸き立たせるなか、「全員跳べますか!」と容赦なく観客を煽り倒していく川上洋平(Vo/Gu)。
「Kill Me If You Can」では、サプライズゲストとしてcoldrainのMasatoを招いてみせる。Masatoは、鮮烈なハイトーンボイスをかまし、川上のハイトーンボイスをデスボイスで刺激的に彩り、ラストは川上と共に揺るぎないユニゾンを高らかに響かせてみせた。
中盤の「ENDROLL」では、SennaRin、また、ライブで共にステージに立つのはこの日が初めてとなった澤野弘之との共演が実現。特別な展開の連続を経て突入したMCでは、磯部寛之(Ba/Cho)が『THIS FES』について「今後もっともっと大きくしていきたいと思っていますので」と未来への展望を語り、続けて川上は、自分たちが主催するフェスだからこそ、「他のフェスでは絶対やらない曲」を披露すると大胆不敵に宣誓。
そして、灼熱の炎がステージを覆うなかで「ワンテンポ遅れたMonster ain’t dead」を披露。長年のファンが漏らした驚きの声が、あらゆる観客を巻き込みながら瞬く間に大きな熱狂へと変わってゆく。続けて、またしても会場をどよめかせたのが「NEW WALL」。7拍子のリズムに乗って届けられる雄大で華やかなロックファンファーレ。その上に、分かちがたく重なってゆく観客の合唱。その感動的な光景を前に、川上は「みんな、最高の声、ありがとう!」と感謝の気持ちをめいっぱい伝えた。
相模原で作ったアマチュア時代の曲「spy」が、相模原で行われる主催フェスの大舞台で披露されたことも非常にドラマチックなワンシーンだったし、“故郷”である相模原の地で披露された「ワタリドリ」は、いつも以上にエモーショナルな響きを放っていたように思う。
ラストナンバーは「Don’t Fuck With Yoohei Kawakami」。過激で過剰なロックサウンドを通してアンストッパブルな狂騒が会場の端から端まで広がってゆくなか、白井眞輝(Gu)のギターがまるでリミッターがぶっ壊れたかのように際限なく昂り続け、さらに花火が打ち上がりまくる。スクリーンには、「DON’T FUCK WITH SAGAMIHARA」の文字。あまりにも爆裂的にして、圧巻のフィナーレ。最後に川上は、「愛してるぜ、相模原!」と叫んだ。
TEXT BY 松本侃士
◎[Alexandros]セットリスト
1. Girl A
2. JULIUS
3. Kill Me If You Can w/Masato(coldrain)
4. 閃光
5. 超える
6. ENDROLL w/SennaRin,澤野弘之
7. ワンテンポ遅れたMonster ain’t dead
8. NEW WALL
9. Starrrrrrr
10. spy
11. ワタリドリ
12. Don’t Fuck with Yoohei Kawakami
◎[Alexandros]ライブ写真
メイン写真:PHOTO BY JON
(C)「THIS FES ’26 in Sagamihara」主催者提供
■関連リンク
フェス公式サイト
https://thisfes.com/















































