ドラマ『君の花になる』では7人組ボーイズグループ・8LOOM(ブルーム)のメンバーである成瀬大二郎を演じ、ドラマ『パリピ孔明』では若き天才ラッパーのKABE太人としてライブパフォーマンスも披露した俳優の宮世琉弥が、Ryubi Miyaseとしてのメジャー1stアルバム『PLAYLIST』をリリースした。2023年からミュージックプロジェクトをスタートさせ、歌とラップ、ダンスだけではなく、作詞作曲にも取り組み始めた彼がアーティストとして臨む未来とは──。
■本格的にアーティスト活動が始まる感覚
──まず、メジャーデビューする心境から聞かせてください。
ハラハラドキドキもありつつ、ワクワクもしていて、すごい楽しみです。今は主に楽曲制作をしているんですが、アルバムのツアーも始まるので、本当に、音楽のことを考える日々を送っています。どこにいても常に、本格的にアーティスト活動が始まるんだなっていう感覚があります。
──今から約1年前にミュージックプロジェクトをスタートさせたのは、どんな思いからでしたか。
やっぱり、8LOOMや、『パリピ孔明』とか、役者として音楽に触れる機会をたくさんいただく中で、もっと音楽をやりたいっていう思いが強くなって、僕からファンの皆さんに届けられるものってなんだろうっていうことも考えてました。それは、自分のやりたい音楽を作って、それをちゃんとお客さんに届けて、感動を与えていくってことだなと思って。だからこそ、役者とは別に新しい道も開いていきたいなっていう強い思いが湧いてきたんだと思います。
──俳優業と音楽活動は分けて考えてますか?
分けるという考え方はないんですけど、“偽り”か“本心”かっていう違いはあります。役は演じるものなので“偽り”になってしまう。それとは別に、音楽活動では“本心”で自分のやりたいことをちゃんと届けて、それで皆さんが幸せになってくれたらいいなっていう思いです。
──役者業の中にある音楽というものはどんな感覚でしたか?
自分をその役にちゃんと落とし込んで、監督さんやプロデューサーさんが求めているものを音楽でも表現するっていう。それは、役として動いたり、セリフを言ったりすることと同じ感覚でした。ただ、表面的に見たら偽りだけど、その偽りを演じるためには能力が必要になってくるんですよね。例えば、役の感情を入れて歌ったり踊ったりすることだったり、ラップをすることとか、音楽は当たり前にできている状態じゃないといけない。その能力をタイトな時間で身につけながら、自分が持ってる技術も最大限に生かしつつ、なる(成瀬大二郎)くんやKABEくんに近づけるように頑張るっていうやり方でした。逆に、こちらは、誰かから何かを求められているのではなくて。いろんなスタッフさんと話し合いながらですけど、僕がやりたいことを作っていくっていう違いがありますね。
■自分の好みの音楽とダンスやラップといった武器を生かして、自分らしさを生み出したい
──ご自身のやりたい音楽はどんなものですか?
今はまだスタッフの皆さんと話し合ってるところなんですが、メジャーデビューしてからは、僕ができるダンスやラップといった武器を生かして、自分の好みの音楽とその武器を合体させて、自分らしさっていうものを生み出したいなって思っています。
──好みの音楽というのは?
ロックバンドですね。例えば、洋楽だとニルヴァーナも好きだし、BLANKEY JET CITYとか、邦ロックも好きです。そういう、僕の好みである、いわゆるロックバンドのテイストとダンスチューンを合わせたらどんな化学反応が起きるんだろう、とか。そういうことを考えて、いろいろ試行錯誤して、曲を作ったりしています。この先、自分が音楽をやっていくうえで、自分らしさは確立させたいですし、新しいものを生み出せるんじゃないかなってワクワクしながら、今、スタッフさんたちといろいろ話をさせていただいています。
──アルバムの曲でいうと、「That’s What I Like」はイメージに近づいてますか?
