THE F1RST TIMES

COLUMN

2022.06.21

緑黄色社会が「キャラクター」を深堀り-『FUKA/BORI』SIDE A 全編書き起こし

FUKA/BORI
【DIG / 07】緑黄色社会
SIDE A「キャラクター」

東京スカパラダイスオーケストラ・谷中 敦がホストを務める、音楽を嗜好品のように味わう、最深音楽コンテンツ『FUKA/BORI』(フカボリ)。

第7回には、緑黄色社会から長屋晴子(Vo、Gu)と小林壱誓(Gu)が登場。自身の楽曲について語るSIDE Aでは、作詞を担った長屋・小林が「キャラクター」について深掘り。

結成10周年を迎える緑黄色社会だから提示できたという「キャラクター」にこめたメッセージとは?

■0:00 ようこそ、最深の音楽へ

谷中:『FUKA/BORI』へようこそ!

長屋・小林:失礼します!

谷中:よろしくお願いします。楽しみにしてました。

長屋:こちらこそよろしくお願いします。

谷中:本当に素敵な2人で緊張しますけど。

長屋:ありがとうございます。

谷中:ほぼ今回初対面なのでたくさんお話を聞かせてください。

長屋:はい!

小林:よろしくお願いします。

谷中:よろしくお願いします。それではお座りください。

■0:56 緑黄色社会のターニングポイントになった曲「キャラクター」

小林:バンドとしてのターニングポイントってたぶんいろんな曲であったんですけど、「キャラクター」は未来に向けた期待も込めていて。期待っていうか自分たちのやりたいことみたいなのを積極的にアプローチしていく上で、すごい大切に曲になったんじゃないかなと。

長屋:まずアルバムを作るぞっていう話があったときに、1曲全員で作りたいねって。アルバムの中で1曲は今後そういう曲をやっていきたいっていう話があって、バンドを組んだ頃は全員で作るってことを結構積極的にしていたんですけど、そこからしなくなったんですよね。

各々で曲を書いてみようっていう期間が結構長くあったんですよ。その後に「Mela!」っていう曲があるんですけど、その曲ですごく久しぶりに全員で作ってみようって作った曲だったんですよ。やっぱその作り方がすごく自分たち的にも新しい発見があって楽しかった、自分たち的にも良い掴みがあった気がしたので、もう一度トライしようっていうふうにして作った曲なんですけど。

その曲をどういう曲にするかっていう話し合いをしたんですよね。ちょっとダンサブルなんだけど大人っぽい曲調にしたい、ノリがいいんだけど説得力のある曲調入れたいよねっていうほんと曲調から決まりましたね、最初は。そこにうちのpeppeと穴見が曲を作ってくれて、スタジオに2人で入って一緒にセッションみたいな感じでしながら作ったみたいで。

小林:上がってきてたデモも何回もサビはこうとかメロディやり直したりとかして、結構時間はかかってました。

長屋:そうだね。それを聴いて歌詞をどうするか、そこから考えました。

長屋:最初は全然違うテーマで。

谷中:そうなんですね。

長屋:書こうとしたんですけど。

谷中:そうなんですか。それも知りたいな。

小林:タイムスリップとか。

谷中:いいですね。

長屋:トラベル系とか。

小林:分かりやすくそういうテーマがあったほうがいいよねって話はしていて。どういうテーマにするかというディスカッションを何回もして、その上で僕がプロットを1回書いてみたりとかしたんですけど、なかなかしっくりこなくて。結局これって『Actor』ってアルバムを作るのであれば、『Actor』をもうちょっと助けてあげるような曲にするというか。『Actor』の理解をもうちょっと深めるような楽曲にしたらみんな納得いくんじゃない? っていうので、僕がプロットを書き直したって感じです。

谷中:作詞が長屋さんと小林さんで、作曲が穴見さんとpeppeさんなんですけど、これは自然にそういうふうになっていったんですか?

