4人組ロックバンド、マカロニえんぴつ。これまでに数々のヒット曲を生み出し、世代問わず支持されている。今回はバンドの歩みや人気曲「ハッピーエンドへの期待は」「恋人ごっこ」の歌詞考察をとおして、その魅力を掘り下げる。
■マカロニえんぴつとは? 世代を超えて支持される4人組ロックバンド
マカロニえんぴつ

・結成:2012年
・メジャーデビュー:2020年11月4日
・メジャーデビュー曲:「生きるをする」
・メンバー:はっとり(Vo/Gu)、高野賢也(Ba/Cho)、田辺由明(Gu/Cho)、長谷川大喜(Key/cho)
Official Site https://macaroniempitsu.com
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◎メンバー全員音大出身! 2012年結成
結成日は学内ライブをした2012年6月16日。最初はキーボードだけ先輩のサポートだったが、高野賢也がmixiで繋がった長谷川大喜を誘って現在の布陣が揃う。
その後、路上ライブや横浜・東京のライブハウスで活動を続け、2015年1月12日、初の全国流通盤『アルデンテ』リリースでインディーズデビュー。そして2018年10月期のTBS系『王様のブランチ』エンディングテーマ「レモンパイ」でプチブレイクを果たす。
▼マカロニえんぴつ「レモンパイ」MV
そして2019年にはマクドナルドCMソング「青春と一瞬」や、日本テレビ系『バゲット』エンディングテーマソング「ブルーベリー・ナイツ」をリリースし、初の全国ワンマンツアーのファイナル・恵比寿LIQUIDROOMはソールドアウト。さらに、2020年の2月7日、インディーズ時代にリリースされた「恋人ごっこ」のロングヒットなどによって、老若男女に知られるようになった。そしてついに2020年11月4日リリースのミニアルバム『愛を知らずに魔法は使えない』でメジャーデビューを果たした。
▼マカロニえんぴつ 「青春と一瞬」MV
▼マカロニえんぴつ「ブルーベリー・ナイツ」MV
▼マカロニえんぴつ「恋人ごっこ」MV
◎「なんでもないよ、」など数々の名曲をリリース!
そこからは破竹の勢い。2021年『第63回日本レコード大賞』最優秀新人賞を受賞。翌年、「なんでもないよ、」が『第64回日本レコード大賞』優秀作品賞を受賞。
さらに映画『クレヨンしんちゃん 謎メキ!花の天カス学園』主題歌「はしりがき」(2021年)、NHK Eテレ『天才てれびくん』テーマソング「ネクタリン」(2023年)によって子どもたちにも知られる存在になった。
▼マカロニえんぴつ「なんでもないよ、」MV
▼マカロニえんぴつ「はしりがき」MV
▼マカロニえんぴつ「ネクタリン」MV
◎メジャー3rdフルアルバム『physical mind』&全国19都市25公演ホールツアー開催!
2025年12月10日には 豪華タイアップ曲を含む全15曲を収録した3rdアルバム『physical mind』をリリース。そして2026年1月より全国19都市25公演のホールツアーを開催。初の沖縄公演を含むロングツアーとなっている。まだまだマカロックの躍進は止まらない。
■個々の色が濃すぎる!メンバープロフィール
はっとり

(Vo/Gu)
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中学生の頃からバンドマンを志していたマカロニえんぴつの発起人であり、メインソングライター。“はっとり”は本名ではなく、憧れのバンド・ユニコーンのアルバム『服部』(1989年)から拝借したエピソードは、広く知られている。はっとりを名乗りはじめた中学生の頃にギターをはじめ、最初はX JAPANやザ・ブルーハーツをコピーしていた。楽曲提供も行っている。山梨県中央市出身で、中央市ふるさと大使も務めており、関西出身ではないが大の阪神ファンで、甲子園でファーストピッチを務めたこともある。
高野賢也(たかの けんや)

(Ba/Cho)
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“けんけん”、また大御所感があることから“ごしょ”と呼ばれることもある。アニメ好きとして知られており、自身が作曲した「だれもわるくない」がアニメーション・スタジオ MAPPAが主催する『MAPPA STAGE 2023』の幕開けを飾るオープニング映像に起用された際には「アニメを観ない日は無く、自分にとってアニメは身体の一部と言っても過言ではない」と熱いコメントを寄せていた。高校生の頃には吹奏楽部でパーカッションを担当していた経験も。フリー(レッド・ホット・チリ・ペッパーズ)のフレーズをひたすら練習する“修行”をしていたことも明かしている。
