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ライブイベント『uP!!! SPECIAL LIVE HOLIC extra 2022 supported by SPACE SHOWER TV 幕張公演』が、1月22日・23日に千葉・幕張メッセ イベントホールにて開催された。
“今”の日本の音楽シーンになくてはならない圧倒的存在感を誇るアーティストによる2マンライブというテーマで2014年に産声をあげ、以降全国を巡って開催してきた『LIVE HOLIC』。過去の出演者が集う特別公演(extra公演)もこれまで幾度も実施されてきた。
今回は、LIVE HOLICにゆかりのある、日本のロックシーンを代表する16組が出演。この日を待ち望んでいた観客を前に熱いライブを繰り広げ、熱狂のうちに幕を閉じた。
なお、2月6日にはZepp Osaka Baysideにて、『LIVE HOLIC extra 2022 DAY3 大阪公演が開催される。
さらに、無料動画配信サービス「GYAO!」にて一部出演アーティストのライブ映像&コメント映像を期間限定無料配信中。またスペースシャワーTVでは、『LIVE HOLIC extra 2022』の模様が3月26日より3週連続で放送される。
【ライブレポート】
スペースシャワーTVとuP!!!が企画するライブイベント『uP!!! SPECIAL LIVE HOLIC extra 2022 supported by SPACE SHOWER TV』が1月22日・23日、千葉県・幕張メッセで開催された。
『LIVE HOLIC extra』はツーマンライブシリーズ『LIVE HOLIC』の過去の出演アーティストが集うイベントとして、2017年に初めて開催。1月22日はACIDMAN、androp、Awesome City Club、キュウソネコカミ、SHE’S、sumika、BLUE ENCOUNT、緑黄色社会、1月23日にはORANGE RANGE、KEYTALK、GRAPEVINE、go!go!vanillas、ストレイテナー、SUPER BEAVER、04 Limited Sazabys、マカロニえんぴつが出演。音楽シーンを代表するバンドが熱演を繰り広げた。
■DAY1:1月22日(土)
トップを飾ったのは、ニューアルバム『モルモットラボ』をリリースしたばかりのキュウソネコカミ。地元への愛を放ちまくる「Welcome to 西宮」からはじまり、「MEGA SHAKE IT!」「推しのいる生活」などのアッパーチューンを連発。ヤマサキセイヤ(Vo&Gu)の煽りに導 かれ、観客は手を挙げ、飛び跳ねながら全身で爆音を楽しんでいた。
「やっぱりライブはいいな」(ヨコタシンノスケ/Key&Vo)「アドレナリンで乗り越えられる」(ヤマサキ)というやり取りのあとも、「ビビった」 「ハッピーポンコツ」など代表曲を披露。「俺たちはライブで生かされてます。俺たちの音楽が少しでも皆さんの生きる力になったらうれしいです」(ヨコタ)という言葉も心に残った。
続くandropは、ニューアルバム『effector』の収録曲「Beautiful Beautiful」 から。変わり続ける世界の情景、そして、大切な人に対する“そのままでいてほしい”という思いを込めた歌によって、会場全体に大きな感動が広がった。
「あなたたちを信じています。今日は家に帰るまで、自分を守りながら、音楽を楽しんでください」(内澤崇仁/Vo&Gu)というMCを挟み、 観客が掲げたスマホのライトのなかで演奏された「Hikari」。さらにオルタナR&Bのテイストを取り入れた「Lonely」、“自由に楽しもう”というメッセージを込めたダンスチューン「Saturday Night Apollo」、「心のなかで歌ってください」(内澤)という言葉に導かれた「 SuperCar」へ。心と体を解放してくれる、豊かで穏やかな音楽を響かせた。
服部栞汰(Gu)が新型コロナウィルスの陽性反応が出たため、井上竜馬(Vo&Key&Gu)、広瀬臣吾(Ba)、木村雅人(Dr)によるアコースティック編成での出演となったSHE’S。未来に向けた強い気持ちを歌った「追い風」、大切な人に対する繊細で真摯な思いを綴った「Letter」をオーガニックな演奏とともに届けた。さらに「“あのときライブに行ってよかった”と思える1日にしましょう」(井上)という言葉とともに「The Everglow」も。そして最後の曲では、「昨日の夜、電話で“ギター弾こうか?”と言ってくださいました」(井上)とandropの内澤崇仁が登場。“ずっとここで歌い続ける”という意思を刻んだ楽曲で井上、内澤が声を重ねる、きわめて貴重なシーンが実現した。
ここで俳優の犬飼貴丈がスタンド席に登場し、andropの内澤、佐藤拓也(Gu&Key)とトーク。「めっちゃいい光景がたくさん見れました」(内澤)、「2022年のいい幕開けになりました」(佐藤)というライブの感想、さらにニューアルバム『effector』の手応えや、本作を引っ 提げたツアーへの意気込みなどについて語った。これも『LIVE HOLIC』でしか見られない光景だ。
