しなこ、竹下☆ぱらだいす、MADAMADAなどを手がけ、子どもたちを中心に大きな支持を集めるクリエイター・あぃりDX。プロデューサーをはじめ、作詞、振付、MVディレクション、動画制作、ステージ演出など。その活動はひとつの肩書きには収まらない。元看護師でもある彼女は、なぜ現在のスタイルへたどり着いたのか。ダンスに夢中だった幼少期、各アーティストをプロデュースするうえでの想いや本人選曲による自身を語るうえで外せない代表曲を通して、その素顔に迫る。
■「ユーモアを大事にしたい」あぃりDXとは?
◎あぃりDX(読み:あぃりデラックス)
・生年月日:1997年10月5日
・出身地:東京都
・肩書き:原宿系プロデューサークリエイター
・できること:作詞・振付・MVディレクション・企画・演出
・ファンネーム:デララー🐟💓
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◎ダンスを通じて、自らの手で何かを生み出すことに喜びを得る学生時代
あぃりDXは、5歳頃からダンスを習い、小学校では学芸会や合唱コンクールの振り付けを考え、高校時代はダンス部で30~40人規模の作品を制作するようになる。
「周りの人や環境に恵まれ、踊る楽しさと同時に“ひとつの作品をみんなと作る”という経験をたくさんさせてもらいました。自分が考えたことが形になっていくのは、踊ることとはまた違った喜びや達成感が得られましたね」と当時を振り返る。こういった経験の一つひとつが、ものづくりをより深く探究するきっかけとなり、現在のクリエイティブの原点になったという。
なかでも、高校のダンス部では、自分たちの魅力を伝える作品を完成させるために、ダンスはもちろんのこと、音源や声、照明など、演出面も細部にまでこだわり、部員へのレクチャーもしっかりフォローするなど、現在の活動に繋がる動きを行っていた。
◎看護実習のつらさも笑いへ!元看護師の経験
元看護師の経歴を持ち、看護実習や臨床現場でのつらさや理不尽さをコミカルに伝える動画を発信したことで注目されるようになった、あぃりDX。
@airidxdxdxdayo 看護実習の1日🤣 #看護学生あるある
現在は臨床現場を離れているが、その知識や感覚は、自身の「根拠」や竹下☆ぱらだいすの「うんぴフレンズ」などにも生かされており、彼女の武器のひとつとして発揮されている。
▼竹下☆ぱらだいす「うんぴフレンズ」
◎「自分でも何と呼べばいいかわからない」多岐にわたる活躍
プロデューサー業を中心に、動画の企画・編集、作詞、振付、MVディレクション、ステージ演出と多岐にわたるクリエイティブを担っているが、本人いわく「自分でも何と呼べばいいのかわからない」そうで、苦肉の策として登場したのが“原宿系プロデューサークリエイター”という呼び名であった。
楽曲制作時は、曲のイメージが浮かぶとともに映像やショート動画、ダンスでの魅せ方まで、楽曲にまつわることが一緒に思い浮かぶため、その発想を形にすべく、自然な流れで今のスタイルへと落ち着いたと本人は語る。
◎ファンネームは「デララー🐟💓」
あぃりDXのファンネームは、Xのフォロワーが1,000人を突破した際に本人が発表したもの(※発表は2018年9月9日)。
Twitterフォロワー1000人突破ありがとうございます😊!
