昨年10月にリリースした「Bunny Girl」が、ストリーミング累積再生数1億回を突破(※2025年5月現在)。18歳のシンガーソングライター・AKASAKI(あかさき)。
16歳で音楽活動を始めるや、1年後にTikTokに投稿したオリジナル曲「弾きこもり」がバイラルヒット。「Bunny Girl」のヒットで、その名を世に広めた彼。本稿では「Bunny Girl」の歌詞を考察するとともに、AKASAKIの魅力に迫る。
■「Bunny Girl」とは?
・歌唱/作詞/作曲:AKASAKI
・編曲:DAIKII(AWSM.)
・発売⽇:2024年10⽉2⽇配信リリース
・Streaming / DL:https://lnk.to/aksk_4th
・Animation: ささかの
・Video: わせぶ
・Mix / Mastering: さぶろう
◎公開からリリースまでの流れ
「Bunny Girl」は、シンガーソングライター・AKASAKIが、2024年10月2日に配信リリースした楽曲。
同年7月に自室で撮影した映像で、この曲のサビ部分を披露する30秒ほどの動画をTikTokに公開すると、「早くフル聴きたい!」とコメントが殺到。リスナーの期待が大いに高まる中、満を持してのリリースとなった。
@akasaki_0727 「bunny girl」という曲です#オリジナル曲 #作詞作曲 #バズれ #AKASAKI ♬ Bunny Girl – AKASAKI
◎SNSでのバズ
TikTok公式アカウントでのオリジナル投稿が、5,000万再生を超えるAKASAKI。
公式アカウントでの楽曲先行公開や積極的な宣伝効果でSNSからバズを起こし、リリース後はリリックビデオや“Acoustic Boat 1st take”と名付けたアコースティック版動画を公開するなど、ストリーミングも効果的に利用。
自身の発信力でムーブメントを生み出したのは、「Bunny Girl」のヒットの特徴。
▼【AKASAKI】Bunny Girl / バニーガール – Acoustic Boat 1st take
◎「Bunny Girl」の記録、受賞歴など
2024年10月にリリースされるや否や、『Spotify国内Top50』で1位を獲得。AKASAKIがTikTok|Spotifyの『BuzzTracker Monthly Artists』に選出され、BuzTrackerプレイリストに楽曲が選出。
『Billboard JAPAN Hot 100』、オリコン・ストリーミングチャートではじわじわとチャートを上げ、最高位4位を記録。リリックビデオも初週から200万再生に近づき、国内YouTubeランキング上位を獲得。YouTube Music Videoチャートにて1位を獲得。
リリースから4ヶ月を過ぎた2025年3月、累計1億回のストリーミング再生を達成した。
◎サウンド
サビメロが映え、気持ちを高揚させるカッティングギターとクラップから、夜の始まりを想像させる軽快かつムーディーなサウンドで始まるこの曲。
リバーブがかったサウンドがレトロで怪しげな雰囲気を演出し、聴き進めるほどに楽曲世界の奥底へと誘ってくれる。
昭和歌謡を彷彿とする耳に残るメロディと、ボカロやDTMを経由した令和ポップが心地よく入り交じる楽曲が10~20代には新鮮に聴こえ、30代以上にはどこか懐かしく響く。
◎MV
仄暗いバーでキャッチーなサビメロに合わせて、バニーガールが踊るうさみみダンスで始まるリリックビデオ。
陰鬱な表情を浮かべてカウンターに座り突っ伏してしまう主人公と、“自分勝手に縋って”の歌詞通りただただ優しく見守るバニーガール。
楽曲中盤、酒を煽り、涙をこぼす主人公の気持ちを察するように、顔を近づけてなにやら耳打ちするバニーガール。するとミラーボールが回りだし、心を開放されたように主人公が踊りだす。
ラストカットは、他の男と肩を寄せるバニーガールの意味深な笑顔で終わる今作。ひと夜の夢を見ているような魅惑的なアニメが、ダークで怪しげな歌詞とマッチ。楽曲の世界観にどっぷり浸れるMVとなっている。
■「Bunny Girl」歌詞考察
Bunny Girl
作詞:AKASAKI
作曲:AKASAKI