長屋:これが前回の「Mela!」っていう曲で久しぶりに4人で作ったんですけど、その構成…構成っていうか組み合わせと一緒なんですよ。

小林:たまたま穴見とpeppeで書いた曲があって、2人で。

長屋:そっか、そっか。メロディがね。

小林:メロディがあって、この曲を進めるにあたって、歌詞は長屋か壱誓どっちか書こうかみたいな。でもせっかくだから、みんなの名前がクレジットされるのがすごいいいんじゃないと。

谷中:「Mela!」のときの必勝パターンがあるから、そのパターンでやってみようっていうこともあるんですね。

長屋:前回を超えるために同じ組み合わせでやってみようみたいな。

■5:21 2人の歌詞の紡ぎ方

長屋:それまでって自分の悩みだったりとかを吐露するような、愚痴を吐くように同じ目線で一緒に頑張ろうっていう歌詞を書くことが多かったんですけど。今回の「キャラクター」は、その先に行けたというか。ちょっとついてきてねっていうぐらい、そういう説得力のある曲をいつか作りたいって話をしていて、年齢的にも自分たちの経験的にも、そろそろなんじゃないかっていうこともあって挑戦しましたね。

谷中:それ変わっていきますもんね、やっぱり。年齢的とともにでもそうだし。

長屋:そうですね。今年で10周年になるんですけど。今ならこういうこと言える。経験がないと、同じことを言っていたとしてもうまく伝わらなかったりとか。間違ったほうに伝わってしまったりだとかあると思うんですよね。

小林:こんなこと言っていますけど、本人めちゃめちゃ自信ないんですよ。

谷中:(笑)。そうなんですか?

長屋:めちゃくちゃ自信ないです。

小林:自信あるように見えるじゃないですか。歌も上手だし、いい曲書くし。

谷中:そうですね。素晴らしいですよ。

小林:でも、何か僕も分かんないんですよ。何で自信ないのか。

長屋:何ですかね。すごく人と比べてしまうことが多くて。そういうことをテーマにした曲でもあるんですけど、この「キャラクター」は。自分がそうだからこそ、そういう言葉欲しい人ってたくさんいるんじゃないかなと。比べなくていいよみたいなテーマの曲。私が自分もその悩みもあるけど、自分が手を引っ張ってあげる立場でそういうこと言いたいなと思って書きましたね。

谷中:それ作るときは「キャラクター」の曲全体の歌詞ができた状態で見せ合ってるんですか?

長屋:最初は断片でもあるんですけど…。

小林:最初は長屋がワンコーラス書いてくれたんです。

谷中:そうなんだ。そっからなんだ。

長屋:自分だけだと広げられず…。助けてって。

小林:もともとは僕がプロットを書いて、長屋がそれを具体的に歌詞に全てするっていうことだったんですよ。でも長屋がなかなか時間内に終わりそうになくて、僕も書いてみるわっていうことで。2人とも結局フルを1回書いたぐらいな。もともと長屋が書いてくれてたサビの“誰だってneed youだ”っていうフレーズだとかはそのまんまもちろん生かしだったんですけど、そこを生かしたうえで他をどう味付けしていくかみたいなのはもう1回考え直して。

長屋:結構難航しましたね。歌入れの直前までやってました。

谷中:直前ってどれぐらいですか?

長屋:ほんとにもう…。

谷中:当日?

長屋:当日「最終的にこれはここでいくけどいい?」みたいな。「こっちのパターンもあるけどこっちでいいよね」みたいなのはしました。

小林:まずこっちで歌ってみようかみたいな。

谷中:小林さんが書いた部分の歌詞がもうちょっと歌いやすくしたいのとか長屋さんがおっしゃる場合とかもあるんですか。

小林:どちらかと言ったらメッセージのことのほうが多いですかね。

谷中:内容重視で。

小林:歌いやすさは僕も歌詞書く上で結構考えてはいるんで、そこまで言われたことないんですけど。こういうメッセージ、この言葉を使うと間違ったふうに捉えられちゃうかもしれないみたいなことで書き直しというか、そこだけ変えたいみたいなのはよくあります。

谷中:逆に挑戦的にいろいろ小林さんが書いたものが面白いかもしれないですね。

長屋:でも、やってくるんですよ。

谷中:やってくるんですね(笑)。

長屋:やってくるんですよ。「これ長屋に歌わせたいんだよね」って言って。普段歌わないような言葉遣いだったりとかはめ方だったりっていうのを、うちの小林と穴見はそういうことしてきますね。曲作りにしても。

