『Nizi Project』で日本中に感動の渦を巻き起こし、結成されてから4年半。ガールズグループ・NiziUは表現の幅を広げ、彩り豊かな魅力を放ち続けている。本稿では大森元貴(Mrs. GREEN APPLE)が楽曲提供して話題を呼んでいる楽曲「AlwayS」について、詳しく解説する。
■「AlwayS」とは?楽曲情報
▼NiziU(니쥬) 「AlwayS」 M/V
・歌唱アーティスト:NiziU
・リリース日:2024年12月3日(2025年2⽉5⽇リリース1stミニアルバム『AWAKE』より先行配信)
・作詞:大森元貴
・作曲:大森元貴
・タイアップ情報:映画『野生の島のロズ』スペシャルソング
「AlwayS」は、作詞・作曲・プロデュースを大森元貴(Mrs. GREEN APPLE)が手がけた珠玉のバラード。デビュー5年目に突入したNiziUのメンバー9人の絆を歌う楽曲となっている。タイトルには“いつもそばに居る”という思いが込められた。
2025年1月2日にゲスト出演したラジオ番組『NiziU LOCKS!』(TOKYO FM)にて大森は、「NiziUは明るく元気いっぱいで生きる希望を与えるグループであることには違いないけど、同時にメンバーそれぞれ1人の人間。9人が一緒にいて、辛いことも楽しいことも乗り越えていくという楽曲を作ろうと思った」と、制作にあたっての思いを明かしている。NiziUメンバーは初めて楽曲を聴いた瞬間から涙を堪えることができず、「これは他でもない、私たちのことを歌った曲」と話したそうだ。
大森が生み出したメロディを、それぞれに美しい歌声で響かせているNiziU。MV撮影のメイキング動画にて、リーダーのMAKOは「宝物ってなんだろうと考えたときに、メンバーがすぐ浮かんだんですよ。なのでメンバーを思い浮かべて(レコーディングに挑みました)」と語っており、それぞれがメンバーへの深い愛情を込めて歌っていることがよく伝わってくる。ハーモニーが多用されていることも特徴的で、ライブではメンバーがアイコンタクトを取って、感動的に歌い上げていく。特に終盤でのNINA、MIIHIによる高音のロングトーンは圧巻だ。
ミュージックビデオは、NINAが公衆電話の受話器を取り“私はいつもあなたのそばにいるよ”とつぶやく場面に始まり、図書館やトンネルの中、海辺などを舞台に、メンバーの信頼関係を描き出すような内容に仕上がっている。撮影は寒い日に朝早くから行われたそうだが、そんなことを微塵も感じさせない様子で9人は爽やかにトンネルを走り、降り注ぐ雨に濡れる。笑顔を交わす9人の姿に強い絆を感じ、胸を震わせられる。
2月7日公開のアニメーション映画『野生の島のロズ』のスペシャルソングとして起用されている「AlwayS」。『野生の島のロズ』は無人島に漂着した最新型ロボットのロズが動物たちと交流し、愛情の芽生えをきっかけに冒険に出るSFアドベンチャー作品だ。MAYAは鑑賞しての感想を「本当に絆を深く感じられる作品になっていてすごく感動しましたし、みんなで大号泣しながら拝見しました」と話し、RIKUは「『AlwayS』もメンバーに対しての愛や感情が込められた楽曲なので、そこがすごくマッチしていて、とても感動的だなと思いました」と、楽曲と映画がリンクする部分について語っている。
■アーティストプロフィール
◎NiziU(読み:ニジュー)
2PMやTWICE、Stray Kidsが所属するJYPエンターテインメントより、2020年6月に誕生したガールズグループ。メンバーはMAKO、RIO、MAYA、RIKU、AYAKA、MAYUKA、RIMA、MIIHI、NINAの9人。デビューまでを追ったオーディションプロジェクト『Nizi Project』の様子は『スッキリ』(日本テレビ系)でも放送されて話題を集め、社会現象を起こした。
プレデビュー曲「Make you happy」は“縄跳びダンス”が流行し、2020年12月に「Step and a step」でメジャーデビュー。女性グループ史上最速となるデビューから29日で、同年末に『NHK紅白歌合戦』初出場を果たした。2022年にはデビューからわずか1年11ヶ月で東京ドーム、京セラドーム大阪で単独公演を開催。2023年10月には韓国1stシングル『Press Play』をリリースして韓国デビュー。
▼NiziU(니쥬) Debut Single『Step and a step』MV
▼NiziU 『Make you happy』 M/V
▼NiziU(니쥬) 「YOAKE」 M/V
一糸乱れぬシンクロダンスや華やかなビジュアル、ハイレベルなボーカル、ラップのスキルをそれぞれ持つ9人の魅力が掛け合わさり、唯一無二の魅力を放っている。
◎大森元貴(読み:おおもり もとき)
1996年生まれの音楽家。作詞家・作曲家であり、バンド・Mrs. GREEN APPLE(ミセスグリーンアップル)のフロントマン。Mrs. GREEN APPLEでは全楽曲の作詞/作曲/編曲、さらに作品のアートワークおよびミュージックビデオのアイデアまで、楽曲に関するすべての要素を担当している。発表した楽曲のうち22曲が主要ストリーミングサービスにおいて総再生数1億回を突破しており、これはアーティスト別単独1位の記録だ。
