声質や出しやすい音域は人それぞれなので、気持ちよく歌える曲には個人差がある。歌う際のコツや意識すべきポイントも添えつつ、25曲を選曲。カラオケの十八番を見つける参考にもしてほしい。
■低音タイプ男性がカラオケで歌いやすい曲
「曇天」DOES
「海の声」浦島太郎(桐谷健太)
「桜坂」福山雅治
「花」ORANGE RANGE
「やさしくなりたい」斉藤和義
「TSUNAMI」サザンオールスターズ
「小さな恋のうた」MONGOL800
【▼THE FIRST TIMES PLAY LIST】
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「曇天」DOES(ドーズ)
「曇天」で特に歌いやすいのは、Aメロ~Bメロ。音程が低め〜中音域で安定しており、 音の動きが少ないため、リズムも取りやすい。ただ、“平板なものにしたくない”低音ボイスを活かす曲をクリアするには、単調な歌い方に陥らないのがとても重要。全体の展開を俯瞰で捉え、緩急や静動のコントラストを効果的に交えながら躍動感を出すのを心がけたい。その点を学ぶのにぴったりなのがこの曲だ。
適度に歪んだ声質で歌うのが理想ではあるが、少しヤサグレたキャラになり切ってラフな感覚で歌うと、澄んだ声質の人でも雰囲気が出せるはず。
「海の声」浦島太郎(桐谷健太)(うらしまたろう・きりたにけんた)
『au三太郎シリーズ』TVCMオリジナルソング。浦島太郎の素朴でまっすぐな愛情が表現されているこの曲はカッコつけ過ぎず、地声に近い素直さで歌うのがフィットする。水平線の彼方に向かって届けるかのようなサビの雄大さを際立たせるためにも、AメロとBメロの声の大きさは若干抑え気味、穏やかなトーンに徹してほしい。
沖縄民謡に通ずる風味のメロディなので、ゆっくり流れる時間に身を任せる感覚で歌うのも大切。
「桜坂」福山雅治(ふくやままさはる)
音程の跳躍が少なく、流れるようなメロディで覚えやすい「桜坂」。音域も中低音が中心で落ち着いて歌える。低音系の歌声は武骨でラフなタイプもあるが、温かな包容力を醸し出す方向性もある。後者の魅力を発揮している曲の代表格とも言うべきなのがこの曲だ。
全体的に淡々としたトーンで展開するこの曲にドラマチックさと色気を添えているのは、効果的に盛り込まれている声を伸ばして歌う部分。《愛と知っていたのに》の“いたーのにー”、《夢のままで》の“夢のーままで”など、声を伸ばす部分を意識すると穏やかな躍動感が生まれて、歌うのも楽しくなる。
「花」ORANGE RANGE(オレンジ レンジ)
RYO=低音域、HIROKI=中音域、YAMATO=高音域。3MC編成のORANGE RANGEなので、低音ボイスで歌うのが得意な人はRYOのパートを担当するのがおすすめ。1人で3役をこなして歌えたらカラオケで間違いなく盛り上がるので、トライしてみるのもアリだと思う。
中音域までは頑張って出して、高音域はファルセットに徹してしまうのが無理のない形だろう。ラップパートはアンニュイなトーン、サビは思いっきり歌い上げるのが効果的。
「やさしくなりたい」斉藤和義(さいとうかずよし)
Aメロ、Bメロは比較的歌いやすいが意外と難しいこの曲。曲全体の展開の中で徐々に熱量を高めるニュアンスで構成されているのに気づくと、楽しく歌える。例えばAメロに関しても2番の熱量の方が1番よりもやや高い。
“1番”“2番”で区切るのではなく、全体をひとつとして捉えて歌を組み立てるのを意識したい。
「TSUNAMI」サザンオールスターズ
歌詞で描かれている情景、心情、物語を思い浮かべながら、ゆったりと余裕を持って歌うことを心がけると、自然なニュアンスが声に宿る。「TSUNAMI」を練習すると、そのことを実感できるはず。使われている一番低い音と一番高い音の幅は広いが、急激な音程の変化はないので、比較的歌いやすい。
