■武田鉄矢、二宮和也の演技に太鼓判!「クリント・イーストウッド監督からOKをもらった俳優はタダモノじゃねぇなと思いながら見ておりました」
8月11日、映画『TANG タング』の公開初日舞台挨拶が実施された。
会場となった東京・丸の内ピカデリーには、春日井健を演じた主演の二宮和也、健の妻・絵美役の満島ひかり以下、市川実日子、小手伸也、奈緒、山内健司・濱家隆一(かまいたち)、景井ひな、武田鉄矢という豪華キャスト陣と、三木孝浩監督が映画が登壇。公開初日を祝った。
二宮が、本作への出演オファーを受けたのは2020年、まさに「嵐」の活動が佳境に入っているタイミング。二宮はグループの活動に集中するためにオファーに対する返事を1年間待ってもらったという。二宮自身2年ぶりとなる主演作の公開に「嵐の活動中は受けられないと、お話をさせていただいていましたので、待っていただきありがとうございます! という感じでした。僕らの思いが伝わるとうれしいです」と満面の笑みを浮かべ喜びを伝えると、三木監督も「健役には二宮さんしかいないと思っていたので、いくらでも待ちますというお話させていただきました。二宮さんと満島さんは初共演になるんですけど、人生で辿ってきた道のりや、超えてきた壁が似ていると思うんですよ。なので、おふたりが演じた夫婦の空気感が本当に心地良くて、現場では鳥肌たちましたね」と返すと、客席からは温かい拍手が送られた。
舞台挨拶では、はじめに、本作の原作小説『ロボット・イン・ザ・ガーデン』の著者であるデボラ・インストールさんからのメッセージを紹介。
「マスクを交換するほど号泣してしまいました。後半はずっと感動しっぱなしでした。映画の中で健が成長していく姿には原作者としても嬉しかったです。二宮さんの演技はパーフェクトで本当に素晴らしかったです。健とタングがお互いを好きになっていく過程と同時に観客もこの二人のキャラクターを好きになっていく、健とタングと観客の心の動きが重なっていくのを実感しました」
メッセージに対して二宮は、「(演技が)パーフェクトか~(笑)、良いお酒が飲めそうだなと思います(笑)。みんなで作品を作り上げたので、それが伝わって良かったです」と喜びを笑顔で伝えた。
この日の舞台挨拶は上映後ということもあり、健とタングの物語に感動の余韻が冷めやらない客席。MCから本作の中でグッときてしまうシーンについて聞かれた二宮は「最後のシーンですかね。実は撮影の中盤くらいで、泣くことができなくなってしまって、シーンの途中で撮影が終わってしまったんですよ。本来だったら、一応泣かなくても良いから全体像を見るために全部走り切りたいっていう思いが現場には必ずあって。でも三木監督はそうせずに、『撮影を中断して、明日ちゃんと撮りましょう』と言ってくださって。その現場の対応も含めて感動しましたし、役者としても有難いですよね」と三木監督の俳優の気持ちを汲む進行に感謝を伝えた。
満島も二宮に続けて、三木監督の現場での姿について「現場に発泡スチロールのタングがいる状況でお芝居をしながら自分たちが迷うなかで、道標を作ってくれたんです。一つひとつのセリフとか動きの全部を映画に合うような指導をいっぱいしてくれて、それが映画を観たとき本当に素敵で。初めて観たとき、結構泣きました。健が泣くと泣いちゃいました。絵美の気持ちで観てたのかな? 健が冒険をして、タングからいろんなものをもらって。タングが成長しているように見えて、どんどん健が成長していることにすごい泣けました」と健とタングの関係に涙してしまったことを告白。
市川は「映画はクラシカルなお話。台本を読んで、キャスティングを見て、二宮さんと満島さんのお名前を見て『すごい面白い!』と思ったんです。そして、出来上がりを観て、照れそうなシーンとか、おふたりの芝居が、演出も相まって感動しました!」とコメント。小手は「全編にわたって涙が止まらなかったんですよ。タングには心拍を測定できる機能があって、それが伏線として最後に活きてくるんですけど、そこが感動しましたね。あとエンドロールがいちばん泣けました」とエンドロールまで必見の作品であることをアピールすると、景井も「私も小手さんとまったく一緒なんです! 最後の伏線の効いたシーン。心から幸せを感じられて、いちばん大好きなシーンです」と語った。
