THE F1RST TIMES

INTERVIEW

2022.07.05

北澤豪 × ZILLION対談。「なでしこリーグ」のトップと、次世代を担うグループの9人の共鳴する部分

9人組の新世代ダンスボーカルグループ・ZILLIONのプレデビュー第3弾EP『One Day EP』(6月1日配信リリース)のタイトル曲「One Day」は、「2022プレナスなでしこリーグ」のテーマソングとして、3月19日のリーグ開幕以降、YouTube「なでしこリーグチャンネル」で配信される「2022プレナスなでしこリーグ1部」の試合中継やダイジェストで使用され、サッカーファンにはすでにおなじみのナンバーだ。

「なでしこリーグ」のために書き下ろした楽曲で、仲間を信じ、夢に向かってひたむきにプレーする選手の姿と、9人の姿と思いを重ねた歌詞と、爽やかなサウンドが好評だ。サッカーと音楽の関係性、スポーツと音楽の素敵な関係性を、サッカー元日本代表で、現「なでしこリーグ」理事を務めている北澤豪氏とZILLIONが語り合う機会が実現した。「なでしこリーグ」をひとりでも多くの人に知ってもらい、試合を観てもらうために奔走している北澤氏は、この曲をどう感じているのか。またZILLIONは「One Day」にどんな思いを込めたのか、聞かせてもらった。

INTERVIEW & TEXT BY 田中久勝
PHOTO BY 関信行

■自分の生き方を自分で選べる環境ということがとても大事

──まずは北澤さんに、なでしこリーグの魅力と、今掲げているテーマを教えていただいてもいいでしょうか?

北澤豪(以下、北澤):昨年9月開幕した日本初の女子プロサッカーリーグがWEリーグ、「なでしこリーグ」はアマチュアリーグの最高峰です。選手達は学生さんや社会人もいて、多様化しているライフスタイルに合わせて、自分の生き方としてサッカーが大好きなんだという、強い思いを持っている人たちが集い、競っているリーグです。今の時代、それぞれの個性が尊重され、自分の生き方を自分で選べる環境ということがとても大事で、例えば自分たちのセカンドキャリアに“場所”があるかということも大きいし、受ける側、我々としてはサッカーができる環境作りが求められています。そう考えるとプロリーグがあって、一方でプロではないけれど、レベルが高い人たちが競う場として「なでしこリーグ」が存在するのは魅力になっていると思います。

──ZILLIONのメンバーは「なでしこリーグ」の試合を観て、いかがでした?

リオン:皆さん学生さんだったり、いろいろなお仕事をしながらチームとして全員でひとつになって勝つために戦っていて、でも生き生きと楽しんでいるという状況が見えて、その部分は自分たちにも通じるものがあるので、観ていて力が入って、熱くなります。

■アスリートとアーティストはすごく似ている

──サッカーも監督、コーチがいて選手の個性や強さをどうチームの強さに昇華させるのか、ZILLIONもオーディションの審査委員長=監督は清水翔太さんで、コレオグラファーとボイストレーニングのコーチがいて、メンバー一人ひとりの個性や良さをどう引き出すか、というところが大きなポイントでした。そういう部分も共通しているところかもしれませんね。

北澤:あとは、歌もダンスも簡単にはうまくなれないと思うので、どこまで積み上げていけるかという部分は、アスリートとアーティストはすごく似ているのではないでしょうか。

──ZILLIONはオーディションの段階でダンス未経験者がいましたよね?

リオン:3人います。

ヒロキ:さっきリオンも言っていましたが、試合を観させていただいて、一体感とかひとつの目標に向かって進んでいく団結力を目の当たりしました。それこそダンス未経験組はなおさらその場所でパフォーマンスをすることに、ダンスに苦手意識があったと思いますが、それも含めてグループとして団結して一緒に進んでいく、連れていくんだという感覚を思い出しましたし、刺激にもなりました。

北澤:ダンス未経験って、じゃあそのオーディション期間で特訓し、仕上げていったということ?

ケイジ:そうです、オーディションからで、ついていくのに必死でした。コロナ禍でオンラインレッスンになったりして、それも難しい部分でした。

■(「One Day」は)心に届いてくるし、刺さるなって

──北澤さんは「One Day」を聴かれて、まずどう感じましたか?

