ついに6月12日から日本での公開もはじまった、マイケル・ジャクソンの軌跡を描く映画『Michael/マイケル』。全世界の累計興行収入は9億ドル(約1,443億円)を記録するなど、世界的ヒットを記録中の本作を、マイケルを愛してやまないSTARGLOWのKANONが鑑賞。映画を観終えた興奮そのまま、インタビューを実施。
スーパースターの輝きに魅了されたことはもちろんのこと、ひとりの人間としてマイケルが抱えた孤独、変わることのなかった彼のまっすぐで純真無垢な愛について語っていく。
■答えを出さずに、ただ事実を伝える手法が非常に誠実
──たった今、映画『Michael/マイケル』を観終えたばかりですが…。
KANON:もうヤバすぎました! まだ余韻に浸っている状態で、正直言って頭が回ってないというか、もはや興奮を通り越して整っています(笑)。それぐらい、(自分自身が)よくわからないテンションです。
──(笑)。とにかく感情を揺さぶられたと?
KANON:まず、作品全体の感想は最高でした。この映画はマイケル・ジャクソン幼少期からの軌跡を描いていますが、スターとして活躍する華々しい姿があるいっぽう、本人にしかわからない孤独と劣等感があったことも伝わってきて…本当に全部が良かったです。
──約2時間の作品とは思えないほど、濃密でしたね。
KANON:彼がどんな人生を送ってきたか、知っているつもりでしたが、神格化し過ぎていたのもあり、どこか同じ人間だと思えずにいたんです。それが「マイケルも自分と同じ人間で、ちゃんと普遍的な感情があって、様々な想いを抱えていたんだな」って、少し身近に感じられました。様々な苦悩を乗り越えてスターになっていく姿を目の当たりにし、もっとマイケル・ジャクソンが大好きになりました。
──KANONさんが身近に感じた場面というのは?
KANON:小さい頃、近所で遊ぶ子どもたちを羨ましそうに眺める場面です。あとは、ソロアーティストとして成功した後、幼少期からマネージャーをつとめてきた父・ジョセフ(演:コールマン・ドミンゴ)を解雇する場面も印象的でした。
──ソロデビュー時、マイケルがレコード会社の重役に対し、「父には“あなたたち”がソロ活動を勧めたことにして」と相談をする場面も人柄が出ていましたよね。
KANON:良いシーンですね。クインシー・ジョーンズ(演:ケンドリック・サンプソン)の「自分の言葉でお父さんに伝えなさい」という意見に対し、マイケルも「わかった」と返すんだけど、すぐ大人(=レコード会社の重役)に頼るところが子どもっぽさも感じられてかわいかったです。マイケルにも苦手なものや嫌いなものがあるんだなと実感しましたし、『Michael/マイケル』を観れば、「そりゃあ、そうなるよ」とも納得できますよね。ほかにも、本作の随所で彼の人間性を見ることができてうれしかったです。
──僕は、マイケルがジョセフの影と戦い続けているように感じました。どれだけ成功しても、父親の呪縛から逃れられない苦しさが描かれていたというか。
KANON:相当辛かっただろうと思いますね。ジョセフに厳しく育てられて、一般的な幼少期を過ごせてないのは有名な話ですけど、まさかあんなに辛い経験をして、自分を抑えて従っていたのかと…よく自らを傷つける方向に進まなかったなって。そこもマイケル・ジャクソンという人間のすごさを痛感する部分ですね。
──撮影中のアクシデントにより、重度の怪我をして入院した際も、同じ病院で治療に励む子どもに寄り添うシーンが描かれています。マイケルの優しい人柄そのものだなと。
KANON:どうしてそこまで純粋でいられるの? と、その優しさに驚きましたね。
──本作では、なぜマイケルが純粋な心を持っているのかを無理に答えを提示してない。そこに対しても、作り手のマイケルに対する理解とリスペクトを感じました。
KANON:マイケルの家族が制作に関わっているのもあるし、本当にマイケルが大好きな人たちが集まってこの映画を作ったのが伝わってきました。あえて1から100まで答えを出さずに、ただ事実を伝える手法が非常に誠実だなと思いました。
■…センスってズルいなと思いました(笑)
──歌唱やダンスシーンも多く出てきましたが、どう映りましたか?
