THE F1RST TIMES

INTERVIEW

2022.07.12

ALI、ボーカル・LEOが語る新作の背景。「ストーリーも含めてこの曲は形にしたかった」という思いと“音楽”と歩く人生観

活動再開後第二弾シングルとして「SHOW TIME feat. AKLO」が配信された。元メンバーの不祥事による約半年間の活動休止中、エンゼルスの大谷翔平選手が「LOST IN PARADISE feat. AKLO」を登場曲として使い続けてくれたことへの感謝の気持ちをエンジンに作られた楽曲だ。ALIの原点でもあるファンク魂が爆発したような熱気ムンムンのサウンドで、音楽を武器にまだまだ昇って行こうというメッセージが滾る。以前から憧れていたという東京スカパラダイスオーケストラが新たに立ち上げたプロジェクト“VS.シリーズ”の第1弾となる楽曲「サボタージュ (VS. ALI)」が配信されたり、夏フェスへの参加が次々と決まったりと、追い風が吹く状況の中、ボーカルのLEOに訊いた。

INTERVIEW & TEXT BY 小松香里
PHOTO BY 増田慶

■もう一回基本に対する返答をしたかった

──活休中に作ったという「SHOW TIME feat. AKLO」がリリースされました。どファンクですね。

そうなんです。プリンスばりのどファンクですね。ファンクを前進させたいという想いがあって、だいぶ試行錯誤しました。ALIはファンクバンドとして始まったので、曲がサブスクから消えるっていう活動休止を経て、もう一回基本に対する返答をしたかった。バンドのスローガンとして「LOVE, MUSIC AND DANCE」を掲げてますが、“DANCE”の部分にこれまでそこまでアプローチし切れてなかったんで、この曲を皮切りにそこをやっていきたいなという気持ちもあり、ミックスに半年ぐらいかけて、これまででいちばん時間をかけました。ノンタイアップだし、「帰ってきました!」っていう気持ちも込めて、音楽にピュアにやりたいことをやってみましたね。

──大谷選手への感謝の気持ちを込めたそうですけど、歌詞はLEOさんとLUTHFIさんとAKLOさん3人の共作になっていて。どんな風に作っていったんですか?

大谷選手が「LOST IN PARADISE~」を登場曲として使い続けてくれたのが、こうやって戻って来れたきっかけにもなってるので、そのお金では買えない経験をしっかり曲として形に残したかったんです。なおかつ、活動休止中は悔しい気持ちもすごくあったので、サビの“Funk you!”は“Fuck You!”とかけてて、ポジティブにやってやるぜっていう気持ちも入れました。

──「LOST IN PARADISE~」と同じくAKLOさんを招いた布陣です。

大谷選手への感謝の気持ちって、俺らとAKLO君にしかわからないことだと思いますし、AKLO君とは休んでる間もずっとメールのやり取りをしていてもうファミリーだと思ってるっていうか。そのストーリーも含めてこの曲は形にしたかったので、オファーしました。そうしたら二つ返事でOKしてくれたのでうれしかったですね。最近のライブで演奏したんですけど、結構難しさがあるっていうか、バンドの力量が問われる部分があって。だから、この曲がかっこよく演奏できたときはバンドとしてすごい良い状態なんだっていう風に思っていて。それに、やっぱり曲っていうのはお客さんに届いて完成するものだと思うので、一緒に育んでいきながら、この曲にいろんなことを教えてもらいたいと思ってます。

■まず声をかけてくれたこと自体が超最高だった

──2月に復帰第一弾シングルでありALIと関係性の深いアーティストが集結した「INGLOURIOUS EASTERN COWBOY」がリリースされ、ライブも再開して、様々なフェスやイベントにも出ていかれて。今の状況をどう捉えていますか?