編曲:DAIKII(AWSM.)夜の始まりさ Bunny Girl 誘惑される鼓動に
弾け飛ぶ葛藤に愛を乾杯 伝えられなくても
恋の始まりさ Bunny Girl 誰かを穿って
澄んだ君の目を 孕んでさあ キザなステップを刻んで
仕事帰りの疲れは 私と、このグラスに
さあ 自分好みに縋って
世間に対する気持ち 私に注いでみない?ありがちなラブソングでも 愛が込められてるの
それでも汚れるのね 君を見れば分かるの
下を向く君の目を 無理矢理剥ごうとはしない
だからそんな顔せず手を差し伸べて
ほら夜の始まりさ Bunny Girl 誘惑される鼓動に
弾け飛ぶ葛藤に愛を乾杯 伝えられなくても
恋の始まりさ Bunny Girl 誰かを穿って
澄んだ君の目を 孕んで君の愛を知った気で ハイになっていて
感度去っていて 毎度泣いていてさ
それくらいがいいんでしょさあ キザなステップを刻んで
君の顔色今では マシになってきてるから君に委ねるわ Bunny Girl
私をあげるわ Bunny Girl 誘惑される鼓動に
弾け飛ぶ葛藤に愛を乾杯 伝えられてるはず
夜の始まりさ Bunny Girl 誰かを穿って
澄んだ君の目を 孕んで
キャッチーなメロディに乗せた“夜の始まりさBunny Girl”というフレーズで始まるように、この曲の舞台は夜。そして、主人公(私)はバニーガール。
「Bunny Girl」の歌詞で描かれるのは、心惑わせる夜の誘惑や君に対する想い。そして、そこにある主人公の矛盾や葛藤といった心の揺れ動き。
若干18歳、まだ高校生だったAKASAKIが、そんな設定で描く歌詞の世界観に驚かされていると、サビ始まりの冒頭部分、“誰かを穿って”や“澄んだ君の目を 孕んで”といった日常ではあまり使わない言葉が引っかかりを与え、リスナーの興味を誘う。
「Bunny Girl」がバズった理由のひとつとして、冒頭の思わず口ずさみたくなる印象的なサビメロとフレーズ、そして、「え、どういうこと!?」と思わせる設定や言葉のフックがあることは間違いないだろう。
興味津々に歌詞を読み進めて行くと、“仕事帰りの疲れ”や“世間に対する気持ち”を私に注いでみない? と促し、客=君の癒やしになりたいと献身的な気持ちを見せる主人公。
“下を向く君の目を 無理やり剥ごうとはしない”の歌詞は、突っ伏したままの君をただただ優しく見守る、リリックビデオにおける彼女の表情を重ねると分かりやすいが、なんの感情もなく、あくまでも客の一人として対応してるわけではないことがよく分かる。
そこにあるのはプロ意識なのか? それとも君への恋心なのか? 主人公の本心が見えないままサビに突入すると、冒頭に出てきた“恋の始まりさ”のフレーズが、また違った意味に聴こえてくるから不思議。
“誘惑される鼓動”、“弾け飛ぶ葛藤”と、揺れ動く心を描くサビ部分では、主人公の本心がまだ読めないが。“君の愛を知った気で ハイになっていて”と綴る2番に入ると、バニーガールが君の愛に気づいているし、それがまんざらでもないことがよく分かる。
“感度去っていて”、“毎度泣いていてさ”と韻を踏みながら、“それくらいがちょうどいいんでしょ”と強がる彼女の態度から見えてくるのは、冷静でいようとする自分と本気になってる自分の葛藤。
そして、楽曲終盤。主人公の献身的な気持ちが伝わったのか、今ではマシになってきた君に、“君に委ねるわ”、“私をあげるわ”と気持ちを預ける主人公だが。<誰かを穿って”とそれでも疑ってかかり、“澄んだ君の目を 孕んで”と心に宿した主人公の本音は結局、知ることが出来ず。二人の恋の行方も分からないまま、楽曲は終わっていく――。
この曲の面白いところは、実体験を描いたリアルな世界観ではなく、あくまでも創作であるところ。創作であるがゆえ、リスナーは想像力を掻き立てられ、主人公や君の気持ちや二人の関係性を勝手に妄想する。
バニーガールの本音は? この恋は純粋なものなのか? 二人の恋は成就するのか? そこに答えなんて無くて良い。大事なのは、聴く人それぞれが想像する隙があるということなのだ。
「Bunny Girl」は世代や性別も関係なく、どっぷり浸れる世界観が構築出来ているからこそ、たくさんの人に聴かれる曲になったのだろう。
■AKASAKIはどんなアーティストなのか?