谷中:それは挑戦が来たっていう。

長屋:でも、それも楽しいんで。

小林:違和感があったほうがいいなと思ってて。なんか「え?」って1回なっちゃうような。聴き流してても「今何て言った?」みたいな瞬間があったほうがいいなと思って。

谷中:男性目線、女性目線じゃないですけど、ジェンダー観も全然感じないような歌詞が多いような気がするんですけど。

長屋:特にこうやって全員で作る曲とかはそういう曲が多いですかね。ただでも、それぞれで作る曲とかはあえて女性目線だったりとか男性目線だったりっていうものもあるので、そういう意味ではこの編成、男女混合の編成っていう私たちならではなのかなと。

■9:35 バンドにとっての意味

小林:バンドとしてこの曲を出したっていうことにすごい意味があって。例えば「キャラクター」。この楽曲構成がめちゃくちゃ難しいんですよ、よく聴くと。サビとかはキャッチーですごい覚えやすいと思うんですけど、1番以降2番からの展開とかも、あれ? このメロディ初めて来たぞみたいなのが結構出て来たりとか。そういう展開の多さみたいなのって僕たちが今後やっていきたい音楽ってとこに結構直結していて。

だから、ライブとかもミュージカル的なことをやっていきたいよね、みたいな話していたり。例えばダンサーさんが入るとか、何かもしかしたらセリフが入るとか、そういう面白いこともいろいろやっていきたいねって。何にも決まってはないですけど、考えてるんで。そういうシーンに僕らが旅立つときにこういう楽曲があったら合うよねみたいな、そういう1曲ができたかなと。

谷中:音楽的なチャレンジもすごいあるわけですね。

長屋:そうですね。

谷中:ミュージカルお好きなんですもんね。

長屋:私たちのバンドの世界観にはない、自由さだったりとか、表現の幅だったりっていうのはすごく刺激を受けるところがやっぱ多いので。ずっと言ってましたね、バンドを組んだ頃から自分たちはそういうのが似合うんじゃないかとか。みんな結構、しかも歌も歌えるんですよ。コーラスも結構みんな積極的にしたりとかしてるので、何かそういうパートを増やせたらいいなとか。

小林:実はこの「キャラクター」、ライブだとちょっとみんなで踊ったりもしてるんですよ。軽いステップなんですけど。そういう遊びも入れてたりして。

長屋:うちのギター壱誓とベースの穴見が、ずっとちっちゃい頃からダンスをやってた2人なので。

小林:親2人が中学校からの友だちっていうので、僕の母親がジャズダンス教室を今経営してて。真吾の母親はクラシックバレエの教室をやってるんですよ。そのつながりでお互いのスタジオに遊びに行ったりとかも結構してて。

長屋:で、幼馴染。

小林:楽器よりもダンスのほうが全然歴が長いっていう。

谷中:ほんとですか。今踊ってもらってもいいですか(笑)。

小林:そんな、すぐに見せられるようなもんじゃないですけど。

長屋:こういうのがあるので、やっぱり2人の魅力を今後出したいなと思っててそういう曲作りたいなって話をしてました。

谷中:『THE FIRST TAKE』のほうではね、全然違うアレンジで。でもすてきでしたね。

長屋:ありがとうございます。

長屋:初めての編成で。今回、私とキーボードのpeppeとベースの穴見で3人でやったんですけど。

谷中:あれ? 小林さんは?(笑)

長屋:そうなんですよ。彼以外でやったんですけど(笑)。

長屋:私たちにとって『THE FIRST TAKE』って結構挑戦の場だと思ってて。

谷中:緊張しますか、あれはやっぱり。

長屋:しますよ。

谷中:そうですよね。

長屋:私いつも緊張しちゃうって言ってるから言わないようにしようと思って。緊張っていうワードを出さないようにしました、今回。

谷中:自分で言っちゃうとね。それに囚われちゃいますもんね。

長屋:そう。そうなんですよね。楽しかったですね、新しいアレンジで。

谷中:でもその緊張感がまたいいんでしょうね、でもね。

長屋:そうなんですよね。

小林:穴見がちょっとベース失敗してるのもそのまんま流れちゃってるんです。

谷中:失敗した顔ちゃんとしてるのかわいいですよね。でも、全然失敗に見えないですよ。逆にかわいいなと思って(笑)。

長屋:ほんとああいうリアルなのがいいですよね。

谷中:小林さん、その場にいらっしゃったんですか?

