THE F1RST TIMES

COLUMN

2021.12.31

松下洸平が真似をし続けて気づいたこと。「ドラマチックでもなければ、格好のつくことばかりじゃない」

TEXT BY ジャガー

■“楽しい”が伝播する「オー・ハッピー・デイ」

2021年夏、松下洸平名義で1stシングル「つよがり」をリリース。12月にはミニアルバム『あなた』を発表した、松下洸平。様々な経験を重ね、世間の注目を集めるほどの成長を続ける、彼の音楽ルーツとは?

「映画『天使にラブ・ソングを2』が好きで、劇中で『オー・ハッピー・デイ』を聴いた時に歌いたい! って思ったんですよね。

高校生たちがゴスペルを通じて夢を切り拓く物語なんですけど、その姿が本当にキラッキラ輝いていて。特にこのシーンは楽しくて、“自分も歌えたらこんなに楽しいことができるんだ!”と思いました。

『オー・ハッピー・デイ』に出会っていなければ、僕は音楽を始めてなかったかもしれません」

自然と心と体がうずうずし、強い衝動にかられたのだと語る。

それ以前も音楽は好きで、よく友人と好きな音楽を共有したそうだが「オー・ハッピー・デイ」は、まだ何者でもない松下少年に大きな夢を与え、人生の節目ごとに背中を押す存在となっていく。

■思い出と曲が結びつく“音楽の力”をまともに食らった「サヨナラCOLOR」

また、友人のすすめで聴いたSUPER BUTTER DOG「サヨナラCOLOR」も松下洸平を語るうえでは外せない一曲として挙げている。

「当時16~17歳ぐらいの若かりし経験で、そこまで歌詞を深く理解できていたわけではないですけど(苦笑)。それでも、(この曲と)自分の人生が勝手に結びついて“自分が思っていることを代弁してくれた!”って感じられたんですね。

こういう音楽の力をまともに食らったのは『サヨナラCOLOR』が初めてだったのですごく記憶に残っています。

それ以降、永積タカシさん(現:ハナレグミ)が作る楽曲に、その時々の自分を重ねて…ある時は恋愛、ある時は人生観や些細な日常が歌とセットになっていました。

なので、永積さんの曲を聴くと、あの頃の自分が思い出されますね。住んでた街、一緒にいた仲間の顔やその場面場面の匂いまでが思い出されるので、それは音楽の素晴らしさだと思いますし、自分もそういう音楽を作っていきたいです」

■己がわからない、そんな自分をも肯定してくれた「ばらばら」

楽しいことがしたい、誰かの人生と強く結びつく音楽を生み出したい…音楽や芝居、バラエティ等、どんなことでも積極的に挑戦できるのが松下洸平の魅力のひとつだと思っていたが、本人としてはそんな自分自身をどう受け止めていいのかわからなかった時期もあったという。

「音楽でいうと、元々のルーツはソウルやヒップホップなんですけど、ハナレグミやクラムボンにも惹かれましたし、本当に好みがバラバラ。いろんなことに興味がありすぎて(苦笑)。

あまりに自分自身が見えなかったので悩むこともあり…その時に星野源さんの『ばらばら』で救われました。肯定してくれた感覚というか、そういう自分を。

“世界はひとつじゃない”って。勝手に自分の人生の主題歌にしてましたね(笑)」

■僕はごくごく普通の人間。それを表現する覚悟がようやくできた

松下は、その時々のマインドに合わせた“人生の主題歌”を設定しては自身を鼓舞してきた。その言葉、その音に刺激を受け、創作活動に励んだ。そんななかで、経験を重ねるにつれておぼろげながらわかってきたこと。

「どれだけ魅力的に見えても、誰かの人生をなぞるように生きたって、当てはまるものなんてほとんどなくて。

僕自身、20代は芝居や音楽、日常生活において魅力的に見えた誰かの“真似”をしてきたものの…自分の型っていうのは世界にひとつしかないから、真似して着飾っても、どこかハマりが悪くて。しっくりこなかったんですよね」

自分は何者か──。ずっと自問自答を続けてきた、松下洸平。トライアンドエラーを積み重ねたことで見えてきた“型”とは?

「僕はごくごく普通の人間だ、ということですね。ドラマチックでもなければ、格好のつくことばかりじゃない、非常に素朴な人生なんだっていうこと。それを表現することの覚悟がようやくできたように思います。

自分にないことをやっても、首を締めるだけなので(笑)、松下洸平のままでいいんだなって。肩の力が抜けたからか、今回発表した『あなた』はすごく自然に今伝えたいポジティブなメッセージを歌うことができたように思います。

“自分”というかなりピントを絞ったテーマの『旅路』も、状況がわかりやすいからこそ誰かの背中を押せるかもしれないなと」

松下洸平のままで歌う、その覚悟ができたからこそ生まれた曲として「FLY&FLOW」がある。同曲は、ライブで観客と楽しむことを想定しつつ、ドラマを支える若手の現場スタッフへの感謝と思いから歌詞を書き進めたという。

「過酷な仕事だと思いますが、何か大きな夢を抱いて、それを叶えるために一生懸命動いているスタッフさんを見て、自分の道を信じて突き進んでほしいな、と勝手に(笑)。

自分のやりたいことと、でもうまくいかないたくさんの要因…理不尽なことも、悔しいけど今は実力不足でできないとか、全部ひっくるめて後悔してほしくないなって。

僕自身も突っ走るしかないなと思って進んできた結果が今なので、その原動力のひとつになってくれたらうれしいです」

どんな経験もすべて自分の糧にして、一歩ずつ自分の歩みで夢を実現してきた松下洸平だからこそ歌えること。その言葉は夢と現実の狭間で揺れ動く“まさに頑張っている最中”の人々の心に響くことだろう。

多忙だが、夢を叶えていく毎日がうれしいようで、最後にこんなことを語っている。

「アルバム制作は本当に大変でした! でも…好きなんですよね(笑)。

以前の音楽活動では、自分の思ったとおりの結果を出せなかったのもあるので、止まった時間をようやく取り戻しているような感覚です。それは芝居でもそうなんですけど。

舞台を中心に10年ぐらい俳優活動を続けていて、今はテレビに出させてもらえるようになったので、芝居も音楽も、ずっと夢見ていたことをこれからどんどん形にしていきたいですね」


リリース情報

2021.12.22 ON SALE
MINI ALBUM『あなた』


ライブ情報

KOUHEI MATSUSHITA LIVE TOUR 2022 ~CANVAS~
01/08(土)宮城・仙台PIT
01/09(日)宮城・仙台PIT
01/15(土)愛知・名古屋市公会堂
01/16(日)大阪・オリックス劇場
01/19(水)東京・中野サンプラザホール
01/20(木)東京・中野サンプラザホール

https://www.kouheiweb.com/kouhei-matsushita-live-tour-2022/


プロフィール

松下洸平

マツシタコウヘイ/1987年3月6日。2008年に「STAND UP!」(洸平名義) でCDデビュー。2009年にミュージカルで初舞台を踏んで以降、俳優として舞台や映像で活躍。2021年8月25日、松下洸平名義で1stシングル「つよがり」をリリース。

松下洸平 OFFICIAL SITE
https://www.kouheiweb.com/