私のファンネームは、【デララー🐟💓】に改めました!笑 「デララー」か「🐟💓」だけでも、付けてくれてる子には、優先的にコメント返信をしていきたいと思います😊
デララー🐟💓のみんなに、笑顔届けること約束します!— あぃりDX🐟💓 (@airidxdxdxdayo) September 9, 2018
「デララー」またはファンマークの「🐟💓」を入れて投稿したユーザーとコミュニケーションをはかるなど、活動初期から自身を応援してくれるファンを大切にしてきたことが伝わってくる。
■しなこ、竹下☆ぱらだいす、MADAMADA…あぃりDXの主なクリエイティブワーク
ここからは、あぃりDXと強い結びつきをもつ3組について紹介していく。
【しなこ】
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◎あぃりDXと同じく好きなことへの探求心が強い、最強の友人・しなこ
インフルエンサー、アーティスト、ファッションモデル、スイーツプロデューサー…と彼女もまた幅広い活動で人気を博している、しなこ。
実はしなことあぃりDXは兼ねてより友人として交流を深めており、しなこのアーティスト活動も、食事中に交わした「(曲)作ってみる?」という軽いやり取りから始まったとのこと。
そうして完成したデビュー曲「しなこワールド」は、あぃりDXにとって初めて本格的にプロデュースした楽曲であり、本人たちの予想を超える大ヒットを記録。
◎友達に笑ってほしい!そんな“いたずら心”から生まれた「しなこワールド」
長年、友人としてしなこを見てきたあぃりDXは、しなこを“インパクトのある人”と断言。彼女の個性をそのまま音楽に乗せることができれば、面白いことになりそうだと期待したという。
本人へのヒアリングをもとに、プロデュースの軸に据えたのは“プリンセスかわいい”だ。
自身が感じる“好き”を素直に受け止め、謳歌する…まさに《好きにまっすぐなプリンセス》な姿を「しなこワールド」へと落とし込んでいる。
また、同曲を作るうえでも笑いのエッセンスは重要だったそうで、長い付き合いだからこそできる“いじり”や“いたずら心”を膨らませ、SNSでも大きなバズとなった《しなこっこっここっこっこっこっこっこっこっこっここっこ/しなこ!》が誕生。
最初に曲を聴いてもらった際、サビまでは「すごく良い曲!」と喜んでいたしなこだったが、名前を繰り返す部分に突入すると「何これー(笑)」と急展開に驚いたそう。
表面的なかわいさだけではなく、しなこの抱える想いや発信したいもの、そして何よりしなこという存在を深く知るあぃりDXだからこそ表現することのできた楽曲ではないだろうか。
▼【MV】しなこワールド🌷💜 / あぃりDX・しなこ
【竹下☆ぱらだいす】
・メンバー:あぃりDX(バズーカピンク)、だーご(メンヘラブルー)、しんぢくん(原宿の未来を明るく照らすキラキライエロー)
・結成年:2022年
・ファンネーム:竹の子
OFFICIAL SITE https://www.takepara-official.com/
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◎原宿ファッション好きをきっかけに繋がった、竹ぱらの3人
原宿ファッションを通じてInstagramで繋がった、あぃりDX、だーご、しんぢくん。初対面でピンク、青、黄色という奇跡の3色が並んだ瞬間、あぃりDXは「この3人で何かしなきゃ!」とビビッとくるものがあったと語る。
その日のうちにアイドルのMVを観ながらグループ結成を提案すると、「なんだか楽しそうだから、やってみよう!」とだーご&しんぢくんから快諾を得たことで、竹下☆ぱらだいすが誕生した。
◎“オモロカワイイ”を武器にすることで、個性を最大の個性に!
だーご&しんぢくんが「楽しそう」を理由にグループ結成を決めたいっぽうで、あぃりDXはこれからふたりの人生を背負うんだぞ! と覚悟を決め、ビジネス書を読みながらコンセプトを練ることに。そこで生まれたのが、3人の好きな“かわいい”と“面白い”を掛け合わせた“オモロカワイイ”である。
例えば、だーごの元気いっぱいなすね毛や、しんぢくんの気持ちよさそうな丸いお腹など、それぞれの特徴に目を向け、誰にもまねできない個性へ変えていった。
◎あぃりDXも予想外だった、キッズが多い竹の子(竹ぱらファン)
竹の子には子どもが多いものの、そこを意識したことはなかったという。ただ、3人のカラフルな見た目が子どもたちのハートを掴んだのではないか? とあぃりDXは語っている。
鮮やかな色使いも玩具やアクセサリーを楽しむ姿も、もともと3人が好きだったもの。自然体で楽しむ姿こそが最大の魅力に繋がっているようだ。
