THE F1RST TIMES

COLUMN

2022.09.22

Balming Tiger(バーミングタイガー)とは?BTS・RMフィーチャリング「SEXY NUKIM」で話題の彼らへインタビュー

9月1日にリリースされた、Balming Tiger(バーミングタイガー)の「SEXY NUKIM」が熱い。

▼「SEXY NUKIM」

BTSのリーダー・RMをフィーチャーしたことから世界中で話題となり、リリース翌日にはiTunesのワールドワイド・ソングチャートで1位を記録した。

■世界中で注目を集める、Balming Tigerとは何者か?

Balming Tiger(バーミングタイガー)

・オルタナティブK-POPバンド
・結成:2018年、韓国・ソウルにて
・メンバー:11名(2022年9月現在)
・OFFICIAL SITE https://balmingtiger.com/
・Twitter @balmingtiger
・Instagram balmingtiger
・YouTube https://www.youtube.com/c/BalmingTiger

“オルタナティブK-POPバンド”と名乗るBalming Tigerとは一体何者なのか。

メンバーは現在11名で、リーダーでクリエイティブディレクターのSan Yawn(サンヤン)、緑の髪が目を引くラッパーのOmega Sapien(オメガサピエン)、『SHOW ME THE MONEY 10』でも活躍を見せたラッパーのMudd the student(マッド・ザ・スチューデント)、低音ボーカルのbj wnjn(bjウォンジン)、紅一点ボーカルのsogumm(ソグム)、CL「SPICY」、J-HOPE「MORE」「Arson」などのMVを手がけた映像監督のLeesuho(イ・スホ)、DJ・音楽プロデューサーのUnsinkable(アンシンカブル)、プロデューサー兼クリエイティブディレクターのHong Chanhee(ホン・チャニ)、映像監督のJan’ Qui(ジャンクィ)、マーケターのHenson Hwang(ヘンソン・ファン)、A&RのAbyss(アビス)と、表方裏方問わずメンバーとして活動し、各々ソロ活動も行う気鋭のクリエイティブ集団だ。

■Balming Tigerメンバーにオンラインインタビュー

そんなBalming Tigerを深く掘りさげるべく、9月23日に神奈川・横浜赤レンガ倉庫特設会場にて開催される『ODD BRICK FESTIVAL 2022』出演で来日を控えるメンバーにオンラインインタビューを実施。

まずは、この集団がどうやって出来上がっていったのか、各々との出会いと音楽性について聞いた。

【麦わらの一味のように愉快な仲間が集ったBalming Tiger】

San Yawn:2017年の冬頃、最初に僕とAbyssと今は脱退したふたりの4人で、DJのパーティークルーとして始まったんです。

その後、知人だったJan’Quiが最初のMV撮影から合流、日本で大学生だったOmegaSapienから連絡がきて意気投合し、sogummは僕が積極的にスカウト、Unsinkableは僕らのパーティーのDJとして招待してから合流、様々なメディアで活躍していたエディターのHenson Hwangが合流、Mudd the studentは僕らが審査員をつとめたオーディションで目に留まりスカウト、bj wnjnはその音楽性で声をかけ、親しくしていたLeesuhoも合流。最後にOmega Sapienの紹介でHong Chanheeが合流――というように、ひとりまたひとりと、麦わらの一味(著・尾田栄一郎による漫画『ONE PIECE』に登場する海賊団)のように、愉快な仲間が集まりました。

Balming Tiger(バーミングタイガー) アーティスト写真2

Balming Tiger(バーミングタイガー)

それぞれの嗜好が多彩で、僕たちをひとつのジャンルで定義することは難しい。韓国で作られた大衆音楽を世界が“K-POP”と呼ぶのだから、僕らは間違いなくK-POPで、Balming Tigerは“オルタナティブK-POPバンド”だと、初期の頃から名乗ってきました。

Omega Sapien:そもそもK-POPってジャンルじゃないですよね。アイドルが団体で踊れば、すべてK-POPではないと思うし、僕らも韓国に住んで、韓国で作った音楽を発表するなかで、もっと多彩なスペクトラムを見せたいのに、別物にされがちなのが残念で。

人々がK-POPと考えるアイドルの存在と、サブカルチャー的な面白い音楽と、このふたつのブリッジの役割が僕たちの使命だと思います。まさに今回、K-POPの大物であるRMさんと楽曲を作ることで、僕たちの努力を認められた気がしました。

