THE F1RST TIMES

INTERVIEW

2021.11.10

JUJUがドラマ『恋です!』にキュンとしてグッときた想い。「こたえあわせ」に込められたメッセージ

JUJUのニューシングル「こたえあわせ」が11月10日(水)にリリースされた。オールタイムベストアルバム『YOUR STORY』、邦楽男性カバーアルバム『俺のRequest』を経て、通算41枚目となるシングル。

表題曲は、杉咲花の主演ドラマ『恋です!〜ヤンキー君と白杖ガール〜』(NTV)の主題歌。杉咲とはドラマ『ハケン占い師アタル』(2019)以来2年9ヵ月ぶりのタッグで、作詞は同ドラマ主題歌として書き下ろされた38thシングル「ミライ」と同じく蒼山幸子(exねごと)が手がけ、楽曲プロデュースは39thシングル「STAYN’ ALIVE」の蔦谷好位置。

年齢や性別を問わずに聴ける新たなスタンダードナンバーとして、2020年代のJUJUの代表作になる予感を湛えた名曲はどのように胎動したのだろうか。

INTERVIEW & TEXT BY 永堀アツオ

■ “こたえあわせ”をしなくていい人と出会えること

──新曲「こたえあわせ」が主題歌を務めるドラマ『恋です!〜ヤンキー君と白杖ガール〜』が好調ですね。

私も毎週、毎週、ほんっとに楽しみにしています! 主題歌を歌わせていただいているから言っているのではなく、生まれて今まで観てきたドラマ歴の中で、こんなにも毎週確実にキュンとして、さらに泣くドラマが、私史上あっただろうか!?っていうくらい(笑)。

──毎回、登場人物たちの一生懸命さにグッとくるんですよね。

Twitterで「いいタイミングで『こたえあわせ』が流れて、余計に泣けます」とか「キュンとします」という書き込みをいただくたびに……歌っている自分が言うのもなんですけど、“わかるー!”って思ってます(笑)。

──(笑)歌詞も重なる部分が多いんですよね。冒頭の“連れ出してこのまま”から。

たしかに。ドラマを観てから聴くと、意味合いが全然違って聴こえますよね。

──改めて、この曲が生まれた経緯を聞いてもいいですか。

ドラマの主題歌に起用していただけるのはありがたいかぎりですし、(杉咲)花ちゃんとご一緒できることもうれしいなって思いましたね。最初に原作の漫画を読んだんですけど、面白いし、キュンともするし、グッともくるし、勉強にもなる。喜怒哀楽のすべてを揺さぶられる、学びの多い漫画だなと思って。ただ、主人公は学生なので、その年齢に対して私はどうしたらいいのかなって思ったんですよね。

──恋に臆病な弱視の盲学校生と純粋だけどケンカっぱやい不良少年のラブコメディですもんね。

でも、この物語の中で一番大切なのは、ふたりがそれぞれ、“はみ出してる”と感じていることだと思ったんです。目が見えるのが“普通”、尖ってないのが“普通”という枠があるとしたら、ふたりともそこからはみ出ていて。はみ出すのが悪いという世の中だからこそ、生きづらさを感じている。そんなふたりが惹かれ合い、お互いのことを見つめ合うようになって、自分の中で無理して見ないようにしていたものや、出さないようにしていた感情がわかるようになっていくという。

──社会や世の中の常識に合っているかどうかを確認しなくてもいいふたりだ、ってことですね。

だから、“こたえあわせ”というタイトルだけど、“こたえあわせ”をしなくていいんだよっていう曲なんですよね。ユキコさんと森生くんは、それぞれ自分が“普通”じゃないという状態でずっと生きてきたけど、お互いから見て「すごい普通じゃん」って言い合える。今まで“普通”じゃないと思っていたことは、自分が思っていただけじゃないかということに気づき合って、“こたえあわせ”をやめていく。それはきっと、どの年齢の人にもあることで。何かしら、自分が枠の外に出ているなと感じたり、枠の中にいなきゃいけないという気持ちってあるじゃないですか。私たち自身も気づかないうちに“こたえあわせ”をしていると思うんですよ。“これは私にとっては普通だけど、他の人から見たら普通じゃないかもしれない”ということって、誰かに認めてほしいし、誰かに“変じゃないよ”って言ってもらうのをずっと待っている感じがして。だから、この曲によって私自身も非常に勇気づけられるんですよね。