AKASAKI(読み:あかさき)
・OFFICIAL SITE https://akasaki.red/
・Instagram https://www.instagram.com/akasaki_0727
・YouTube @AKASAKI_0727
・TikTok https://www.tiktok.com/@akasaki_0727
・X(旧Twitter) @akasaki_0727
現在18歳(2025年5月現在)。今年3月に高校を卒業して、大学生シンガーソングライターとして活動する、AKASAKI。
16歳で音楽を始め、2023年9月に「曲名を下さい」と、TikTokにオリジナル曲の弾き語り動画を初投稿(同曲は2024年11月、「今夜は君と」のタイトルで配信リリース)。シンガーソングライターとしての活動を本格スタートする。
@akasaki_0727 曲名ください#作詞作曲 #オリジナル曲 #06 ♬ オリジナル楽曲 – アカサキ – AKASAKI(18)
▼【AKASAKI】今夜は君と / Tonight With You(Lyric Video)
2024年4月、1stシングル「弾きこもり」を配信リリースし、アーティストとしてデビュー。同年7月にTikTokで動画を公開し、10月に配信リリースした「Bunny Girl」がバイラルヒット。
▼【AKASAKI】弾きこもり / Hikikomori(Lyric Video)
2025年には、『RADAR: Early Noise 2025』、バズリズム『2025年にブレイク必至のアーティスト』TOP 10、EIGHT-JAM『2024年マイベスト10』に選出されるなど、業界最注目のアーティストとして、その名を広める。
2025年3月、高校卒業。卒業後、音楽の道に進むことを認めてもらうため、高校時代のうちに結果を出すと両親に約束していたというAKASAKI。
4月にYouTubeに公開されている「Bunny Girl」の字幕を通じて、“音楽活動を続けることを、両親に認めてもらえました!(これは本当にうれしい、、)”とファンに報告。同じく字幕で“僕の目標は、日本を代表するアーティストになって、世界の舞台で活躍することです”と力強く宣言した。
TikTokのバズを通じて、自身の楽曲とその名を広めていったAKASAKI。SNSから配信リリース、そしてストリーミングへと波及させ、その現象に気付いたメディアがさらに拡散するという経路はネットカルチャーとの親和性が高く、計画的にさえ見えるが。
「TikTokを始めたら、何かが変わるかもしれない」とSNSの投稿を始め、必死に発信し続けた結果「Bunny Girl」のバイラルヒットに繋がったという事実の根底にあるのは、“高校卒業後も音楽活動を続けたい。そのため世の中に認められたい”というAKASAKIの熱く純粋な思いであるというのも応援したくなるところ。
また当然ながら、キラリ光るセンスや独創性、10代とは思えない高い音楽性も注目される理由。昭和歌謡やシティポップを彷彿とさせるどこか懐かしいメロディと、多彩な音楽を取り入れた令和的なDTMサウンドを融合。
リアルとフィクションを巧みに使い分け、独特な言語センスで表現するリリックも面白く、独創的かつ世代や性別を越えた幅広い層から指示される要素を多分に含んだ楽曲たちは、ここからさらに多くの人たちに支持され、愛されていくことだろう。
■AKASAKIをもっと知るなら!注目曲5選
「弾きこもり」
TikTokへの自身の投稿がバイラルヒットを生み、TikTokで700万回再生、YouTubeで470万回再生を記録。AKASAKIのデビュー曲であり、彼らの名を世に広めるキッカケとなったこの曲。