続いては、昨年大躍進を果たしたAwesome City Club。エモーショナルなロックナンバー「you」、洗練されたポップチューン「夏の午後はコバルト」、ディスコチックな「Don’t Think,Feel」と多彩な音楽性を見せつける。atagi(Vo&Gu)、PORIN(Vo)のツインボーカル、エッジーかつメロウなモリシー(Gu)のギターを軸にした演奏も素晴らしい。また、しなやかなグルーヴと前向きな意志を込めた歌詞が ひとつになった新曲「Life still goes on」からは、このバンドの最新モードが伝わってきた。
イベントのスタッフから受け取った手紙(観客への信頼、アーティストへの感謝、イベントへの強い思いが込められていた)を紹介したあと、最後の「勿忘」へ。Awesomeの幅広い魅力をダイレクトに体感できるアクトだった。
緑黄色社会は、peppe(Key)の叙情的なピアノからはじまったミディアムチューン「LITMUS」、力強いポップネスを響かせた「Landscape」からスタート。1月26日リリースのニューアルバム『Actor』に収録される“リョクシャカ流 応援ソング”「キャラクター」では、“誰 だってneed youだ/君のことがとても愛おしいんだ”という歌詞、華やかなバンドサウンドで観客のテンションを引き上げてみせた。長屋晴子(Vo&Gu)のチアフル&エモーショナルな歌声も気持ちいい。
最後はポジティブな波動に満ちた「Mela!」「sabotage」を続けて披露。小林壱誓(Vo&Gu)、穴見真吾(Ba)の躍動感溢れるステージングも最高だ。バンドとしての個性と王道のJ-POPを同時に感じられる圧巻のライブだった。
2度目のトークコーナーのゲストは、SHE’Sの井上竜馬、木村雅人。アコースティック編成となったライブの手応え、「10周年のメモリアルな1年になりました」(井上)という2021年の感想のあと、2月24日に行われる日本武道館公演の話題に。「10年を凝縮した1日にした いです」(木村)という言葉に、会場からは大きな拍手が送られた。
ここからイベントは佳境へ。「造花が笑う」「歪んだ光」という鋭利にして骨太なロックサウンドで観客を惹きつけたのは、ACIDMANだ。「あなたたち、僕たちにとって音楽は不要不急じゃない。音楽が必要なんだと感じられる、最高の1日しよう」(大木伸夫/Vo&Gu)という真摯な言葉に導かれ、「Rebirth」「夜のために」という生命の尊さを響かせる楽曲が続いた。そして代表曲「ある証明」では、「心の声で歌ってくれ!」(大木)というシャウトに呼応し、観客が拳を突き上げる。
ラストはすべての生命の源である宇宙について歌った「innocence」。スマホの光のなかで演奏されたこの曲のスケール感は、すべてのオーディエンスの胸に刻まれたはずだ。
「トリ前、sumikaやります!」(片岡健太/Vo&Gu)という宣言とともに「フィクション」を打ち鳴らす。さらに「絶叫セレナーデ」「ふっかつの じゅもん」と極上のアッパーチューンを続けざまに放ったsumikaは、生々しいグルーヴをたたえたバンドサウンド、豊かな音楽性を備えた楽曲によって、瞬く間に会場を彩ってみせた。
DJが繰り出すトラックとともに片岡がひとりで歌った「Babel」、切なさが滲み出るラブソング「本音」のあと、片岡は観客に感謝の気持ちを伝える。「あなたが今日、ここに来る選択をしてくれたおかげで、(LIVE HOLICは)次があります」という言葉に導かれた最後の曲は、彼らのアンセム「Shake & Shake」。豊潤なポップワールドを全身で堪能できる最高のステージだった。
最後のトークコーナーのゲストは、緑黄色社会の小林壱誓と穴見真吾。1月が誕生日の穴見、2月が誕生日の小林の花束が渡され、ニューアルバム『Actor』について。「14曲、いろんなキャラクターの曲が入っていて。旅をするように聴いていただけると思います」 (小林)とその聴きどころを語った。そして犬飼貴丈が「皆さんの拍手の温かさで無事、MCをやることができました!」と挨拶し、再び大きな拍手が巻き起こった。
『uP!!! SPECIAL LIVE HOLIC extra 2022 supported by SPACE SHOWER TV』初日の最後を飾ったのは、BLUE ENCOUNT。まずはヘビィかつ高速のロックチューン「Survivor」「KICKASS」でオーディエンスの高揚感をグッと上げる。田邊駿一(Vo&Gu)がイベ ントのスタッフへの感謝、ステージに立てることへの喜び、会場に足を運んだ観客への思いを告げたあと、ダンサブルな「バッドパラドックス」でライブのテンションは一気に頂点へ。叩き込むように「VS」「DAY x DAY」と代表曲を連ね、強烈な興奮を生み出していった。
