実の双子である、みらい(兄)とりょうま(弟)による、現役大学アーティスト・HALVES(ハーヴス)。彼らが発表した「嫌々」「ウェルテル」といった楽曲がバイラルヒットを生み、若い世代を中心にリスナーの共感を集めている。
本コラムではそんな楽曲の歌詞の意味を紐解き、HALVESの人気の理由に迫る。
■双子で活動中!HALVES(ハーヴス)とは何者なのか?
HALVES(読み:ハーヴス)
・メンバー:みらい(兄/アートワーク)、りょうま(弟/音楽)
・初投稿:2022年10月1日
【HALVES OFFICIAL SNS】
YouTube @HALVES_GHOST
X @HALVES_GHOST
Instagram @halves_ghost
TikTok @halves83
公式LINE @HALVES
【みらい(兄)OFFICIAL SNS】
X @HALVES_MIRAI
Instagram @halves_mirai
TikTok @halves_mirai
【りょうま(弟)OFFICIAL SNS】
Instagram @halves_ryoma
TikTok @halves_ryoma
◎双子で活動する、新世代アーティスト・HALVES
双子のみらい(兄)とりょうま(弟)による、現役大学生の新世代アーティスト、HALVES。みらいがアートワーク、りょうまが楽曲制作を担当し、楽曲に加えてビジュアルからも訴えかけてくる作品作りが彼らの特徴であり、最大の武器。
2022年10月1日、TikTokにみらいが油絵でおばけのオリジナルキャラクターを描き、りょうまがオリジナル曲を歌うショート動画を投稿したことをきっかけに、キャリアをスタート。
@halves83 双子で兄は油絵を、弟は歌を作りました!#オリジナル曲 #dtm #オリジナルキャラクター#油絵#アニメーション #バズれ
2024年1月からは毎月配信を行い、2025年8月現在までに全11曲を配信。広告やタイアップに頼らず、口コミやSNSを通じて楽曲の良さがじわじわと広がり、「嫌々」「ウェルテル」がバイラルヒット。
▼嫌々 / HALVES(Music Video)
▼ウェルテル / HALVES(Music Video)
顔出しは行っていないものの、Instagramでは自分たちの後ろ姿をとらえた写真や生活の一部をとらえた写真を投稿しており、ふたりの楽しげな日常を垣間見ることができる。
◎グループ名“HALVES”の意味は?
グループ名のHALVESについては、“「ハーヴス」と読みます”というXでの発言以外、意味や由来を明言していない。
しかし、HALVESが“half”の複数形で“半分”という意味を持つことから、双子であることやふたりでひとつであることを意味しているのでは? と推測ができる。
やぁみんな!
1つ伝えておきたいことがあるんだ!
HALVES👈の読み方について!これは「ハーヴス」と読むんだ。
いいか(ウ)に( ゛)だぞ!
別に ブ でもいいけど、正式には ヴ だ!
唇を軽く噛んで ヴ だ!
まぁ ブ でもいいんだけどね!
「ハーヴス」だ!よろしく!— HALVES (@HALVES_GHOST) January 31, 2025
◎楽曲を彩る、愛らしいキャラクターたち
MVやアーティスト写真にHALVES自身が登場することはなく、みらいの描くかわいいキャラクターで世界観を表現。
象徴的存在であるおばけ(WHINY GHOST)とドクロ(STUPID SKULL)を始めとした個性的なキャラクターたちが人気を集め、今年8月16日から8月24日まで、HALVES発のキャラクターをグッズ展開した『HALVES POP-UP』を東京・ヴィレッジヴァンガード渋谷本店にて開催。
この愛すべきキャラクターたちの今後にも期待が募る。
みんなおまたせ!
HALVES POP-UPの詳細です!📍場所:ヴィレッジヴァンガード(渋谷本店)
🗓️期間:8/16(土)~8/24(日)期間限定販売HALVESのアイテムは今はここでしか手に入らないから、ぜひ遊びに来てね!💀👻💣🔥#HALVES #ハーヴス #POPUP pic.twitter.com/FyeUZVt4ET
— HALVES (@HALVES_GHOST) August 10, 2025
◎カロリーメイトで初のタイアップが決定
また、8月20日配信リリースの新曲「3時のHey Yo!」が大塚製薬『カロリーメイト』のキャンペーン楽曲に起用。α世代と呼ばれる若い世代からの支持を受けて、大抜擢された今回のタイアップ。
“栄養”というテーマをポップスで表現した楽曲は、HALVESの存在や楽曲の良さをより広い層に届けるキッカケになりそうだ。
■1,000万回再生突破!「嫌々」とは?
