「カラオケで歌いやすい曲」は、「歌うのが楽しい曲」と言い換えることもできるだろう。愛され続けている定番と挑戦したくなる曲も含む20選。難易度を気にしすぎることなく、レパートリーを広げていってほしい。
■カラオケで歌いやすい曲10選<男性編>
1.「さよならエレジー」菅田将暉
2.「チェリー」スピッツ
3.「タイムパラドックス」Vaundy
4.「幾億光年」Omoinotake
5.「恋」星野源
6.「青のすみか」キタニタツヤ
7.「ベテルギウス」優里
8.「前前前世」RADWIMPS
9.「水平線」back number
10.「シンデレラボーイ」Saucy Dog
「さよならエレジー」菅田将暉(すだ まさき)
日本テレビ系ドラマ『トドメの接吻(キス)』主題歌。石崎ひゅーい作詞・作曲。疾走感に溢れながらドラマチックな展開を遂げるメロディは、カラオケで熱唱する快感をストレートに体感させてくれる。サビでエネルギッシュさを急上昇させるなど、歌声の起伏と緩急を意識するのが大切。コツを掴めば、カラオケに行った際に欠かせないレパートリーのひとつにできるはずだ。
「チェリー」スピッツ
1996年にリリースされて以来、愛され続けている名曲。幅広い層がカラオケで歌っている。穏やかなテンポと温かなメロディが覚えやすく、圧倒的に気持ちいい。マイクを握って歌っている人はもちろん、聴いている人も幸せな気持ちになれる。サウンドに素直に身を任せて歌っているうちに自然とこぼれる笑顔は、曲を輝かせる最高のエッセンス。リラックスしながら声を響かせて、幸福を存分に噛み締めてほしい。
「タイムパラドックス」Vaundy(バウンディ)
2024年に公開された『映画ドラえもん のび太の地球交響楽』主題歌。“あのね”“ねえ”などが効果的なアクセントとなっているこの曲は、語りかけるかのようなニュアンスで歌うのがぴったり。歌詞の意味をしっかり理解しながら歌うと、Vaundyが込めたメッセージが深く胸に沁みる。困難が多い人生を乗り越える当事者である自分、見守ってくれる人々のことを考えながらマイクに向かえば、自ずと素敵な歌になる。
「幾億光年」Omoinotake(オモイノタケ)
TBS系火曜ドラマ『Eye Love You』主題歌。このコラムのテーマを覆しかねないが、歌のキーが高い「幾億光年」の難易度は高め。しかし自分なりのスタイルで歌いこなせたとき、一緒にカラオケを楽しんでいる人と盛り上がりやすいという点で“カラオケで歌いやすい“と称することはできるだろう。裏声と地声の中間で歌う“ミックスボイス“の練習が必須。男女で歌い分けるのも楽しいと思う。
「恋」星野源(ほしの げん)
TBSテレビ系ドラマ『逃げるは恥だが役に立つ』主題歌。軽やかに躍動するリズムとメロディが、歌う心もウキウキと弾ませてくれる。音域も広くないため、歌いやすいと言えるだろう。独特な振り付けをする通称“恋ダンス”の動画投稿が流行ったので、踊れる人も多いはず。歌いながら手振りを踊ってみたり、友人にダンサーとして加わってもらったりするのもおすすめ。これからもカラオケで愛される定番曲であり続けるだろう。
「青のすみか」キタニタツヤ
2023年に放送されたテレビアニメ『呪術廻戦』第二期「懐玉・玉折」オープニングテーマ。音域の幅が広く難易度は比較的高いが、見事に歌いこなしたら必ず盛り上がる楽曲。もちろん、キーを下げて歌っても曲の雰囲気は壊れずカッコよく歌えるだろう。エモさ重視の曲なので、正確に音程を取るよりも“感情を乗せる”方を重視したい。リズムは比較的シンプルなので、特に意識するといいだろう。この曲に真剣に取り組めば、あなたの歌唱力は必ず磨かれる。
「ベテルギウス」優里(ゆうり)
フジテレビ系ドラマ『SUPER RICH』主題歌。情感豊かなウィスパーボイス、抜けのいいファルセット、効果的なしゃくり、的確なブレスなど、高度なテクニックが満載されているのが、実際に歌ってみると本当によくわかる。だが、Aメロ・Bメロは静かで落ち着いた中低音なのが、歌いやすいと言われるポイント!この曲で表現されているのは、心を通わせ合うことができる人との出会いのかけがえのなさ。大切な友人、恋人などと楽しむカラオケに最適の曲だ。