──とてもドラマに寄り添っているけど、“ドラマの話だしな”っていうだけにはとどまらない曲になっているんですよね。

そうそう、ライブのMCでも言っているんですけど、ユキコさんにとっての森生、森生にとってのユキコさんが、恋愛対象じゃない可能性だってあるんですよ。誰かに出会うことによって……それは恋の相手じゃなく、友達や家族でもいい。“こたえあわせ”をしなくていい人と出会えることってものすごく貴重だし、なんなら、人じゃなくて、曲とか本とか、通りすがりに誰かが話しているのを聞いた、ひとつの言葉でもいい。それがきっかけになって、“こういう想いをしているのはひとりじゃないな”って思う人が増えるといいなと思いますし、そのときの気持ちだったら、私も歌えるなって思ったんです。

■「こたえあわせ」は「奇跡を望むなら. . .」の2021年バージョン

──JUJUさんご自身の心情と重なっている部分もありますか?

最初に漫画を読んでいたときは、“大人”の中でもずいぶん大人の年代になってきた私が、高校生のふたりにどう合わせたらいいんだろうなと思っていたし、そもそものJUJU感を持ち込めない世界観だと思っていたんですよ……でも、今となっては、私そのまんまの歌詞だなって思いますね。うちのボスにもそう言われましたから(笑)。私が当てはまるくらいだから、大人も含めてみんなが当てはまる歌詞なんだろうなって思います。

──特にどこのフレーズですか。

“いつでも これ以上を求めるのは/さみしい綱渡りに思えた”の部分は「これ、JUJUそのまんまじゃない?」って言われて、“たしかに!”と思いました(笑)。“ずっとはぐれながら/そっと生きてきた”しなあとも思って。だからこの曲は、私自身に対して、周りにいてくれる友達やスタッフに対して、そして、JUJUというものを応援してきてくれたすべての人へのメッセージでもあるなということを思っていて。最近、「奇跡を望むなら. . .」のアンサーソングなんじゃないかって思っているんですよね。アンサーソングというか、「奇跡を望むなら. . .」の2021年バージョンかな。

──「奇跡を望むなら. . .」はひとりじゃないと教えてくれた“君”がいて、“奇跡を望むなら一人きりでいないで/手を伸ばせば 誰にでもコタエはあるから. . .”と歌っています。

ひとりじゃないって思う気持ちですよね。人ってそもそも孤独なものだと思うけど、思っているほどひとりじゃないっていうことを思ったりするのも増えてきた。だから、すべてが重なって聴こえてきて。「こたえあわせ」の2番の歌詞“ひとつの窓からじゃ 見渡せない/景色がこんなにあったの”というのも、自分が心をちょっと開いたり、凝り固まっている心を一回壊してパッと広げた瞬間じゃないと見えないものが絶対にあったりする。世の中に背を向けないことって大事ですよね。でも、ふとすると背を向けてしまう。特に今は世の中も大変なときだと思うから、ちょっとしたことで暗雲が立ち込める。それに負けちゃいけないなとも思うし、この暗雲はなくてもいいものなんだって、きっかけになる曲になったらうれしいです。

──ちなみに、ドラマ『ハケン占い師アタル』の主題歌「ミライ」に続いて、JUJUさん、杉咲花さん、蒼山幸子さんという3人のタッグにしたのはどうしてですか?

狙ったわけではないんですよね。「ミライ」のときもそうだったけど、今回も偶然が重なって、最終的に蒼山さんに書いていただくことになって。その磁石になっている人がいるとしたら、花ちゃんでしょうね。

──杉咲さんでいうと、『ハケン占い師アタル』は人には見えないものが見える役で、今回は人に見えているものが見えない役なんですよね。

たしかに! 今、指摘されてハッとしました。前回は全部お見通しな人で、今回は弱視だけど、心の目でいろんなものを見ている。みんなが見なきゃいけないものや、感じなきゃいけないものを、花ちゃんが引っ張り出している気がします。(遠くに向かって大声で)ありがとう、花ちゃんー!(笑)

