idom初のフルアルバム『idom』は、彼自身のリアルな経験や感情が反映された作品に仕上がっている。本作のテーマや制作プロセスについて、idom自身の言葉とともに解説する。
■音楽・映像・イラスト制作などを行う、新世代型マルチクリエイター
idom(読み:イドム)
・生年月日:1998年3月18日
・出身地:兵庫県神戸
・デビュー日:2022年9月7日
・デビュー曲:Debut EP「GLOW」
OFFICIAL SITE https://www.idom-official.jp/
OFFICIAL SITE(Sony)https://www.sonymusic.co.jp/artist/IDOM/
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◎コロナ禍の2020年に楽曲制作を開始。運命に導かれるように音楽活動をスタート
楽曲制作・ボーカル・ラップにとどまらず、映像制作やイラスト制作までも手がける新世代型のマルチクリエイター、idom。
彼が音楽制作を始めたのは、2020年。大学でデザインを学び、イタリアのデザイン事務所に就職予定だったが、コロナの影響で中止に。その頃、大学の先輩に教わったDTMで楽曲作りを始めたという。
「先輩に教わりながらその場で一曲作ったら、『才能あるんじゃない?』みたいに言ってくれて。その曲をSNSにアップしたんですけど、思いのほか反響があって、知らない間に拡散されていたんですよ。当時は、イタリア行きが(コロナ禍の影響で)中止になって、この先どうしようか? と考えていて。それまでやったことのない、没頭する何かを探していたんですよね」
#Stayhome ということで、何も分からぬままやってみたかった曲制作を開始しました。DAWの使い方もMixingもMasteringも分かりません。助けて下さい。
22歳の春。コロナに負けるな。引用:idom「neoki」YouTube概要欄より
▼コロナ禍に投稿した、idom「neoki」
◎デビュー前からCMソングに抜擢
以前から音楽に興味を持っていたが、「実は歌うのは好きじゃなくて。カラオケに行っても歌わないタイプでした(笑)」と語るidom。
しかし、デザインを通じて“構築”する楽しさや喜びを感じていたidomにとって、DTMとの出会いは“没頭する何か”としてうってつけであったことから頭角を現すことに。楽曲の高いクオリティと表情豊かなボーカルですぐに注目を集めた。
そして、2021年7月リリースの「Awake」が“SONY Xperia 1 III”CMタイアップソングに抜擢されたことをきっかけに、数々のタイアップを獲得した。
◎月9『競争の番人』主題歌でデビュー
瞬く間に知名度を上げ、2022年7月に坂口健太郎と杏のダブル主演ドラマとして話題となったフジテレビ系月9ドラマ『競争の番人』の主題歌「GLOW」を収録したEP『GLOW』でメジャーデビュー。
「GLOW」は各配信チャートで軒並みTOP10入りを果たしている。
また、同作に収められた「i.d.m.」が作詞家・音楽プロデューサーのいしわたり淳治が選ぶ、『プロが選ぶ2022年マイベスト10曲』(テレビ朝日『関ジャム 完全燃SHOW』番組内)に挙げられ、音楽業界内外からも高い評価を受けていることが証明された。
#関ジャム
「プロが選ぶ2022年マイベスト10曲」にて
"i.d.m." 選出して頂きました…(;_;)/
ありがとうございます…!#idom #idm https://t.co/FVivZgnlA6 pic.twitter.com/bKfvhtWu25— idom (@idom0318) January 22, 2023
◎コンスタントに新曲をリリース
その後も2023年4月12日に2nd EP『EDEN』をリリースし、同年9月には『イヴ・サンローラン展 時を超えるスタイル』のオープニングイベントで、同展覧会のテーマソング「Knock Knock」を披露(配信限定EP『Who?』収録曲)。
さらに、2024年にはテレビ東京系ドラマ24『闇バイト家族』オープニングテーマ「アングラ」を皮切りに、「知らず知らず」「B.M.S.」の3曲を配信し、コンスタントに新曲を放つことで多面的な音楽スタイルを世に示した。
◎2025年11月7日にセルフタイトルの初アルバムをリリース
そして2025年11月に待望のフルアルバム『idom』を発表。
11月14日には自身最大キャパのZepp Shinjukuでのワンマンライブを成功させるなど、アーティストとして着実な前進を続けている。
■クリエイティブを突き詰めるidomの魅力とは?