・歌唱/作詞/作編曲:りょうま(弟)
・アートワーク:みらい(兄)
・発売日:2024年1月26日配信リリース
・Streaming/DL https://halves.lnk.to/unwillingly
「嫌々」がTikTokで初投稿されたのは2023年8月。その後、コメント欄やSNSでの反応がじわじわと増え、2024年1月26日に配信リリース。
@halves83
心地よいビート感とポップな曲調、過剰な抑揚のないシンプルなメロディ。淡々としたラップ調のボーカルで気だるそうに放たれる、意味深で語感の良い言葉たちが中毒性を高める。STUPID SKULLをフューチャーしたMVも、楽曲のポップさかつ無機質な印象にマッチしている。
配信リリース後、最初のブームが訪れたのは2024年7月頃。この楽曲を使用した映画名言切り抜きやアニメ切り抜き、ショートドラマがTikTokでバズったことをキッカケに、楽曲の認知度が一気に拡大。
さらに、2025年6月頃からはYouTubeでのHIKAKINの投稿やショートドラマ、さらに『フォートナイト』を始めとするゲームや、スポーツ・野球の切り抜き動画に多数使用されたことで、楽曲の再生数は爆発的に増加。
8月現在では、TikTokで「嫌々」の音源を使用するUGC(関連動画)の総再生回数が3億回を突破。YouTube ShortでのUGCも加速度的に増えているなか、「嫌々」MVの総再生回数も7月に1,000万回再生を突破し、1,300万回再生に迫る勢いで上昇。
α世代と呼ばれる中高生やZ世代の大学生男子から厚い支持を受けている「嫌々」。ゲームやアニメのショート動画との自然な接触を通じて、中毒性ある音楽と共感を生む鋭いリリックが10代男子の感性に刺さり、心を掴んだのでは? と推測される。
■【歌詞あり】「嫌々」歌詞考察
「嫌々」HALVES
作詞:りょうま
作曲:りょうま
編曲:りょうま
MUSIC VIDEO:みらい間違った罪悪感 残酷な心電図
最悪な夜に掛ける言葉もない
偏った人生観 鈍感な盲目夢
感情が夜に溶けることもないから独善的感情論 結局は定型文
簡単な訳は何も知らないから
優劣は予想通り 偽った診断名
鈍感な日々に騒ぎ出す異常な世界
感染性共感症 必要ないエゴ死生学
正解が何か探し出す暇もない
望まれていない問題 存在は失敗作
感覚が既に狂いだす悲惨な世界離れない散々な言われよう
あの夜に曖昧なステレオ
悲劇的感情に価値を
ありふれた狂気的ラジオ
繰り返す最低なシナリオ
あの罪に贅沢な罰を
吐き出した血迷うロザリオ
聞き飽きたその無駄な意味を被愛型未遂擁護 結局は利益重視
単純な訳は誰も言わないから
無意識の異常行動 期待度はもう最低値
全体の一部になりたがる異常な世界
先天性逃避願望 ご都合主義医学療法
絶望を理由にして隠す余裕もない
解釈は自分優位 偽善論の基準通り
病状がどうか知りたがる悲惨な世界叶わないどうせ自己嫌悪
この夜に重度拒否反応
知る由もない被害妄想
また僕は笑えないピエロ離れない散々な言われよう
あの夜に曖昧なステレオ
悲劇的感情に価値を
ありふれた狂気的ラジオ
繰り返す最低なシナリオ
あの罪に贅沢な罰を
吐き出した血迷うロザリオ
聞き飽きたその無駄な意味を決定打に欠ける愛は いつまでも試作段階
鮮明に見えた正解に異論は無い
襲い掛かる不安なんか 脳機能の仕組みだった
特別な日々と勘違いしていたようだ
現実は不満ばっか 理想像とのスキル格差
最悪な夜に掛ける言葉もない
能無しの傍観者 罵るのが精一杯
感情が夜に溶けることもないから
ポップな曲調とは裏腹に、ネガティブで意味深なワードが並ぶ「嫌々」の歌詞。歌詞全体のテーマとなっているのは“嫌なこと”。
現代社会を生きる人々や世の中に感じる疑問や不満や苛立ち…つまり、“嫌なことあるある”が詰め込まれている。
