「Never Grow Up」「ハレンチ」などのヒットを持つソロアーティストとして、そしてHANAを生み出したオーディション『No No Girls』のプロデューサーとしてなど、多彩な活躍を展開するちゃんみな。彼女が何故注目されるのか、紐解いていく。
■圧倒的なスキルを持つラッパー/シンガー
CHANMINA(読み:ちゃんみな)

・メジャーデビュー:2017年
・メジャーデビュー作品:シングル「FXXKER」
・OFFICIAL SITE https://chanmina.com/
・Instagram minachanxx
・X(旧Twitter)@chanmina1014
・Facebook https://www.facebook.com/chanmina.official/
・LINE https://page.line.me/chanmina?openQrModal=true
・YouTube @chanminaofficia
ちゃんみなの名が広まったのは、MCバトルブームの発端となった『BAZOOKA!!! 高校生RAP選手権』への出場だろう。
同年にインディーズで「未成年 feat. めっし」を配信リリースし、iTunesのヒップホップチャートで1位を獲得。Teddy Loid「ダイキライ feat. ちゃんみな」への参加など、キャリアを伸ばしていった。
▼未成年 Feat. めっし (NEW MIX)
▼TeddyLoid「ダイキライ feat. ちゃんみな」Official Music Video from『SILENT PLANET 2 EP Vol.3』
2017年2月に「FXXKER」でメジャーデビュー。3月に1stアルバム『未成年』、11月に2ndアルバム『CHOCOLATE』と、その旺盛な制作意欲を作品として次々に昇華し、「LADY」や「CHOCOLATE」はiTunesやLINEミュージックでのチャート1位を獲得するなど、数字としてもその実力を提示した。
▼ちゃんみな(CHANMINA) – FXXKER (Official Music Video) [YouTube Ver.]
▼ちゃんみな (CHANMINA) – LADY (Official Music Video) [YouTube Ver.]
▼ちゃんみな (CHANMINA) – CHOCOLATE (Official Music Video) [YouTube Ver.]
以降は『ROCK IN JAPAN FESTIVAL』や『SUMMER SONIC』などの大型フェスにも登場し、その存在感をポップシーンでも高めていく。
2019年4月には日英韓の3ヶ国語を織り交ぜた「I’m a Pop」をリリース。同年リリースの2ndフルアルバム『Never Grow Up』収録の「Never Grow Up」のMVは、2025年5月現在YouTubeで約5500万回再生され、彼女の代表曲となった。2020年2月にはコンセプトEP『note-book –Me.』『note-book –u.』を同時リリース。12月にはクリエイターとして縁の深いSKY-HIとのコラボレーションソング「Holy Moly Holy Night」をリリースし、大きな話題を呼んだ。
▼ちゃんみな – I’m a Pop (Official Music Video)
▼ちゃんみな – Never Grow Up (Official Music Video)
▼ちゃんみな & SKY-HI – Holy Moly Holy Night (Dance Movie)
3rdアルバム『ハレンチ』を2021年にリリース。同年はSaweetie「Best Friend feat. Doja Cat, Jamie & CHANMINA」、ジェニーハイ「華奢なリップ feat.ちゃんみな」、AK-69「Racin’ feat.ちゃんみな」と国内外のアーティストとのフィーチャリングワークを展開する。2023年4月には4thアルバム『Naked』をリリースした。
▼Saweetie – Best Friend (feat. Doja Cat, Jamie & CHANMINA) [Official Lyric Video]
▼ジェニーハイ「華奢なリップ」feat.ちゃんみな
▼AK-69 「Racin’ feat. ちゃんみな」 (Official Video)
2024年には、ちゃんみながプロデューサー、SKY-HIがエグゼクティブプロデューサーとして関わるガールズグループオーディション番組『No No Girls』が始動。プロジェクトからは7人組ガールズユニット“HANA”が誕生。ちゃんみなは「ROSE」「Drop」などを含む、すべての楽曲プロデュースのみならず、ビジュアルなどを含むトータルプロデュースを手掛けている。
▼HANA / ROSE -Music Video-
▼HANA / Drop -Music Video-
■ちゃんみなの魅力を分析! Z世代を中心に支持される理由とは?
