最新映画『劇場版「鬼滅の刃」無限城編第一章猗窩座再来』も公開し、社会現象を巻き起こし続けている大人気アニメ『鬼滅の刃』。作品の世界観を彩っている主題歌・挿入歌の数々を紹介。
■「太陽が昇らない世界 – A World Where the Sun Never Rises」Aimer
『劇場版「鬼滅の刃」無限城編 第一章 猗窩座再来』主題歌
鬼殺隊の本部・産屋敷邸に現れた鬼舞辻󠄀無惨。無限城での最終決戦へと向かう炭治郎、柱の面々……序盤から片時も目を離せない『無限城編』のシーンの数々が聴くだけで甦る。
苛烈な戦いへと身を投じるキャラクターたちの心情を体現しているAimerの歌声が鮮烈。緊迫感を醸し出すマイナーキーが基調だが、一瞬だけメジャーへ転調するのは、キャラクターたちの心の奥底にある想いが垣間見える気がする部分。
細かな部分に着目しながら考察するのをおすすめしたい。
■「残酷な夜に輝け – Shine in the Cruel Night」LiSA
『劇場版「鬼滅の刃」無限城編 第一章 猗窩座再来』主題歌
LiSA×梶浦由記(作詞・作編曲)のタッグは、やはり『鬼滅の刃』に欠かせない。『無限城編』のストーリーと地続きとも言うべきこの曲の素晴らしさは、劇場に足を運んだ人ならばよく知っているはず。
深い悲しみ、絶望的な状況の真っ只中にいる鬼殺隊が希望を懸命に探しながら前に進もうとしている姿がまざまざと伝わってくる。そして、『無限城編 第一章』の重要キャラクター・猗窩座とリンクすると解釈できそうな箇所があるのも大きな魅力だ。
聴く度に名シーン、胸を打つセリフがよみがえり、感動を深めてくれる。
■「夢幻」MY FIRST STORY × HYDE
『テレビアニメ「鬼滅の刃」柱稽古編』オープニングテーマ
MY FIRST STORYと音楽クリエイター集団・CHIMERAZが作詞・作曲・編曲を担当。HiroとHYDEが交わす歌声は、多彩な表情を浮かべながらリスナーに迫る。
“お館様”こと産屋敷耀哉と鬼舞辻無惨、両者の心情を重ねながら向き合うと、『柱稽古編』以降も怒涛の展開を迎えるストーリーとリンクする要素をたくさん見つけられる。“永遠の意味 知らぬ君に 答えを示す時だ 夢幻に続く螺旋の先へ”は、非常に重要なフレーズ。
『柱稽古編』の全話を観ると、込められた意味の深さを実感できる。
■「永久 -トコシエ-」HYDE × MY FIRST STORY
『テレビアニメ「鬼滅の刃」柱稽古編』エンディングテーマ
HYDE×MY FIRST STORY+梶浦由記による作詞・作曲・編曲という夢のコラボレーション。鬼舞辻無惨の想いをHYDEの歌を通じて生々しく体感できる。産屋敷耀哉を表現しているHiroとの歌の交わし合いが、両者の背負っている宿命、相容れない信条を奥行き深く浮き彫りにしていく。
あらわにされる対立構造は、『鬼滅の刃』の世界全体を構築する重要な要素だ。「永久 -トコシエ-」をじっくり味わうと、『柱稽古編』以降へのストーリーへの期待も自ずと高まる。
■「勝利の鳴動 〜絆ノ奇跡 & 竈門禰豆子のうたREMIX〜」MAN WITH A MISSION/milet/椎名豪
『ワールドツアー上映「鬼滅の刃」絆の奇跡、そして柱稽古へ』スペシャルエンディングテーマ
『刀鍛冶の里編』第11話の劇場初上映+『柱稽古編』第1話の初公開となった『ワールドツアー上映「鬼滅の刃」絆の奇跡、そして柱稽古へ』のために制作された楽曲。
MAN WITH A MISSION×miletによる『鍛冶の里編』オープニングテーマ「絆ノ奇跡」、『刀鍛冶の里編』第11話の挿入歌「竈門禰豆子のうた」を『鬼滅の刃』の劇伴を手掛けている椎名豪がリミックス。
両曲のメロディはもちろん、盛り込まれている様々な音色もこれまでに辿ってきたストーリーの軌跡を思い出させてくれる。
■「絆ノ奇跡」MAN WITH A MISSION/milet
