アニメ『SAKAMOTO DAYS』のオープニングテーマ「Method」でお茶の間の注目も集めはじめている5人組バンドKroi。ここでは人気曲やメンバープロフィール、ライブについてまで、Kroiがどんなバンドなのか、その魅力を徹底的に解き明かす。
■異彩を放つ5人組バンドKroiとは?
Kroi(読み:くろい)
・結成:2018年
・デビュー:2018年10月17日1st Single「Suck a Lemmon」
・メジャーデビュー:2021年6月23日1stアルバム『LENS』
・メンバー:内田怜央(Vo)、関将典(Ba)、長谷部悠生(Gu)、益田英知(Dr)、千葉大樹(Key)
・ファンクラブ:ふぁんくらぶ
OFFICIAL SITE https://kroi.net/
X @KroiOfficial
Instagram @kroi_official
YouTube @KroiOfficial
TikTok @kroiofficial
◎バンド名の由来
R&B /ファンク/ソウル/ロック/ヒップホップなどの影響を昇華したミクスチャーな音楽性を提示する5人組バンド。
バンド名の由来は、まさにそこと直結している。あらゆる音楽ジャンルの色を取り入れて新しい音楽性を創造したいという考えで、すべての色を混ぜると黒になることから“黒い”=Kroiと命名されたのだ。
◎結成の経緯
もともと内田怜央(Vo)と長谷部悠生(Gu)は中学からの同級生で、関将典(Ba)と益田英知(Dr)は大学の同級生。それぞれが別々に音楽活動を行っていたが、内田と長谷部がやっていたバンドのベースが脱退するタイミングで長谷部から「ベースを弾いてくれませんか?」というInstagramのDMが関のところに届いたのだという。
お互いにフォローはしていたものの会ったことはなかったふたり。そこで関が「ドラムの益田も一緒だったらいいよ」と返すと「ぜひ」ということで、4人でスタジオに入ったところ、お互い聴いてきた音楽のルーツが共通していたことが判明。
2018年2月にKroiが結成され、1ヶ月後には初ライブを行った。そして2019年12月にマネージャーの同居人であった千葉大樹(Key)が加入し、現在の5人編成となる。
◎デビューからの軌跡
最初に作った楽曲でもある1st Single「Suck a Lemmon」にて2018年10月にデビュー。
2019年に『出れんの!?サマソニ!?』オーディションへエントリーし、見事に勝ち抜いて『SUMMER SONIC 2019』に出演した。
▼Kroi – Suck a Lemmon [Official Video]
その勢いは止まらず、同年12月にリリースされた2nd Single「Fire Brain」は、iTunes Store R&B/ソウルランキングでのトップ10入りなどで話題に。
▼Kroi – Fire Brain [Official Video]
さらに2020年12月にリリースされた5th Single「Page」は、テレビ東京 水ドラ25『東京デザインが生まれる日』の主題歌として起用された。この頃から、ドラマ、アニメ、CMなどの世界観を引き立てる楽曲の多様性の才能は萌芽していた。
▼Kroi – Page [Official Video]
2021年6月には1st Album『LENS』でメジャーデビュー。
“全員が主役”の意識でぶつかり合うライブも魅力で、その場限りのセッションも見られる。
2022年7月には『FUJI ROCK FESTIVAL』に出演し、2024年1月には初の東京・日本武道館ワンマン公演を行った。
2026年1月には自身最大キャパとなる、大阪城ホール・国立代々木競技場第一体育館にて『Kroi Live Tour 2026 – ARENA』を開催予定。
■それぞれが異なる個性と才能を持ち合わせる5人のメンバー
内田怜央(読み:うちだ れお)
・生年月日:1999年5月16日
・ポジション:ボーカル
・Instagram @beira0372
長谷部とは同じ中高一貫の学校で、中学に入学したとき、長谷部がプロフィールに「楽器好き」と書いているのを見て話してからの仲だそう。
小学生でドラムを習い、Charと布袋寅泰とブライアン・セッツァーのライブを観る。さらに中学生のときレッド・ホット・チリ・ペッパーズのジョン・フルシアンテに憧れてストラトキャスターを買ってもらった。ローリン・ヒルにも大きな影響を受けている。緑色の髪がトレードマーク。
関将典(読み:せき まさのり)
・生年月日:1994年9月20日
・ポジション:ベース
・Instagram @amdog
バンドではリーダーを務めている。
