■スポーツ、食、紅葉、音楽…秋で思い浮かべるものは?
すべてが生き生きと見えた眩しい夏から、陽の光も柔らかくなり、夕暮れ時に聴こえる虫の音に寂しさや切なさを感じる秋へ。そんな季節の移り変わりと共に、音楽も少しスローなテンポだったり、じっくり聴き込むような曲を聴きたくなるのではないだろうか。
今回はそんな秋の気分にぴったりな、秋の歌、題して“秋うた”20曲を紹介する。
■秋に聴きたい“秋の歌”20曲
01.「ツキヨミ」King & Prince
02.「Dear」Mrs. GREEN APPLE
03.「10月無口な君を忘れる」あらたよ
04.「夏の終わり」森山直太朗
05.「セプテンバーさん」RADWIMPS
06.「十五夜」&TEAM
07.「真っ赤な空を見ただろうか」BUMP OF CHICKEN
08.「茜色の夕日」フジファブリック
09.「夜永唄」神はサイコロを振らない
10.「バラード」ケツメイシ
11.「今宵の月のように」エレファントカシマシ
12.「メイプル」大森元貴
13.「夜撫でるメノウ」Ayase feat.初音ミク
14.「楓」スピッツ
15.「三日月」絢香
16.「ハッピーエンド」back number
17.「晩餐歌」tuki.
18.「サザンカ」SEKAI NO OWARI
19.「今夜このまま」あいみょん
20.「斜陽」ヨルシカ
【THE FIRST TIMES PLAY LIST】
https://tftimes.lnk.to/jrUFTSRPT1
「ツキヨミ」King & Prince
平野紫耀主演のTBS系ドラマ『クロサギ』主題歌。“嘘”をテーマにしたこの楽曲では、月に照らされる孤独や、愛に潜む寂しさが、彼らには珍しいラテン調のサウンドに乗せてドラマティックに歌い上げられている。
MVでは、満月に照らされたメンバーたちの切なさと色気を帯びた表情、そして息の合ったダンスが、秋を思わせるダークトーンの深みのある色合いで映し出されている。肌寒さが増す季節にぴったりな、心をしっとりと濡らす一曲。
「Dear」Mrs. GREEN APPLE
娘の命を救いたい一心で人工心臓の開発を始め、バルーンカテーテルを生み出した実話をもとに描かれた、大泉洋主演の映画『ディア・ファミリー』主題歌。清涼感とスケール感あるサウンドは、秋の澄み渡った高い空によく似合う。
挑戦をする人へ向けて綴られた手紙のような歌詞は、変わらぬ深い愛情と、そっと寄り添う優しさに満ちている。夏の喧騒が過ぎ去り、少しの寂しさや不安が心に入り込む季節に、そっと背中を押してくれる。
「10月無口な君を忘れる」あらたよ
胸に刺さるような別れのセリフから始まるイントロが印象的な、あたらよ初のオリジナル曲。切ない歌詞とギターの音色がぴったりと重なり合うこの楽曲は、1stアルバム『極夜において月は語らず』に収録されている。
幸せだった日々と別れの痛みが交錯する心の中を映し出すように、ループ感のあるサビのメロディと感情を載せた歌唱が耳に残る。涙を滲ませ10月の街を歩く情景が、リアルに目の前に浮かび上がる。
「夏の終わり」森山直太朗
デビュー翌年、2003年に3rdシングルとしてリリースされた「夏の終わり」。一聴すると、離れたところにいる恋人へのラブソングに聴こえるが、実は反戦歌として書かれたという同曲。
2016年にはベストアルバムの発売に合わせて、再度レコーディングをするなど、森山直太朗にとっても思い入れ深い曲のようだ。
夏の終わりに、世界で戦火が上がる今、この曲を聴くと、改めて歌に込められた平和への祈りを強く願わずにはいられない。
「セプテンバーさん」RADWIMPS
RADWIMPSのメジャーデビューアルバム『RADWIMPS3 ~無人島に持っていき忘れた一枚~』収録曲。
彼らがメジャーデビューを発表した、神奈川・横浜BLITZでの初のワンマンライブの開催日“9月3日”にちなんでつけられた名前と言われており、ファンにとっても大切な一曲だ。