小林:いました。

谷中:ああ、いらっしゃったんですね。

小林:いいなと思いました(笑)。

長屋:あ、いいなと思いました?

小林:「キャラクター」も結構コーラスとかも原曲ではちゃんとあったりするので、コーラスしたいなぁって思いながら(笑)。

■13:54 リスナーへの責任

長屋:最初は、出す前すごく不安だったんですよ。最初にメッセージの内容を今まで同じ目線でやってきたところを手を引っ張るような、自分たちが先に行ってて、応援するような曲にしたいっていうので。壱誓もすごく言ってたんですけど、無責任にそういう言葉を使いたくないんだっていうことを言ってて。

確かにそれも分かるんですよ。間違った方向に捉えられてしまったりとか、すごい綺麗事のように捉えられてしまったりとかっていうこともあると思うんですよね。だから、ほんとに自分たちの思うメッセージとして真っすぐ届くかなって不安だったんですけど、リリースしてみてやっぱり同じように迷ってる人たちがこんなにもいるんだなってまずすごく思ったというか。そういう人たちが救われましたとか、頑張ろうと思いましたみたいなコメントをくださって、ほんとに心から書いてよかった、作ってよかったっていう気持ちになりました。

谷中:リアルに響いてるのを感じるってうれしいですよね。

長屋:ほんとに曲ってリリースしてみないと分からないじゃないですか。スタッフとかメンバー間では共有できて自分たちではいいと思ってるものがどう伝わるんだろう、みたいな。曲を作ってるときからすごい時間かかりますよね、リリースするまでって。そのドキドキの期間がすごい長かったりもするから…不安でしたけど、よかったです。

小林:さっきの責任みたいな話で言うと、たぶんリリース後ですら、僕と長屋の解釈若干違うんですよ。僕はある程度無責任にならないと書けなかったんですよね。一部にはもちろん責任を持ってるんですけど、これを放った先で何か起こる反応っていうのは全部は責任負えませんよと思っちゃったんですよ。この曲を聴いたことによって逆に嫌な気持ちになる人もいるだろうし。実際にそういう意見を聞かされたってわけじゃないですけど、ある程度無責任じゃないと書けない部分もあって。なぜなら、自分自身がちゃんとそれができてないからというか。そういう大きな気持ちで言葉は書いてるんですけど、自分のなりたい自分を書いてるみたいな部分もあったりして。みんながみんな理想に追いつけないことに苦しまないかなみたいな。

谷中:壱誓さんが無責任っておっしゃられてるけど、逆に誠実ですね。その発言はね。届いたときにどう変化するかもそれは一つの楽しみですよね。

長屋:そうですね。

谷中:どういう立ち位置の曲にこれからなりそうですか? 緑黄色社会の中で。

長屋:希望を与えるような曲になっていってほしいなと思いますね。ただ楽しい曲じゃない。もちろんつかみとしては何か明るい曲だなとか、元気が出る曲だなっていうところで入ってほしいんですけど、ちゃんと言葉として、メッセージとして、中身が届く曲であってほしいなと思いますね。自分ってこう…どうしても一生向き合っていく存在じゃないですか。

一番長く付き合っていく存在だと思うんですけど。自分を好きになるって簡単なようですごく難しいテーマだと思ってて。だけど、そういう難しいテーマが、みんな長い間生きていく中で完璧にクリアできるまでとはいかないですけど、ちょっといいヒントになったらいいなっていう。何かそういう支えになるような曲であったらいいなと思います。


『FUKA/BORI』
第7回 緑黄色社会

SIDE A:「キャラクター」

6/28 22:00 公開予定
SIDE B:緑黄色社会が影響を受けた楽曲を深掘り

『FUKA/BORI』
https://www.youtube.com/playlist?list=PLi1F8vriz0_WL3yKBwFfP68Mkx7f8Y4KV


『THE FIRST TIMES』OFFICIAL YouTube
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緑黄色社会 OFFICIAL SITE
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谷中 敦 OFFICIAL Twitter
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