▼マカロニえんぴつ「だれもわるくない」Official Audio
田辺由明(たなべ よしあき)

(Gu/Cho)
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愛称は“よっちゃん”。中高生時代は男子校に通っていた。ハードロックやヘヴィメタルを愛しており、ギターソロでは本領を発揮。自身も愛用するフライングVがトレードマークのマイケル・シェンカーから愛機“DeanV”を引き継いだ際には、ツーショットをSNSで公開し反響を呼んだ。
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さらにKen(L’Arc-en-Ciel)と対談し交友を深めるなど、シーンを越えたバンドとの繋がりも見せている。また熱波師検定を受けるほどのサウナ好きであることも有名で、好きなサウナは名古屋の『ウェルビー栄』。また“お酒を飲みながら料理することが好き”という一面も。
長谷川大喜(はせがわ だいき)

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ニックネームは“だいちゃん“で、田辺と同じくサウナや料理が好き。“サウナでリセットした帰りに音楽を聴いて、作曲でアウトプットする”というスタイルも明かしている。料理に関しても、クックパッドへのレシピ投稿や、音楽イベントで自身のレシピのキーマカレーを販売するなど、かなり本格的。また『ステラおばさんのクッキー』とのコラボで 『はせがわおばさんのクッキー』も販売され話題となった。ジャズ好きで、もともとのルーツはエレクトーン。3歳から18歳まで習っていた。高校生のときには、地元・新潟県のコンクールで3年連続1位を獲得した経歴も持つ。
🎹デビュー10周年🎹
メンバーコラボグッズ第三弾🍪似ていると噂されていた、ステラおばさんとマカロニえんぴつKey.長谷川大喜(通称:だいちゃん)とのコラボグッズの販売がついに実現しました🙌😋
思わず笑顔になってしまうステラおばさんのクッキーとはせがわおばさんのマリアージュが完成🍪🎹… pic.twitter.com/c3fOrf13Ee
— マカロニえんぴつ 公式 (@macarock0616) August 25, 2025
■マカロニえんぴつにハマる!3つの魅力
◎老若男女がハマる!メロディ&サウンド
全員が音楽大学出身で、確かな技巧と知識があるのに、決して敷居が高い着地点にならないところが、マカロニえんぴつの楽曲の魅力。はっとりの歌唱力&表現力や、田辺の“ギターソロ復権”をも感じさせるハードロック魂、シンセベースも使いこなす高野の支えるだけではない彩り、長谷川のキーボードからは流麗さだけではなく茶目っ気も漂う。決して簡単ではないのに思わず歌いたくなるキャッチーな音楽性には、4人の人間性も表れている気がする。
◎ライブで魅せる!圧倒的な演奏力と熱量
ライブありきで躍進してきたバンドであり、デビュー10周年イヤーとなる2025年6月14・15日には、バンド結成の地・神奈川県の横浜スタジアムにて、バンド史上最大規模となるスタジアムワンマンライブを開催、計6万人を動員した。名曲だらけのため間違いのないセットリストや圧倒的な演奏力に加え、MCのやり取りから見られるメンバーの仲の良さも魅力。
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◎等身大のフレーズが刺さる!共感性の高い歌詞
はっとりが手掛ける青春や恋愛や生死を描いた歌詞は多くの共感を呼んでいるが、それでいて一筋縄ではいかない。意外な視点や、回り回って中心を射抜くような道筋、ダブルミーニングや出自を知ると興味深いワード探しなど、非常に緻密なのだ。そして、そこに絶妙な比喩や遊び心も交えながら歌詞に昇華している。こだわりの譜割りや歌詞とシンクロした演奏も含めてマカロックとなった瞬間、さらに熱を帯びる化学変化もバンドらしくていい。
■ 刺さる言葉の理由を解説!【歌詞あり】「ハッピーエンドへの期待は」歌詞考察
「ハッピーエンドへの期待は」
作詞:はっとり
作曲:はっとり
編曲:マカロニえんぴつ「残酷だったなぁ人生は」思っていたより
いま君に会って思いきり泣いてみたいAh 終わりは何も告げず始まった
朝が来ない部屋で燃やした恋もこのプライドや劣等じゃ闘えないと知る
どのくらいの無鉄砲が僕らには似合う?