正直、こんなに早く世の中に受け入れてもらえるとは思ってなかったのでうれしいですね。活休以前にコロナでライブが全然できなかった時期を経て、ライブもどんどんできるようになっていて。ようやくスタートできた感じがしてます。それに、スカパラとのコラボ曲「サボタージュ (VS. ALI)」のおかげで、いろんなフェスにも出れたり。まず声をかけてくれたこと自体が超最高だった。この半年、俺らはいつも“これが最後かもしれない”って思いながらライブをやったりテレビに出たりしてるので、この先もきっとそういうスタンスでいるんだろうなと思っています。

──スカパラからコラボのオファーが来たときは率直にどう思いましたか?

“え、今でいいんですか?”って思いました(笑)。一緒にやるのは夢だったんですが、あと1、2年後とか、日本でしっかりベースができてから挑ませてもらえたらいいなと思っていたんです。でも、加藤(隆志)さんが復帰タイミングで出た『スッキリ!』も見てくれてたらしく、メールもくれて。その後、声をかけてくれたから本当にうれしかったな。それで、“どんなスカの曲なんだろう?”と思ってたらファンクが来て、だけどすごく楽しくスムーズに曲はできましたね。3月のワンマンライブで喉を壊しちゃったんですけど、いちばん良いボーカルテイクがまた更新できたと思ってます。スカパラとのコラボの後も、タイアップだったりいろんな良い話が来てて。一歩ずつですけどすごく良い感じで前進させてもらえてるんで、ひたすらうれしいです。会う人会う人にも、「調子よさそうだね」とか「忙しそうだね」って言ってもらえてて、そう見えてるんだったら作戦成功ですね(笑)。メンバーが減って3人になってシャープになったことも、身軽にいろんな活動ができるようになったことにつながってると思ってます。

──絶望の底に突き落とされる出来事がありましたけど、音楽を辞めることは一切考えず、活動が再開できた。そうしたらこういう事態が待っていたという。

エンタメのシーンにおいて、SNSやYouTubeで誰かを叩くっていうことがこの先どんどん増えていくと思うんですよね。それによって活動を休む人もいる。そういうことが起きたとしても、“ALIってバンドがいたな”と思ってもらえたらうれしいです。でも俺らもいろんなことがようやく回り出して、それに一生懸命向き合っている状況です。ただ、この前初の海外ライブでサウジアラビアに行って来たんですけど、絶望手前になると良いことがあって。いろんな人に助けてもらいながらも、なんとか進めてるっていうか。

■俺らの足りてない部分がよくわかった

──GWはスカパラのステージのゲストとして、『JAPAN JAM』と『VIVA LA ROCK』という大型フェスにも出られてましたが、どんな経験になりました?

数万人規模のフェスに出るのは初めてだったんですけど、すごく評判良くて、想像していた通りにできたなと思ったんです。その後、『KOBE MELLOW CRUISE』にALIとして出たんですけど、結構反省点があって、スカパラの偉大さを感じましたね。スカパラとのライブやレコーディングによって、俺らの足りてない部分がよくわかった。すごいバンドの味を知れたことで、その感触をイメージしながら、日々努力して追及してますね。本当にスカパラ様様。師匠だと思ってます。