◎音楽は全部をアウトプットできる場所
音楽活動をスタートさせた当初から仲間と一緒にMVを制作するなど、多彩な才能を発揮してきたidom。学生時代にデザインを学んでいた彼は、楽曲制作を始めたことで「いろいろなクリエイティブがひとつになった感覚があった」という。
「音楽一筋でやってきた人は“音楽だけを極める”というところがあるのかもしれないけど、僕はそうじゃなくて。総合格闘技や陸上の十種競技みたいなもので、いろいろな表現をトータルで考えているんですよね。映像やイラストもそうですけど、音楽のなかには複合的な表現が含まれています。曲を作り始めて“全部アウトプットできる場所を見つけた!”という感覚もありましたね」
◎ジャンルレスな音楽性
R&Bを中心に、幅広いジャンルを網羅した音楽性もidomの特徴である。
「ルーツはR&Bだけど、全然それだけではなくて。ラップもやるけどヒップホップではないし、かといってJ-POPだけにも収まらない。大きくいうと“ポップミュージック”になるんですけど、自分としては“idom”というジャンルをやっているつもりなんです。既存のジャンルに捉われていないことを打ち出すためにも、いろいろなタイプの曲をやる必要があるのかな、と」
◎idomにとって歌うこともクリエイティブ
作品を生み出すたびにあらたなサウンドにトライしている印象もあるが、その中心にあるのはやはり歌だ。心地よいグルーヴ感、言葉がしっかりと伝わってくる表現力を共存させたボーカルは、キャリアを重ねるごとに向上し続けている。
「いろんな音楽を聴きますけど、歌が上手いアーティストに惹かれることが多くて。最初はあまり歌うことが好きではなかったんですけど、今はシンガーでありたいという気持ちがありますね。歌うこともクリエイティブのひとつだなと。『どうやったらこういう声が出せるんだろう?』みたいなことを試すのも好きだし、歌を作り上げる感覚もあります。音楽を始めた5年前に比べると、DTMもうまくなったし、ギターも少し弾けるようになって、だいぶ成長したなって思います」
アーティスト名のidomは、本名の“挑”に由来している。様々なクリエイティブに挑戦する姿勢もまた、idomの大きな魅力なのだと思う。
■“idom”を掲げた、初のフルアルバム
◎idomの人生を感じる15曲
2025年11月7日にリリースされた初のフルアルバム『idom』は、idomの最初の集大成であると同時に、この国の音楽シーンに新たなポップミュージックの在り方を示す作品だ。
配信シングル「No More」「Buddy」、フィメールラッパー・7をフィーチャーした「Baby.U(feat.7) - Reimx」など全15曲を収録した本作は、彼自身の音楽的ルーツはもちろん、生身の感情を反映したリリックやボーカルがしっかりと表現されている。タイトルのとおり、このアルバムは(現時点における)idomそのものだと言っていいだろう。
「セルフタイトルのアルバムなので、自分自身をちゃんと示したかったんですよね。どんな音楽をやっていて、どんなヤツなのかがわかるアルバム──僕自身がはっきりと見える作品というか。《題名のない俺らのMovie》(「24hrs」)という歌詞があるんですけど、1曲目から15曲目までとおして聴いたときに、これまでの僕の人生を感じてもらいたいですね」
◎実体験を元にしたリリックに込めた想い
“焦ることなく、自分の価値を信じよう”というメッセージを響かせる「Don’t Rush」、過去と向き合い、未来へと進む意思を刻んだ「Treasure」、“幸せとは?”“命とは?”という生きるうえでの根本的なテーマを歌い上げた「幸福権」。idomが実際に経験してきた日々を色濃く映し出すリリックもこのアルバムの大きなポイントだ。
「自分の人生にはいろんなシーズンがあったけど、今はいろんな人に支えられながら音楽を続けていて。いいとか悪いではなく、“ただ進んでいる”ということが事実だと思うし、“ひとりじゃない”ということをシェアできたらいい。アーティストが自分の経験や感情を発信することで、聴いてくれた人が“自分だけじゃないんだな”と感じてもらえる瞬間があると思うんですよね。あとは“ネガティブをポジティブに”みたいなテーマもありました。ちょっと暗い歌詞でも、ポップな音で表現することで印象が変わったり、そのなかに希望が感じられることもある。アルバム全体を通して、そういう意識はありましたね」
◎idomの歌詞メロディの魅力を際立たせた多様な客演アーティスト
2023年に日本人女性プロデューサーとして初のグラミー・ノミネーティッド・プロデューサーとなったTOMOKO IDA、LAを拠点にする世界的音楽プロデューサーでありギタリストのMason Sacks、DJ/トラックメイカーのTAARなどが本作には参加。idomが紡ぎ出す歌詞とメロディの魅力をしっかりと際立たせている。UKガラージ、2STEPをはじめ、Y2Kの潮流を感じさせるトラックも本作の特徴だろう。