軽快でダンサブルなサウンドとビートに乗せた、耳障りの良い歌声とメロディラインは中毒性があり、何度もリピートしたくなるのがヒットの理由なのだろう。
ダンスホールを想像させるおしゃれなトラックとは裏腹に、歌詞で描くのは自身の部屋で弾きこもり音楽を創る少年の姿。“ちょいとばかり息苦しいから 夢の中で歩くのさ”のフレーズに、現代の若者の本音が見える。
「夏実」
「弾きこもり」から5ヶ月、2024年9月にリリースされた楽曲は、タイトル通り、夏を歌った切ないラブソング。
“酸っぱい果実に誘われたの”とタイトルにちなんだフレーズから、“あの八月に奪われたの 君と僕の思いで”と、君との恋が終わったことを想像させる冒頭部分。
やるせない気持ちを抱え、君の記憶をたどる主人公だが。曲を聴き進めていくと、“まだ生きているかのように”と君がこの世にいないことに気付かされ、ハッとする。
フィクションを描いた歌詞世界や切なさを帯びた歌声に、「弾きこもり」とは異なる魅力や側面が見える楽曲。
「ルーツ」
2024年12月リリース。桐谷美玲出演のホームメイトCMソングにも起用されたこの曲。
昭和歌謡を現代風に調理した感のメロディやサウンド、夜の街を想起する魅惑的な雰囲気は、「Bunny Girl」を推し進めた印象。AKASAKIの色気ある歌声や裏声も聴きどころ。
歌詞に描くのは、儚くも美しい主人公とあなたの恋物語。“ため息なんていらなくて ひたすら踊り明かして”と歌う、煌びやかなライトに包まれた二人の関係は刹那的だからこそ美しい。
「爆速論理ness」
2025年4月リリース。疾走感あるバンドサウンドが、これまでの楽曲とまた異なる表情を見せてくれる楽曲。
ライブ映えしそうな歌や曲調は3月に1stワンマンも行った、ライブの経験が影響しているのでは?
軽快な曲調に乗せて気だるげに歌うこの曲のリリックは、ノリ重視でナンセンスにも聞こえるが、「論理ness=ロンリネス」のタイトルからも、“孤独との戦い”がテーマでは?と推測する。
意味不明な歌詞にさえ、言葉選びのセンスの良さが光るからスゴい。
「徘徊 / HAIKAI」
2025年4月リリース。シティポップ調のおしゃれなトラックに乗せて歌うのは、“夜の徘徊”と始まる、夜の世界。
“夜”や“夜の街”を題材とした楽曲はこれまでもあったが、“目まぐるしくときめく ワンダーランド”とドキドキワクワクするような、心躍るテンション感で夜を表現したのは初めての試み。
創作意欲を掻き立てられるのか? 大人への憧れか? 夜の街やお酒が出てくる曲の多いAKASAKI。様々な様相を見せる夜の街が、同じ世界線で繋がっているようにも感じるのも、彼の楽曲の面白さのひとつ。
■今後のAKASAKIに注目
無事、高校卒業後も音楽を続けられることとなり、2025年もコンスタントに新曲をリリースしているAKASAKI。2025年6月11日には大学生活という新しい環境で生まれた新曲「全身前礼」が配信開始。更にはアニメ『ALL YOU NEED IS KILL』にて初のアニメ主題歌を担当することも発表されている。
また、7月には自身初の東名阪ツアー『AKASAKI 18歳 LAST LIVE『一か八か』』も開催。ツアーを経験し、さらに成長したAKASAKIの姿にも期待したい。
TEXT BY フジジュン
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https://www.thefirsttimes.jp/keywords/12815/