ライブシーンを盛り上げるアーティストを、彼らをよく知るリコメンダーの3つの視点から紹介する企画『BARISAN(読み:バリサン)』。ライブハウスで出会う「あのバンド、気になる。」を深く掘り下げる場所として、アーティストの魅力を言葉で紐解く。
今回は、10代アーティスト限定の夏フェス『マイナビ 閃光ライオット2026 produced by SCHOOL OF LOCK!』のグランプリに輝いた札幌某所を、当イベント運営のレコード会社 新人開発部スタッフからのコメントと共にご紹介。
北海道で結成され、札幌を拠点に活動するオルタナティブバンド。前回の『マイナビ 閃光ライオット2025』では3次審査まで進出したもののファイナルステージ出場は逃しており、今回最後の挑戦として応募し、グランプリを獲得した。その魅力を紐解いていく。
■BARI語り 3POINTS → FROM THE ARTIST
『閃光ライオット』運営(レコード会社 新人開発部・小林禄与 / 遠藤正平)は札幌某所のココに注目!
◎SONG|まず聴いてほしい一曲
▼札幌
小林:生まれ、育ちのすべてが詰まっている「札幌」です。アンビエントで“冷たい”“冬”などを曲として出すのは想像がつきますが、激しさの中に“札幌の冬”をしっかり体現が出来ているところに感銘を受けます。
タキグチ カイト(Vo.):ありがとうございます。
僕はこの曲が出来てから、札幌某所というバンドの今後の未来が定まった確かな感覚がありました。
愛する故郷の景色を、この曲を聴いて知って欲しいという想いで書きました。
その想いはリリースを経て、周囲の人の反応からより一層強くなっていきました。
これからも僕達が見てきた北国の風景を、轟音に乗せて遠くの顔も知らない誰かへ届いてくれたらと思っています。
▼Don’t remember me
遠藤:葛藤から抜け出すために背中を強く押してくれる「Don’t remember me」です。
この楽曲は歌詞・構成・演奏含め、あらゆる人たちに力を与えられると感じます。
タキグチ カイト(Vo.):ありがとうございます。この楽曲は私が高校を卒業する冬に書いた曲です。
大人、という抽象的な概念に対する当時の自分なりのアンサーともいえます。《少しずつ壊れていく》《何一つ愛せないや》この節は特にそれを強く感じさせます。高校生という肩書きが無くなれば未来への希望を失ってしまうという、大人になりたくない。という気持ちが強く表れていると思います。
最後のサビで核となる《きっとこの街も僕らを忘れるから》という一節がありますが、これは当時感じていた寂しさを大きく表していると思います。時間が経てば、毎日生活していたこの街も、いつも会っていたあの人も、元から何も無かったかの様に忘れ去られてしまうのではないか。“あの日々”の葛藤を詰め込んだパワーフレーズだと私は感じます。モラトリウム的な思想を強く感じさせる歌詞に、爽やかで美しいサウンドをぶつける事に、一層この曲が持つ儚さに息を吹き込むことができたのではないかと感じています。
◎LIVE|ライブで注目してほしいポイント
小林:Vo.のカイトの素朴な雰囲気から絞り出される衝動的で消え入りそうな声。
そしてGu.ハヤトがステージ中央から体で鳴らすGu Playが必見です。
イシカワ ハヤト(Gu.):その通りです。僕もカイトもプレイは特に気を遣っています。
僕は、感情的に激しく弾くギタリストが大好きで…そういった方々に影響されているんだと思います。
それを抜きにしても、僕は“楽しい”“悲しい”の感情に動かされやすいので、曲感に左右されて身体や表情が動くのだとおもいます。
カイトからは「身体で弾け。」と言われているので、彼の声のボルテージに追従する形で鳴らしています。
特に、僕等の楽曲の「札幌」のアウトロでは、彼の掠れたシャウトと僕の轟音がそれの表れです。
遠藤:Vo.カイトの時々振り絞るように出す発声と、衝動的なシャウト混じりのボーカルから何か一つでも伝えるという執念を感じます。Gu.ハヤトの顔と体で弾くギターからは、これでもかというほどの情熱と、何より”今聴いてくれ”という感情が伝わってきます。
イシカワ ハヤト(Gu.):そうですね。ありがとうございます。
「今聴いてくれ」なのかもしれませんね。
僕は演奏中の曲感に入り込みやすいタイプなので、基本的に衝動で弾くことが多いです。ギターを鳴っている、というよりかは、僕の身体が鳴っているに近いとよく言われます。感極まった時は、ギターを掻きむしってノイズを出したり、叩きつけるように弾いたりもします。僕はその“ノイズ”を、僕たち(曲やライブを聴いてくれている皆様も含む)が日頃から感じている鬱憤や悲しみ、言語化できない心の歪みだと認識しています。
カイトのボーカルにおいてもそう感じます。几帳面な方である彼が、“キレイに歌う”ことよりも「伝えたい」という感情を先立たせた結果が、あの振り絞ったような声なのだと僕は思います。