『テレビアニメ「鬼滅の刃」刀鍛冶の里編』オープニングテーマ
雄々しく交わされる歌声とロックサウンドと和テイストの音色の併せ技が、『刀鍛冶の里編』のオープニングをドラマチックに彩った「絆ノ奇跡」。
絶望的な状況のなかでも希望を決して捨てない姿、互いの信念を示し合うことから生まれる真の理解、たとえ力尽きることがあったとしても誰かに託されていく理想をイメージさせてくれる。
『鬼滅の刃』のストーリーと絶妙にリンクしているが、心を熱く鼓舞してくれるエールソングとして受け止めているリスナーもたくさんいるはず。
■「コイコガレ」milet/MAN WITH A MISSION
『テレビアニメ「鬼滅の刃」刀鍛冶の里編』エンディングテーマ
miletとMAN WITH A MISSIONによるコラボレーション楽曲を手掛けたのは梶浦由記。MAN WITH A MISSIONのバンドアレンジによって爽やかなメロディが力強く彩られている。聴いていると自ずと思い浮かぶのは、恋柱・甘露寺蜜璃の姿。
タイトルの「コイコガレ」にも表れているとおり、モチーフとなっているのは “恋”だ。愛する人の存在、恋焦がれる心から生まれる強さが描写されている。勇壮な響きの音楽が多い『鬼滅の刃』だが、穏やかなトーンが色濃く醸し出されているのが独特。
■「竈門禰豆子のうた feat.中川奈美」椎名 豪
『テレビアニメ「鬼滅の刃」刀鍛冶の里編』第11話 挿入歌
長く続いた戦いの末、ついに半天狗を倒した炭治郎。しかし、夜が明けて降り注ぐ朝陽が禰豆子を容赦なく包む…勝利のために理不尽な選択を迫られた炭治郎が膝をついて慟哭する『刀鍛冶の里編』第11話。
ショッキングな描写の直後、太陽を克服した禰豆子が立ち上がるシーンで流れるのが「竈門禰豆子のうた」。この曲を聴くと、忘れられないあの場面の記憶が鮮明によみがえる。童謡に通ずる素朴なメロディが誘う郷愁、安らぎと優しさに満ちた歌声が感動を深めてくれた。
■「残響散歌」Aimer
『テレビアニメ「鬼滅の刃」遊郭編』オープニングテーマ
Aimerの低音を効かせた歌が全編でダイナミックに躍動する「残響散歌」。力技で押しきるのではなく、抑制する瞬間も随所で交える歌唱が底知れぬエネルギーを湛えている。効果的な瞬間に全開となる歌声は、鍛え抜かれた精神と肉体から繰り出される必殺の一撃のよう。
ビッグバンドジャズ的な要素が添加されたサウンドは全体的に華やかで、夜の世界の遊郭をイメージさせる。派手好きな音柱・宇髄天元を彷彿とさせることも含めて、『遊郭編』の世界が鮮やかに凝縮された曲だ。
■「朝が来る」Aimer
『テレビアニメ「鬼滅の刃」遊郭編』エンディングテーマ
劇伴、「from the edge」、「無限列車編」の「炎」「明け星」「白銀」を手掛けてきた梶浦由記が作詞・作曲・編曲。『鬼滅の刃』を音で表現する達人から託された世界をAimerが見事に躍動させている。夜明け前の描写の数々がとても美しい。
歌詞の一節“失うことで堕ちて行くか それとも光を追いかけるか”は、炭治郎が向き合ってきた選択そのものだろう。失った人々の想いを大切にしながら前に進む彼の姿が思い浮かぶ。『遊郭編』に至るまでの日々も「朝が来る」には深く刻まれている。
■「明け星」LiSA
『テレビアニメ「鬼滅の刃」無限列車編』オープニングテーマ
『無限列車編』を彩った3曲の歌唱を担当したLiSA。テレビアニメの幕開けを雄大に飾ったのが「明け星」だった。
エネルギッシュに躍動する曲だが、どことなくエキゾチックな風味のメロディが、複雑に揺れ動く心情をイメージさせる。ともすれば絶望の側へと誘い、不安を募らせることを後押しするのが真夜中だ。
そんな時間帯を過ごすなかで懸命に活路を見出して前に進もうとする姿がイメージできる。まだ闇に包まれている空に浮かぶ「明け星」は、希望の象徴だと言えよう。
■「白銀」LiSA