音楽の入り口は、小6の頃に聴いたエレファントカシマシやウルフルズ。大学でレイジ・アゲインスト・ザ・マシーンを皮切りにメタルにハマり、さらにバイト先の楽器屋の上司からファンクやR&Bの名盤を勧められてハマり音楽を掘り下げていく。
ベースを弾きはじめたのも大学の頃。影響を受けたのはジャミロクワイのスチュワート・ゼンダーなど。メジャーデビューする直前までサラリーマンだった。
長谷部悠生(読み:はせべ ゆうき)
・ポジション:ギター
・生年月日:1999年6月2日
・Instagram @hsbyuk
・X @kroi_yuuki
実家はケーキ屋。もともと中学の頃はカバーバンドでボーカルだったという。しかし、内田に勧められたレッド・ホット・チリ・ペッパーズの映像作品『LIVE AT SLANE CASTLE』を観て、ギタリストになろうと思ったのだそう。
レッド・ツェッペリンのジミー・ペイジにも影響を受けており、デニムやバイクもビンテージを好む。バンドでは“グッズ担当大臣”を担う。
FM FUJI『Kroi長谷部悠生のロゼッタスペース』でパーソナリティを務めている。
益田英知(読み:ますだ ひでとも)
・ポジション:ドラム
・生年月日:1995年1月17日
・Instagram @o_mo_te
関とは大学の学部が同じながら、それほど深い仲でもなかったが、卒業後に連絡を取るようになったという。
幼い頃からクラシックピアノを習っていた。小6でASIAN KUNG-FU GENERATIONを聴き、中学でオアシスをきっかけにドラムをはじめる。その後、ジョニー・ウィンターを入り口にブルースにハマっていく。
ドラマーでありながらファイヤーバード(ギター)も持っており、様々な楽器に造詣が深い。なお、益田にもサラリーマン経験がある。
千葉大樹(読み:ちば だいき)
・ポジション:キーボード
・生年月日:1995年7月6日
・Instagram @oinaridaiki
・X @dainackwave
バンドとの縁は1st EP『Polyester』(2019年9月)のミックス&マスタリングを担当したことからはじまる。KroiのマネージャーのInstagramにアドリブのピアノをのせている動画をメンバーが見たことをきっかけにキーボーディストとして加入した。
もともと親がピアノの先生で、曲を作ることなどは続けてはいたものの、人前で弾くのは小学生の頃の発表会以来だったという。加入前にはデザイナーや、映像制作などを手がけていた。フュージョンやテクノの影響が大きい。
■『THE FIRST TAKE』で披露した「Sesame」「Fire Brain」
◎Sesame
2024年1月にリリースされたシングルで、TVアニメ『ぶっちぎり?!』のオープニングテーマとなった。
とは言え、《境なんてもうどこかに行ってしまえばいい》《燃える個性 通せよ》など、Kroiの音楽性や信念に通じる歌詞もちりばめられている。「Sesame」=“開けゴマ”=『アラビアンナイト』と連想されるとおり、エキゾチックなメロディも。
MVは、歌詞の通り“御伽噺”を思い出させるようなフェイスペイント&ポップな衣装で進んでいくも、終盤にラップになったところで私服=現実に戻る展開もドラマティック。
◎Fire Brain
MVは千葉の加入前に撮影され、2020年7月に公開された(楽曲のリリースは2019年12月)。当時の内田の坊主頭が燃え盛る映像は、この演出を誰もが自分のカメラで楽しむことができるInstagramのフェイス・フィルターとしてもリリースされ、話題を呼んだ。
小気味いいビートとクセになるリフ、攻めの姿勢が表れたラップ&爆発力あるサビが衝撃的。個々の音色が自由に踊っていたかと思えば、一斉にピタッと止まる場面も。初期からメンバーの息が合っていたことが伺える。
なお、内田がインフルエンザに罹り家に籠っていた時に書いたそうだ。
▼Kroi – Sesame & Fire Brain/ THE FIRST TAKE
◎THE FIRST TAKEのレビュー
5人で横並びで登場し、内田が「見てますか?みなさん」と呼びかけてから、それぞれ音を出しはじめる。そして「Sesame」がスタートし、グルーヴィな演奏のなかで気持ちよく泳ぐように歌う内田。小気味いいラップの後の流麗なピアノや唸るようなギターに心身を委ねていると、シームレスに「Fire Brain」のリフに突入し、アグレッシブなラップ&ボーカルが響き渡る。
“顔でも弾く”ような豊かな表情を見せる長谷部や関を筆頭に、各々が自由に歌うように楽器を操りながらも、ぴったりブレイクが合うところは流石。内田が「楽しい?」と呼びかける場面も。
画面を余裕で飛び越えてライブさながらの臨場感を届けるようなパフォーマンスになっている。