ちょっと明るいポップな感じのロックで、僕の好きな感じではあります。でも、ロックバンドにもいろいろあるじゃないですか。Tempalayさんはすでに独特の世界観がちゃんとあって好きなんですけど、そういった自分だけの世界観を作り出したうえで、そこにダンスチューンのテイストを入れて混ぜていきたいです。「That’s What I Like」はまだ王道的な感じなので、さらにダンスとラップを入れたらどうなるかな、とか。それこそRed Hot Chili Peppersさんも、カッコよくて、新しかったじゃないですか。そういった形を作れるように、新たなジャンルを作れるように頑張っていきたいです。
──楽しみですね。ミュージックプロジェクトの第1弾として配信リリースされたのは、EDM POP「Awake」でした。
この曲が出来るまでに、いろんな話し合いを重ねていて。どんなテイストでいくか、どういう音を使いたいか、どんな歌詞にするのか。作詞、作曲、編曲をやってくれたUTAさんとも何回かお話せてもらったんですけど、自分が求めていた歌詞も入れてくださって。僕が最初にデモを聴いたときに思い浮かんだ言葉がそのまま落ちサビになっています。
──“この手で明日を掴もう/この目で明日を見よう”のところ?
最後の“可能性は無限の空”ですね。この曲を聴いたときにそう思ったんです。その言葉がちゃんと曲に入っているのがうれしいです。
■このまま何も変わらないままでいいのか。心に鍵をかけたままで、本当は何かやりたいことがあるんじゃないか
──どんな思いを込めてますか?
やっぱりスタートっていうことですね。「Awake」は“目覚める”や“起きる”という意味があって。UTAさんには、まだスタート地点には立てていないんだけど、自分の中の何かが目覚めたっていうことを皆さんに伝えたいっていうお話をさせていただいて。皆さんに対しての自分の今の思いというのかな。このまま何も変わらないままでいいのか。心に鍵をかけたままで、本当は何かやりたいことがあるんじゃないか。自分だけが置いていかれてる気持ちになってるんじゃないか…。そういったことを直接お話しさせてもらって、今の気持ちを組み込んだ歌詞を書いてもらえたので、一発目に相応しい曲なんじゃないかなって思います。
──ラブソングにも聴こえますよね。
そうなんです。人によっては、応援ソングにも聴こえると思うんですが、聴く人によって捉え方が違うし、聴く人が今、どんな感情かによって変わる曲なんです。そこがすごいなと思っていて。例えば、失恋しちゃったときとか、何かしんどいことがあったときとか。皆さん、いろんな悩み事があると思うんですけど、そういったときに聴くと前を向いていけるような曲だし、彼氏や彼女のことを想像して聴くと、きっと共感できる人も多いだろうし。いろんな人の“目覚め”っていうものに対してスポットライトを当てている曲だなと思いました。
──Ryubiさん自身は何が目覚めましたか。
自分のやりたかった音楽活動っていうものがやっとできる、こっからやっていくぞっていう。まずはスタート地点に立てるように頑張って、まだまだ知らない音楽のことを学んでいくぞっていう思いが込められています。
──ファンに対してのメッセージも入ってますよね。
はい、もちろんです。“輝く僕らのDays”とか、“信じ合えるこの場所がある”とか、全くその通りですね。僕の中では走り出してはいるけど、まだスタートに立てない状況なので、スタートに向けて走り出すみたいな感覚なんですけど、サビはファンの方に向けて歌えている曲ですし、あえて同じ歌詞でループすることによって、ちゃんと皆さんに僕の想いが伝わるんじゃないかなって思ってます。
──MVでは激しいダンスブレークもあります。
今、あんまり間奏がある曲がないですし、転調するまでのブランクで、ここでちょっと間奏あったらカッコいいなと思ったのと、間奏の後のサビで転調したらもっといいんじゃないかなっていう案は僕のほうからも出させていただきました。ダンスに関しては、踊るのが本当に好きなので、ここから先はもっと自分の好きなものを取り入れて、自分なりの新しいダンスチューンをどんどん生み出していきたいなと思ってます。
■ライブならではの醍醐味。反応を示してくれるファンの方がいて、生のものが生まれていく
──スタート地点には立ちました?