【MADAMADA】
・メンバー:こころ、おとは、こじろう、ここ、りお、きいち
・結成日:2025年12月11日
・ファンネーム:まだ友
OFFICIAL SITE https://madamada-official.com/
Instagram @madamada.ikuzo
YouTube @madamada_ikuzo
TikTok @madamada.ikuzo
◎尽きないパワーでどこまでも突き進み、楽しい時間を続けてほしい
“Amazing Kawaii”をテーマに始動した、キッズグループオーディションプロジェクト『Amazing Kids Audition』から誕生した、こころ、おとは、こじろう、ここ、りお、きいちからなるMADAMADA。
竹下☆ぱらだいすのステージに集まった子どもたちが楽しそうに踊る姿を見て、その発想力や表現の面白さに惹かれたあぃりDXが「私がこの子たちと作品を作ったら、すごく面白いものができるんじゃないか?」という考えにたどりつき、子どもたちのプロデュースに挑戦。
グループ名は「まだやりたい〜!」「まだ帰りたくない〜!」 という子どもたちの口癖「まだ」という言葉に由来。また、その尽きないパワーでどこまでも突き進み、楽しい時間を続けてほしいという願いが込められている。
オーディションでは技術だけでなく、つい目で追ってしまう表現力や伸びしろを重視。短い動画でもスワイプされず、見続けてもらえる力も選考のポイントにしたと明かしている。
■“好き”に全方位で向き合ううえで大切にしていること
◎「何これ、面白い!」と思えるものを作りたい
キュートな世界観もあぃりDXの表現の特徴だが、「ただかわいらしいだけのものには、あまり興味がないんです」とキッパリ。あぃりDXが大事にしているのは、“面白さ”である。
笑える“funny”と、興味を引かれる“interesting”。どちらの面白さにも惹かれるというが、「『これ、やばいね』『何これ、面白い!』と思わず笑ってしまうようなものが最高ですね」とのこと。
個性を見抜き、ユーモアをもって表現することで、思わず「何これ、面白い!」と笑ってしまう表現にしたいのだと熱弁する。
◎バズを狙いながらも、楽曲を消耗品にはしない
ショート動画の流行は「1週間どころか3日で変わることもありますね」と移り変わりの速い世界を肌で感じているあぃりDXは、流行している動画を確認することを「動画クリエイターとして大前提」とし、その変化をシビアに見極めながら、作品を多くの人へ届けるためのバズにも真剣に向き合っている。
そのいっぽうで、「音楽を商業的なものだけにはしたくないですね」とも語る。
「曲を消耗品にはしたくない。一曲一曲への愛や、そこに込めたメッセージを大切にしながら、一つずつ積み上げていきたいんです」
流行をつかむことと、長く残る作品を作ること。その両方をあきらめず、バズの先にも愛やメッセージが残る曲を目指している。
◎流行の外にも、夢中になれるものを探す
また、新しい動画を追うだけでなく、本を読み、舞台へ足を運び、映画、アニメ、漫画も楽しむ。
なかでも、ビジネス書から『ハリー・ポッター』までと読書の幅も広い。「自分が夢中になれるものは、常に探していると思います」と話し、自分のなかにあるブレないものと、その時々の流行や大切なものを見極めながら、作品へ取り入れている。
◎会場のみんなが踊ることも、ひとつの成功
元来、ステージを作ることに強い喜びを感じるあぃりDXはライブ活動も積極的に行っているが、SNSで再生数が伸びる曲とライブで盛り上がる曲は、必ずしも同じではないと痛感する。
多くの人へメッセージが届くことを意識しながらも、「ライブで『この曲はみんな踊ってくれるな』『すごく盛り上がってくれているな』と感じられる空間を作れたら、それもひとつの成功です」と捉えている。
観客が一緒に踊り、声を出し、会場全体で曲を楽しむ時間。幼い頃から「自分が踊ること以上に、ステージを作りたかった」というあぃりDXらしい成功の形である。
■あぃりDXを語るうえで外せない!代表曲5選
MADAMADA
「バブるバブル」
作詞、MV監督、振付をあぃりDXが担当。「おぎゃー!」という産声からはじまる「バブるバブル」は、『Amazing Kids Audition』の課題曲として使われ、何人もの子どもたちが涙を流しながら練習を重ねた、思い出の曲。
メンバーにとっては、オーディションへ懸けた時間と、「自分がスターになるんだ」という強い想いが刻まれている。あぃりDXいわく「メンバー全員にとって、人生で忘れられない曲」とのこと。