北澤:当たり前かもしれませんが、皆さん歌がうまいなと思いました(笑)。うまいというのは、試合のダイジェストで後ろに流れているのを聴いていると、気持ちが上がってくるし、歌詞、歌に気持ちを乗せて“伝える”力が素晴らしいということ。やっぱり心に届いてくるし、刺さるなって。

──「One Day」に込めた思いを聞かせてください。

カシン:どれだけ努力をしても、時には困難や壁にぶち当たることもあると思います。でもそういうときにこの曲を聴いて、ひとりじゃない、仲間がいるんだ、みんなで頑張れるんだということを感じてほしいし、そういう後押しができるような曲になれたらなっていう思いで、歌っています。

モカ:私たちの中では“ファイトソング”というテーマがあって、誰かに向けて歌っていますが、私たちにもすごく響く曲で、仲間と共に頑張る人たちの背中を押せたり、勇気や希望を少しでも届けられたらなと思っています。

■ファイトソングもスポーツマンシップにも通じる

──確かに、様々なことを仲間と乗り越えてきて今があるZILLIONが、自分たちに向けて歌っている感じがすごく伝わってきます。

カオラ:サビの前に“後悔したくはないから走り続ける いつだって 一人じゃない”というフレーズがあって、サッカーってやっぱり走るスポーツなので、そこがすごくマッチしていると思います。

ヒロキ:ファイトソングと言っても、独りよがりな感じではなく、どちらかというと絆とか、共に、ということを大切した曲なので、スポーツマンシップにも通じるのではないでしょうか。

■毎回後悔しないようにやるという気持ちがないと

──北澤さんは「One Day」の中で、個人的にグッときたフレーズはありますか?

北澤:僕はもともと“走る”プレイヤーで、そもそもサッカーの試合でボールに触っている時間ってひとり5分もないんです。そうするとその他の時間はほとんど走っていることになるので、時折試合中に“それ(走ること)が意味があるのか”って考えることもありました。結局無駄になってるんじゃないかとか、その試合に出られなかったときに、それまでやってきた、とにかく走るトレーニングが無駄になったんじゃないか、意味があったのかって考えるようになります。だから走ることの意味を考えるのではなく、毎回後悔しないようにやるという気持ちがないと、目標達成はできません。だから“後悔したくはないから走り続ける いつだって 一人じゃない”というフレーズはすごく共感できるし、“それだけで目の前の 道が開く”というところも、パーンと開ける感じがして、ゾクっときます。

■少しでも元気を与えられる存在になりたいと思ったから

──「道」という言葉が出てきましたが、北澤さんはサッカーの、ZILLIONはエンタテイメントの道をなぜ目指したのか、教えてきただけますでしょうか?

ルナ:私が音楽の道を選んだのは、小さい頃から音楽が好きで、プロになることを夢見ていたのですが、ただ何もチャレンジしていなくて、でもコロナ禍になって、何か行動しなければまずいと思ってオーディションを受けました。それは、コロナ禍で大変な思いをしてる人に、少しでも元気を与えられる存在になりたいと思ったからです。コロナ禍で自分のマインドが変わったことがきっかけです。

──サッカー選手も同じように、誰かを元気づけたいとか勇気を与えたいという思いを胸に試合に臨むことはあるのでしょうか?

北澤:国際マッチの試合前、「君が代」を歌うときにたくさんサッカー選手の中から11人に選ばれて出場するという誇りと責任みたいなものは、あの瞬間に感じます。国歌を国を代表して歌っているという責任は出てくるし、それに対してのお客さんが一緒になって歌ってくれて、“共闘”してくれていると感じがすごくします。気持ちがあまり入っていないプレーをすると拍手がなかったり、うまくいかなくて負けた試合でも、一生懸命頑張ると大きな拍手をもらえます。そういう見えない部分だけど見えているというのは、さっきも出てきた気持ちの部分かもしれない。それが伝わるというところは、共通してる部分なのかもしれません。

──北澤さんがサッカー選手を目指したのはいくつのときですか?

北澤:僕が子供のときはまだJリーグはなかったので、サッカーでご飯を食べるためには海外に行くしかなくて、だから海外に行きたいという思いが強かったです。ただ僕の生まれた街(東京都町田市)はサッカーが盛んな街だったので、そこに生まれていなかったらサッカーはやっていなかったと思います。

■今はサポートする立場から、その夢を追いかけています

──それが結果的に日本代表にもなり、今もこうやってサッカーの魅力を伝える立場になって、人生=サッカーになっています。

北澤:W杯で優勝したいという思いはずっとあって、でも自分が現役時代には果たせなかったので、今は選手たちのバックアップ、サポートする立場から、その夢を追いかけています。なでしこはW杯で優勝していますが、もっともっと女性がスポーツをやる環境を整えなければいけないし、それは我々だけでは難しいので、皆さんに力をいただききながらでなければ実現しないということを、最近強く感じています。