音楽的には忌避されがちなノイズですが、何かを伝える上では無視できない存在だと感じています。
つまり、「今聴いてくれ」です。
◎WHY|このアーティストを推す理由
小林:曲、Liveでも言及したように“冷たさ”と“衝動”です。20代に差し掛かる彼らがどこで育ち、何を食べ、どうやって暮らしてきたか。そんな何気ない“日常”をしっかりと“音”に落とし込んでいるバンドだと感じます。
タキグチ カイト(Vo.):普通だけど、どこか異質な、そんなバンドを目指しています。
今日を書く上で一番念頭に置いていることは、日常生活の中にどれだけ溶け込めるかという点です。
等身大でリアルな歌詞と、心を動かすメロディという揺るぎない土台に、北国を感じさせる独特なコーラスワークという異質感が僕達にとっての武器だと思っています。
遠藤:地元で暮らす日常を切り取り、歌に昇華するバンドは少なくありません。
しかし、彼らほど直情的にそれを表現し、不安に立ち向かう強さをくれるバンドはほかにありません。
彼らの本質が、“葛藤と足掻き、衝動”で、リアルとして“冷たさ”が伴っているならば
札幌の町で歌う歌が全国のあらゆる人々の力にもなり得ると感じます。
タキグチ カイト(Vo.):ありがとうございます。この曲を歌っていて、突然、私自身もどこか救われた気持ちになったことがあります。ノンフィクションが何一つない等身大な曲であるからだと私は感じます。
変化することはいつだって怖いです。しかし同時に美しいものだとも私は思います。沢山の経験が知らないうちに私たちを新たな姿に形成していく。伸びやかで美しいギターリフはそんな私たちをどこまでも運んでくれる様な感覚を与えてくれます。私は熱い言葉で背中を押せる様な人間性では元々ないので、今の貴方を肯定する冷たいサウンドがこれからも多くの皆さんを優しく包み込んでいけたらと思います。
小林:札幌で初めて札幌某所を見たのが彼等が高校2年生の時。そこから約3年。
ファイナルのステージに立った瞬間のどことなく冷たく、力強い、大きな雰囲気をまとっていた光景はとても壮観なものでした。
なおかつ、あの頃と変わらずに“自分たちの生まれた町の音を鳴らす”事が体現された素晴らしいライブでした。
改めておめでとうございます!
遠藤:昨年と本年、二年続けて彼等のライブを拝見いたしました。
まず、演奏技術とライブの完成度が格段に高くなっており、一年間の努力と想いが伝わりました。
札幌某所の楽曲からは、故郷の景色の中で、様々な葛藤をしながらも、前に進もうとするエネルギーを強く感じます。
「あの町でもっと強くいられたのかもしれない」という気持ちが沸き上がると同時に強く背中を押してくれるような感覚を覚えます。
きっとそのエネルギーは、札幌か否かにかかわらず、”現在地と故郷”にギャップを感じるすべての町の人たちの力になると思います。
改めて、グランプリ受賞おめでとうございます。これからも頑張ってください!
メンバー
Vo. タキグチ カイト
Gu. イシカワ ハヤト
■『BARISAN』担当メモ
一昨年、昨年に引き続き、3年目になった『閃光ライオット』とのコラボレーション特集です!今年のファイナリストは去年の『閃光ライオット』でも印象に残っていた札幌某所。ライブを観ているうちにどんどん引き込まれていくバンドです。静かに始まったかと思えば、演奏が進むにつれて少しずつ景色が変わっていって、気づけばステージから目が離せなくなっている。音の強さはもちろん、それぞれのセクションがそれぞれの場所で音楽に入り込んでいく姿もすごく印象的で、ライブだからこそ伝わってくる魅力がたくさんあると思います。
最後の挑戦として挑み、グランプリを獲得した『閃光ライオット』。ここから、どんなバンドになっていくのか、今までもこれからも楽しみです。
担当イチオシ楽曲はこちら
▼「最前線」
■ライブ情報
『Maxell presents FM802 MINAMI WHEEL 2026』
2026年10月10日(土)
@心斎橋周辺 20カ所以上のライブハウス
■関連リンク
◎札幌某所 OFFICIAL
YouTube: @sapporoboushoofficial
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Instagram: @sapporobousho_official
TikTok: @sapporobousho_official
◎閃光ライオット OFFICIAL
YouTube: @SCHOOLOFLOCK69
X: @SenkouRiot
Instagram: @senkouriot
TikTok: @senkouriot
◎BARISAN OFFICIAL
X: @bari3_music
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【前回の『バリサン』はこちら】