“バブバブ”と“バブル”を掛け合わせた言葉遊びに加え、突然笑ったかと思えば、次の瞬間には泣き出すような、赤ちゃんを思わせるめまぐるしい曲展開も印象的だ。そこからは、MADAMADAの勢いと予測できないパワーが伝わってくる。
竹下☆ぱらだいす
「派手髪でも出来るばい!」
2023年に公開され、公式YouTubeにて公開されたMVが1,200万回再生を突破した「派手髪でも出来るばい!」。
竹下☆ぱらだいすにとって、海外へ大きく広がった最初のヒット曲で、黒髪から一気にカラフルな髪へ変身する映像と、まねしやすい振付が海外ユーザーの心を掴んだ。
歌われているのは、派手な髪やピアスを楽しんでいても、早起きや育児はできるし、選挙へ行くこともできるということ。
男子がスカートをはく自由も肯定し、見た目や性別、生活環境によって、その人にできることを決めつけず、見た目と生き方は関係ないと声高々に歌う。勢いのある掛け声や会話のようなセリフ、2番で飛び出す巻き舌など、サウンドにも遊びが多い。
色、ダンス、言葉、3人のアイデンティティがすべてが噛み合った一曲である。
しなこ
「しなこワールド」
しなこのアーティストデビュー曲「しなこワールド」は、2024年の公開後、約4,800万回再生を記録。あぃりDXが手がけた楽曲のなかでも、外すことのできない一曲だ。
“しなこ”という名前を何度も繰り返すフレーズは、友人同士のいたずらやツッコミのような感覚から生まれたもの。また、ASMRで親しまれてきた咀嚼音、学生時代に得意としていたロックダンス、初めて原宿と出会ったときの気持ちなど、しなこの原点も楽曲へ盛り込まれている。
“プリンセスかわいい”というコンセプトのもと、夢のような原宿の世界と、正解に縛られず自由に生きる思いをひとつにした自己紹介ソング。しなこの魅力が次々と飛び出す、にぎやかで遊び心に満ちた一曲だ。
竹下☆ぱらだいす
「とーちゃんの足ってなんでクサイの?feat.しんのすけ&ひろし」
『クレヨンしんちゃん』とのコラボレーションによって生まれた同曲のMVは約1,780万回再生を記録。兵庫県淡路島にある「クレヨンしんちゃんアドベンチャーパーク」で撮影された。
あぃりDXは、父・ひろしの足のニオイが敵を倒すほどの力を発揮することに注目し、曲中では「クッサー!」という言葉を徹底的に反復。しんのすけの声も強いアクセントとなり、キャラクターの濃い竹下☆ぱらだいすの3人も、『クレヨンしんちゃん』の登場人物のように作品世界へ溶け込んでいるのが印象的である。
サビはとにかくキャッチーだが、「クッサー!」の合間には、帰ってきた父ちゃんに早く会いたかった気持ちや、家族のために頑張っていることへの理解が込められている。思いきり笑わせながら、ふと胸を打つところも、竹下☆ぱらだいすと『クレヨンしんちゃん』らしい。
あぃりDX
「根拠」
2022年に公開された「根拠」は、あぃりDXが初めて本格的な楽曲制作に取り組んだ一曲。ストレス発散に最適(!?)な“根拠ダンス”も話題となった。
無機質な電子音、反復される《根拠は?》という問いが、一度聴くとなかなか頭から離れない。コミカルでありながら不穏で、独特のホラー感がある。描かれているのは、忙しい上司へ「時間があるときに確認してほしい」と声をかけても聞いてもらえず、あとになって「なぜ確認しなかったのか」と理不尽に責められるような状況だ。
看護学生や医療従事者にとっては、実習や臨床現場で経験した記憶と重なるであろう内容だが、職種を問わず刺さるものがあるのが同曲のポイントだろう。
あぃりDX自身は「女の子や社会に対する、皮肉たっぷりのホラー曲」と説明。現実の違和感や息苦しさを、踊って笑える表現へ変えるところには、今にも通じる彼女らしさがある。
■夢は膨らむばかり!あぃりDXが描く、この先とは?
ステージを作りたいという想いから、音楽・映像・ダンスへとできることを広げてきたあぃりDX。好きなことを続けるため、自分の頭にある理想を具現化するために、ひとつずつ丁寧に向き合った積み重ねが、唯一無二の結果を生み出している。
思わず隠したくなるコンプレックスや弱さも、その人にしかない素晴らしい個性なのだと肯定し、カラフルな作品として届けていく──。
これから誰と出会い、どんな「何これ、面白い!」を生み出すのか。その夢は、まだまだ膨らみ続けている。
INTERVIEW & TEXT BY 逆井マリ
◎楽曲リンク
▼あぃりDX
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▼竹下☆ぱらだいす
https://tftimes.lnk.to/TakeParaT1
▼MADAMADA
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