ぜひしっかり響かせてほしいのが、サビの“Hoo…”。この一瞬のファルセットが綺麗に出ると、メロディが醸し出す叙情性が一際深まる。
「小さな恋のうた」MONGOL800(モンゴルはっぴゃく)
簡単そうに思えても、実際に歌ってみると意外と難しい「小さな恋のうた」。男性でも苦戦するのがBメロの“響くは遠く”の辺りの低音。無理をせず歌いやすいキーを探した方がいい。
そして、音程を一瞬崩してニュアンスを出す手法“フェイク”をしっかり表現するのも大切。《広い宇宙の数ある一つ》の“一つ”は、まさにそれに該当する部分の一例。原曲によく耳を凝らして、フェイクの加減を把握しよう。
■中・高音タイプの男性がカラオケで歌いやすい曲
「Bunny Girl」AKASAKI
「キセキ」GRe4N BOYZ
「青のすみか」キタニタツヤ
「ミックスナッツ」Official髭男dism
「大切なもの」ロードオブメジャー
「高嶺の花子さん」back number
「はいよろこんで」こっちのけんと
「幾億光年」Omoinotake
【THE FIRST TIMES PLAY LIST】
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「Bunny Girl」AKASAKI(アカサキ)
軽快な曲なのでノリノリで歌いたくなるところだが、気持ちを抑制した方が原曲の雰囲気に近づける。全体的に脱力感、諦念のようなニュアンスを意識した方がいい。
歌いやすいタイプの曲ではあるが、音程を少し上下させる“しゃくり”を原曲に忠実に散りばめると表現力が一気に増す。“誘惑される鼓動に”など、サビのメロディは細かな音程の上下が散りばめられているので、難易度が比較的高い。繰り返し練習して身体に染み込ませるべし!
「キセキ」GRe4N BOYZ(グリーンボーイズ)
元気よくハキハキと滑舌良く歌って若々しさを醸し出したい曲。終盤にラップ調の展開が盛り込まれているが、全体的に覚えやすいメロディで構成されている。
Bメロのリズムと独特な文節の区切り方は難易度が少し高いので注意したい。Bメロの最後の部分《それって『奇跡』》の高音は、そのあとに続くサビの盛り上がりを生むための起爆装置とも言うべき大切な箇所なので、しっかりと声を響かせてほしい。
「青のすみか」キタニタツヤ
ファルセットやウィスパーボイスが全体に効果的に散りばめられている楽曲。切なさと激しい感情が複雑に入り混じったニュアンスを生んでいる大切な要素だが、歌う上での難易度は高い。
ボーカル上級者になりたい人は、ぜひ頑張ってトライしてほしい。《今でも青が棲んでいる》の“棲ん”や《今でも青は澄んでいる》の“澄ん”のような一瞬のファルセットを正確に響かせて、その前後に自然に馴染ませることを心がけよう。
「ミックスナッツ」Official髭男dism(オフィシャルヒゲダンディズム)
高音ボイスに自信がある人だったらぜひトライしてほしいヒゲダン。難易度が高いアーティストではあるが、なかでも「ミックスナッツ」はヒゲダンのなかでも、音程の上下は少なめでリズムも速すぎず、構成がシンプルなためまだ歌いやすいほうの楽曲だ。
サビで高音が連発されるので苦戦するだろうが、ファルセットを上手く使うなど、自分に合った攻略法を見つけよう! かなりトリッキーな転調が繰り返されるので、その展開について行くのも大切。ジャズ風味のスウィング感を楽しみながら歌う余裕も身につけたいところ。
「大切なもの」ロードオブメジャー
日本語で歌うパンクロック、通称“青春パンク”が隆盛を迎えた2000年代初頭を代表するこの曲で心掛けたいのは、やはり青春感。Aメロ・Bメロは安定して歌いやすく、サビだけ高音を頑張ればOK!