■“静”にいかにエネルギーを使うかも考えなきゃいけない

──フェスでの戦い方とワンマンの戦い方っていうのも全然違うって言いますしね。

全然違うっぽいっていうことがわかってきました(笑)。ALIはワンマンはまだ1000人くらいのキャパしかできてないんですが、フェスやイベントで数千とか万のキャパでやらせてもらえるようになって、全然違うのですごく面白いなと。スカパラの谷中(敦)さんとメル友というか、メールの恋人みたいになってるんですけど(笑)、キャパが大きくなったときのライブの仕方とか、いろいろアドバイスをもらってたんです。それが今響いてますね。俺らのライブって、死ぬ気でやってるっていうか、命を燃やす感じでやってるんですけど、キャパが大きくなるといかに力を抜けるかが大事なんだと。例えば、能とか歌舞伎って動きはそんなに激しくないですが、研ぎ澄まされた緊張感みたいなものがあって。それと近くて、“静”と“動”があるとしたら、今までは“動”にいかにエネルギーを使うかっていう戦いだったのが、“静”にいかにエネルギーを使うかも考えなきゃいけない。そこはまだしっかりとは掴めてないんですけど、最近のライブをきっかけに、1000人に届いた俺らの熱を、PAや様々なスタッフの方と一緒にいかに1万人、2万人に届けられるかっていうことをチーム全体でやり始めてます。フェスやサウジアラビアでライブをやってる最中に、自分の体にフィットする景色っていうのがあったんですよ。“そうそうそう!この景色を見るために俺は生まれてきたんだ”って思うような感覚があって。それがちょっとずつ増えてきてるんですよね。細かく激しく動くというより、“静”の中にこれだ!って思う角度があるっていうか。そこを追求するために、普段の生活の中でも怖がらずになるべくリラックスして脱力するようにしてます。それが目下の今の俺の悩みであり、生き方における目標ですね。

■常に自分がどうなりたいかを考えながら一歩ずつ前進していきたい

──リラックスして俯瞰することによって、より遠くまで見れるようになるというか。

そうですね。どういう風に生きて、どういう風に歳を取って、どういう風に生きていきたいか。目標を持ってそこに向けて反省をしながら生きていかないと、人って満足しちゃってそこで終わっちゃうこともあると思うんですよね。取材にしろ、撮影にしろ、日常にしろ、ライブにしろ、常に自分がどうなりたいかを考えながら一歩ずつ前進していきたい。近くにいてくれるスタッフ──事務所の社長である嫁(藤井萩花)も俺が親父のように慕ってるWACKO MARIAのボスも、近くに長くいる人ほど俺のことを厳しい目で見てくれてるんで、その人たちをいつかぎゃふんと言わせたいって思いながら(笑)、生きていきたいと思ってます。それに、練習より本番である試合の方が培ったものが発揮されると思ってるので、試合ができているこの状況に大きな喜びを感じながら、いろんなことを追及していってます。

■今の目標はスカパラと一緒にメキシコでライブをやること

──スカパラというと何度も大きな喪失を乗り越えて、世界を股にかけて活躍してるわけですけど。そういう部分で学ぶところはありましたか?

悲しいことがあったときに笑える力を持つことが大事だって言ってもらえましたね。ALIにいろんなことがあったことも含めてかわいがってもらえてると思ってます。あと、「スーツが私服なのが最高!かつての自分たちを思い出す」って言ってもらえて(笑)。俺とかCÉSAR(Gu)とかこの世に信じているのが音楽しかないみたいなところにもシンパシーを感じてくれたし。ルーツミュージックっていうある程度の正攻法がある音楽性が軸にありながら、ずっと新しい音楽を追求しているところにも共感しますね。レコーディングに入る前に、「スカパラのレコーディングは早いよ」って言われたんですけど、結局「サボタージュ」はスカパラ史上最長に時間がかかったらしくて。すごく細かく丁寧にやるんですよね。そういう部分もうれしかったし、こんなにキャリアがあるバンドでもそこまでやるんだっていう勉強になりました。今の目標はスカパラと一緒にメキシコでライブをやることなんです。スカパラもメキシコで人気がありますし、ALIのファンも結構いてくれて。この前SNSに「サウジアラビアでライブやってきたぜ」って投稿したら、メキシコのファンから「早くメキシコに来い」っていうメッセージがたくさんきて、「ごめん!」みたいな(笑)。AKLO君はメキシコのハーフで、メンバーや近しいミュージシャンのルーツの国に行くっていうのもバンドの目標のひとつとして前からあるんで、早く行きたいですね。

■純度の高い音楽をどうやって作れるか、何を歌えるかという挑戦

──そういう新しい目標がどんどんできてる状況の中で、音楽との距離感は以前と比べると変わってきていますか?