──この「One Day」が選手の皆さんの勝負曲になっていたらうれしいですが、北澤さん、ZILLIONのメンバーの、それぞれの勝負曲があったら教えて下さい。

ワタル:僕はクイーンの「We Will Rock You」です。英語も喋れないし、歌詞も全部は聴き取れないのですが、やっぱあの歌を聴くと“よっしゃーっ!”って気合が入るので、オーディション期間中も、審査がある日の朝は、絶対に聴いていました。

北澤:歌詞がわからないけど…というところでいうと、僕は現役時代、試合が終わってホテルに帰るときに、よくイーグルスの「ホテル・カルフォルニア」を聴いていました。時代を感じますよね(笑)。当時、歌詞の意味はよくわからなかったけど、自分の気持ちがダウンしてるときに、どこか哀愁が漂うあの感じを味わうのもいいかなって。

タイラ:私はOKAMOTO’Sの「Keep On Running」っていう曲があって、走り続けるというタイトル通りずっと疾走感のある曲で、スピードが落ちないので自分を盛り上げるために聴きます。

ヒロキ:僕はK-POPグループ・NCTのメンバーのテンさんのソロ曲で「Paint Me Naked」という曲です。テンさんもグループの時とは全然違って、自分の色、らしさをより強く出していて。多様性とか自分を大切にしていこうというメッセージが勇気とパワーを与えてくれるので、これが勝負曲になっています。

カシン:僕は、苦境に立たされたときはFLOWさんの「Sign」という曲を聴きます。この曲はアニメ『NARUTO -ナルト- 疾風伝』のオープニングテーマで、僕もNARUTOが大好きで、歌詞がひとりで壁にぶつかったときに、周りの支えがあって成長できたという内容で、それを聴くと諦めなくてよかったなって思うことが多くて。気持ちが落ちているときってナイーブになっているので、ポジティブな要素が欲しくて、この曲はつまずいたときのことも歌っているけど、でも燃えたぎるような曲調なので、またエンジンがかかります。

■ZOOの「Choo Choo TRAIN」とかをみんなで聴いたり

北澤:これは勝負曲といえるかわからないけど、現役時代、うちのチーム(読売ヴェルディ)はブラジル人が多かったので、バスに乗るとどこからか、イスを叩く音が聴こえてきて、また違う音が聴こえてきて、さらに違う音が乗ってきて、どんどんリズムができあがって、みんながノッてくるというのが日常の風景でした。それでいいリズムで試合会場に到着して、ゲームが始まるという感じでした。先日、日本代表とブラジル戦のとき、ブラジルの選手がみんな楽器持って飛行機から降りてきて、サンバを踊りながら空港を歩いていたところが、テレビでも映っていました。そういうノリが当時のチームにはあったので、わりとみんなでノっていこうぜみたいな感じでした。あとは我々世代でいうとZOOの「Choo Choo TRAIN」とかをみんなで聴いたりしていました。

──試合前に体にリズムが入ってくる感じですね。

北澤:ドリブルをしているときとかも、自分の中でリズムがあるんです。リズムをとっていたほうが、疲れを感じることも少ないし、相手に読まれないということもあります。同じ抑揚、スピードが続くゲームの流れだと、観ている人たちも退屈だと思うし、変化をつけなければいけないので、自分の中でリズムを感じながらプレイすることは大事だと思う。

■「なでしこリーグ」さんと一緒にできることで、楽曲に深みが

──「なでしこリーグ」、そしてZILLIONというグループと「One Day」という曲が共鳴している部分、共通している精神性はどういう部分だと思いますか?

ヒロキ:ファイトソングとか、絆や友情を大切に、という曲は今までもたくさんあったと思います。でも「One Day」は「なでしこリーグ」さんのコンセプトや、僕たちZILLIONのコンセプトである、多様性や個を尊重しながら、自分らしさを絶対に見失わないで、グループの一体感も大切にする、絆を強めていくという部分は、従来にはなかった共鳴の仕方をしていると思います。もっというと「なでしこリーグ」さんと一緒にできることで、楽曲に深みが出ていると感じています。

──今のコメントを聞いて、北澤さんいかがですか?

