60秒という短い時間での一発撮りパフォーマンスに挑戦する『FLASH THE FIRST TAKE』。アーティストが表現する一瞬、一瞬をダイレクトに感じとれるコンテンツになっている。ここでは、3月と4月に公開された動画をまとめて紹介する。
■Anonymouz/堂村璃羽
▼Anonymouz – ラストシーン (feat. 堂村璃羽) Prod. by GeG / FLASH THE FIRST TAKE
▼Anonymouz – ラストシーン (feat. 堂村璃羽) Prod. by GeG / FLASH THE FIRST TAKE
プロデュースに変態紳士クラブの活動でも知られる音楽プロデューサーのGeG(ジージ)、フィーチャリングにSNS世代から支持を集める歌い手でラッパーの堂村璃羽を迎えた新曲「ラストシーン」(2月19日配信リリース)をパフォーマンスしたAnonymouz。堂村が「FLASH初のデュエット。背中合わせの映像に一番注目してほしいです」とコメントしているとおり、“身勝手な男の子と我慢し続けた女の子”が主人公の失恋ソングの中で繰り広げられる男女の視点の違いを表現。Anonymouzのアカペラから始まる1本目は“最後のお願いだから”と歌い始める彼女の表情を真正面から撮っており、2本目は“最初のお願いだから”と歌う堂村の背中越しにAnonymouzが映る。サビではユニゾンになり、最後はふたりで“3,2,1,Action”と声と手振りを揃えているが、恋の終わりの“始まり”に対する心情は男女それぞれでは違っていることが、たった60秒という短い時間でも伝わってくる映像となっている。
■SUTEZENI
▼SUTEZENI – nonsense / FLASH THE FIRST TAKE
▼SUTEZENI – Koe / FLASH THE FIRST TAKE
SNSでの総再生回数が500万回を超えるラッパーでシンガーのSUTEZENIは、撮影後に「本当に一発撮りでどちゃくそ緊張しました。緊張すると耳赤くなるタイプでした。普段と違うSUTZENIをぜひ」と笑顔でコメントを残してくれている。この『FLASH THE FIRST TAKE』がメディア初パフォーマンスということもあり、確かに大きく深呼吸する冒頭は少し緊張していたようではあるが、その歌声は飾り気がなく等身大で、まっすぐに聴き手の胸に飛び込んでくる。TikTokでプロポーズや告白の定番曲となっているソウルフルなラブソングで、歌詞と同じように少し照れながら歌う「nonsense」と大好きだった祖父に伝えられなかった思いを込めたバラード「Koe」。この歌を届けたいという明確な相手が存在し、聴き手にとっても大切な人を思い起こさせる2曲となっている。派手ではないかもしれないが、言葉の一つひとつを大切にメロディに乗せる歌の原点を再確認させられた。
■Hana Hope
▼Hana Hope – flowers / FLASH THE FIRST TAKE
▼Hana Hope – フリーバード / FLASH THE FIRST TAKE
Hana Hopeがパフォーマンスしたのは、3月19日にリリースされたばかりのメジャー1stアルバム『Between The Stars』から、2023年7月リリースのメジャーデビュー曲「flowers」とアルバムのリード曲「フリーバード」。アニメ『Fate/Grand Order』Memorial Movie 2023テーマソングで、YouTubeの視聴回数が1230万再生を超えたヒット曲「flowers」はスタンドマイクで歌唱。サビに入る前の一瞬のブレイクで見せる微笑みと、その後のダイナミックな飛翔が大きな見どころ。いっぽう、jo0jiの初楽曲提供で、WONKの江崎文武が編曲した「フリーバード」はハンドマイクを持ち、まるで画面の向こうにいる視聴者と目を合わせるかのように“何も恐れずにいて/特別に溢れた貴方の姿がここからはよく見える”と歌いかける。フリーバード=僕たちは何にだってなれると信じる強さを届ける歌声には、“鳥の翼のない僕たち”の歩みを描いた「flowers」からの2年間の成長の軌跡も込められてるよう。