「この景色を見るために、また明日から、名前のない毎日を生き抜いていきます。一緒に頑張ろうな」(田邊)と語り掛け、“その手で 世界は変えられる”というメッセージを刻んだ「HANDS」へ。ポジティブな意志と強靭なバンドサウンドが共鳴し、イベントの初日は幕を閉じた。
■DAY2:1月23日(日)
2日目のトップバッターはKEYTALK。ノスタルジックな旋律が響き渡った「黄昏シンフォニー」、ドラマチックな楽曲構成が楽しい「 MABOROHI SUMMER」でオーディエンスを惹きつける。
「KEYTALK、今年一発目のライブです。楽しんでいきましょう!」(小野武正/Gu)という挨拶を挟み、ロカビリー系のサウンドを取り入れた「暁のザナドゥ」、切ないウィンターソング「Orion」など多彩な楽曲を披露。寺中友将(Vo&Gu)、首藤義勝(Vo&Ba)のツインボーカルもさらに深みを増していた。さらに八木優樹(Dr)のしなやかでタイトなビートとともに「MATSURI BAYASHI」「MONSTER DANCE」などのダンサブルなナンバーを放ち、オープニングをド派手に飾った。
2番手として登場したgo!go!vanillasの1曲目は、最新アルバム『PANDORA』収録のアッパーチューン「one shot kill」。さらに「クライベイビー」「お子さまプレート」を響かせ、ロックンロールの進化型と称すべき音楽性を生々しく描き出してみせた。牧達弥(Vo&Gu)の「今を楽しく生きるために、音楽はすごく大切。みんなの人生がもっと良くなるように、この曲を届けます」というMCにリードされたのは、「LIFE IS BEAUTIFUL」。初期の代表曲「エマ」では、観客が“E・M・A”の振り付けで盛り上がった。ラストは、アイリッシュのテイストを血肉化させた「マジック」。ロックンロールの魔法が会場全体に降り注ぐ、“これぞgo!go!vanillas”な解放的なステージだった。
00年代以降のシーンを支えてきたストレイテナーはライブアンセム「KILLER TUNE」から。緊張感と壮大さを共存させたサウンドが印象的な「宇宙の夜 二人の朝」(最新ミニアルバム『Crank Up』収録曲)など、冒頭から圧倒的な存在感を見せつけた。美しい鍵盤のフレーズとともに切なくも力強い旋律を歌い上げた「さよならだけがおしえてくれた」など豊かな音楽性を体感できる場面も。個性と技術を持ち合わせたメンバーのプレイも格別だった。また、ホリエアツシ(Vo&Gu&Key)の「皆さんのように、面白いこと、感動できることを自分で探して、楽しもうとしている人たちが僕たちの支えです」という言葉のあとに演奏された「Melodic Storm」もこの日のハイライトだったと思う。
2日目のMCは芦沢ムネト。1回目のトークコーナーでは、KEYTALKの小野武正、八木優樹を招き、「普段は頭から飛ばしていくんですけど、今日はあえて『黄昏シンフォニー』でしっとりはじめてみました」(小野)とこの日のライブについてコメント。さらに6月からスタートする全国50ヵ所のツアーに触れ、「飛躍的な1年にしたいです!」(八木)と意気込みを語った。
大きな拍手に迎えられたマカロニえんぴつ。青春の焦燥と希望をカラフルなアレンジとともに放った「はしりがき」、アグレッシブなロックナンバー「洗濯機と君とラヂオ」、ソウルフルなグルーヴが楽しい「レモンパイ」など、冒頭から幅広い音楽性と生々しいサウンドを響かせる。ヒット中の「なんでもないよ、」における、濃密な感情を込めたはっとり(Vo&Gu)のボーカルも心に残った。
「音楽にヒントだけをもらいながら、音楽に頼って、作って、生きていこうと思います」というMC、イベントに参加することを選んだ観客 への感謝を告げたあと、ラストの「ヤングアダルト」へ。ロックバンドとしての覚悟と魅力が真っ直ぐに伝わる大充実のステージだった。
5番目に登場したGRAPEVINEもまた、ライブバンドとしての奥深い魅力をダイレクトに体現してみせた。しなやかなサイケデリアが渦巻いた「阿」、色彩的なメロディが気持ちいい「Arma」。さらに緻密に構築されたリズムと重層的なギターのレイヤーがひとつになった「Gifted」、オルタナR&Bを経由したレイドバック系のビートと奥深いブルーズをたたえた田中和将(Vo&Gu)の歌声が溶け合う「ねずみ浄土」など、楽曲を重ねるたびにバンドのすごみが増幅していった。最後は、どこかにあるはずの光を描いた「光について」、そして、 田中がハンドクラップを求めた「Alright」。メジャーデビューから25年、このバンドの音楽は今も深みを増しているようだ。
2回目のトークコーナーには、go!go!vanillasから牧達弥、ジェットセイヤが登場。まずはモヒカン頭のセイヤが「今年は(SPACE SHOWER TVで)バニラズの番組を持ちたい!」とアピール。この日のライブについても、「みんなの楽しそうな姿が見れて、楽しかったです」(牧)と手ごたえを語った。3月からはじまる全国ツアーにも期待!