ミセスは2023年には「ケセラセラ」、2024年には「ライラック」にて日本レコード大賞の大賞を2年連続で受賞し、国民的バンドとしての地位を確かなものにした。また大森は、2024年の年間Billboard JAPAN作詞家チャートおよび作曲家チャートにて、2年連続となる1位を獲得している。
▼Mrs. GREEN APPLE「ケセラセラ」Official Music Video
▼Mrs. GREEN APPLE「ライラック」Official Music Video
なおMrs. GREEN APPLE は、デビュー10 周年を迎える 2025 年を“MGA MAGICAL 10 YEARS”と称して、7月8日(火)にベストアルバム『10』をリリース。7月26日(土)、27日(日)には神奈川県・ 山下ふ頭にて、2日間で10万人動員予定のライブを開催する。
大森は2025年4月25日に公開される映画『#真相をお話しします』で俳優デビューすることが決まっており、同作では菊池風磨(timelesz)とともにW主演を務めるなど、マルチに活躍の幅を広げ続けている。
■NiziUとMrs. GREEN APPLEのこれまで
2020年に放送された『Nizi Project』。当時Mrs. GREEN APPLEは活動を休止していた頃で、ミセスのメンバーは番組を視聴し、デビューという夢に向けて努力を重ねるNiziUメンバーの姿に活力をもらっていたという。
2024年4月にはテレビ朝日開局65周年記念イベント『The Perfomance』にて、NiziUとMrs. GREEN APPLEの初ツーマンライブが開催された。
このライブでは2組の豪華なコラボステージが繰り広げられ、NiziUのステージでは、「HEATRIS」の後半で大森がサプライズ登場。同曲の難解な“パズルダンス”を、大森は見事に踊り切った。そしてMrs. GREEN APPLEのステージでは、ミセスの名バラード「点描の唄」にNiziUからRIKU、MIIHI、NINAの3人が参加。この日のMCでは大森がNiziUを「本当に素晴らしい人たち」と心を込めた賛辞を送り、ステージ袖でそれを聞いていたNiziUのメンバーは、感動して涙を流していた。
また「AlwayS」が配信された2024年12月には、音楽特番『ミュージックステーション SUPER LIVE 2024』(テレビ朝日系)にて、NiziUと大森がコラボして「AlwayS」をパフォーマンス。10人で美しい歌声を響かせた。また2025年1月2日には、『SCHOOL OF LOCK!』(TOKYO FM))内でNiziUがパーソナリティを務めた企画『NiziU LOCKS!』に、大森がゲスト出演。「AlwayS」の制作秘話を明かした。
このほかSNSでも、NiziUとMrs. GREEN APPLEはたびたびコラボしている。大森のみならずMrs. GREEN APPLEの若井滉斗、藤澤涼架がNiziUと一緒に「SWEET NONFICTION」を踊る動画や、NiziUメンバーの間に颯爽と大森が登場して“もはや10人目のNiziUメンバー”と話題を集めた動画など、毎回様々なコラボで双方のファンを楽しませている。
@niziu_official 若井さん・藤澤さんと #SWEETNONFICTION_Challenge 🏹 幸せな2日間を本当にありがとうございました🍏🍏 #MrsGREENAPPLE #若井滉斗 #藤澤涼架 @Mrs. GREEN APPLE #ThePerformance #MAYUKA #NiziU #ニジュー #니쥬 #WithU #SWEET_NONFICTION
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■「AlwayS」の意味は?歌詞考察
▼NiziU(니쥬) 「AlwayS」 M/V
AlwayS
作詞:大森元貴
作曲:大森元貴
「私の思い出」
数えると
懐かしいあの場所から
どれだけ遠くへ来てしまったんだろう
寂しくなる今日の夜「私の宝物」
数えると
必ずあなたが居る
ただ、どれだけ
私は救われてきたんだろう
寂しくない今日の夜奇跡のような必然
偶然の生命
虹の橋の途中で膝もついた
私が今言えるのはこれだけ。
「ひとりじゃない」ってこと抱きしめたい
悲しさも全部
美しく飛び回る妖精のように
私たち、夜空を描く
手を握るギュッと
いつものように「私の思い出」
色付いて
乾いた水彩画に
グリッターを乗せて
音楽に昇華してゆく
ただそれだけ
感慨も矛盾も
歩んだ道のりも
ピッタリ嵌まるのを
運命と呼ぶのでしょうリボンの結び目を
繋がりに喩えて
虹の橋の入り口で
時間が動いた
私が今言えるのはこれだけ。
「出会いにありがとう」手を取れば
悲しさも全部
吹き飛ばせる
方角指すコンパスのように
私たち、怖くは無い
信じた先には
何が待ってる?やり過ごせない暗闇も
誰かと居れば笑えたり
何気ない日々も
日々も愛してる
誤魔化せない虚しさも
夜空の絵が滲んだって
一歩また一歩
超えてゆけばいい抱きしめたい
悲しさも喜びも全部
あなたと観たい