嫌なこともたくさんあるけど、どこかで折り合いをつけて共存していかなきゃいけないという苦悩や葛藤を描いている。タイトルにある“嫌々”のフレーズは出てこないが、“それでも生きていかざるを得ない”という諦めにも近い気持ちは“イヤイヤ”とも言い変えることができるのではないだろうか。
冒頭の歌詞《間違った罪悪感 残酷な心電図》と、さっそく嫌なことが始まる。
間違った罪悪感は背負うのも背負わせるのも嫌だし、死を連想させる残酷な心電図は想像するのも嫌だ。さらに歌詞は《最悪な夜に掛ける言葉もない》と続き、救いのない絶望まで与える。文字面で見たときはすごくネガティブなイメージを受け、真正面から受け止めたらズーンと落ち込んでしまいそうなフレーズだ。だか、ポップな曲調と淡々としたボーカル、耳心地良い語感を重視した言葉たちがそんな印象を中和して、スッと耳に飛び込んでくるから不思議。
また、《独善的感情論》といった、独自の言語表現を持つ造語もこの曲の特徴。“独善的感情論=他人の意見をまったく聞かず、自分の感情だけを優先した考え”といった感じで、既存の単語を組み合わせることによって、嫌なことの対象をより具体的にイメージさせる。
初めて聞く言葉なのに、脳がその意味を即座に理解して、聴く人に“あの人のことだ!”と、それに当てはまる人物や出来事を連想させる表現はHALVESの発明。
そしてサビ部分。《離れない散々な言われよう》と自身を卑下するような言葉で始まり、《あの夜に曖昧なステレオ》と続く歌詞に“この感じ、なんか知ってるな”と思い、ハッと気がついたのだが…。この曲、寝る前の頭の中を再現しているのではないだろうか…? 夜寝る前、部屋を暗くして曖昧なステレオを流しながら目をつぶって、今日一日のことを自然と振り返る。そういうときに頭に浮かぶのは大抵、良いことよりも悪いこと。こんな嫌なことがあったな、こんなこと言われたなと、今日あった嫌なことが頭の中をぐるぐる回り、浮かんでは消えていく。
眠気からくるふわふわした浮遊感や心地良さもあって、そこまで反省や自己嫌悪にも陥らず。“明日はいいことありますように”と、《悲劇的感情に価値を》と前向きに考えるも、結局は《繰り返す最低なシナリオ》。もやもやと悶々としているうちに意識が朦朧としてきて、いつの間にか眠りに就いて。気が付けば、変わりばえのない朝がやってくる。
自分以外の人が眠りに就くときの頭の中を知らないので、あくまで想像でしかないが、少なくとも筆者が寝る前は、「嫌々」の感じに限りなく近い。
しかしこの説が正しくて、「嫌々」が寝る前の頭の中を追体験できる楽曲であるとすれば…誰もが毎晩体験している“寝る前のあの感じ”を無意識下で呼び起こすことが、たくさんの人の共感を得ている理由のひとつとも考えられる。
さらに、曲を聴き進めていくうちに感じたのは、リアルでのコミュニケーション同様、特に若者にとって日常と密接に関係するSNSに対する嘆きも含まれているのではないかということ。膨大な情報のなかには真実と嘘が混濁し、ひとつのきっかけで炎上したり、止まらない誹謗中傷など、人と気軽に繋がることができるゆえの悪しき面を嘆くようなメッセージにも感じられた。
■【歌詞あり】「ウェルテル」歌詞考察
「ウェルテル」HALVES
作詞:りょうま
作曲:りょうま
編曲:りょうま
MUSIC VIDEO:みらいそれで、どうしたい?
いや、別に期待してはいない
ただ、もう遅いんじゃない?
あー、僕も悲しいよ?で、どうしたい?
いや、だから期待してはいない
これは賞じゃない
誰も興味ない現実はいつも残酷
嘘と欺瞞で幸福擬態
気が付けば最悪
僕は孤独と宙を舞ったのまるで囚われた感覚
虚偽の事実で善悪理解
要するに牢獄
さよならいつになっても愛されない理由
もうなにもかも嫌になっていくんだ
いつになっても愛されない理由
もうなにもかも嘘になっていくんだそれで、どうしたい?