【自分に正直で、自分を愛せる人なら、誰もがセクシーになれる】

「SEXY NUKIM」は、韓国語で「セクシーな感じ」という意味だ。

昨年の春、bj wnjnとLeesuhoが家で作曲し始めたところからスタートし、各メンバーが様々な形で制作に参加。Omega Sapien いわく、この1年半、皆が“職人気質”で作り込んできたという。

独特のサウンドと映像の根底には明確なテーマがあると語ってくれた。

Hong Chanhee:一般的にセクシーと言えば、筋肉美などを想像すると思うのですが、Balming Tigerは“ニュー・セクシー”を表現したいと。“アジアンセクシー”“アジアンクール”というキーワードで、曲やMVを表現しました。

Omega Sapien:イケメンで筋肉のある人や、スタイルの良さだけがセクシーじゃなくて、本当のセクシーは外面だけではなく、もっと内面の深いところにあると思うんです。自分に正直で、自分を愛せる人なら、誰もがセクシーになれるというメッセージも含まれています。

Leesuho:楽曲の全体像としては、極力ミニマムな感じを活かして作りました。楽曲の入口はミニマムだけど、後半にはいろんな楽器も重ねて、空間も広がって行く感じに仕上げられたと思います。

Mudd the student:僕はwnjnさんとOmegaさんのパートに続くバースを書きました。ふたりが先に書いた部分がダークな感じで、僕がそういう音楽を書いたことがなく悩んだのですが、僕のキャラらしく、「SEXY NUKIM」において雰囲気を盛り上げる役割になろうと。曲のセクシーさは失わないようにしながら、RMさんのパートへの架け橋を意識しました。

Unsinkable:僕はMuddさんとRMさんのパートを編曲しました。Muddさんのパートは彼が持つやんちゃな感じを生かして、RMさんのパートは僕がまったく触る必要がなく、オーディオの整理やエフェクトをかけたりなど、本当に細かい部分のみをアレンジしました。

【BTS・RMの客演が実現したのは旧友がきっかけ】

何より気になるのが、同曲にBTSのRMをフィーチャーしたことだ。

リーダーのSan YawnはRMと一緒に、韓国の伝統的な寺院に滞在しながら寺院の日常生活に触れ、韓国仏教の修行精神が体験できるプログラム“テンプルステイ”に出かけたり、RMがBalming Tigerの出演したロックフェスを観に行ったりと、SNSでも交流の様子がうかがえるが、その始まりはSan Yawnの旧友の存在だった。

▼SEXY NUKIM (feat. RM of BTS)’ MV Shoot Sketch

Omega Sapien:これまでBalming Tigerの曲でフィーチャリングを入れたことがなかったのですが、「SEXY NUKIM」の曲を作りながら何か足りないと思い、初めてフィーチャリングを迎えてみようかとなって。San Yawnさんが候補としてRMさんを挙げた時、「いやいや、もっと現実的な人にしないと…」って思ったのですが(笑)、San YawnさんとBTSのプロデューサーのSupreme Boiさんは大学の同期で、彼を通して提案したところ、何とRMさんが快諾してくださったんです! 僕たちも本当に驚きました。

San Yawn:本当にありがたかったです。RMさんとはMV撮影時に初めてお会いしたんですが、第一印象がすごく良かったです。とても謙虚で、余裕のある感じがもうカッコ良いんですよ。メンバーたちのディレクションもよく聞いてくださって、改めてリスペクトしましたね。今回の制作を通して、RMさんとも仲良くなりました。

Omega Sapien:RMさんのMV撮影の時、僕たちはヨーロッパツアー中だったんです。MV監督のPennacky(ペンナッキー)にRMさんとの撮影はどうだったか聞いてみたら、本当に謙遜で誠実で、積極的に撮影に臨んでくれて素晴らしいアーティストだったと言っていました!