KANON:僕が言及できないほど、素晴らしかったです。まず、幼少期のマイケルを演じたジュリアーノ・ヴァルディがめちゃくちゃすごい! 何度も観てきたジャクソン5の映像と「そのままじゃん!」って驚きました。モータウンレコードから出したデビュー曲「I Want You Back」のレコーディングシーンで、「マイケル、ステップを踏まないで」と言われてるのに、本能的に足を動かしちゃう姿からも、本当に音楽が大好きなのが伝わってきて、微笑ましかったですね。
大人になったマイケル(演:ジャファー・ジャクソン)が独自のダンスを構築していく姿も印象的で。僕もマイケルのダンスを研究してきた身ではあるんですけど、それにしても再現性が高過ぎる。指先の動きから顔の角度まですべてがマイケル本人に見えて、とんでもなくカッコ良かったです。
映画『Michael/マイケル』の資料によると、ジャファーさんは2年ほど準備期間があって「毎日足が動かなくなるほど練習した」と書いてあったんですけど、確かにそれぐらい時間と労力を注がないと、あのパフォーマンスにはならないよなって。それを見事に演じきったジャファーさんも伝説だと思います。
──ダンスや歌のシーンも素晴らしかったですが、日常の姿もマイケルを彷彿とさせるんですよね。
KANON:そう! 声もそうだし、ふとしたときの表情や動きも「あ、マイケルだ」と感じられて。どれだけ努力を重ねたんだろう…と感動しました。
──本作の監督・製作総指揮をつとめるアントワーン・フークアは、初めてジャファーと会ったときのことを「彼は(マイケルの)演技をしているのだと思った」「でもすぐにそれが彼の素の姿なのだと気づいた」と発言していて。実の甥(※三男のジャーメイン・ジャクソンの息子)でもあるので…“血”なのかもしれませんね。
KANON:そう考えると似ているのも頷けますね。ジャファーさんの父・ジャーメインさんはジャクソン5を途中で抜けたメンバーだから、ジャファーさん自身はマイケル役をつとめるのに葛藤があったと思うんですよ。それを乗り越えて見事に演じ切った。しかも、それまで演技をやったことがないと…センスってズルいなと思いました(笑)。
──本作では、ジャクソン5からソロまでの計27曲が登場。なかでも、迫力あるライブシーンが見ものでした。
KANON:カメラワーク、衣装、ダンスの細かい動き、照明に至るまで、再現性がめちゃくちゃ高いんですよ。オリジナルのライブ映像と並べて流しても、遜色ないほどのレベル。役者さんや制作の方々も、細部まで緻密にこだわられているのが伝わります。いっぽうで、ライブ中のメンバー同士のコミュニケーションや僕たちが観ていたライブ映像にはなかったシーンも入っていて。「あのとき、こんなやり取りが行われていたんだ」と知れて、そこでもマイケルの人間性が垣間見えた気がしました。
──母・キャサリン(演:ニア・ロング)とのやり取りやマイケルと長年生活をともにしたチンパンジー・バブルスとのやり取りにも、人間味が表れていましたね。
KANON:幼少期のマイケルは、同年代の子どもと過ごしても「みんなが写真を撮ってくれとか、サインを書いてくれって言う。自分を“モノ”としてしか扱ってくれないんだ」と母親に話す場面があったように、注目の的だったからこその大きな孤独を感じていたと思うんです。だけど、バブルスくんをはじめとする彼が愛した動物たちにはマイケルがスターかどうかは関係なくて。
自分を“ただの人”として見てくれる存在であり、愛情のぶんだけ純粋に寄り添ってくれた存在でもある。それがマイケルにとってはうれしかったでしょうし、真の友達って感覚だったのかなと。だから、バブルスくんといるときは、マイケルが幼い子どもに見えるんですよね。それが微笑ましくもあり、(スターゆえの孤独が浮き彫りにもなるため)同時に切なくもあり…すごく複雑な感情を抱きました。友達がいないって孤独じゃないですか。そう思うと、いろいろ考えさせられる作品でもあるなと感じました。
■好きという感情と相手を傷つけてしまうことは、紙一重なのかもしれない
──本作を通して、マイケル・ジャクソンはどんな人物に映りましたか?