まぁ、所詮予想でしかない
なら、もういいんじゃない?
あー、君も悲しいの?で、どうしたい?
いや、これも保証なんてない
特に用はない
誰も望んでない無駄に美しく装飾
不幸自慢が優越手段
自意識は深刻
僕はついに自由になったの惨めさが故に軽蔑
罪と罰と被害者非難
要するに忘却
さよならいつになっても愛されない理由
もうなにもかも嫌になっていくんだ
いつになっても愛されない理由
もうなにもかも嘘になっていくんだ期待されていないから
鮮やかは言えないまま
もしもこれが違ったら僕も悲しいよ?期待されていないから
痣はまだ癒えないまま
もしもこれが違ったら君も悲しいの?いつになっても愛されない理由
もうなにもかも嫌になっていくんだ
いつになっても愛されない理由
もうなにもかも嘘になっていくんだねぇいつになったら愛されるって妄想
もうなにもかも嫌になっていたんだ
ねぇいつになったら愛されるって妄想
もうなにもかも嘘になっていたんだ
2024年4月、配信リリース。楽曲の一部を映画やアニメのワンシーンと組み合わせたTikTok動画で話題となり、「嫌々」に続く再生回数を記録するHALVESの代表曲。
婚約者がいる女性に恋をして、叶わぬ恋に絶望して自害する青年ウェルテルを描いた、ゲーテの小説『若きウェルテルの悩み』から引用したであろう「ウェルテル」のタイトルから察すると、軽快なビートに乗せて歌うこの曲のテーマは“叶わぬ恋”だろう。
しかし、恋愛に限らず、自身の感情が大きく揺さぶられるもの…例えば、音楽や芸術などのクリエイティブ、青春をかけて練習に明け暮れる部活動、ずっと大切にしてきた夢など、必死に頑張ってもすべてが理想どおりにいくわけではない。人生を重ねるほどに“届かない”“叶わない”“でも諦めきれない”と、結果的に“叶わぬ想い”が増えていくものだ。
そういった、聴き手それぞれの心情に添った様々な“叶わぬ想い”を綴ったようにも捉えれるのが「ウェルテル」であり、終始思考がはっきりせずに堂々巡りしてしまう“この感じ”は、ひとり部屋で思い悩む夜中特有のテンションのようでもある。
《それでどうしたい? いや、別に期待してはいない》と自問自答で始まる、切ない恋物語。《あー、僕も悲しいよ》と《現実はいつも残酷》や《嘘と欺瞞で幸福擬態》とHALVESらしい言い回しかつ、文学的な表現で叶わぬ恋を冷静に受け止めるも、《僕は孤独と宙を舞ったの》の表現から見えるのは主人公の絶望。《要するに牢獄》と現実を受け入れ、諦めるように呟く《さよなら》はあまりに切なく、叶わぬ恋に絶望して自害を選ぶ青年ウェルテルと重なる。
《まぁ、所詮予想でしかない》と言い訳をしながら、《あー、君も悲しいの?》と初めて相手の気持ちに触れる2番の歌詞。《自意識は深刻》や《僕はついに自由になったの》といった自虐的にも捨て鉢的にも聞こえるフレーズは、どん底まで叩き落された主人公の苦悩や葛藤を表現している。
楽曲終盤、《いつになっても愛されない理由 もうなにもかも嘘になっていくんだ》と繰り返し歌っていたフレーズは、《ねぇいつになったら愛されるって妄想 もうなにかも嘘になっていたんだ》と妄想かつ過去形へ変る。絶望の淵に立っていた主人公が愛されることを諦め、現実を受け止めた瞬間。それは切ない恋物語の終止符を意味していた。
誰もが一度は経験したことがあるであろう片想いや失恋。そんな片想いや失恋の経験をリアルにドラマチックに描きながら、シリアスな曲にもポップで明るい曲にも振り切らず。陽気なのに切なくて、時々ハッとさせる楽曲へと落とし込む、抜群のセンスとバランス感覚こそがHALVES楽曲のすごさであり、多くの人の心に刺さる理由だろう。
■『カロリーメイト』Web CMソング「3時のHey Yo!」
8月20日にリリースされたHALVESの新曲「3時のHey Yo!」は、彼らにとって初のタイアップソングとなる、大塚製薬『カロリーメイト』Web CMソング。
日々の学校生活や部活でちょっとしんどいとき、手軽に栄養チャージができるカロリーメイトゼリー。そんな商品のターゲット層である、α世代の支持を受けて抜擢されたHALVESの新曲は商品同様、疲れた気分を一気に持ち上げる“栄養ポップ”といえる仕上がりに。