疾走感に溢れたサウンドに身を任せ、出し惜しみすることなくエネルギーを注いで歌ってほしい。高音を思いっきり響かせながら歌い上げるサビは、アクセル全開のスタイルがよく似合う。サビに入る前のBメロのメロディが哀愁を滲ませるので、ここで少し声のトーンを抑制すると、サビを効果的に際立たせられる。
「高嶺の花子さん」back number(バックナンバー)
高音を気持ちよく響かせたい人におすすめ。言葉を畳みかけるように連射する部分があるので、ブレスに注意。サビの《偶然と夏の魔法とやらの力で》の箇所はファルセットを使うので、気をつけないと息が続かない。
そしてサビ終わりの《僕のものに》までは恋心を高鳴らせているのに、その直後の《なるわけないか》と一気に弱気になるニュアンスを出すのも大事。恋愛弱者のぼやきを描くのが上手いback numberの他の曲にも応用できるポイントだ。
「はいよろこんで」こっちのけんと
多くの男性にとって高音を自然に出しながら歌いやすいタイプの曲。上手く歌うためには、リズムを完璧に乗りこなす必要がある。全体的に意識したいのは、軽やかに踊るような歌のニュアンスだ。
Aメロの《差し伸びてきた手》から突然リズムの捉え方が複雑になるので要注意。Bメロの早口になる部分は難易度が高いと同時にこの曲の見せ場とも言うべき箇所なので、滑舌良く一つひとつのワードをしっかりと発音しながら歌わないともったいない。
「幾億光年」Omoinotake(オモイノタケ)
最近のヒット曲の中で高音が印象的だった曲といえば、やはりこれ。Aメロは比較的歌いやすいが、正直に言って難易度は高い。
原曲と同じように歌いたいならば、地声とファルセットを組み合わせた“ミックスボイス”という歌唱法をマスターしないといけない。歌の上級者を目指しているのならば挑戦してほしいが、ファルセットで代用しても楽しく歌える。怒涛の高音となるサビだけでなく、AメロやBメロで一瞬飛び出す高音の箇所もしっかりと表現したい。
■ラップが得意なタイプの男性におすすめ楽曲
「ココロオドル」nobodyknows+
「楽園ベイベー」RIP SLYME
「さくら」ケツメイシ
「YOKAZE」変態紳士クラブ
「かつて天才だった俺たちへ」Creepy Nuts
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「ココロオドル」nobodyknows+(ノーバディーノウズ)
原曲は5MCスタイル、BPMが速いので1人で歌うのはかなり大変だと思うが、トライする価値あり。5人それぞれの声質を歌い分けるのは難しいが、ガラガラとした声が特徴のノリ・ダ・ファンキーシビレサスのパートを頑張って真似するだけでも楽しくなるはず。アコースティックギターやピアノを多用したトラックが印象的。
ノリの良いパーティーミュージックに叙情性が添加されているのが、幅広いリスナー層に愛され続けている理由だろう。
「楽園ベイベー」RIP SLYME(リップスライム)
複数のメンバーがいるヒップホップグループの曲を1人で歌う際は、声質の個性が特に強いメンバーに着目して、可能な範囲で真似してみるのが大切。RIP SLYMEの場合は高音のPESと低音のSUのニュアンスを上手く出すと楽しくなる。「楽園ベイビー」は、洗練されたトロピカルサウンドが魅力。
パーカッションの音色を効果的に散りばめ、彼ら流にラテンミュージックを料理している。夏が来る度に聴きたくなる人も多いのでは?