KANON:壮絶な人生を歩んでいるのに、マイケルは他人を傷つけることなく、純粋に育ち、世界中の人々に愛を伝えて世界平和を願っている。「自分の音楽で世界をひとつにできたら」という想いも含めて、すごく“天使”みたいだなって。純粋な心を持ち続けるその人間性も、人々を魅了するアーティスト性も、改めて全部が好きだなと再確認しました。
──富、名声、声援、誹謗中傷など、いろんなものが渦巻く特殊な状況下で、マイケルが純粋で居続けられたのは不思議でした。
KANON:そういう意味でも天使に思えたんですよ。CM撮影時の事故で、ファンがマイケルを囲んでしまい、ストレッチャーの通り道をふさいだり、搬送先の病院のまわりではマイケルの怪我を心配するファンの声がずっと響いていたり。もちろん悪気があるわけではなく、みんなマイケルが好きだからこその行動ではあるものの…その気持ちが結果的に本人を苦しめてしまうこともある。好きという感情と相手を傷つけてしまうことは、紙一重なのかもしれないと考えさせられるシーンでした。
──それでも世界中の平和を願う、マイケルの優しさに脱帽しました。
KANON:本当に心が美しいですよね。人が良すぎるからこそ、生前はそんな人間がいるわけない! と疑いの目を向けられたり、眩しい存在ゆえに妬まれることも少なくなかったでしょうし…マイケル自身は世界平和や愛を伝え続けていたのに、どうして自分だけこんなに傷つけられなければならないんだろう──そんな葛藤があったと思います。だからこそ、胸が痛くもなりました。
──見方を変えれば、金や地位を求めるジョセフはすごく人間くさいですよね。
KANON:人間味のある父親のもとで育ったのもあり、もしかしたら…マイケルは「あんな人間になりたくない」と反面教師にしていたんじゃないかな? そんな気がします。ただ、実際に音楽を始めるきっかけを作ったのはジョセフだし、「ソロデビューしていいよ」と最終的に許可したのもジョセフ。あの人がいなかったら、僕たちが知る、人類史上最も成功したエンターテイナーであるマイケル・ジャクソンは存在しなかったでしょうから、感謝すべき部分もあるから、余計に難しい問題ですね。
──最初にステージングの指導をして、アーティストとしての基礎を作った功績はやはり大きいですからね。
KANON:でも、「僕は父を許します」と言ったマイケルはすごいですよ。自分が同じ境遇だったとして…ちゃんと感謝できるかなって考えさせられます。
■怖くて「スリラー」に号泣した過去も!それでもマイケル・ジャクソンを好きになった理由
──大のマイケル・ジャクソン好きでもあるKANONさんですが、改めてマイケルを知ったきっかけを教えてください。
KANON:僕が生まれたときから、母がマイケルのCDやMVを流していたので、ずっと身近な存在ではあったんですよ。だけど、当時は音楽に興味がなくて「Thriller(スリラー)」のMVも怖くて泣いていたぐらいで(笑)、好きではなかったんです。
でも、中学1年のときに所属していた劇団のハロウィンイベントで仮装する機会がありまして。ふと「Thriller(スリラー)」のマイケルが頭に浮かんで、あの仮装をしたらカッコ良いかも! と思ったんです。でも、ただちゃんと知らずに仮装するのはミーハー過ぎるから、改めて調べてみることにして。幼少期以来、久しぶりにMVを観たら「アレ? めちゃくちゃカッコ良いじゃん!」と衝撃を受けたんです。
短編映画のような構成にも驚きましたし、カメラワーク、マイケルの表情やダンスもすべてがカッコ良い。そもそも曲をちゃんと聴いたら、とても耳に残るし、勝手に体を動かしたくなる。「こんな素晴らしい音楽を無視していたのか」と、そこから没入し始めましたね。いろんな曲や映像をチェックして、どんどん大好きになりました。
▼Michael Jackson – Thriller
──KANONさんがそこまで惹きつけられる、いちばんの要因はなんですか?