夏が終わり、秋へと繋がっていく入口の9月(セプテンバー)。カレンダーをめくり、この曲がトレンドに入ると、“いよいよ夏が終わるなぁ…”という気持ちになる。
「十五夜」&TEAM
9人組ボーイズグループ&TEAM(エンティーム)が春夏秋冬を通じて結束する少年たちの物語の“秋”を飾る曲。
メロウなサウンドに、 “他の誰かじゃなくてあなたとじゃなきゃダメ”というストレートな歌詞を届ける優しいボーカルワークが心地良い。「かわいい曲なのにどこか泣きたくなる」という声も。十五夜の満月と、メンバーをイメージした9匹のうさぎが登場するかわいらしいアニメーションMVにも注目だ。
「真っ赤な空を見ただろうか」BUMP OF CHICKEN
秋の夕焼けには、人の心を揺さぶる美しさがある。藤原基央(Vo&G)はスランプで曲が書けず、気分転換にと玄関を出たその瞬間、“ものすごい夕焼け”に出迎えられ、一気にこの曲を書きあげたという。2006年にリリースのシングル「涙のふるさと」のカップリング曲。
日が暮れる時間が少しずつ早くなっていく秋。“僕の好きな微笑みを 重ねて浮かべた夕焼け空”というフレーズに、あなたが思い浮かべるのは、誰の笑顔だろうか。
「茜色の夕日」フジファブリック
つぶやくように紡がれる歌声が印象的な、2005年リリースフジファブリックの通算6枚目のシングル。
秋の夕暮れに漂う寂寥感を映し出すような、揺らぎを帯びたシンセの音色と儚げなボーカルが、どこか切なく、胸に沁み入る。夕焼け空を眺めながら思い出したできごとや、“君”への想いを綴った歌詞は、聴く人それぞれの記憶を静かに呼び起こす。今年も茜色に染まる空の下で、しみじみと聴き返したくなる。
「夜永唄」神はサイコロを振らない
秋の終わりに自分のもとを去っていった恋人への想いを歌った、2019年リリースのミニアルバム『ラムダに対する見解』収録曲。TikTokで多くの人がカバーして話題になり、彼らのブレイクのきっかけとなった曲でもある。
ボーカルで作詞・作曲を担当する柳田は、歌詞には自分の記憶を綴っていることが多いというが、彼の記憶の中の“その人”にむけて歌っていることが伝わる情感に満ちた声が印象的だ。
その声が、誰もが心のどこかに眠っている“切なさ”と結びつくのだろう。秋の静かな夜にひとりで味わいたい。
「バラード」ケツメイシ
どうしても叶うことのない恋。そんな“道ならぬ恋”を連想させる歌詞は、恋の痛みから始まり、消せぬ想いを抱いたまま迎える別れまでを描く。別れを意識しながら最後の旅行をするふたりを描いた、まるで短編映画のようなMVも印象的だ。
2011年のリリースから、Youtube再生数を伸ばし続けている、ロングヒット曲。秋の冷たい風に吹かれてふと蘇るぬくもりや、切なくも愛おしい想いを優しく包み込む。
「今宵の月のように」エレファントカシマシ
フジテレビ系ドラマ『月の輝く夜だから』主題歌。2024年には、へアケアブランド『メリット』のCMで、子どもが歌うバージョンが話題に。1997年のリリースから今なお色褪せない、エレファントカシマシの代表曲の一つ。
ボーカルの宮本浩次がギターを弾き語りが心に残るMVには、「辛いとき、この曲を聴いてなんとか頑張れる」というコメントも数多く寄せられている。秋の夜、少し気持ちが沈んでしまうときにも、不器用ながらあたたかいその歌声が、そっと寄り添い力をくれる。
「メイプル」大森元貴
大森元貴のソロ2ndデジタルEP『Midnight』収録曲。ABEMAプレミアム『明日も好きでいて、いいですか?』シーズン2主題歌。ぷらそにかのメンバーだった元松美紅をゲストに迎えた、デュエットソング。
好きだからこそ生まれる不安と、それでもお互いを思う気持ちがまっすぐに伝わる歌詞。そして、語りかけるように優しく重なるふたりの歌声が、肌寒さを感じ始める秋の日々に、そっと心をあたためてくれる。
「夜撫でるメノウ」Ayase feat.初音ミク
初音ミクによるボーカロイド楽曲を、投稿から1年後にAyaseがセルフカバー。終電を気にせずに過ごしていたふたりが、終電前の“ありがとね”というひと言で別れを迎える。そんな、恋の終わりの一瞬を切なく描いた楽曲。