この間の国際フォーラム(1月28日に開催された初のワンマンライブ『宮世大決起集会 20th ANNIVERSARY LIVE』)がスタート地点だったと思います。すごく緊張してしまって。ライブを通しての反省点も多かったんですけど、何よりファンの方に直接お会いできて、あんなにたくさんの方が来てくれたことに感動しました。なので、ミスしてしまったこともあったし、そこは直さないといけない点ではあるんですけど、ライブならではの醍醐味も感じて。そこで笑ってくれたり、反応を示してくれるファンの方がいて、生のものが生まれていく。まだまだ未熟なんですけど、そういうのを一緒に作っていくのが、僕のやりたい音楽であり、目指すところなのかなって感じました。正解がないし、完成形がないっていうのがすごくいいなと思っていて。僕だけで作れるものじゃないっていうことを、改めて、あのライブで学ばせていただきました。
──「作詞作曲に挑戦して、新しい自分をお見せできたらと思います」と話してましたね。Xではアコギを買った報告もしてました。
いっぱい買ってます!最近も買いました。音が自分に合っていたんで買ってるんですけど、もう4本目なんです(笑)。気をつけないと、コレクションしたくなっちゃてるんですけど、ギターをインターフェースに繋いで打ち込みできるようにしていて。外出先でも曲を作れるので。今回のアルバムには入っていないですけど、いつかお聞かせできるといいなと思っています。
──本作ではその前段階として作詞にチャレンジしてます。「Ms.Playlist」は共作で参加してて。
ちょっと大人っぽい曲なんですけど、女性に対して求めていることを音楽の単語で表現していて。“君は僕のプレイリスト”っていうのも比喩ですよね。AメロやBメロは、ちょっとダークで落ちてるような感じですが、サビでは、求めているものがどストレートに伝わるような歌詞になっていて。この曲はメジャーデビュー一発目だったんですけど、それにふさわしい内容になってるんじゃないかなと思います。
──レコーディングはどうでした。
UTAさんから、かなり繊細なアドバイスをいただいて。ここちょっと弱くとか、ここちょっと抜き気味にとか、もうちょっと延ばしてとか、本当に細かい微調整をすごくしていて。そのぐらい波がすごくて、キーがバラバラなんですけど、それが音楽の波っぽいっていう。この1曲を通して、プレイリストを表現してるみたいな感じですね。
■この『PLAYLIST』自体が僕自身であるっていう思いが強い
──1stアルバムのタイトルも『PLAYLIST』になってます。
1曲1曲違う味がある、今の僕のベストプレイリストっていう意味です。僕自身が大切にしている曲がたくさんあるし、僕のミュージックプロジェクトが始動してからの曲がすべて詰め込まれているアルバムですし、僕がスタート地点までたどり着いた軌跡が入っていて。僕が全身全霊で全部取り組んだ曲、僕が皆さんに伝えたい曲、この『PLAYLIST』自体が僕自身であるっていう思いが強いです。このアルバムで、皆さんの日常が彩ればいいなって思いますし、本当に幸せになってほしいっていう思いを込めて、『PLAYLIST』にしました。
──そして、ひとりで作詞した新曲が収録されています。「Candy」にはどんな思いを込めましたか。
幼少期の自分に対象を決めて書かせていただいたんですが、今の自分が、過去の僕に言えることだったり、過去の自分がどんなことを思っていて、どうしたかったのか。そういう葛藤も入れましたし、もう一つのポイントが、この鍵括弧で書いてるところです。
──「乾き切った常識に 新しいメロディを」。
ここだけ第三者の視点なんです。僕に対して投げかけてくれた言葉をあえてストレートに書かずに、比喩で表現しているんですが、ファンの方だったり、僕にアドバイスをくれた人のことを指していて。
──新しいメロディというのは、この新しいプロジェクトのことですよね。
そうですね。アドバイスをいただいた人に、そういう言葉を投げかけてもらったので、今、こういう考えに至ってるっていう。サビは過去の自分に対して「大丈夫だよ」っていうのを投げかけていて。“君が投げた 星屑のように”は、僕がスターダストという事務所に入らせていただいたっていうのを表現しています。
──あははは。そうなんですね! 全然気づかなかったです。セクシーなラブソングかなと思ったくらいでしたから。
本当に捉える人によって全然変わると思います。耳で聴くと“暗い雨雲”だけど、歌詞カードを見ると“Cry雨雲”になっていたり、“行き詰まったプライドで 息が詰まった”って歌っていたりとか、そういう言葉遊びも入れてるので。
──“君”っていうのは小さい頃のご自身ってことなんですね。
