『THE FIRST TAKE』から派生したコンテンツ『HIGHLIGHT』。第6回に登場したのは、世界的にも注目されているギタリストのIchika Nito。『HIGHLIGHT』では初めてとなるギターパフォーマンスを紐解いていく。
■『HIGHLIGHT』とは?

ダンス・楽器演奏など様々なジャンルにフォーカスを当て、『THE FIRST TAKE』本編では伝えきれていないアーティストの魅力や、グループのなかのひとりなどその人だけが放つ輝きにスポットライトを当てていく企画。
一発撮りのパフォーマンスを至近距離から複数のカメラで撮影。”近さ・生々しさ”、臨場感溢れるパフォーマンスを楽しむことができる。
■Ichika Nito

Ichika Nitoは世界で活躍するギターソリスト/作曲家。大学在学中にギター動画の投稿を開始すると、両手を駆使し、タッピングを織り交ぜた技巧的な独自の奏法と、美しいメロディが海外のミュージシャンや著名人の間で話題に。現在のSNSの総フォロワー数は500万人以上で、その7割が海外からのものだ。2021年には世界的なギターブランドであるIbanez(アイバニーズ)から、日本人としては初めてのシグネチャーモデル『ICHI10』を発表し、2022年にはグラミー賞にノミネートされたMGK(マシン・ガン・ケリー)のアルバムに参加。日本では川谷絵音らとのichikoroや、たなか・ササノマリイとのDiosでも活動し、2026年1月に待望視されていた初のフルアルバム『The Moon’s Elbow』を発表した。
■Ichika Nito’s『HIGHLIGHT』
◎使用曲:Ichika Nito「i miss you」
「i miss you」は2019年にリリースされ、Spotifyでは1800万回、YouTubeでも演奏動画が1100万回以上再生されている現時点での代表曲。
リヴァーブのかかった独特な音色のクリーントーンで鳴らされる、どこか物悲しくもポップなメロディは、Ichikaのルーツにあるビル・エヴァンス、あるいは坂本龍一や久石譲とリンクする部分も。海外のライブではこの曲のメロディをオーディエンスが合唱するという現象も起きている。
◎パフォーマンスの見どころは?
【世界に引き込まれるイントロダクション】
Ichika Nitoが登場し、まず手に取ったのがヘッドレスを特徴とするシグネチャーモデル『ICHI10』。軽量でコンパクト、かつ流線型のデザインが美しい。袖をまくり、ピックを口にくわえると、まずはイントロダクション的にギターを奏で始める。
両手を使った独自の演奏方法はピアノがインスピレーションの源になっていて、左手でベースとコード、右手でメロディーを担当し、音と音の繋ぎ目をなくすために、フレーズの接着剤としてタッピングを用いている。歪みをかけないクリーントーンのギターの音色はとても生々しく、繊細なタッチで細やかなフレーズを奏でたかと思えば、アグレッシブに弦をはじいたりすることによって、ギター本来の“鉄”の音が響き渡る。
【目を奪われるテクニックと感情溢れる演奏】
01:20から「i miss you」の本編が始まり、このリフレインするメロディが海外のライブで合唱の起きるパート。ミュートやスライドといった奏法を織り交ぜながら、徐々に演奏が盛り上がっていくと、01:52で初めてピックを手にし、激しいカッティングを聴かせ、さらにはピックでのカッティングと指でのタッピングを混ぜながらの演奏が実にテクニカルだ。
もともとIchikaのルーツにはメタルがあり、速弾きを練習したことが現在のテクニックの土台になっていて、今でも歪んだ音色でプレイすることもあるのだが、そのいっぽうでピアニストのソリスト(独奏者)に憧れ、ひとりで完結する世界観に強いこだわりを持っている。「i miss you」の音源にはリズムが入っているが、今回はそれすらもなく、ギター一本ですべてを表現しているのは、彼の美学の表れだと言えよう。
02:20から再びメインのフレーズに戻り、このまま静かに終わっていくかと思いきや、02:45にハーモニクスを鳴らすと、最後に再びギターをかき鳴らし、ビブラートを効かせながら高音を鳴らす終盤は魂の叫びのようで、非常にエモーショナル。一時期“若者はギターソロを飛ばす”という言説が流布されたが、Ichikaのギターはただテクニカルなだけでなく、生身の感情がたしかに伝わるもので、ギターという楽器の持つ可能性を改めて感じさせてくれる。
■Ichika Nito「音で聴いて楽しいのはもちろん、目で観ても見応えのある内容」
『HIGHLIGHT』撮影後、Ichika Nitoに注目ポイントを聞いた。
Q1.今回のパフォーマンスの注目ポイント
Ichika Nito:映像タイムコード:00:47〜00:53、02:00〜02:05両手の指でタッピングを駆使するのが僕のギターの弾き方の特徴のひとつでもあるかなと思っているのですが、00:47〜00:53のあたりがそれがわかりやすいかと!
あと02:00〜02:05のプレイは、高い音と低い音を同時に両立させて演奏しているのですが、この高低差から生まれる立体感は聴いていて気持ちがいいところだと思います。Q2.パフォーマンス楽曲のセレクト理由や、アレンジについて
Ichika Nito:どの曲を演奏しようか迷っていたときに、自分の曲の中で最も聴かれている曲である「i miss you」にしたいけど、やっぱり一発撮りの無編集ならバッキングトラックのないギター一本の生身の演奏のほうが面白いなと。それに原曲そのまま弾くよりも、せっかくなのでよりパフォーマンス性も加えたギターの演奏として、音で聴いて楽しいのはもちろん、目で観ても見応えのある内容にしようと思い、今回のアレンジになりました。
TEXT BY 金子厚武
▼『THE FIRST TAKE』OFFICIAL YouTube
https://www.youtube.com/@The_FirstTake
▼『THE FIRST TAKE』OFFICIAL SITE
https://www.thefirsttake.jp/