Ayaseのメロウなボーカルと、硬質で冷たさを帯びたサウンドが絡み合い、秋から冬へと向かう空気にぴったり。“またこの曲に合う季節が来た”と、季節の風物詩のように聴き返すファンが多いのも頷ける。
「楓」スピッツ
1998年にリリースされたスピッツの19枚目、「スピカ」との両A面シングル曲。最近ではadieu(上白石萌歌)がカバーしたことでも話題に。発売から20年以上経ってもまったく色褪せることのない名曲だ。
ノスタルジックなサウンドと、少し不穏ささえ感じさせる草野マサムネのエモーショナルな歌声が、秋の少し肌寒い曇り空の日に聴くと、驚くほどぴったりくる。
「三日月」絢香
秋といえば、中秋の名月。月と聞いてすぐに思い出すのが、絢香のデビュー4作目のシングルにして代表曲のひとつ「三日月」だろう。
彼女が大阪から歌手デビューのために上京することになり、家族や友人たちと離れる淋しさを埋めるように書いたこの曲は、彼女の透明感と同時に力強さも持つ歌声が、歌詞にこめられた想いを引き立たせる。秋の持つ硬質な空気と呼応するようで、繰り返し聴きたくなる。
「ハッピーエンド」back number
映画『僕は明日、昨日のきみとデートする』の主題歌で、2016年11月リリースした秋に似合う切ないバラード。相手の“ハッピーエンド”のために、自分の気持ちを胸に閉じ込めて“さよなら”をする主人公に共感し、涙した人も多いのではないだろうか。
MVでは、半袖を着て楽しそうにしていた笑顔の主人公が、長袖に切り替わる頃から切ない表情を浮かべ始める。最後のシーンでは主人公の夏の場面で終わるのだが、そこが夏の終わりと共に幸せな時間も過ぎ去ってしまったことを感じさせ、歌の切なさを引き立てている。
「晩餐歌」tuki.
「人生は3万日ぐらいしかない」という父の言葉がきっかけで制作された、tuki.のデビュー曲。MVは漫画『約束のネバーランド』の作画を担当する出水ぽすかが担当し、月やうさぎが登場する幻想的な世界観を描き出す。
繊細なビブラートが、歌詞に描かれた恋心の不安定さをより色濃く表現する。アコースティックギターの温かな音色とtuki.の伸びやかな歌声が、秋の透明な空気の中で強く心に響く。
「サザンカ」SEKAI NO OWARI
晩秋から初冬にかけて咲くサザンカ。その花言葉である“ひたむきさ”と重ねるように、“夢を追う人”と“そのそばで見守る人たち”の物語を描いた、ピョンチャン五輪・パラリンピックNHK放送テーマソング(2018年リリース)。
“いつだって物語の主人公が立ち上がる限り 物語は続くんだ”という力強いフレーズを、Fukaseの優しい歌声がそっと心に届ける。晴れた秋の日、ふと見上げた青空をイメージさせるような、広がりのあるバラード。
「今夜このまま」あいみょん
2018年リリース の6thシングル、日本テレビ系ドラマ『獣になれない私たち』の主題歌。クラフトビールバーで出会った男女の関係が描かれたドラマの内容にぴったりの、恋が生み出す感情をビールの泡の苦さと甘みに例えた歌詞は、聴く人の深い共感を呼んだ。
若い世代には新しく、年上世代には懐かしさを感じさせるメロディ。秋の夜風に吹かれながら、あいみょんのグルーヴ感あるボーカルに酔いしれたい。
「斜陽」ヨルシカ
テレビ朝日系アニメ『僕の心のヤバイやつ』第1期オープニングテーマ。
太宰治の小説『斜陽』が静かに没落していく貴族を描いたとすれば、この曲の歌詞は、アニメの主人公が徐々に恋に落ちていく様子を、夕日の光に重ねた抒情的で美しい歌詞で描いている。
“夏の成分が詰まっています”とsuis(ヨルシカ)が語ったこの楽曲を聴きながら、少しずつ秋へと変わっていく夕焼けの色を感じてみたい。
■お気に入りの楽曲で秋をより彩ろう
以上、「秋に聴きたい曲20選」。あなたにぴったりの一曲は見つかっただろうか? 日ごとに日暮れは早まり、風は涼しく、心は少しセンチメンタルに傾く季節。そんな秋に寄り添う楽曲を見つけて、情緒溢れるひとときを味わってみてほしい。
TEXT BY 真野 彩