ライブシーンにアンテナを張り、THE FIRST TIMES独自の取材で入手した音楽業界人から見た新人アーティストの推しポイントをご紹介する企画 「バリサン」。
今回は、「バンド名が読めない!!」というフレーズでSNSを中心に話題となった爬虫類系ロックバンド、「板歯目」をご紹介。
■「板歯目」 Music Video
■音楽業界人は「板歯目」のココに注目
本当のロックバンドを見た
(レイラ/有明)板歯目のライブを見てるとヤバすぎて自然と笑えてくる。
たまたま通りかかったライブハウスで何も知らずに板歯目を見たのがはじめてのことだった。
板歯目のライブを見てる最中に“なんか私の想像するライブハウスってこんな感じかも”なんて思ったことを強く覚えていた。あとから知ったけどそのときの彼女らはまだ高校生だったらしい。
それから対バンしたのが3年後、ライブが始まった瞬間からヤバすぎて笑っていたし気づいたら大爆笑していた。人はカッコ良すぎるライブを見ると笑えるらしい。何が良いとかどこが良いとかを細かく言う必要がないくらいには見たら全部わかる。バンドは今もライブハウスでライブをし続けている。
こちらの魂を削り取っていくふたり。
(株式会社サウンドクリエーター/安枝伸)ひと言ではなんとも表現ができないが、
喉元に鋭利な刃物を突きつけられたようなヒリヒリしたライブをするバンドが板歯目だ!
油断をしていると魂が削られる感覚がある。
千乂詞音のライブ中の狂気じみたパフォーマンスに目を奪われがちだが、
最も狂っているのは庵原大和に違いない。
言葉では説明できない”何か”をぜひ、ライブハウスへ目撃しに行ってほしい。
俺の代わりにぶん殴ってくれ、ヒーロー!
(UNISON SQUARE GARDEN/鈴木貴雄)初めて知ったのは、うちのボーカルからオススメされたのと、耳の早いイベンターからも教えてもらって。
チケットを買って、2022年12月6日の渋谷クレストにライブを見に行きました。
何回泣いたかな。時に涙が出っ放しだったかもしれない。その理由を伝えるために少し自分語りを失礼します。ある程度評価されてる俺たちみたいなバンドでも「本当に伝わっているという実感」って、意外と無い人が多いんじゃないかな。
何万人の前でライブをしてもどれだけ再生が回っても、あくまで数字や記号としてしか捉えづらくて。
そこにとらわれるのも違うから、意識的に自分の感性から排除するし。バンド活動21年間熱を込めて、今ではこの熱が誰かの火になりますようにと思ってやっているけれど、ずっと壁に玉を当て続けてるだけのような気持ちになるときもあります。
ライブをしたり、ファンと話す機会があるとそうじゃないのは分かるんだけど。ひとりのときのほうが多いから、そういうときにね。
そして2022年末にチガちゃんの歌を、庵原君のドラムを(ゆーへーのベースを)見たときに、お世辞じゃなく、その壁が壊れたんですよね。
届いた!!!
俺のまいてきた種、ドラムから芽が出て木が生えて実がなったと本気で感じて。そうしたら涙が止まらなくなった。
ライブ後に挨拶させてもらえることになって、庵原君が歩いてきたとき、抱きしめたくてしょうがなかった。でも流石に気持ち悪がられるかと思ってやめときました。その冷静さを今でも悔いているけど、抱擁はいつかの対バンのとき、板歯目から本気で食らったときのために。長い音楽人生の中で何度か凪のような、何をしても心が動かない時期がありました。
俺は「外注」という言葉を使うんですが、そういうときは熱を外注する。外注先として板歯目は最高の取引先です。
鬱屈としてる人には特に刺さるんじゃないかな。ぶっ飛ばしてくれます。
SNSをうまく使った広告が正しい時代に、正しくないライブをやり続けています。そして毎回がヌルくない。俺自身ヌルいライブが本当に嫌いで、そんな俺が毎回ぶっ飛ばされてるんです。あと触れておきたいのは、チガちゃんの歌とギターは本当にすごいということです。
天才型だと思ってます。媚びず、かといって斜にも構えず素直でかわいい、のに出音にぶっ飛ばされる。努力とか研究で降りたてる場所じゃないと思います。
変に「若い、かわいい」とカテゴライズされることを、最初から拒否する姿勢も勝手に感じててロック。庵原くんとはもう友達って感じで、彼が成人した日に酒を飲んだり、一緒にスタジオ入ったり、ご家族にオススメのケーキを差し入れたら喜んでもらえたり…他にもいろいろ良い思い出があります。
彼は詞曲も書いてるわけですが、今の武器は鬱屈からの反動だと勝手に感じてます。
普段はしんどい、でもステージに上がってる間だけヒーローになれる力。このパワーってめちゃめちゃでかい。
俺も使ってる力なんですが、ある程度幸せになると使えない力でもあって。
今しか使えない力で、この点において俺は本気で、自分のドラムより凄いと思ってます。できる事なら盗もうとしてます(笑)。バンド人生として今ちょうど彼らは、壁を越えるかどうかという立ち位置だと思います。
マスになることだけが良いとも思わないけど、この音楽がブッ刺さるはずのまだ見ぬ人たちに見つかってほしいし、会いに行く作業をするのが良い気がしてます。
俺にはブッ刺さってるし、だからライブに通ってるし。友達だからじゃなくて、チヤホヤされたいからじゃなくて、ただチガちゃんと庵原君とサポートベーシストたちの3人のライブが俺に刺さってるから。
そして俺も、彼女たちに刺さりたいから今日もドラムに向き合います。
早く2マンしよーぜ!(あと原稿150字までって言われてるのに1600字書いてごめんなさい。通れ〜!)
■「板歯目」手書きコメント
「板歯目」メンバー
千乂詞音 / ちがしおん( Vo. / Gt.)
庵原大和 / いおはらやまと(Dr.)
■「バリサン」担当メモ
「バンド名が読めない!!」というフレーズが話題となった「地獄と地獄」、この曲をSNSで耳にしたことがある人は多いのではないだろうか。
でも、この曲だけで板歯目を知った気になっては非常にもったいない。
彼らの真の魅力はSNSには収まりきらない。真髄はライブハウスにある。
ちなみに、「ばんしもく」は漢字変換で出てこないので、「いたはめ」と打つことを推奨する。
圧巻のライブパフォーマンスを武器とする彼ら。
中でも私は板歯目の対バンライブが好きだ。
相手バンドとのバトルのような音楽の戦いを目撃することができる。
まさに目には目を、歯には歯を、板には板を、音には音を。
あなたもぜひライブハウスで世紀の大乱闘の目撃者になってみては?
板歯目 OFFICIAL
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