テンション上がるアップテンポな曲調とポップなサウンドに乗せた、ラップ調の軽やかなボーカル。“Hey Yo!=栄養”をテーマとした歌詞は、語感の良さを重視したポジティブなワードが並び、ちょっとしんどいを陽気にふっ飛ばしてくれるエネルギーに満ちている。
シュールで遊び心のあるジャケットのイラストも、楽曲のイメージとマッチしており、子どもから大人まで誰もが笑顔になれる、HALVES流の元気チャージソングが誕生した。
■もっと知りたい!HALVES人気5曲
「誰もが死にたがる夜に」
2024年12月発表配信リリース、YouTubeで140万再生回数(2025年8月末現在)に迫る人気曲。夜の似合うクールなサウンドと耳心地の良い歌声、独創的な歌詞世界と主要キャラクター勢揃いのアートワークが見事に調和した、HALVESの魅力がギュッと詰まっている。物騒なタイトルながら、歌詞で表現しているのは眠れない悲しい夜に頭の中に描く脳内世界。《夢を見たいの 僕の世界で》と個々の価値観を肯定するこの曲が、寂しい夜に寄り添ってくれるはず。
「Lo-Fi詐欺師」
2024年5月配信リリース。呪文のようなサビのフレーズで始まる楽曲冒頭から、語感の良さと意味深な言葉の意味にグッと惹きつけられるこの曲。淡々としたビートに乗せて、自問自答のような掛け合いで歌うのは、“正義と悪”といった答えのない問答。この曲から想像したのは、非論理的で抽象的なやりとりを通じて心理を探求する“禅問答”の世界。《言葉を羅列する日々にも 僕なりの意味を付け加えたの》とあるように、流れるフロウに乗せた言葉たちが聴く者それぞれの解釈で、意味や価値を持って心に刺さるのが面白い。
「センカ」
2025年4月配信リリース。穏やかで壮大なサウンドと温かみのある歌声が、孤独や不安を抱えている人を優しく包みこんでくれるミディアムチューン。世界が大きく広がるような楽曲展開やMVの明るくポップなアートワークとは裏腹に、歌詞で描いているのは主人公の孤独と不安。《僕は何がしたいんだっけ…?》と自身に問いかけ、自分だけが置いてけぼりになっている孤独や不安に駆られるも、ただ意味もなく歌う僕。ラストの《世界はもう ゴミすら落ちてない》の歌詞にほのかな希望が見えるのも良い。
「完璧なLIFE」
2024年6月配信リリース。クールなトラックで「完璧なLIFE」を歌うはずが、《なぁおかしくないよな? 間違ってないよな?》と頭に浮かぶ疑問符。この曲のテーマとなっているのは、完璧な自分の理想像が誰かの模倣や受け売りであることに疑問も持たず、自分で考えることを放棄する人々への皮肉や問題定義。どっかで聞いた決まり文句、ありきたりな前向きな歌詞と、自身を見直す内省的な意味合いも含まれているところに好感が持てる。
「@Monster.」
2024年10月配信リリース、ハロウィンの時期に発表された楽曲。パーティー感ある派手なイントロ、カラフルなアートワークとハロウィン感満載ながら、《I don’t wanna be a monster=モンスターにはなりたくない》と歌い、《いっそ1人踊っていたいな》とパーティー感を否定。ラストの《気分じゃないな》のひと言や、MVに出てくる“I live my life as I am=ありのままに生きる”のメッセージからは自身の姿勢を感じた。
■さらなる活躍が期待される、HALVESの行く先は?
「嫌々」の再評価やバズに加え、初のタイアップ曲となる「3時のHey Yo!」もリリース。楽曲のみならず、キャラクター展開にも大いに期待できるHALVES。実の双子が生み出す唯一無二の世界観をさらに大きく展開し、次世代を担うアーティストへと成長していく姿に期待したい。
TEXT BY フジジュン
▼HALVESの最新記事はこちら
https://www.thefirsttimes.jp/keywords/13449/
▼HALVESの楽曲リンクはこちら
https://tftimes.lnk.to/jk3tmPzMT1