【日本人の映像監督・Pennackyが韓国でMVを撮ったことの重要性】

Balming Tigerは楽曲だけではなく、映像を含めて初めてひとつの作品として完成する。

今作「SEXY NUKIM」では、Omega Sapienが日本での大学時代に知り合った、日本人の映像監督Pennacky(Tanaka Kenichiro)が監督をつとめた。彼はこれまでも「Armadillo」「Kolo Kolo」「Happycore」などを手がけてきた人物である。

▼「Armadillo」

Omega Sapien:韓国人と外国人で、韓国を見る視点が違うと思うんです。今作は特にRMさんも参加したことで海外の方々もたくさん観てくださる機会が増えると思ったので、そうした方々と同じ視線で、外国人のPennackyが韓国でMVを撮ったということがポイントです。

チムチルバン(韓国式サウナ)や、昔ながらの韓国の家や商店とか僕たちには当たり前の風景だけれど、外国の人からすると、そんな場所が新鮮に映るようで、楽曲のテーマ性とも通じ合ったと感じます。

Mudd the student:僕は普段から精神年齢が低いほうだと思っているので(笑)、僕のキャラがよく反映されたシーンが撮れたと思います。子供たちと枕投げをするシーンがあって、ちょっと子供に戻ったような良いバイブスを得た撮影でした。

Omega Sapien: あとSan Yawnさんは日本まで行って映像編集に立ち合ったんです。MVの高クオリティを追求のために、相当頑張ってくれました。

【Balming Tigerの人脈の広さがわかる、リアクション動画】

「SEXY NUKIM」はMV本編に加えて、リアクション動画、パフォーマンス動画、ビハインド映像と次々に映像コンテンツを公開。

▼「SEXY NUKIM」パフォーマンス動画

特にリアクション動画では、BTSのJ-HOPEをはじめ、Jay Park、WINNERのMINO、HYUKOHのオ・ヒョクをはじめ、様々なシーンから豪華な顔ぶれが登場し、メンバーらの人脈の広さがわかる。

なかでも、J-HOPEとの縁は彼からのアプローチだったのだとか。

▼「SEXY NUKIM」リアクション動画

Leesuho:J-HOPEさんの初ソロアルバムの、「MORE」と「Arson」のMVを僕が撮ったのですが、最初オファーを受けた時、これまでアイドルっぽい映像を撮っていなかったのに、なぜ僕に来たのだろう? と思って。でも、話をしてみるとビジョンの一致が多く、ご一緒することになったんです。

現場でのJ-HOPEさんは、あんな大スターなのに、なぜこんなに善人なのかと思うほど、すべてのことに情熱的でした。スタッフにも気遣ってくださるから、監督として本当に感謝しかなかったです。そのご縁もあって、僕らのリアクション動画の出演をお願いしてみたところ、快く受けてくださいました。

【実は日本ツウだった!Balming Tigerが気になる日本の音楽・漫画】

「SEXY NUKIM」で“アジアンセクシー”を掲げているように、彼らの作品には様々なアジアの匂いが感じられる。日本への興味を訊くと、どのメンバーもかなり日本ツウのようだ

San Yawn:日本の音楽は結構聴いてます。フィッシュマンズ、坂本龍一さん、CHAI、ラッパーのTohjiさん、Foodman、青葉市子さん…あと、あいみょんさん最高!

Hong Chanhee:僕はYMO、レイ・ハラカミさん、ケン・イシイさんが好きです。

Mudd the student:僕もフィッシュマンズ大好きで、betcover!!もいいですね。

Omega Sapien:僕は漫画も大好きで、『カイジ』『ONE PIECE』『闇金ウシジマくん』とか。

Hong Chanhee:僕とsogummさんは『GANTZ』が大好き。

Omega Sapien:ちなみに僕の両親は、お互い日本での留学中に出会ったんです。父はずっと日本の商社で働いて、母は韓国で日本語教師をしていたのですが、僕は小2の頃から、母と姉と一緒に中国やアメリカで生活をしていました。日本の文化も好きだし、父とも一緒に住んでみたかったので、大学は日本で通うことにしたんです。Balming Tigerのメンバーになって韓国に帰ってから、大学は休学していますが。

San Yawn:今後もできるだけ多くの人たちに、影響を与え続けることが僕らの宿命ではないかと感じています。インスピレーションって平凡なところから来ないでしょう。つねに新しくユニークなことを探して、作品に反映させ、人々にインスピレーションを与え続ける存在になりたいです。

Omega Sapien:「SEXY NUIM」をリリース以降、ライブでやるのは横浜が初めてだと思います。横浜にセクシーを放出しに行きますよ!

全員:イェーイ!!

INTERVIEW & TEXT BY 筧 真帆(日韓音楽コミュニケーター)