また君のいない季節へ「残酷だったなぁ人生」は」思っていたより
いま君に会って思いきり泣いてみたい
どうにかなるはずさ どうにかなるはずさ
どうにもならなかった僕らの日々に名前は付けないで
思い出になるほど綺麗じゃないから背広が似合わないと肩叩き笑い合った
あいつの猫背が急に恋しいぜ「散々なんだよな人生は」わかっちゃいたけど
いまい前に会って話したいな 話したいよ
井の頭の夕陽は僕らの影を掴む
大人になりそびれた哀れな影たちを終わりは何も告げず始まった
もう君のいない季節も選んでよかったとおもう
愛してるよ ぜんぶ足りなかった毎日どの夜のことを思い出してしまってもね
悲しくはないのだ
ハッピーエンドの期待は捨てるなよ?どうか元気でね
《「残酷だったなぁ人生は」思っていたより》という強烈なフレーズを印象付けるようなアカペラからはじまり、《終わりは何も告げず始まった》と、予期せぬエンディングを迎えた物語がわかる一節も早々に登場。
《朝が来ない部屋で燃やした恋も》とあるので失恋にも思えるけれど、“も”なので、恋もひっくるめた青春のようにも受け取れる。その証に《背広が似合わないと肩叩き笑い合った》と、仲間とのエピソードも。さらに《井の頭の夕陽は僕らの影を掴む》という具体的な地名が、リアリティを高めていく。
《愛してるよ、ぜんぶ足りなかった毎日》と吹っ切れた今の心境を表明し、《ハッピーエンドへの期待は捨てるなよ?どうか元気でね》と、自分自身にも、会えなくなってしまった人たちへも、呼びかけるように結ぶ。恋愛でも友情でも生活でも、どんな“残酷”があっても、人生は続いていく、続けていける、“ハッピーエンド”へ向かって。
主題歌となった映画『明け方の若者たち』に寄り添いながら、“大人になりそびれた”世代のあらゆるどん底を照らしてくれる名曲。
■【歌詞あり】「恋人ごっこ」歌詞考察
「恋人ごっこ」
作詞:はっとり
作曲:はっとり「ねぇ、もう一度だけ」
を何回もやろう そういう運命をしよう
愛を伝えそびれた
でもたしかに恋をしていた
恋をしていた缶コーヒーで乾杯
シーツは湿って
どうにもならない二人だ
言う通りにするから
恋人ごっこでいいから
今だけ笑っていてほしい余計な荷物に気付くのは
歩き疲れた坂道だ
忘れていいのはいつからで
忘れたいのはいつまでだ?「ねぇ、もう一度だけ」
を何回もやろう そういう運命でいよう
愛を伝えそびれた
でもたしかな恋をしていた
恋をしていた無駄な話に頼るのだ
隠し疲れた罪を運ぶため
忘れていいのは君なのに
忘れたいのは僕だけか「ねぇ、もう一度だけ」
もう無しにしよう?そういう運命を取ろう
愛を伝え損ねた
また恋をしてみたい
恋をしてみたい裸や、撫で肩や キスや乾かない髪
もう一度あなたと居られるのなら
きっともっともっとちゃんと
ちゃんと愛を伝える
もう二度とあなたを失くせないから
言葉を捨てる 少しずつ諦める
あまりにも脆い今日を抱き締めて手放すただいま さよなら
たった今 さよなら
2025年12月1日時点でMVが7244万回再生を記録しているが、「恋人ごっこ」というタイトルからわかるように、いわゆるど真ん中のラブソングではない。《愛を伝えそびれた でもたしかに恋をしていた》という宙ぶらりんな関係性が描かれており、これまであまり歌にされることがなかった、でも多くの人が感じていた想いにすっぽりと嵌ったからこそ、これだけ聴かれるようになったのだと思う。
《恋人ごっこでいいから 今だけ笑っていてほしい》という刹那的な願いや、《忘れていいのはいつからで 忘れたいのはいつまでだ?》という逡巡を経て、物語は中盤から《愛を伝え損ねた また恋をしてみたい》という未来への目線へと変わる。さらに《もう一度あなたと居られるのなら きっともっともっとちゃんと ちゃんと愛を伝える》と、刹那ではなく永遠を掴むための決意も。
《あまりにも脆い今日を抱き締めて手放す》という表現からは、過去への愛しさと、大人になっていく過程が刻まれているようだ。《ただいま さよなら たった今 さよなら》と、今ひとりに戻るのだと噛みしめるような、シンプルにして深く響くエンディングも、多くの共感を呼んでいる。
■メジャー3rdフルアルバム『physical mind』