■レイニ
▼レイニ – ラストレター / FLASH THE FIRST TAKE
▼レイニ – ラストレター / FLASH THE FIRST TAKE
俳優もこなすレイニがドラマ『相続探偵』の主題歌で今年1月にリリースしたメジャーデビュー曲「ラストレター」を披露した。シンガーとしてデビューしたばかりで、まだどんなアーティストであるかの全貌がわからなかったのだが、「緊張などはなく、落ち着いた気持ちで歌い切ることができました。楽しかったです」という彼のコメントにこそ、60秒という短い時間にそのアーティストの本質が見られる『FLASH THE FIRST TAKE』の在り方が現れているのだろう。「最後の手紙を書くときに伝えたい思い」を綴ったという楽曲を歌う彼の目線や仕草、手の動きなどの一挙手一投足に軽やかな余裕があり、聴き手を甘く優しく包み込むような心地の良い包容力も感じる。ハスキーながらも伸びやかなハイトーンとラウドなロックバンドを従えても力負けしなそうなボーカルスタイル、そして、甘く爽やかなルックスとリラックスした佇まい。アーティストとしてのブレイクを予感させる。
■Kucci
▼Kucci – ときめき / FLASH THE FIRST TAKE
▼Kucci – 特別なんて / FLASH THE FIRST TAKE
90年代のオルタナティヴロックを想起させるバンドサウンドに合わせて勢いよく拳を振る姿が印象的な「ときめき」とアコースティックギターとピアノを基調にしたバラード「特別なんて」。“心の痛み”に寄り添ったラブソングという点では共通しているが、サウンドやムードは対照的な2曲を披露したのは、名古屋出身で20歳のシンガーソングライター・Kucci。自身のメジャーデビューシングルとなった「ときめき」はKōki,が主演を務める映画『女神降臨 Before 高校デビュー編/After プロポーズ編』の主題歌。いっぽうの「特別なんて」は劇中で綱啓永が演じる五十嵐悠が主人公に思いを歌った楽曲のセルフカバーとなっており、『FLASH THE FIRST TAKE』で初披露。特筆すべきは何といっても、エッジボイスを生かした特徴的で独特な歌声。特に「特別なんて」は、この歌を絶対に届けたいんだという執念にも似た想いを感じ、最初の30秒で涙が誘われ、60秒が終わっても余韻が残りずっと消えなかった。
■當山みれい
▼當山みれい- Superwoman / FLASH THE FIRST TAKE
▼當山みれい- This is love / FLASH THE FIRST TAKE
サブスク総再生回数3億回越え、SNS世代の等身大を歌う、現在26歳の実力派シンガー、當山みれいが初登場。昨年6月にデビュー10周年を迎えた彼女は3月5日と12日に2週連続でリリースした新曲をパフォーマンス。すっぴんを公開したMVも話題を集めているR&Bナンバー「superwoman」では“どんなに弱く、傷ついたとしても、ありのままの姿のあなたも光っているんだよ”というメッセージを届け、パワフルかつ深みのある歌声で徐々に気持ちが高められていく。ビッグバラード「This is love」では“愛”を歌い、明日を生きる勇気や希望を与えてくれる。凛とした存在感を放つ彼女からは、“歌う”という行為のみに賭けたストイックな姿勢を感じる。鍛え抜かれた自分の声ひとつでどれだけ大きな世界観を創れるか。どれだけ歌に感情を込められるか。無駄なものを削ぎ落として、純粋に歌心だけで圧倒的なスケールの世界観を作り出す彼女のパフォーマンスは強く美しく輝いて見える。
TEXT BY 永堀アツオ
YouTubeチャンネル『THE FIRST TAKE』
https://www.youtube.com/channel/UC9zY_E8mcAo_Oq772LEZq8Q
『THE FIRST TAKE』OFFICIAL SITE
https://www.thefirsttake.jp