「前前前世」RADWIMPS(ラッドウィンプス)
2016年に公開された映画『君の名は。』挿入歌。同作の劇伴もRADWIMPSが手掛けた。まっすぐな愛情表現を届けるロマンチックな側面と、本能的に盛り上がれるエネルギッシュさを兼ね備えているのが「前前前世」。速いBPMで展開するなかに言葉を大量に詰め込んでいるので、ブレスのポイントを事前に把握しておきたいところだが、“前前前世から僕は〜”のサビは、キャッチーなメロディラインが続くので比較的歌いやすいだろう。滑舌よく歌うのも心がけると、気持ちよく盛り上がれる。
「水平線」back number(バック ナンバー)
新型コロナウィルスの影響でインターハイが中止された2020年、大会を運営している高校生からの手紙を受け取ったのがきっかけとなって制作された「水平線」。行き場のない悲しみ、やるせなさ、心の痛みに寄り添ってくれる曲だ。感情過多にならない穏やかなトーンを通じて優しさと温かさが伝わってくるのが印象的。語りかけるかのようなニュアンスを心がけると、カラオケでも気持ちよく歌える。
「シンデレラボーイ」Saucy Dog(サウシー ドッグ)
2021年にリリースされたミニアルバム『レイジーサンデー』に収録。恋人の心が自分から離れてしまったと悟ったときの複雑な感情を女性目線で描いている。風景やストーリーがビビッドに思い浮かぶ歌詞が味わい深い。主人公を演じるかのように歌い上げるのが最高に気持ちいいタイプの曲だ。音程の跳躍が少なくなだらかなラインで構成されており、キーもそこまで高くないため、歌いやすい。失恋した直後に歌うと号泣して止まらなくなる可能性もあるので、その点は注意したほうがいいのかも……。
■カラオケで歌いやすい曲10選<女性編>
1.「君はロックを聴かない」あいみょん
2.「ちゅ多様性。」Ano
3.「カタオモイ」Aimer
4.「晩餐歌」tuki.
5.「可愛くてごめん (feat.かぴ)」HoneyWorks
6.「ハナミズキ」一青窈
7.「スマイル」森七菜
8.「オトナブルー」新しい学校のリーダーズ
9.「夜に駆ける」YOASOBI
10.「雪の華」中島美嘉
「君はロックを聴かない」あいみょん
2017年に3rdシングルとしてリリースされて、あいみょんが注目を集めるきっかけとなった。好きな人への想いを“ロック”をモチーフとして描写しているのが斬新。程よいテンポ感、シンプルな構成、覚えやすいメロディなので、まさしく“カラオケで歌いやすい曲”だ。イレギュラーなリズムが随所でアクセントとなっているので、その点だけしっかり身体に染み込ませておけば気持ちよく歌える。
「ちゅ多様性。」ano(アノ)
テレビアニメ『チェンソーマン』の第7話エンディングテーマ。視聴者をざわつかせたアニメの展開を踏まえた歌詞でありつつ、キャッチーなラブソングに仕上げられている。かわいらしい音の響きが散りばめられているので、カラオケで歌う際はそこが楽しい聴かせどころになるはず。anoの個性的な声質を独自のスタイルで表現したり、普段の声のまま歌ったり、自分なりのアレンジも楽しめるだろう。
「カタオモイ」Aimer(エメ)
2016年にリリースされて、じわじわと支持層を広げていったロングヒット曲。作詞作曲を手掛けたのはandropの内澤崇仁。タイトルは「カタオモイ」だが、穏やかな幸福が浮き彫りにされていくのがこの曲の味わい深さ。Aimerによる原曲はウィスパーを含む抑制したトーンを多用しながら歌いつつ、徐々に強い想いを滲ませていく。カラオケで歌う際も、その点の表現が腕の見せどころとなる。
「晩餐歌」tuki.(ツキ)