KANON:強いてひとつ挙げるなら“人を踊らせる力”ですね。「Billie Jean(ビリー・ジーン)」のイントロは30秒あって、最初はプロデューサーから「長すぎるからもっと短くして」と言われたらしいんですけど、「いや、短くできないんだ。自分が気持ちよくて、踊りだしそうになるいちばんの長さがこれなんだ。だから絶対に変えたくない」と譲らなかったという。
実際「ビリー・ジーン」はマイケルを象徴する楽曲ですし、あのイントロがないと曲が成り立たなかったはず。ダンスをやってない人でも自然と踊りたくなるパートだと思うので、踊らせる能力は誰よりも長けている。それは、作為的にやろうとしても真似できないんです。だからこそ唯一無二なんですよね。
▼Michael Jackson – Billie Jean (Official Video)
──ミュージカル映画『ウィズ』『ムーンウォーカー』、ドキュメンタリー映画『マイケル・ジャクソン THIS IS IT』など、様々なマイケルを扱った映画がありますが、KANONさんの中で本作『Michael/マイケル』はどんな位置づけですか?
KANON:正直、トップかもしれないです。これを超える伝記作品はないんじゃないかと思うほど、本当に良かったですね。
──この映画を観ると、改めてマイケルの音楽を聴きたくなりますよね。
KANON:今日の帰り道からマイケルを聴きまくりますし、なんなら踊りたい。あと、家に帰ったら楽曲を制作したいと思いました。マイケルみたいに、自分の思うがままにメロディを作って歌詞を書きたい。今、曲作りを頑張っている最中ではあるんですけど、改めて本腰を入れて頑張ろうって決意しました。音楽をやっている人はもちろん、何かに没頭している方、夢中になっている方は絶対に観るべき作品です!
INTERVIEW & TEXT BY 真貝聡
KANON PHOTO BY 冨田望
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■映画情報
2026.06.12 公開
映画『Michael/マイケル』
監督:アントワーン・フークア(『イコライザー』シリーズ、『トレーニング デイ』)
脚本:ジョン・ローガン(『アビエイター』『グラディエーター』)
製作:グレアム・キング(『ボヘミアン・ラプソディ』)、ジョン・ブランカ、ジョン・マクレイン
出演:ジャファー・ジャクソン、ジュリアーノ・ヴァルディ、コールマン・ドミンゴ、ニア・ロング、ケンドリック・サンプソン、マイルズ・テラー、ローラ・ハリアー、ケイリン・ダレル・ジョーンズ他
配給:キノフィルムズ 提供:木下グループ 映倫:G
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■プロフィール
◎KANON(読み:かのん)
オーディションプロジェクト『THE LAST PIECE(ザ・ラストピース)』から誕生した、BMSG 3組目のボーイズグループ・STARGLOWのメンバー。また、“日穏”として2025年10月公開の映画『代々木ジョニーの憂鬱な放課後』や2026年6月26日公開の映画『死神バーバー』で主演をつとめるなど、俳優としての一面も持ち合わせる。
◎STARGLOW(読み:スターグロウ)
RUI、TAIKI、KANON、GOICHI、ADAMからなる5人組で、2026年1月21日にシングル「Star Wish」でメジャーデビュー。7月22日には3rdシングル「Drivin’ My Life」をリリースする。
STARGLOW OFFICIAL SITE
https://starglow.tokyo/
STARGLOW OFFICIAL SNS
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◎STARGLOW リリース情報
2026.05.25 ON SALE
DIGITAL「Good Boys Anthem」
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【CD】
2026.07.22 ON SALE
SINGLE「Drivin’ My Life」
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