この先もずっと濁った水だって ほら
曇った空だって ほら
霞んだ道だって ほら
きっと澄み渡る
傷は癒える いつかはさ
確かに歩いてきた
見落とした空にはさ
いつも虹がある「私の思い出」
数えると
ずっとあなたがいる
「AlwayS」の歌詞に頻繁に登場する、“私”と“あなた”。“私”はこの曲を歌うそれぞれのメンバー自身であり、“あなた”は自分以外のメンバー8人であることは想像に難くない。“懐かしいあの場所から どれだけ遠くへ来てしまったんだろう 寂しくなる今日の夜”という歌詞は、若かりしメンバーが親元を離れ、大きな夢を抱いてオーディション『Nizi Project』に挑み、少しホームシックのような思いを抱いている時期の心情にも感じられる。
しかしその直後、“どれだけ私は救われてきたんだろう 寂しくない今日の夜”と、“私”は安心感に包まれる。これはおそらく、頼もしくかけがえのないメンバーとの出会いによって得られたものであろう。“私の宝物”の“宝物”とは、MAKOが語っていた通り、メンバーのことを表しているに違いない。
NiziUのメンバーは共同生活を送っており、とても仲がいいことで知られている。いつ見ても9人はそれぞれの個性を生かしながら、お互いを讃えあい、優しく接している姿が印象に残る。そんな9人の強い結びつきは、歌詞の中で“奇跡のような必然”“私が今言えるのはこれだけ『出会いにありがとう』”と歌われており、これまでの活動の様々な場面を思い起こすことで、さらなる感動を誘われる。
苦楽を共にして歩んできた過去を振り返りながら、未来への思いも歌われているのが「AlwayS」の特徴だ。“私たち 怖くは無い 信じた先には 何が待ってる?”“抱きしめたい 悲しさも喜びも全部 あなたと観たい この先もずっと”と、メンバー9人が今後も手を取り合って希望を胸に進んで行く決意が歌われており、聴いていて思わず“この世に永遠などはないが、どうか9人ができるだけ長く幸せに、一緒に活動する姿を見せてほしい”と祈らずにはいられない。
ちなみにパート割りも大森が考案し、それぞれのメンバーにしか歌えないと思った歌詞を割り振っているそうだ。“虹の橋の途中で膝もついた”というパートはMAYAが担当しているが、デビュー曲「Step and a step」にて彼女は“Ooh つまずいてしまったのは 前に進んでたから”と歌っていた。偶然か必然か、このような過去作とのリンクも、もしかしたら様々に隠されているのかもしれない。
開催中のツアー『NiziU Live with U 2024-2025“AWAKE”』で「AlwayS」を歌唱する際には、どんなに堪えていても、メンバーの誰かは高確率で涙を流してしまうそうだ。それだけNiziUのメンバーが、自分たちの存在そのものを歌詞に込めて、全身全霊で表現しているのだろう。
■1stミニアルバム『AWAKE』について
▼NiziU(니쥬) 『AWAKE』 Trailer
2025.1.8 (JST) Pre-Release
2025.2.5 (JST) CD Release
NiziUにとって初めてのミニアルバムとなる『AWAKE』。リード曲「YOAKE」は、どこか懐かしいサウンドが幅広い世代に刺さる、エモーショナルな楽曲だ。2025年2月にメンバー最年少のNINAが20歳の誕生日を迎え、メンバー全員が20代に突入することを受け、より広い世界へと飛び出していく少女から大人の女性への成長と、自立を描いた作品となっている。リリースに際して公開されたアーティスト写真では、アースカラーの衣装をまとったメンバーが大人の女性としての落ち着きと美しさを放っており、グループとして新境地に突入したことを感じさせる。
▼NiziU 「YOAKE」 Dance Performance Video
このほか「AWAKE」には、「AlwayS」はもちろん、映画『恋わずらいのエリー』主題歌として注目を浴びたポップソング「SWEET NONFICTION」、PEANUTS 75周年アニバーサリーソング「Buddy Buddy」、ユニバーサル・スタジオ・ジャパン『ユニ春』テーマソングの「Memories」など、様々なタイアップによってすでにリスナーに親しまれている楽曲に加え、新曲「Life is Beautiful」も収録される。
▼NiziU – SWEET NONFICTION / THE FIRST TAKE
▼NiziU 「Buddy Buddy」 (Official Audio)
▼NiziU 「Memories」 Dance Performance Video (One Take ver.)
さらに初回限定盤Bには、MAKO、MAYA、RIKU、MAYUKA、NINAによる「Made of Love」、RIO、AYAKA 、RIMA、MIIHIによる「CRUSH」と、2チームに分かれてのユニット曲も収められる。
■NiziUの今後の活動に注目
2025年2月まで初の“Winter Tour”『NiziU Live with U 2024-2025“AWAKE”』を開催中で、2月5日には1stミニアルバム『AWAKE』をリリースするNiziU。2025年も彼女たちの活躍から目が離せない。
TEXT BY 岸野恵加