『テレビアニメ「鬼滅の刃」無限列車編』エンディングテーマ
テレビアニメ「無限列車編」のオープニングテーマ「明け星」とエンディングテーマ「白銀」。
この2曲のコントラストは、ストーリーの展開をとおして生まれた変化を体感させてくれる。不安や迷いが入り混じっているのを感じる「明け星」に対して、「白銀」に満ち溢れているのは力強さ。残酷な現実や試練を乗り越えて手にした覚悟をまっすぐに伝えてくれる。
歌詞に出てくる“僕ら”とは、 炭治郎、善逸、伊之助のことなのだろう。炎柱・煉獄杏寿郎が身をもって教えたことの大きさも伝わってくる。
■「炎」LiSA
『劇場版「鬼滅の刃」無限列車編』主題歌
『無限列車編』を初めて観たとき、“炎”が胸に沁み渡ったのを思い出せる人は多いはず。この曲は、ストーリーの余韻をとても深めてくれた。歌い出しの“さよなら ありがとう”は、煉獄杏寿郎との別れに対する言葉。呼びかける“僕”は、おそらく炭治郎なのだろう。
かけがえのない出会い、共に過ごした時間、教えてもらったことの大きさが伝わってくる。命を落とした者の想いが誰かに託されていく様を『鬼滅の刃』はさまざまな形で描いている。作品の大切な本質は、この曲にも刻まれているのだ。
■「紅蓮華」LiSA
『テレビアニメ「鬼滅の刃」竈門炭治郎 立志編』オープニングテーマ
テレビアニメ『鬼滅の刃』の第1期のオープニングを飾った「紅蓮華」の存在感は、やはりとても大きい。“この作品の象徴的な1曲”と称しても、おそらく異論を唱える人はほぼいないだろう。
少年のような凛々しさを帯びているLiSAの歌声は、炭治郎の姿と鮮やかに重なる。深い悲しみと絶望を乗り越え、未来へと進む決意を描いた歌詞は、若々しいエネルギーの塊だ。
成長し続ける炭治郎の原点にある想いを体感できるという意味でも、この曲は何度も聴きたくなる。
■「from the edge」FictionJunction feat. LiSA
『テレビアニメ「鬼滅の刃」竈門炭治郎 立志編』エンディグテーマ
“FictionJunction feat. LiSA”名義によるエンディングテーマ。楽曲を手掛けた梶浦由記ならではの作風とも言うべき多彩なハーモニー、起伏に富んだ展開、壮大なメロディがリスナーの胸を激しく打つ。
エネルギッシュなエレキギターが添加されたロックテイストのサウンドでありつつも、ミサ曲や交響曲などにも通ずるクラシカルなテイストもかなり色濃い。
多彩な要素が融合したサウンドを乗りこなしながら響かせるLiSAの歌声が、炭治郎の立志の背景にある様々な想いを映し出してくれる。
■「竈門炭治郎のうた feat.中川奈美」椎名 豪
『テレビアニメ「鬼滅の刃」竈門炭治郎 立志編』第19話 挿入歌
第19話『ヒノカミ』のクライマックスのシーンを彩った「竈門炭治郎のうた」。作曲したのは『鬼滅の刃』の劇伴を手掛けている椎名豪。ピアノを基調とした伴奏を経て響き渡るオーケストラアレンジのサウンドが清らかで美しい。
繰り返される“守るものがある”は、炭治郎の不屈の姿勢の根幹にあるものを示す。歌唱を担当している中川奈美は、『鬼滅の刃』の劇伴の中で様々な合唱のコーラスや声を担当。
作品の空気感を支えるシンガーの歌を堪能できるのも、この曲の大きな魅力だ。
■主題歌とともに作品を堪能しよう
『鬼滅の刃』の主題歌を聴くと胸が高鳴る。登場するキャラクターたちの心情が伝わってくるのも大きな魅力だ。紹介した各曲を繰り返し聴きながら、作品への愛をぜひ深めてほしい。
■『鬼滅の刃』公式プレイリストもチェック
Spotifyと『劇場版「鬼滅の刃」無限城編 第一章 猗座再来』とのコラボレーションで、主題歌やサントラ、炭治郎からのスペシャルメッセージなどが楽しめる「無限プレイリスト」が公開中。
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