◎3ヶ国語を巧みに操るリリックとジャンルレスな音楽性
日本語/韓国語/英語の3ヶ国語によってリリックを構成するちゃんみな。各言語をシームレスに繋ぎ、その言語ならではの聴感特性をラップやヴォーカルに落とし込む構成が印象的だ。そのスタイルが顕著な「I’m a Pop」では、マルチリンガルなリリックと同時に、カテゴライズや形式よりも“自身の表現を追求する”というメッセージが強く込められ、様々な面においてちゃんみなの新たな一歩となった。
▼ちゃんみな – I’m a Pop (Official Music Video)
その意味でも、ちゃんみなの楽曲に通底するのは、“オリジナルであることの希求”だろう。“自分らしくあることと、それを肯定すること”は、多くの楽曲で表現されることであり、それを阻害したり、否定するような社会や構造を打破するような意識は、楽曲だけではなく、『No No Girls』プロジェクトにも通底していた。
▼THE AUDITION︱GIRLS GROUP AUDITION 2024「No No Girls」-Highlights-
◎唯一無二のセルフプロデュース力
リリックやメロディの制作はもちろん、外部プロデューサーを招聘した共同作業的なトラックメイク(これは特にアメリカの音楽シーンでは普通のことだ)など、音楽面に関して、ほぼすべての制作に自身が携わるちゃんみな。そういったSSW(シンガーソングライター)的なアプローチに加え、ライブの構成や演出、ダンスのコレオグラフィ、アートワークやメイクなどビジュアル面に関しても自身が紡いだイメージを全面に押し出すことで、“ちゃんみなというアート”が生み出されていく。
そしてそのインパクトやパワフルさに惹かれるリスナーも多いだろう。いっぽうで、ちゃんみな楽曲の歌詞に垣間見られるナイーブさや、ある種の“弱さ”からは、そういったセルフプロデュースは一種の“鎧”であり、自分を、そしてリスナーを護るものだとも感じさせる。だからこそ、ちゃんみなのプロデュースには、“強さ”と“優しさ”の共存を感じるのかもしれない。
◎圧倒的な表現力
現行のポップスからダンスチューンを中心に、バラード、ロック、昭和歌謡と、非常にバラエティに富んだサウンド性を提示するちゃんみな。また、そのボーカルスタイルも、ラップや歌、その中間のようなフロウなど、バリエーションは非常に豊かであり、発声や声質自体も(ちゃんみな独特の声質はありつつも)、数々のパターンを持っている。その意味でも、その“表現力の多様性こそがちゃんみなのシグネチャー”だと言えるだろう。
また、妊娠によって大きくなったお腹も映像の中で印象的な要素となった「NG」や、ルネサンス調のヘアスタイルと現代的なファッションを織り交ぜたスタイルが印象的な「B級」、3分間という短い時間にスカイダイビング(!)や大物ゲストとの濃い絡みなどシチュエーションを6つも詰め込んだ最新楽曲「WORK HARD」、センチメンタルな映像で構成された「太陽」など、表現のアプローチも多彩の一言。
▼ちゃんみな – NG (Official Music Video) –
▼ちゃんみな – B級(B-List) Official Music Video
▼ちゃんみな – WORK HARD (Official Music Video)
▼ちゃんみな – 太陽 (Official Music Video) –
■【独占写真有】『THE FIRST TAKE』で披露した「SAD SONG」
これまでにも「美人」や「ハレンチ」を『THE FIRST TAKE』で披露してきたちゃんみな。そして新たに収録されたのが「SAD SONG」だ。
▼ちゃんみな – SAD SONG/ THE FIRST TAKE
この曲は、2019年のアルバム『NEVER GROW UP』の初回限定版にのみ収録され、人気曲にも関わらず、ちゃんみなのディスコグラフィの中でも比較的視聴のハードルが高かった。しかし2025年1月11日に行われた『No No Girls』の最終オーディションで、最終選考に残った10人とちゃんみなによって披露され、同日にサブスクでも解禁。改めて注目を集めることになった。
登場するとモニターの前の視聴者に手を振るちゃんみな。この曲が制作された当時を振り返り、その時の自分の感情と、『No No Girls』でのオーディションを重ね合わせ、「この曲がまたほかの形で色がついて咲いたことにすごく感謝をしております」と話す。