■SAKAMOTO DAYSで話題の「Method」
◎Method
2025年7月にリリースされた、TVアニメ『SAKAMOTO DAYS』第2クールのオープニングテーマ。
アニメの人気も相まって、これをキッカケにKroiにハマるリスナーが急増中。それを見越していたかのように、MVは照明の明暗やグラスという小道具も取り入れつつ、向き合って演奏する5人をあらゆるアングルから撮影し“バンドのカッコよさ”をシンプルに捉えている。
伸びやかなサビやダンサブルなビートなど、Kroiのキャッチーなセンスを凝縮。バサッと終わるアウトロを筆頭に、必要なものしか入っていない潔さがある。
▼Kroi – Method/ THE FIRST TAKE
◎THE FIRST TAKEのレビュー
まずは益田が「俺たちは今日、たくさんの人に支えられてこの場所にやって来た!」と口火を切ると、「フギャーッ!」と声にならない叫び(!?)。そのままサラッと演奏をスタートさせる展開もひとつのKroiらしさか。
ラップやサビでグッと熱が上がる内田のボーカルに聴き惚れていると、スッと長谷部と関がハンドクラップ。そこからの千葉のキーボードのソロの指使いの美しさも見どころ。
こちらのテンションを上げるだけ上げてスン…と終わる、まるで“続きは生のライブで”と言われたような気持ちになる映像だ。
■人気曲5選と聴きどころを紹介
「Balmy Life」
2021年6月にメジャーデビューアルバム『LENS』から先行配信され、2023年7月にはテレビ朝日『MUSIC STATION』でも演奏。
様々な音色や展開の緩急など、それぞれの楽器が歌っているような演奏で耳が踊る。メンバーも含め全員が黄色系の衣装をまとって楽し気なコミューンを形成するような世界観のMVは、頭を抱える内田と燃え盛る炎で締め括られており、快楽的なままでは生きていけない人間の儚さを感じる。
「熱海」
2022年7月にリリースされた2nd Album『telegraph』の先行配信曲。
MVは熱海の街を5人が楽しむ素が表れた映像。どこか昭和っぽさもあり、イマドキのバンドという枠には留まらないKroiらしさが感じられる。
斬新なタイトルは、内田が熱海を好きという実にシンプルな理由から。爽やかなシティポップの曲調はバンドの新機軸となったが、一度ボツになりかけたという。「熱海」なのに伊豆で録ったという裏話も。
「Hyper」
TVアニメ『アンダーニンジャ』のオープニングテーマとなった、2023年10月リリースのシングル。
地を這うようにヘヴィなオープニングから、30秒あまりで小気味いいリフへ向かう展開で早くも心を掴まれる。《ややこいややこいからほっとこう》という中毒性バツグンなフレーズは、デモの時点であったという。鍵盤ハーモニカやホーンの音色もアクセント。懐かしい映画のような味わいのMVは台湾で撮影された。
「Water Carrier」
Kroiにとって初めてのアニメのタイアップ(『SAND LAND: THE SERIES』オープニングテーマ)であり、2024年3月にリリースされたシングル。
「Drippin’ Desert」「Funky GUNSLINGER」という“砂地っぽい”テーマ感のある楽曲を生み出してきたKroiが、そこに『SAND LAND』の世界観を掛け合わせた疾走感あふれる曲調に仕上がっている。カリフォルニアで撮影された壮大な風景のMVも印象的。
「Jewel」
2024年10月にリリースされたシングルで、ドラマ『オクラ〜迷宮入り事件捜査〜』主題歌。
2024年6月リリースの3rd Album『Unspoiled」収録の「明滅」のようなフォーキーな楽曲を、よりポップな方向に振って作るのはどうだろう?という考えが、この名バラードを生み出すひとつのキッカケになった。《僕ら各々の輝きを探してる 目の前 雲がもう少しだけ 晴れたら良いな》というささやかなメッセージも聴きどころ。
■Kroiの最新情報をチェック
バンドは8月30日の福岡サンパレス公演を皮切りに『Kroi Live Tour 2025-2026』をスタート。宮城・広島・愛知・北海道・埼玉・新潟のホール公演を経て、2026年1月11日の大阪城ホールと1月23日の東京・国立代々木競技場第一体育館のアリーナ公演まで走り続ける予定となっている。
これからますます大きくなっていくKroiから、目が離せない。
▼Kroi Live Tour2025-2026
https://special.kroi.net/tour/
TEXT BY 高橋美穂
▼Kroi 最新記事はこちら
https://www.thefirsttimes.jp/keywords/2143/






