THE F1RST TIMES

COLUMN

2021.09.14

EXIT、霜降り明星・粗品、ラランド・サーヤ…“お笑い芸人”にとらわれない、自由な音楽活動

TEXT BY 柚月裕実

■番組発から本格派まで。熱心な音楽活動を見せる、お笑い芸人

時代を振り返ってみると、ダウンタウンの浜田雅功と小室哲哉による音楽ユニット・H Jungle with tやとんねるず(コンビの他に野猿や矢島美容室などでも活動)、番組企画のヒッチハイク旅を終えた猿岩石、コント番組から誕生した架空のビジュアル系バンド・ピンクハレルヤがロックフェスに出演など…枚挙にいとまがないほど、お笑い芸人の音楽活動というのは親和性が高い。

その流れは“お笑い第7世代”と称される、若手芸人にも表れており、各々のカラーを存分に発揮している。

【ラランド・サーヤがCLR名義で参加】
美的計画「ピーナッツバターシークレット (feat.CLR)」

川谷絵音の作る楽曲を様々なボーカリストが歌うプロジェクト・美的計画に“CLR”名義で参加した、ラランド・サーヤは、YouTubeチャンネル『blackboard』にて「ピーナッツバターシークレット」を披露。

本動画冒頭、川谷は「こんなに歌が上手い人、なかなかいないんですよ」とサーヤの高い歌唱力を絶賛。

しっとりとしたR&Bナンバーである同曲を上品なハスキーボイスで情感たっぷりに歌い上げるサーヤに引き込まれる。

【霜降り明星・粗品“soshina”を設立】
「乱数調整のリバースシンデレラ feat. 彩宮すう(CV: 竹達彩奈)」

絶対音感の持ち主で、2歳からピアノ、13歳からギター、高校からはDTMに目覚めたという、霜降り明星の粗品は、2021年1月に自身のレーベル“soshina”を立ち上げると、「乱数調整のリバースシンデレラ feat. 彩宮すう(CV: 竹達彩奈)」を発表。

耳馴染み良いボカロサウンドはもちろん、歌詞とリンクした映像が楽しい。歌詞に数学が登場するたびに、画面右下に設置されたカウンターが回るのだが…粗品の巧みな仕かけにも注目してほしい。

【チャラ男・EXITが大真面目にアーティストデビュー】
EXIT『GENESIS』

先日、「なぁ人類」でアーティストデビューしたEXITが早くもミニアルバム『GENESIS』を発表。

明石家さんまとのコラボでも話題の「WHAT COLOR?(feat. 明石家さんま)」や不思議なワードチョイスで中毒性野高い「バナナナナバ」など、コミカルな一面を見せつつも彼らの芸風である“チャラ男”らしい(!?)EDMを盛り込んだおしゃれなサウンドとノリの良さで開放的な気分になる“バイブスいと上がりけり”な一作なのだが、それだけではない。

「なぁ人類」ではいじめやジェンダーなどといった私たちが直面する社会問題を題材に“声をあげろ”“抵抗しろ”と警鐘を鳴らし、「ONE CHANCE」は“何にもないまま終わる人生を 変えてみたくて”と、彼らの軌跡を投影したともとれる言葉を投げかけるなど、夢に対してまっすぐで、固定概念にとらわれない、熱血純粋なEXITを象徴するようなメッセージでリスナーの心を焚きつける。

特に「SUPER STAR」は人生讃歌として、誰もが自分自身の人生の主役であると声高らかに歌い、“僕らSUPER☆STAR”“自分主演ストーリーで問題ないです”と、どストレートなメッセージながら、まさに夢を追いかけているEXITが歌うからこその説得力もある。

そして、「踏み出せないでいる私は何を怖がっているんだろう?」「やりたいこと…やらないまま、やれないままでいいのかな?」とリスナーの恐怖心を自然と拭い去り、はじめの第一歩を踏み出す勇気を与えてくれる。

“EXIT”というコンビ名の由来について、りんたろー。がEXILE好きであるからというエピソードもあるが、もうひとつ、兼近大樹が「人々のつらいことの出口」「世間の人たちのストレスの出口になれば」との想いを込めたともいう。そんなコンビ名の成り立ちにも通ずる、聴いていて胸のつかえが取れるような、スーッとした清涼感があるのが『GENESIS』だ。

その発言や行動がネットニュースになるほど、注目を集めるEXITが音楽活動を始める意味──。そこには本人たちが楽しみながらも、“弱きを助け強きを挫く”といった意志もあるのかもしれない。

いうならば、EXITは模範的な真面目生徒ではないかもしれないが、“このクラスにいるやつは全員仲間でしょ!”と分け隔てなく全員と接することのできるムードメーカーのような存在だと思う。彼らがどこまで意図しているのかは、本人しか知り得ないところだが、彼らの“当たり前なこととして、誰にでも手を差し出せる優しさ”に救われる者も少なくないはず。そういった意味で、彼らは身近なヒーローのようでもある。

音楽、ファッション、美容、小説家…と、挑戦を続け、自ら可能性を広げていくEXIT。「PEN PEN PEN」の一節“始まったばっかだろプロローグ”“後悔しない時代を攻めていけ”と歌詞に込めたメッセージと彼ら自身がリンクしていく。

有言実行、始まったばかりと歌うEXITのこれからが楽しみだ。


リリース情報

2021.09.15 ON SALE
MINI ALBUM『GENESIS』


EXIT OFFICIAL MUSIC SITE
https://www.sonymusic.co.jp/artist/exit/