ここからイベントはクライマックスへと向かい始める。まずは「LIVE HOLICを愛し、LIVE HOLICに愛された男たち」(GEN/Ba&Vo)04 Limited Sazabys。オープニングから「fiction」「monolith」、そして最新シングル「fade」といった高速チューンを次々と放ち、会場の熱 気をさらにアップさせた。
「耳(人)の数だけ意味があると思ってます! もっと高いところに行きましょう!」(GEN)という煽りとともに「My Hero」などのライブアンセムを連ねると、観客も手を挙げ、身体を揺らしながら全力で楽しんでいた。“出会いと別れ”をテーマにした「Teminal」に刻まれた真摯なメッセージも、すべてのオーディエンスに届いたはず。再会の場所はもちろん、4月に名古屋で開催される主催フェス『YONFES2022』だ。
最新の配信シングル「ラビリンス」から始まったORANGE RANGEは、YOH(Ba)の体調不良により、YAMATO(Vo)、HIROKI(Vo)、RYO(Vo)、NAOTO(Gu)とサポートドラムの編成。「ORANGE RANGEのピンチを一緒に楽しんでください!」(HIROKI)と語り掛けると、客席からは温かい拍手が巻き起こった。
この後、「チャンピオーネ」「イカSUMMER」「HEALTH」と新旧の楽曲を次々と披露。名曲「花」で大きな感動を生み出し、希望と星の 光を重ねた「*〜アスタリスク〜」でポジティブな意志を示した。「『LIVE HOLIC』でいろんなバンドと繋がり、皆さんとの距離感も近くなりました。これからもORANGE RANGEと繋がってくれますか!?」(HIROKI)というMCに導かれた「以心電信」によって、会場は心地よい一体感で包まれた。
3度目のトークコーナーのゲストは、フォーリミのGENとHIROKAZ。「LIVE HOLICのお客さんはいいですね。優しいし、温かい」(HIROKAZ)というコメントに対し、客席から大きな拍手が起きた。もちろん『YONFES 2022』の話題も。「開催にこぎつけるのも大変 だったので、かましたいですね!」(GEN)と3年ぶりのフェスへの思いを語った。
2日間にわたって行われたイベントのファイナルを飾ったのは、SUPER BEAVER。昨年、初のアリーナツアーを成功させるなど、今や日本のロックシーンの中心的な存在となった4人は、“あなたはひとりではない”という強烈な意志を刻んだ「証明」でライブをスタートさせた。
常に1対1で観客と対峙してきた彼らのスタンスと直結するような「名前を呼ぶよ」、「会いたいあなたには、あなた自身が会いに行ってください」(渋谷龍太/Vo)というMCから始まった「予感」、そして、音楽をやっている意味、この場所に集まった“あなた”への思いを言葉にしたあとで放たれた「人として」。リアルな経験に裏打ちされた歌詞、爆発的なダイナミズムと豊かなメロディが共鳴するステージは、まさにSUPER BEAVERの真骨頂だ。ラストは「しっかり生きて、また会いましょう」(渋谷)というシャウトに導かれた「アイラブユー」、すべての絶望に中指を立てるように奏でられた「さよなら絶望」。圧倒的な興奮のなか、イベントはエンディングを迎えた。
日本を代表するバンドが一堂に介した『uP!!! SPECIAL LIVE HOLIC extra 2022 supported by SPACE SHOWER TV』。このイベントは2月6日に大阪・Zepp Osaka BaysideにてDAY3が開催される。出演はAge Factory、THE BACK HORN、 TOTALFAT、BIGMAMA、UNISON SQUARE GARDEN。こちらもぜひ期待してほしい。
TEXT BY 森朋之
PHOTO BY TAICHI NISHIMAKI(androp、Awesome City Club、ACIDMAN、BLUE ENCOUNT、go!go!vanillas、マカロニえんぴつ、04 Limited Sazabys、SUPER BEAVER)/AZUSA TAKADA(キュウソネコカミ、SHE’S、緑黄色社会、sumika、MC01、KEYTALK、ストレイテナー、GRAPEVINE、ORANGE RANGE)
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