“Hallelujah”つまり“神を賛美せよ”という本来の意味に従いながら制作されたという「Hallelujah」も、idomのルーツに根ざした楽曲。クリスチャンシンガー、21世紀キリスト宣教会の人々を含む約60名のクワイアとともに奏でられるハーモニーは、このアルバムのハイライトのひとつと言えるだろう。
「最初は20人くらいの予定だったんですけど、フタを開けてみたら60人くらい集まってくれて。なかにはアマチュアのシンガーの方もいらっしゃったんですけど、全員が心から歌ってくれて、素晴らしいハーモニーになりました。みんな楽しんで歌ってくれたのもうれしかったし、アルバムのなかでも印象深い曲になりましたね」
◎その時々の感情を詰め込んだ楽曲
もちろんidomのボーカルも、本作の大きな核になっている。生々しい感情を刻んだリリックと同様、リアルなエモーションを感じさせる歌声を聴けば、シンガーidomのポテンシャルを改めて実感してもらえるはず。
「今回のアルバムは、そのときの感情を生身で伝えたいと思っていて。泣きながら作った曲があって、レコーディングで歌うときも少し鼻声になっちゃったんですよ。今までだったらキレイに録り直していたと思うんですけど、“これも自分だから、このままでいい”と。ちょっと恥ずかしさもありますけど、自分らしさを感じてもらえたらいいなと思ってます」
■『idom Live 2025 “ONE LOVE, TWO HEARTS”』
2025年11月14日にワンマンライブ『idom Live 2025 “ONE LOVE, TWO HEARTS”』を東京・Zepp Shinjuku(TOKYO)で開催。
アルバム『idom』の楽曲を中心にしたセットリスト、ドラム、ベース、キーボードによる質の高いサウンド、高揚感と奥深い表現を同時に描くボーカル、idom自身もディレクションに関わった映像/ライティングを含めて、キャリア史上最高と呼ぶべきステージが繰り広げられた。
◎全部のピースがパチン!とハマったライブ
「今まででいちばん大きい“やりきった”という手ごたえがあったし、自分の成長を感じると同時に“まだまだいける”という感覚もあって。とにかく思い切り楽しめたのが良かったです(笑)。最高のミュージシャンが集まってくれたし、PAも含めて、自分が求めていたサウンドを実現することができて。自分の歌のスキル、見せ方もそうですけど、自分のビジョンを共有できる仲間が揃って、全部のピースがパチン! とハマったライブだったんですよね。逆に言うと、それまではかなり模索してたんですよ。Kvi Babaの武道館ライブにゲストとして出させてもらったり、(ヒップホップフェス)『POP YOURS』のステージに立ったり、この一年いろんなライブを経験して。Zepp Shinjukuのライブはさらにグレードアップした状態で臨めたんですよね。関わってくれた人たちへの感謝、お客さんともしっかりコミュニケーションできた。まだまだ成長できると思ってますけど、まずは“これ以上は無理”というところまでみんなと一緒に行けたんじゃないかなと」
◎仲間との強い繋がりを感じたコラボステージ
このライブにはゲストアーティストとしてAile The Shota、Kvi Baba、peko、SO-SO、7(※敬称略・ABC順)がゲスト出演。全員とコラボレーションの経験があり、idomとの強い繋がりが感じられるパフォーマンスを観ることができた。
「クリエイティブ、ステージング、性格もそうですけど、自分自身が“カッコ良い、すごい”と思っている人ばかりですね。ライブに来てくれたアーティストはみんなすごく好きだし、僕自身もめちゃくちゃ刺激をもらっています。ただ、デビューして2年くらいはまったくコラボをやってなかったんですよ。最初の頃は、人と一緒にやるだけのスキルが僕自身になかったし、自分のスタイルも定まっていなくて。2023年10月にはリリースしたEP『Who?』で初めて、Kvi Babaさん、pekoさん(梅田サイファー)、鈴木真海子さん(chelmico)、SO-SOさんとコラボレーションしたんですよ。それぞれ作り方も違うし、コラボを通して得られることがたくさんあって。みんなのセンスを吸収させてもらいながら進んできた感覚もありますね」
■【楽曲リンクあり】idomの今後の活躍から目が離せない
次の活動のビジョンは? という質問に対して、idomはこう答えた。
「Zepp Shinjukuのライブの手ごたえがすごくあったので、いろんな場所に行って、自分のステージを観てもらいたいなと思ってますね。コラボもどんどんやっていきたいです。日本の場合、ポップスをやっている人がR&Bやヒップホップのアーティストとコラボすると、“面白い企画だな”みたいな感じになることが多い気がして。海外だといろんなジャンルの人と一緒にやるのが当たり前だし、自分もそういう存在になれたらなと」
アルバム『idom』で自らのアイデンティティを明確に提示したidom。音楽を中心としたクリエイティビティはここから、さらに幅広いフィールドに広がっていくことになりそうだ。
THE FIRST TIMES編集部
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