高校生のシンガーtuki.が2023年にリリース。アコースティックギターの音色を基調としたシンプルなトラックだが、彼女の歌によってドラマチックな響きが生まれている。愛に対する自信のなさがあるからこそ確かなものを求める歌詞が印象的。緩急、静動のコントラストの表現が大事なタイプの曲。音程の幅(特にAメロ、Bメロ)が比較的狭く、テンポもゆったりしているため息継ぎのタイミングがしっかり取れるという歌いやすさも! 一瞬だけ響かせるファルセットをアクセントとする箇所があるので、そこの練習もしっかりしておきたい。
「可愛くてごめん (feat.かぴ)」HoneyWorks(ハニーワークス)
テレビアニメ『ヒロインたるもの!〜嫌われヒロインと内緒のお仕事〜』に登場する中村千鶴(ちゅーたん)のキャラクターソング。この曲に合わせて踊る動画が、TikTokにたくさん投稿されている。テンポが一定でノリやすく音域も広くないため歌いやすい!“可愛くてごめん”“生まれてきちゃってごめん”など、自分自身の存在を肯定するフレーズが連発されるサビのパワーがものすごい。 “自分はトップアイドル!”という気分で歌ってしまってOK。
「ハナミズキ」一青窈(ひととよう)
2004年にリリースされた大ヒット曲「ハナミズキ」は、誰もが認めるカラオケの定番曲のひとつ。親子、恋人、友人、仲間など、あらゆる大切な人間関係に当てはまると同時に、ラブ&ピースを心から願うメッセージソングとしても受け止められる。それが高い支持を集める理由だと思う。たとえ上手く歌えなかったとしても、この曲は輝いてくれる。今後もカラオケで愛され続けるに違いない。
「スマイル」森七菜(もり なな)
大塚製薬『オロナミンC』のCMで使用されているカバー曲。ホフディランが1996年にリリースしたオリジナルは、テレビアニメ『こちら葛飾区亀有公園前派出所』のエンディングテーマとしても有名。わかりやすいメロディとゆったりとしたテンポでとても歌いやすい。ほのぼのとしたムードを醸し出す曲なので、技巧を凝らしすぎるのではなく、楽しみながら素直に歌うのがよく似合う。森七菜のみずみずしい魅力に溢れたカバーは、カラオケで歌う際の素敵なお手本にもなっている。
「オトナブルー」新しい学校のリーダーズ(あたらしいがっこうのリーダーズ)
インパクト抜群の“首振りダンス”が話題となり、TikTokの動画投稿が大流行。ダンサブルなサウンドであると同時に、昭和歌謡を彷彿とさせるどこか懐かしいメロディも満載されている。全力投球の熱唱、艶めかしい動きを交えたダンス、目まぐるしく変化させる表情など、パフォーマンス面をいろいろ工夫して楽しむのにも最適。難しいことは考えず、歌うひとときを目いっぱいにエンジョイしてほしい。
「夜に駆ける」YOASOBI(ヨアソビ)
2019年に配信リリースされたデビュー作。Spotifyのバイラルチャートでも上位に入り、ワールドワイドなヒット曲となった。原曲通りに歌える人は非常に限られてくるはずなので、無理はしないでキーを下げた方が気持ちよく楽しめるだろう。複雑な動きをするメロディを完璧に覚えつつリズムの捉え方もシビアに意識すると、かっこよく聴かせられる。難易度の高い箇所の数々にぜひチャレンジしてほしい。
「雪の華」中島美嘉(なかしま みか)
2003年にリリースされて大ヒット。今でもウィンターソングの定番のひとつであり、様々なアーティストがカバーしている。透明感に溢れたメロディ、ドラマチックな展開に引き込まれずにはいられない。雪が降る街の風景が浮かぶ歌詞は、大切な人と寄り添いながら感じる温もりをイメージさせてくれる。曲の世界に深く入り込んで歌いやすいので、カラオケの十八番になったら季節を問わず歌いたくなる。
■自分の歌声にあったカラオケソングを見つけよう
聴くのも楽しいが、歌うのも楽しいのが大好きな曲。歌ってみるとアーティストのすごさを肌で感じることもできる。カラオケはこれからも音楽と向き合う喜びをたくさん発見させてくれるに違いない。
TEXT BY 田中大