全15曲中9曲がタイアップソング。3rdフルアルバムは、前作から2年半のバンドの躍進を刻んだ仕上がりになった。タイアップとひと口に言っても、軽やかな「poole」は『紅茶花伝』CMソング、犬目線のハートウォームな「ハナ」はNHK『みんなのうた』、“痛み”を切々と歌う「化け物」はミステリー映画『火喰い鳥を、喰う』主題歌と一筋縄ではいかないコラボばかりで、幅広い表現力を発揮している。アルバム初出し曲も、ハードロック風味の「NEVEREND」、ふつふつと熱い「静かな海」など聴き応えたっぷり。“physical”=肉体と“mind”=心を掲げたタイトルからも、今の彼らが大切にしていきたい志が見えるようだ。
▼マカロニえんぴつ「poole」MV
▼マカロニえんぴつ「ハナ」(Official Audio)
▼マカロニえんぴつ「化け物」MV
▼マカロニえんぴつ「静かな海」MV
■必聴したい!マカロニえんぴつ人気5曲
「ブルーベリー・ナイツ」
インディーズ時代にリリースされた4thミニアルバム『LiKE』(2019年)収録曲。映画『マイ・ブルーベリー・ナイツ』からインスピレーションを受けて、このタイトルとなった。“あたし”というワードもあるが、女性目線の歌詞。《行かないで 棄てないで》と必死で縋るような様子や、《誰でもいいよ あたしを潰して舐めて》という自暴自棄にも思える心情が生々しく映し出されている。歌詞に寄り添った切ないアレンジも聴きどころ。
「なんでもないよ、」
メジャー一作目アルバム『ハッピーエンドへの期待は』(2022年)収録。『日本レコード大賞』第63回で最優秀新人賞を受賞した曲で、第64回の優秀作品賞を受賞するという、史上初の快挙を成し遂げた。《ただ僕より先に死なないでほしい》《君といるときの僕が好きだ》という本音を、ピアノ中心のシンプルな演奏でむき出しに歌う。『THE FIRST TAKE』では、歌詞を印象付ける譜割りや独特の間、そして何よりエモーションが際立つパフォーマンスを見せた。
▼マカロニえんぴつ – なんでもないよ、 / THE FIRST TAKE
「リンジュー・ラヴ」
2023年にリリースされたメジャー二作目アルバム『大人の涙』収録。“リンジュー”=臨終であり、MVの世界観も連動しているが、楽曲のテーマは死ではなく、後悔という想いの強さや、それでも強く生きていく、熱いエモーションが軸にある。徐々に温度が高まっていく流れはライブだと顕著で、『THE FIRST TAKE』でも聴きどころ。歌詞にも楽器にも遊び心がちりばめられているのに、聴き終えた頃には涙が流れる。そこにしなやかな技巧を感じる。
▼マカロニえんぴつ – リンジュー・ラヴ / THE FIRST TAKE
「ヤングアダルト」
インディーズ時代の2020年にリリースされたアルバム『hope』収録。「ヤングアダルト」には“大人になり切れない”という意味合いがあり、ロックを聴き続けている人なら何歳でも引っかかるワードだと思う。《あの子の孤独を殺せてたらな》《手首から もう涙が流れないように》《夜を越えるための唄が死なないように》という、過激さを優しさが包み込む比喩から伝わるのは、“なんとしても救いたい”という意思。マカロニえんぴつが愛される理由が詰まっている。
「星が泳ぐ」
2022年にリリースされたシングル「たましいの居場所」に収録された、テレビアニメ『サマータイムレンダ』のオープニングテーマ。《意味がないか こんな歌には》と吐き出してしまう一節など、はっとり自身のつぶやきにも思えるフレーズも。「星が泳ぐ」とは花火用語で、花火の打ち上げが不均等で軌跡が曲がってしまう状態のことを指す。もどかしい想いを昇華するような、歌うベース、きらめくピアノ、唸るギターが絡み合うアウトロが秀逸。
■マカロニえんぴつをチェック!
お茶の間やフェスやヘッドホンで愛される名曲揃いのマカロニえんぴつ。ニューアルバム『physical mind』のリリースと、2026年1月からの全国19都市25公演ホールツアーで、さらなる躍進が期待できる彼らから目を離さないでほしい。
TEXT BY 高橋美穂
▼マカロニえんぴつの最新記事はこちら
https://www.thefirsttimes.jp/keywords/431/
▼マカロニえんぴつの楽曲リンクはこちら
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