「さくら」ケツメイシ
和的な情緒をイメージさせる温かなメロディ、咲き誇ったあとに潔く散る桜の儚さが思い浮かぶ。ラップパートの心地よいグルーヴと叙情性を絶妙に融合させたこの曲は、春をモチーフにしたJ-POPの定番として今後も愛されていくだろう。
キーはそこまで高くないため、ラップが得意ならばかなり歌いやすい。歌のパートは声を張り上げ過ぎず、優しく声を響かせることを心がけたい。ビートを的確に乗りこなしてラップパートをかっこよく表現できると、ドラマチックな印象をたっぷり高められる。
「YOKAZE」変態紳士クラブ(へんたいしんしクラブ)
上手く行くことの方が少ない人生と向き合いながら自分らしく生きる姿が伝わってくる「YOKAZE」。ストレートに誰かを励ますようなフレーズは出てこないが、刻まれている生き様が自ずとリスナーを鼓舞するメッセージと化している。
WILYWNKAのラップ、VIGORMANの歌、どちらのパートも、穏やかなトーンが印象的。カラオケで歌う際も感情過多にならず、リラックスして表現すると、曲の持ち味を効果的に引き出せる。
「かつて天才だった俺たちへ」Creepy Nuts(クリーピーナッツ)
ウッドベースが印象的なトラックでラップを繰り広げるこの曲は、普段ヒップホップミュージックを聴かない人にも高度なスキルが伝わるはず。ビートを的確に捉えながら多彩なリズムとフロウで音を乗せるラップが圧倒的。
音程も大事だが、リズムに対してのシビアさの方がラップの切れ味を左右する。休符も“休み”ではなく、躍動感とグルーヴを生むための重要ポイント。ライミングも意識して母音を気持ちよく響かせることを目指してほしい。
■歌い上げるのが得意なタイプの男性におすすめ楽曲
「虹」菅田将暉
「ひまわりの約束」秦 基博
「奏」スキマスイッチ
「3月9日」レミオロメン
「シングルベッド」シャ乱Q
【THE FIRST TIMES PLAY LIST】
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「虹」菅田将暉(すだまさき)
映画『STAND BY ME ドラえもん2』主題歌。恋人やパートナーだけでなく、幅広い大切な人を思い浮かべて聴ける普遍性が、愛され続けている理由だろう。飾らず、気取らず、ありのままの想いを素直に表現しているので、かっこつけて歌わない方がしっくりくる。“歌う”というよりも“話しかける”というようなイメージで、発声法も自然なものを心がけたい。
菅田将暉の歌い方が、まさしく良いお手本。映画も観ると気持ちを込めやすいはず。
「ひまわりの約束」秦 基博(はたもとひろ)
歌声に包まれる心地よさに満ちあふれていると同時に、実際に歌ってみるのも楽しい「ひまわりの約束」。歌い上げるのが気持ちいい曲を表現するには、声の抑制も必要だとわかりやすく学べる。
序盤のアコースティックギターの弾き語りに近い部分は、まさに抑制したトーンで歌うべき部分。そこがあるからこそ、サビの歌い上げを効果的に際立たせられる。Aメロの《つらいのがどっちか》の箇所で一瞬だけ響かせるファルセットも再現できると理想的。
「奏」スキマスイッチ
豊かな表現力の歌に浸る喜びを強く噛み締めさせてくれる。歌い方の細かな技法を随所に散りばめながら繊細なニュアンスを醸し出していることに気づくのが、上手く歌うために欠かせないポイント。
例えば《君が大人になってく》《最後に何か君に》などで一瞬だけ飛び出すファルセットがすぐに地声に戻って醸し出す色気は、どことなくソウルミュージック的な風味がある。こういう部分を一つひとつ丁寧に攻略して仕上げるのが必要な歌だ。
「3月9日」レミオロメン
友人の結婚式がきっかけとなって生まれた曲だが、卒業ソングの定番でもある。歌詞の中にある美しい情景描写が、様々なシチュエーションにフィットしてくれる。
大切な人を支えられる強さを持ちたいと願う姿が表現されているので、“歌い上げる”を“力強い”という印象へと程よく結び付けられるかどうかが上手く歌うためのカギ…。とはいえ過剰に力を込めるのも違和感に繋がるので、程よいニュアンスをじっくり見つけていってほしい。
「シングルベッド」シャ乱Q
失恋を描いた未練ソングの傑作。主人公の姿を想像すると、深く引き込まれずにはいられない。そして、この曲にかけがえのない深みを与えているのがつんく♂だ。彼の歌をなるべく再現するのが上手く歌うためのコツと言っても過言ではない。
艶めかしいビブラートのかけ方、しゃくり上げ、随所に“ん”を軽く挟んで生むアクセントをぜひ身につけたい。独特なこの歌唱法を切ないニュアンスに繋げられるかどうかが腕の見せどころだ。
■自分の個性を活かして十八番を見つけよう!
あなたの個性を活かせそうな曲は見つかりましたか? 大好きなメロディを上手く歌えた時の喜びは大きい。でも、上手く歌えなくても歌うのは楽しい。大らかな気持ちで向き合えば、お気に入りの音楽がますます愛しくなるはずだ。
TEXT BY 田中大
■楽曲リンク
低音タイプ男性におすすめの曲
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中・高音タイプの男性におすすめの曲
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ラップが得意なタイプの男性におすすめの曲
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