■未来を恐るるなかれっていう、自分に対するメッセージ

──(笑)蒼山さんが作詞をした曲を含めて、JUJUさんのシングルの流れでいうと、小さな明かりを灯すような気持ちだけで“未来を探してゆく”という静かな決意を込めた「ミライ」、“かかってきなさい未来”と豪快に歌っていた「STAYIN’ ALIVE」に続いて、この曲では“ぼやけてる未来さえも怖くないよ”と締めています。この“未来”というモチーフに対してはどう感じていますか。

大人になればなるほど、いろんなことを考えますよね。未来を見ることが難しくなってくる年齢でもあるだろうし、怖くなったら涙ぐんで、でも涙ぐむと視界はぼやける。それをいいことにして、ぼやけてることにしておこうって思ったりもするけど、歌詞の“あなた”は、さっきも少し話したけど、本や音楽、ドラマや映画でもいいと思うんですね。人じゃなくても、“これさえあれば、視界がぼやけていても怖くないな”っていう何かに出会えたら、ちょっと力が出て前に進んで行こうと思える。それはすごく素敵なことだなと思うし、そのアイテムが多ければ多いほどいいですよね。もちろん、大人になってもかけがえのない誰かに出会えるかもしれないし。とにかく、未来を恐るるなかれっていう、自分に対するメッセージも過分にあると思います。

──「こたえあわせ」は歌詞が「ミライ」の蒼山幸子さんで、プロデュースが「STAYN’ALIVE」の蔦谷好位置さんなんですよね。この3作の繋がりも面白いなと思っていて。

「STAYN’ ALIVE」が長女、「ミライ」が次女だとしたら、「こたえあわせ」は、“未来三姉妹”の一番下の子が歌う感じかもしれない。長女が不良だから、破天荒すぎるお姉ちゃんを見てきた次女は真面目でちゃんとしてる。じゃあ、三女はどうなったのかっていう(笑)。「こたえあわせ」は、歌っている私が元気になるので大人も子供もちょっと元気になれるし、ひとりでふつふつと心の中で闘志を燃やす曲にもなっているから、少しでも心が軽くなる人が多くなるといいなと思っています。ただ、何よりもドラマをみんなに観てほしい。主人公だけじゃなくて、周りの人たちを観ていても、人ってこんなにいたいけに頑張るんだなって思うし、恋愛っていっても仲間や家族、愛の形もそれぞれじゃないですか。本当にただの若者のラブコメに収まっていないから、老いも若きも観てほしいですよね。きっと元気になると思います。

──本当に楽しみにしているのが伝わってきますが、僕はこの曲はJUJUさんの新しいスタンダードになる予感がしているんですよね。先ほど、ご自身が兼ねてから“転機になった”と言っていた「奇跡を望むなら. . .」の最新バージョンだって言っていたことも含めて。

新しい代表曲になったらいいなと思うくらい、いい曲になったなと思いますね。これもライブのMCで言っていますけど、私にとっては、“ニューチャプターの一歩目”だと思っていて。4枚組のベストアルバムを出して、JUJUとしての貯金はもうなんもないですから(笑)。“これが新しいJUJUの第一歩です”という曲としては本当に最高だと思います。

──JUJUとして、「こたえあわせ」が新しいチャプターの1曲目になっている?

そうですね。今までのJUJU像も捨てるというか……捨てるという表現は違うかな。“ままならない”は引き継いでいくから。なんというか……過去を振り返ってこれをやり直したいなとか、この過去を消したいなとか、そういうことは誰にでもあるじゃないですか。でも、すでに起こったことは変えられない。もちろん、そんなことを考えない方がいいっていうのもわかってる。“わかってるけど、でも……”っていうことをすべて捨て去って、せっかくのニューチャプターなので、新人のつもりで頑張ります!っていう気持ちでいますね。凝り固まったものを捨てる。それも“こたえあわせ”ですよね。“こたえあわせ”を忘れて、生きていこうと思っています。