そうです。一発目の作詞だったので、思いをギュッと詰め込んだって感じですね。すごく好評で、この曲。僕のことをスカウトしてくれたスタッフさんが国際フォーラムに来てくれて。「Candy」がいちばん良かったって言ってくれて。「僕が歌詞を書いたんですよ」って言ったら、「え?そうなんだ!!」って驚いてましたけど、本当に届くんだなって思いましたね。
■Candyというのは、自分が幼少期にもらったらちょっと小さな幸せの象徴
──小さい頃の宮世琉弥を知ってる人にも響いたわけですよね。Candyはなんのメタファーですか。
まず、テーマを決めたんです。どういう曲で、どこから持ってこようかなっていうのをいちばん最初に決めたんですけど、それがCandyだったんです。Candyからインスピレーションを広げていって、比喩表現を使ったりしていて。Candyというのは、自分が幼少期にもらったらちょっと小さな幸せの象徴で。そのときにハッピーになれるなっていうのがあったので。でも、そのCandyも比喩表現として使っていて。“梱包されたような 世界”とか、“溶かしてしまえばRolling”とか、“Colorfulな Candy”とか、十人十色的なことも含めていたりしているんです。いろんな意味が何層にも重なってできた歌詞なので、思い入れがたくさんあります。
──自分が綴った言葉を歌うっていう経験はどうでした。
やっぱり愛着がわきます。もちろん全部の曲に愛着はあるんですけど、より思いが込められてるので、大好きな曲になりますし、こういう曲を増やしていきたいなって思います。
■楽曲に対して、自分の思いを吹き込めるっていうだけでも、これまでとは違う手応えがある
──全曲が揃って、ご自身にとってはどんな1枚になりましたか。
今まで楽曲そのものには携わらせてもらっていたわけじゃないので、楽曲に対して、自分の思いを吹き込めるっていうだけでも、これまでとは違う手応えがあります。本当にたくさん話し合いながら作れましたし、全部に自分が関わっていて。全部の曲に思い入れがあるアルバムがこうして、ちゃんと形になったことが今、すごくうれしいです。
──そして、すでにツアーが決まってますが、どんなツアーになりそうですか。
『NEVERLAND』というタイトルも僕がつけたんですけど、二十歳になり、大人になっての一発目。メジャーデビューで初めてのツアーをやらせていただくうえで、大人のままで堂々と行くのもいいけど、子供の気持ちを忘れず、初心に帰って進みたいっていう思いが強かったんです。音楽活動を始めて、初めて地方に行かせていただくということで、ご挨拶でもありますし、初心の気持ちを忘れず、一個一個大事にやっていきたいなと思って。謙虚さを忘れないライブにしたいなっていう思いを込めて、このタイトルにしました。ただ、思いはそうなんですけど、コンセプトは今まだ考え中です。いろいろやり方はあると思うので、どういうテイストにしていくかは楽しみに待っていてほしいです。
■まずは、今、僕のことを知ってくださってる方を幸せにしていきたい
──地元から始まりますね。最後に今後の目標を聞かせてください。
はい。大きい舞台に立ちたいです。多くの皆さんが僕を知ってくれて、好きになってくれて、そういった方たちと一緒に楽しい時間を過ごしていきたいなと思います。そして、僕は本当に音楽に助けられた身なんで、皆さんにとって、僕の音楽がそういう存在になったらいいなと思っています。それが一番です。まずは、今、僕のことを知ってくださってる方を幸せにしていきたいですね。活動していくうえで応援してくださる方が増えていったらすごくうれしいですけど、今いる人たちを大事に音楽活動をやっていきたいなって思います。
INTERVIEW & TEXT BY 永堀アツオ
楽曲リンク
リリース情報
2024.4.10 ON SALE
ALBUM『PLAYLIST』
ライブ情報
Ryubi Miyase Live Tour 2024 NEVERLAND
5月11日(土) 宮城 東京エレクトロンホール宮城
5月25日(土) 大阪 フェニーチェ堺 大ホール
6月15日(土) 愛知 Niterra 日本特殊陶業市民会館 フォレストホール
6月23日(日) 千葉 幕張メッセ 幕張イベントホール
プロフィール
Ryubi Miyase
リュウビ・ミヤセ/「宮城から世界へ」という想いがこめられた「宮世琉弥」で活動中。2023年MUSIC PROJECTを始動。デジタルシングル「AWAKE」「S.W.I.N.G」「孤狼」「DeeDooDah」「Lightning」を配信リリース。2024年1月28日(日)東京国際フォーラム ホールAにて、初LIVE「宮世大決起集会 20th ANNIVERSARY LIVE」開催。4月10日に1st ALBUM『PLAYLIST』をリリース。アルバム発売後は、Ryubi MiyaseのBEST PLAYLISTを引き下げて、約15,000 人動員の全国ホールツアーを開催する。
Ryubi Miyase OFFICIAL SITE
https://miyaseryubi.jp/