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    2022.01.07

    Omoinotakeとアンサンブルの繊細な調和。『With ensemble』で見つけたあらたな色

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    Omoinotakeとアンサンブルの繊細な調和。『With ensemble』で見つけたあらたな色
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    TEXT BY 原 典子

    ■葛藤と試行錯誤を重ねた9年間

    藤井レオ(Vo、Key)、福島智朗/エモアキ(Ba、cho)、冨田洋之進/ドラゲ(Dr、Cho)からなる、ギターレス編成のトリオバンド・Omoinotake。TVアニメ『ブルーピリオド』のオープニングテーマとして書き下ろした「EVERBLUE」を含む同名EPで、2021年11月にメジャーデビューを果たした。

    『ブルーピリオド』は、高校生・矢口八虎が絵画の魅力に目覚め、美大の最難関である東京藝術大学合格を目指す青春物語。Omoinotakeは原作コミックを読むところから曲のイメージを膨らませていったとのことだが、「EVERBLUE」は『ブルーピリオド』を感じると同時に、Omoinotakeとも重なる部分が多い。

    というのも、Omoinotakeは中学の同級生で結成したバンドで、渋谷を中心にストリートライブを重ねてきた。街角に立ち、自分たちのことをまったく知らない人々が行き交う雑踏に向かって歌う、ゼロからのスタート…ミュージシャンとして生きていけるのか、そもそも自分には音楽の才能があるのか、何度も自問自答し、時に諦めそうになりながらも、ただひたすら“好きだから”続けてきた音楽。そんな彼らだからこそ、音楽と美術という違いはあるにせよ、好きなものをただまっすぐに追いかける主人公の矢口八虎に感情移入したのではないかと想像がつく。

    ブラックミュージックやシティポップなど、あらゆる音楽の要素を吸収し、試行錯誤しながらメジャーデビューまでの9年間を過ごしてきた、Omoinotake。

    そういった意味で、「EVERBLUE」は彼らのこれまでの活動が結実した集大成であると同時に、多くの人気アーティストを手がける蔦谷好位置のアレンジ、プロデュースによってあらたな扉が開かれた一曲であるとも言える。

    ■『With ensemble』であらたな色を帯びた「EVERBLUE」

    夢に向かってひた走る青春を描いた「EVERBLUE」は、なんといっても疾走感が命の楽曲だ。ディスコビートのようなドラムとファンキーなスラップベース、その間を高速で刻むピアノがリズムを前へ前へと推し進めていく。それだけに、このたびの『With ensemble』でクラシカルなストリングスと出会った時、この曲の持つ疾走感がどうなるのかが気になるポイントだった。

    そして、完成された『With ensemble』を観て、「なるほど、こうきたか」と思った。多少ゆったりしたテンポになってはいるものの、ピアノは原曲とほぼ同様に細かく刻み続けており、楽曲自体の持つ疾走感は少しも失われていない。ここでは原曲の熱量をそのままにアレンジすることに成功しているのだ。

    とはいえ、クラシックの楽器とバンドの楽器では音量からしてまったく異なる。ここではドラムがカホン(箱のような形の打楽器)などのパーカッションに変わっており、エレキベースも抑えた音量でプレイしている。こうした普段と異なる音響環境でバランスをとるのはバンドにとって至難の技だが、そこはストリートで鍛えられた3人の“現場力”が発揮されたのだろう。まったく違和感なくアンサンブルと溶け合っている。

    ピアノという楽器の大きな特徴は、音が減衰(出た音が次第に弱くなっていく)することにある。それがエレキギターやシンセサイザーとの最大の違いであり、ピアノでポップスを演奏する難しさはそこにある。この楽曲では、ピアノがリズムを刻んでグルーヴを生み出す、どちらかというと打楽器的な役割を担っていると言える。

    それに対して、メロディを担っているのは声とストリングスである。どこまでも伸びていくような藤井レオのボーカルが、ストリングスの息の長い響きと一体となってハーモニーを奏でる。ストリングスがまるで人間の声によるコーラスのように歌を支え、ときに異なるメロディを歌いながらも、つかず離れず寄り添っている。この両者が生み出す音色とハーモニーが、いつまでも聴いていたくなるほど心地いい。

    ストリングスによるサビ前のキメなども、高揚感とキレがある。クラシックの楽器でも近年は幅広いフィールドで活躍するプレイヤーが増えてきたが、ここでヴァイオリン・ソロを弾いている石井智大もジャズのライヴハウスなどで活躍する存在。切り込むようにアグレッシブなソロが印象的だ。

    思えばストリングス・アンサンブルを奏でる彼らもまた、ひたむきな研鑽を重ね、音大という狭き門をくぐってきたプレイヤーたち。ブルー一色だった「EVERBLUE」というカンバスに、カラフルな絵の具が塗り重ねられていくような『With ensemble』であった。


    Omoinotake OFFICIAL SITE
    https://omoinotake.com/

    『With ensemble』
    https://www.youtube.com/c/Withensemble

    『THE FIRST TIMES』OFFICIAL YouTube
    https://www.youtube.com/channel/UCmm95wqa5BDKdpiXHUL1W6Q

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