■一枚通してある “狂おしさ”。新しいところに進みたいという想い

──ここから、カップリングについても聞かせてください。2曲目に安全地帯の名曲「じれったい」のカバーが収録されています。

いつものとおり、シングルにカバーは絶対に入れたいと思っていて。表題曲が少し可愛らしい曲になるので、JUJUっぽさというところで、「じれったい」にしました。私がずっとやりたいと言っていたのと、この間までやっていた『俺のRequest』ツアーが好きすぎたっていう流れもありますね。新しい世界に行くけど、好きなものは好きなものとして置いておきたいという意味で、昭和の名曲にしました。

──さらに「やさしさで溢れるように」と「この夜を止めてよ」の『THE FIRST TAKE』バージョンも収録されています。

『THE FIRST TAKE』はもう覚えてないです。緊張しすぎて記憶にない(笑)。あんな独特な空間ってないと思うんですよね。ハンドマイクならもうちょっと肩の力も抜けたんですけど、レコーディングマイクだったのもあって、普段私が“鶴の機織り”だと思っているレコーディング姿を人に見せなきゃいけない感覚になったというか。ただ、(斉藤)有太さんと亀田(誠治)さんは楽しそうだったので、良かったです。私は途中で消えますしね(笑)。

──あははは。画角から消えた方は初めて見ました。

自分の声が大きすぎてうるさいなと思って離れちゃった(笑)。「この夜を止めてよ」はいつものバンドメンバーで、ライブバージョン的な感じなのに、すごくもどかしさがある「この夜を止めてよ」でしたね。

──コメント欄はヒールのアップにも湧いていました。

ヒールが歌ってます、みたいなね(笑)。洋服も私物で持って行ったのがあんなにフィーチャーされて、靴も大喜びですよ。改めて、今回のシングル一枚を通して思うのが、いろんな角度の狂おしさがあるなということで。ずっとあなたと一緒にいたいのにいられないという悲痛な叫びを込めた「この夜を止めてよ」があって、「やさしさで溢れるように」もあなたのすべてが優しさで溢れるといいっていう、ある意味、狂おしいまでの願いで。一枚通してあるコンセプトとしての“狂おしさ”とはいったいなんなんだろうか……それはきっと、JUJUが新しいところに進みたいという狂おしさから生まれたものなんだなって思いました。

■自分の曲で勇気をもらいながら、歩んでいく

──ニューチャプターが始まって、JUJUさんはどんなところに進んでいきますか。

どうなっていくんでしょうね、JUJUってね。楽しいといいなとは思います。ここ2年くらいずっと、“JUJUってなんだろう?”ってことを考えていて。ストーリーテラーではありたいんですけど、何がやりたいかというと……結局はライブでしょうね。一番緊張するけど、一番楽しいって思える。それはツアーであって、生バンドとのライブなんです。バンドと一緒に鳴る音楽が空気の振動を通して、皆さんのもとに何かを伝えにいく。それがずっとずっと続けていきたいことだなと思っています。続けられるかぎりは、もう、何を犠牲にしても頑張れます。って、何を犠牲にするんでしょうね(笑)。

──コロナ禍でツアーも行っていますから、外食を控えるとか、会食しないとか?

そういうのも全然厭わないですね。とにかくライブでいろんなものを伝えていくのがいちばんやりたいこと。今は、「ミライ」「STAYN’ ALIVE」「こたえあわせ」を聴いて、自分を奮い立たせています。気持ち悪い話かもしれないけど、自分の曲で勇気をもらうってありがたいなと思うし、いつかライブで「ミライ」「STAYN’ ALIVE」「こたえあわせ」の三姉妹を続けてお届けしたいと思っていますね。


プロフィール

JUJU
18歳で単身渡米。2004年に「光の中へ」でメジャーデビュー。2006年発表の「奇跡を望むなら…」がロングヒットを記録。その後も「素直になれたら JUJU feat.Spontania」や「明日がくるなら JUJU with JAY’ED」をはじめ数多くの人気曲を発表。2008年からカバーだけで構成されるライヴ『ジュジュ苑』を定期的に開催。ジャズをはじめ、様々な音楽ベースをもって美しい歌声を聴かせるシンガー。


リリース情報

2021.11.10 ON SALE
SINGLE「こたえあわせ」


JUJU OFFICIAL SITE
https://www.jujunyc.net/