北澤:まずヒロキ君に「なでしこリーグ」の理事に就任していただいて(笑)。僕が今のことを言うより、ヒロキくんが世の中に発信してくれたほうが、若い人を中心にたくさんの人に理解されやすいと思いました。その世代が伝えていくことがすごく大事だと思う。ZILLIONのような、これからの未来を背負っていく人たちの考え方や発言は、とても大切なキーワードが含まれていたし、そもそもサッカーってそれぞれを認め合わない限り、多様性を認め合わない限りは、できるものではありません。ここ最近のキーワードとしては、多様性や、認め合うことを尊重しようということが言われていると思うけど、ZILLIONでいうと、まずはグループ自体が許容しない限りは、達成できないですよね。そういうことを具体化してくれているグループなので、そのメンバーが今のようなことを発信してくれるのは、今の社会の生き方を発信してくれているようで、みんなが励まされると思います。

ヒロキ:僕は日頃から多様性やその人の個性を大切にするということに対して、すごく大切に考えているので、今回のお話をいただいたときは、大きな規模でメッセージしていくチャンスをいただけて、本当に感謝の気持ちでいっぱいになりました。

北澤:それは女子サッカーっていうところだけの話ではないので、うれしい発信、発言です。

■全員主役ってすごいコンセプトだと思う

──今北澤さんは、「なでしこリーグ」の理事の他にも、「日本女子サッカーリーグ」理事、「日本障がい者サッカー連盟」会長も務め、途上国支援やチャリティ、社会貢献活動にも注力しています。「eスポーツ学園」の名誉学園長もやられていて、誰でも平等に、サッカーができるような世界を実現させようっていうことをモットーとして動かれているので、ヒロキくんのコメントが、その考え方と重なるところがあるんですね。

北澤:全員主役ということ。改めて、当たり前のことかもしれないんだけど、そうきたかと思って、全員主役ってすごいコンセプトだと思う。その昔、僕もカズ(三浦知良)さんに「カズさんだけが主役じゃないんだよ」って言ったことがあって、でもカズさんは怒らなくて。僕は感情的になるけど、カズさんはそれがなくて「キーちゃんは激しく燃えることができていいな。俺にはそこがないんだよね」と言われて、そのとき、尊重されてるなって思いました。それがわかると、お互いが協力する、できるポイントみたいなものが明確に出てくるから、認め合うということは大切ですよね。

──カチンとこないカズさん、すごいです。

北澤:なのにあそこまでやれてるのって、すごいですよ、本当に。最近は若い世代の人たちも感情をあまり表に出さない人が多い気がしていて。若い人と話をしているとそう感じることが多くて。今日のZILLIONのみんなもそうだけど、結構心の奥深くにあることを冷静に語りますよね。

──北澤さんはテレビの世界でも、YouTubeでも活躍していますが、両方やっていて違いのようなものを感じますか?

北澤:アプローチを変えて、サッカーを観てくれる人たちが増えればいいなっていうところと、環境、グラウンドを作ればサッカー選手が育つわけでもないので、そのためにはどういったことをしなければいけないのか、常にそういうところを考えています。だからひとつのチャンネルだけだと難しいというのが、ふたつのメディアに出ている理由です。そこで反応、いろいろな声を拾いながら、いろいろなことに生かしていきたいと思っています。


リリース情報

2022.06.01 ON SALE
EP『One Day EP』


プロフィール

北澤豪
キタザワツヨシ/元サッカー日本代表。現在は、「日本サッカー協会」参与、「フットサル・ビーチサッカー」委員長、「日本障がい者サッカー連盟」会長、「日本女子サッカーリーグ」理事としてサッカーのさらなる発展・普及に向け活動を行っている。また、「国際協力機構」(JICA)サポーター、「国連UNHCR協会」国連難民サポーターとして社会貢献活動にも積極的に取り組み、サッカーを通じて世界の子ども達を支援できる環境作りを目指している。2022年、日本初のeスポーツ専門の高等学校 「eスポーツ高等学院」名誉学院長に就任。


一般社団法人日本女子サッカーリーグ
http://www.nadeshikoleague.jp/news/2022/0704_1116.html


プロフィール

ZILLION
ジリオン/ソニーミュージック主催オーディション”ONE in a Billion”発、 応募総数5,000人以上の中から、約1年にわたる審査・トレーニングを経て勝ち抜いて結成された、 平均年齢19歳・男女混成の9人組次世代ダンスボーカルグループ。2021年12月22日、Digital Single「Timeless」でプレデビュー。6月1日には、「2022プレナスなでしこリーグ」テーマソングにも起用中の「One Day」を含む、『One Day EP』をリリース。


ZILLION OFFICIAL SITE
https://www.zillion-official.com