THE F1RST TIMES

COLUMN

2021.08.10

Who-ya Extendedの一貫した世界観と進化し続ける、そのスタイル

TEXT BY ふくりゅう(音楽コンシェルジュ)

国内シーンにおいて異端な存在・Who-ya Extendedとは

Who-ya Extended(フーヤエクステンデッド)の存在は国内シーンにおいて異端だ。

ロック不毛と言われる時代に最前線でオルタナティブなサウンドを鳴らす、若き才能。ラウドロックやミクスチャーの色合い、インダストリアル・メタルな匂いも醸し出す。

そもそもWho-ya Extendedとは、クリエイターズユニットであり、2019年11月、フジテレビ“ノイタミナ”枠のアニメ『PSYCHO-PASS サイコパス3』オープニングテーマ「Q-vism」でデビューした。

当時20歳だったボーカリストWho-ya以外のメンバーは、コアなメンバーはいるが固定していない。当初はインタビューに応じることもない、正体不明な存在だった。

ターニングポイントは、2021年1月3日に開催されたオンラインフェス『Sony Music AnimeSongs ONLINE 日本武道館』への出演だった。Who-yaが顔出しで「Q-vism」と「Synthetic Sympathy」を披露したのだ。

そして、早くも時は来た。

2021年1月に、大ヒットアニメ『呪術廻戦』の第2クールオープニングテーマに「VIVID VICE」が起用。その後、4月には『THE FIRST TAKE』へ出演し、その繊細なパフォーマンスが話題となった。

ハートに直結する歌声が心に突き刺さる「Icy Ivy」

そんな勢いにのるWho-ya Extendedが2nd EP『Icy Ivy』を8月11日にリリースする。

リード曲「Icy Ivy」は、90年代にカルト的な人気を誇ったドラマ『NGHIT HEAD』をTVアニメーションで蘇らせた『NIGHT HEAD 2041』のオープニングテーマ。両者の共通イメージである近未来SF的世界観をモチーフに、変拍子に展開するヘビィなギターロックを解き放つ。

映像の浮かぶドラマティックな音像、ピアノやシンセサウンドが織りなすメランコリックな輝き。“覚醒に溺れた道化師のように 真実は誰も知らないまま”と畳みかけるように歌う葛藤に胸が苦しい。

ある種、コロナ禍の今、現実世界にも通じるかのようなディストピアな風景が広がる退廃感を感じる様式美。むせび泣くようなオルタナティブかつヘビィなギターサウンド、鮮烈な音像が織りなすデジタライズされたサウンドセンス、どこか懐かしくも未来派を感じるスチームパンクな調べが、没入感高い中毒性あるエンタメ性を生み出していく。そして何より、ずっと聴いていたくなる切なくも狂おしい、ハートに直結する歌声が心に突き刺さる。

リード曲に負けない主張を感じる『Icy Ivy』粒ぞろいな収録楽曲

なお、本作『Icy Ivy』はEPであり、全4曲を収録。リード曲に負けない主張を感じる残り3曲にも注目だ。

2曲目「Growling Ghoul」は、ベースが牽引する軽快なビートに乗せて、不協和音奏でるギターリフがインパクト持つキャッチーなメロディーが痛快だ。サビパートでのシンガロングしたくなるフレーズの応酬に、感情がアップリフトされること間違いないだろう。フロアを扇情するライブが楽しみなナンバーだ。

3曲目「RAISE U UP」は、Who-ya Extendedにとって柔らかめなポップチューン。残響音を切るビート展開、ミディアムに跳ねるビートに刻まれるギターがオリジナリティーを醸し出す。

ファルセットを効果的に使ったボーカリゼーション、“いつか見た光へ あの闇の向こうへ”というアッパーなフレーズから、ロックフェス会場でハンズアップしてライブが盛り上がるシーンが目に浮かぶのは筆者だけではないはず。

ラスト4曲目「Call My Name」がとても良い。あらゆる困難を乗り越え、壁をぶち壊し辿り着いた桃源郷のようなドリームポップな世界観。まばゆい光を感じる歌声が重なり合う高揚感。サビで畳みかけていく快楽度高い歌声と煌めくギターの美しさ。

Who-ya Extendedは、ある種90年代に躍進したロックサウンドの多様性に、表現手段が拡がり進化した20年代らしさを加えアップデートしようとしているのかもしれない。


リリース情報

2021.08.11 ON SALE
EP『Icy Ivy』


Who-ya Extended OFFICIAL SITE
https://www.wyxt.info