あ、俺子供が生まれまして。

──そうですよね。おめでとうございます。

ありがとうございます(笑)。双子を育てるっていう自分にとって前代未聞の領域にいて。みんなに「双子は超大変だよ」って言われてた通り、双子を育てながら音楽活動をやるのって本当に大変なんですよ。だから嫁様様なんですけど。俺は二回目の結婚で娘はいますけど、男の子は初めてで、それもあってすごくかわいくて。人生の価値観をもう一回教えてもらってる時期でもあるので、大変さも含めていろんなことを見つめて人生を楽しみたいなって思ってます。音楽と向き合う時間は実質減ってるので、その分曲作りの制度は高くなっていて、“今の俺が作れる曲はこれしかない”って思うことが多くて。そういう風にして音楽のピュアさを高めるのが面白いですね。音楽を俺から取り上げたら生きる価値がなくなるから、大変だからといって休まずに、純度の高い音楽をどうやって作れるか、何を歌えるかっていう挑戦ができているので、研ぎ澄まされていってると思います。例えば、タイアップはレースなんで、負けて悔しいこともたくさんありますけど、そのレースに参加できる喜びを大切に噛みしめながら、メンバーと一緒に頑張ってますね。

──LEOさんの場合、そういったプライベートも明かしていて、表も裏もなく生き様を見せることで楽曲の説得力が増してる気もします。

SNSを通じてのミュージシャンのプライベートの出し方って、これっていう正解がまだないと思っていて。でもうちは嫁もさっぱりしてる人ですし、危なくない範囲で堂々と生き様を出していこうって思ってます。俺はTwitterは、時間が経って孫が見たときに“おじいちゃんはこういうことをやってたんだ”って知るためにやってるところもひとつあります。ただ、バンドが休止したときより俺が結婚したときのほうがネットで叩かれたことは未だに少し引きずってますけど(笑)。そのとき書かれた“クズ男”っていうのも間違ってはいなくて、それは俺のカルマなんでしょうがないんですけど…まあネットとも楽しく付き合っていければいいなと思ってます。それにゴシップってその瞬間に生きている人の目には入るけど、音楽のすごいところとして、時間が経てば音楽の力が超えるっていうのがあって。ジョン・レノンだって生きてる当時はいろいろと叩かれてましたし。そう思うと、よりいっそう頑張ろうって思います。

■言霊ってあるんですよね

──夏フェスもいろいろと決まってますし。

そうなんです。ザ・リバティーンズとカサビアンが出る大阪の『SUMMER SONIC』がすっごい楽しみで。そのふたつのバンドは俺にとっての青春なので、普通に観に行こうと思ってたんです。そんな中、大阪でライブをやったら“大阪サマソニ”の主催のキョードー大阪の人が観て気に入ってくれて出られることになった。『THE FIRST TAKE』に出れたのもそうですけど、「好き」とか「出たい」って言ってるとたまに叶うので、言霊ってあるんですよね。


リリース情報

2022.07.01 ON SALE
DIGITAL SINGLE「SHOW TIME feat. AKLO」


ライブ情報

7/24(日)LuckyFM Green Festival’22 @国営ひたち海浜公園(茨城県ひたちなか市)
8/21(日)SUMMER SONIC 2022 @舞洲SONIC PARK(舞洲スポーツアイランド)
9/18(日)J-WAVE presents INSPIRE TOKYO ~BEST MUSIC & MARKET @国立代々木競技場 第一体育館、第二体育館、外周エリア
*詳細はオフィシャルサイトにて


プロフィール

ALI(ALIEN LIBERTY INTERNATIONAL)
アリ/LEO(Vo)、LUTHFI(Ba)、CÉSAR(Gu)。VoでリーダーのLEOを中心にした全員ハーフの多国籍バンド。 東京/渋谷発。FUNK、SOUL、JAZZ、LATINなどのルーツミュージックをベースにHI PHOP、ROCK、SKAなどをミックスしたクロスオーバーな音楽性で注目を集めている。 TVアニメ『呪術廻戦』第一期EDテーマの「LOST IN PARADISE feat. AKLO」が日本のみならず世界的に バイラルヒットとなった。