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    2021.08.13

    優里「かくれんぼ」「ドライフラワー」ドラマ化で考える、切ない世界の先にあるもの

    • 優里
    • コラム
    • 『ドライフラワー -七月の部屋-』
    優里「かくれんぼ」「ドライフラワー」ドラマ化で考える、切ない世界の先にあるもの
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    TEXT BY 長谷川 誠

    優里「かくれんぼ」「ドライフラワー」がドラマ化

    “ドラマ化されるべくしてされた2曲”と表現したくなった。

    優里の大ヒット曲「かくれんぼ」と「ドライフラワー」をもとにした、ドラマ『ドライフラワー -七月の部屋-』である。曲のドラマ化は過去にもたくさんあるが、複数の曲にもとづいている点が特徴的だ。

    優里「かくれんぼ」「ドライフラワー」をもとにした、ドラマ『ドライフラワー -七月の部屋-』場面写真1

    ドラマ『ドライフラワー -七月の部屋-』場面写真

    元々、「ドライフラワー」は「かくれんぼ」のアフターストーリーとして女性目線で描かれた曲であり、つまり2曲の登場人物は共通している。ドラマ化されたこの機会に、歌詞に焦点を絞ってこの2曲の特徴や魅力を考察していく。

    なぜ去ってしまったのか?理解できずにいる「かくれんぼ」

    「かくれんぼ」は男性目線で、恋人に突然去られてしまった男性の悲しみや困惑が描かれている。誰もが知っている“かくれんぼ”をモチーフとしている点がまず秀逸だ。おそらく“かくれんぼ”をしたことがない人は少ないだろう。“かくれんぼ”のイメージと恋人が去って誰もいない部屋のイメージが重なり、“もういいかい”と“グッバイ”という言葉が共鳴し、切なさが増していく。

    主人公が“かくれんぼ”と表現しているのは、恋人が去ったことを認めたくないからだろう。

    なぜ、恋人が去ってしまったのか? 主人公はまったく理解していない。おそらくはその兆候すら察知できていないのだろう。悲しみとともに、主人公が困惑していることが優里の深みのある歌声から伝わってくる。

    そして、優里がこの曲のアフターストーリーとして、「ドライフラワー」を作ったのは必然だったのではないだろうか。「かくれんぼ」では主人公の男性の悲しみは克明に描かれているが、なぜそんな事態になってしまったのか、原因は説明されていないからだ。

    ミステリー小説に例えるならば、殺人の動機も犯人もわからないままの状態で終わっている。つまり、楽曲そのものが続編を要求して、優里に書かせたのではないかと妄想が広がる曲でもあるのだ。

    好きだけど…“私じゃなくていいね”「ドライフラワー」

    「かくれんぼ」はとても切ない曲である。だが、「ドライフラワー」ではさらに切なさが増していると感じた。

    「ドライフラワー」では、彼のもとから去っていった「かくれんぼ」の女性が主人公であり、恋人と別れたその後の心模様が描かれている。

    “私じゃなくていいね”という1行目からあまりにも切なすぎる。また、ドライフラワーというモチーフのなんと素晴らしいことか。彩り鮮やかな生花のイメージを内包しつつ、時間経過をも連想させ、かつ“保存”という機能を併せ持ったドライフラワーの特性が見事に主人公の女性の心模様と重なり、イメージが広がっていく。ドラマでもおそらくドライフラワーは重要なモチーフになっていくのだろう。

    「ドライフラワー」でより切なさを感じた理由…それは主人公がまだ相手のことを好きでありながら、別れを選んでおり、相反する感情が渦巻いているからだ。それらの感情はおそらくまだ“色褪せる”状態からほど遠いところにあるのだろう。

    つまり、胸の中にある花はまだドライフラワーにはなっていないのだ。後半の大サビでの“赤黄藍色”というフレーズで、歌の世界のイメージが鮮やかに変化していく。こうした映像的な表現も見事だ。

    そのひと言が持つ様々なニュアンスを巧みに表す、優里の歌声

    歌詞の世界を拡げているのはボーカルの表情の豊かさである。

    “大嫌いだよ”という言葉の中に“大好きだよ”という感情を詰め込めるところに優里というシンガーの素晴らしさがあり、微妙なニュアンス、裏腹なニュアンス、様々な要素を緻密かつ自在に表現しているのだ。

    ドラマの結末がどうなるかは観てのお楽しみとして、2曲の歌の結末はハッピーエンドではないようにみえる。「ドライフラワー」の女性も「かくれんぼ」の男性も切なさや痛みを抱えたままだ。

    それでもなお、いつの日か、彼女と彼はこの経験を糧として、成長していくに違いないと思わせてくれる浄化作用をこの2曲は備えている。そう感じたのは登場人物が切なさや痛みを向き合う姿が描かれているから。痛みと向き合うことこそが、きっと人を成長へと導いていく。時が過ぎ、色褪せたとしても、存在した証しは未来への糧となっていくだろう。ドライフラワーのように。

    シンガソングライター・優里に私たちが惹かれるわけ

    優里は痛みを生きるエネルギーへと変換することができるミュージシャンだと思うのだ。
    そして、そのエネルギーは「ドライフラワー」や「かくれんぼ」の中にも存在しているに違いない。

    切なく悲しい歌なのに、聴きたくなったり、歌いたくなったりするのは、これらの曲の中にみずみずしい生命力が宿っているからだろう。

    優里「かくれんぼ」「ドライフラワー」をもとにした、ドラマ『ドライフラワー -七月の部屋-』場面写真2


    作品情報

    Hulu独占配信
    ドラマ『ドライフラワー -七月の部屋-』
    08/13(金)第1話
    08/20(金)第2話・第3話
    https://www.hulu.jp/dried-flower-our-room-in-july

    ■キャスト
    坂東龍汰 北香那 / 大西礼芳 行平あい佳 松澤匠

    ■スタッフ
    監督:堀江貴大 脚本:狗飼恭子 主題歌:優里 音楽:フジモトヨシタカ
    プロデューサー:西原永二、田中美幸 ラインプロデューサー:原田文宏
    撮影:平野礼 照明:友田直孝 録音:益子宏明 美術:後藤レイコ
    編集:小原聡子 スタイリスト:望月恵 ヘアメイク:井川成子
    助監督:成瀬朋一 制作担当:青木啓二、相場貴和
    制作プロダクション:C&Iエンタテインメント
    製作著作:ソニー・ミュージックレーベルズ


    優里 OFFICIAL SITE
    https://www.yuuriweb.com/

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