そして『No No Girls』を通してHANAとしてデビューした7人に加え、最終選考に残った3人、そしてちゃんみなが加わった11人でのパフォーマンスがスタート。原曲では中盤以降ロッキッシュに展開した音像も、バラード調にリアレンジされ、丁寧かつエモーショナルに歌い上げられる11人のボーカルによって、よりドラマティックな色合いを見せる。また、手を取り合って歌う11人の姿と、この曲の歌詞によって、ここで生まれた絆は切れないことが表現され、非常に感動的な映像になっている。
■ちゃんみなの世界観にハマる!人気曲5選
「命日」
2023年8月17日リリース。テレビ朝日系木曜ドラマ『ハヤブサ消防団』主題歌。任侠映画〜Vシネマ的なアプローチの構成やストーリー、渋いカラーグレーディングを含め、映画のようなMVとなっており、そこでちゃんみなは“姉御”的なキャラクターを演じている。ビートはディスコティックだが、そこに乗るメロディは昭和歌謡的なアプローチを感じさせる構成。歌詞にある“二十四、五、六は溶けやすいだろう”も、昭和歌謡の名曲である藤圭子「圭子の夢は夜ひらく」の“十五、十六、十七と”へのオマージュかも知れない。
「B級」
この曲の主人公は、意中の相手が自分ではなく、別の誰かと恋をしている/付き合っていることに対して、“そんな奴より自分の方がもっといいのに”という思いが止められず、その相手を貶める妄想やイメージを広げ、“She just B but I’m an S”She is B級”と口撃していく。しかし、「そのB級と思っている人間と付き合っている、想い人もB級なのでは?」という論理展開と、MVでは「そうやって思っている自分こそB級でした」というオチに着地。物語としての面白さと同時に、“僻み嫉みではなく、自分の心を磨く方が大事”という寓話的な構造も興味深い。
「美人」
“美”という価値観について歌った一曲。そして美を通して“世界中を懲らしめたい”という願望が前半パートに登場するが、そこに明確な主語はない。しかし、後半に入ると、その主語はちゃんみなであり、彼女自身がデビュー当時に受けた、ルッキズムに基づいた誹謗中傷に対する復讐だったということが判明する。そしてラストは“あなたこそダイヤ美しい(あの彼女を助けなさい)”と、“美”という価値判断を他人に委ねず、自分の価値を信じろというメッセージに結実する力強さに感動を覚える。この曲が歌われた動機も本人が解説する『THE FIRST TAKE』バージョンでのバンドアレンジも印象的。
「ハレンチ」
2021年10月13日リリースのアルバム『ハレンチ』のタイトル曲。昭和歌謡、ジャズ、ディスコなど様々なジャンルを越境したトラックは、ちゃんみなの音楽性の豊かさを感じさせる。いっぽうでリリックの内容は抽象性が高く、彼女自身のマインドとも、誰かに向けての言葉とも取れる幅の広さがあり、リスナーがどのように受け取るかの自由度が担保されている。『THE FIRST TAKE』ではストリングスや生楽器の配分が強く、よりオーガニックなサウンドになっている。リリースの2日後には日本武道館にて『THE PRINCESS PROJECT – FINAL -』が行われ、武道館アーティストという称号を獲得することになる。
「Never Grow Up」
2019年8月7日リリースの同名アルバムのリード曲。FODオリジナル連続ドラマ『地獄のガールフレンド』主題歌。ビートはトロピカル・ハウス調のリズムで構成され、センチメンタルなトラックが印象に残る。テーマとしては恋人やパートナーとの別れを語るいわゆる“わかれうた”である。しかし同時に『ピーター・パン』を意識したリリックから感じられるのは、これが“子供時代を終わらせなければいけないという思い”と“その過去への感謝”といった、ちゃんみなの“次のステップへ進む意思”が、“別れの情景”に仮託されてることが興味深い。
■ちゃんみなの最新情報をチェック!
アーティストとしての側面に加え、プロデューサーとしても才能を開花させ、新たな活躍を期待させられるちゃんみな。今後の動向にも注目が集まる。
TEXT BY 高木”JET”晋一郎
▼ちゃんみな最新情報はこちら
https://www.thefirsttimes.jp/keywords/124/