そして、奈緒は「何回観ても、タングが健にコーヒーを渡すシーン!」と即答すると、客席からも共感の拍手が起こり、続けて「あそこグッときますよね! コーヒーを持ってきてくれたときに、たまらなくタングのことが愛おしくなりました。その愛おしくなった気持ちと、同じ気持ちに健がなっているというのを観て感じることができて、本当にグッと引きこまれたシーンです」とイチオシのシーンを説明。
武田は「ちょっとずつ人間とロボットについてを考えてみようという深いテーマがあるように感じて。この映画のキャッチコピーに“キミとなら、きっと大丈夫。”というのと、もうひとつ“記憶をなくしたロボットと妻に捨てられたダメ男の物語”というものがあります。でも、これおかしいですよね? 今までのファンタジーだと逆で、“記憶を失った青年とポンコツロボットの物語”なんですよ。この映画のいちばん奥底にあるのは、人間らしさとは何かをロボットに語らせる絶妙な構成で、監督の構えが上手だなと思いました。それが、この映画のいちばん深いところじゃないですかね? ロボットから人間性を教えてもらう。そういう時代に私たちは生きているんだよと教えてもらう映画だと思います」と話し終えると、二宮がすかさず「起立、気をつけ、礼」と授業さながらの号令をかけると、登壇者も息ぴったりに合わせ客席から笑顔と拍手がこぼれるひと幕もあった。
続けてMCから二宮、満島の演技について聞かれた武田は「ふたりとも小さいころから芸能界にいらっしゃって。二宮さんと同じ事務所の若手をたくさん見てきました。残念ながらこの青年は生徒じゃなかったけど(笑)。やっぱり才能があるなと思いますし、素晴らしい。皆さんも確認されたと思いますけど、楽に演技しているんですよね。普通力むんですよ、動かないモノに向かって演技をするわけですから。それを気負わずにさらっとできるのは、内側に俳優として高い境地を持ってないとできません。すごい青年だなと思いつつ、『さすが、二宮! クリント・イーストウッド監督からOKをもらった俳優はタダモノじゃねぇな』と思いながら見ておりました」と賛辞を贈ると二宮は照れながらも笑顔を見せていた。
ここで、劇中の「タング、健のために」というタングの印象的な台詞にちなみ、ゲストの【心の支えになった存在は?】という話題に。
二宮は「一緒に仕事をしてくださる人たちかなって思います。昔、若い頃にいかりや長介さんから『君とだったらこの作品で、もうどんなことになっても、もう死んだってかまわないっていう人を、ひとりは見つけなさい』っていう風に教えられました。僕はご一緒してきた共演者の方々、製作陣の方々の運は誇るべきものだと思っているので、今回もそうでしたけど、次回もそうであってほしいと思いますね」とコメント。
満島は「漠然としてますが、愛ですね。兄弟が下に3人いるんですけど、俳優をやっている弟が生まれたときに『仲間ができた!』って本当にうれしくて。人生の仲間を愛していく、仕事自体も、いろんなことに一つひとつ愛情を持てるものがあるから大丈夫って思えます」と語った。
続けて、濱家が「20年近く一緒にやってきてますから、一緒にやってこなかったらこの場にもいなかったですから、相方の山内ですね」とコンビ愛溢れる発言をすると、相方の山内は「僕はジョニー・デップです。ジョニー・デップを見ていたら、『なんとくなく、大丈夫だな』って思えます(笑)。漠然とですけど、20年くらいジョニー・デップを見てきて、ジョニー・デップとなら、きっと大丈夫」とボケて、濱家から全力のツッコミを受けていた。
そして最後に二宮は「本日はありがとうございました! とにかく、みんながタングを思い浮かべながら作品に参加しました。何度でも観ていただけたらうれしいです」と自身の2年ぶりとなる主演作へ込めた思いを語り、イベントは幕を閉じた。
映画情報
『TANG タング』
8月11日(木・祝)全国ロードショー
出演:二宮和也
満島ひかり/市川実日子
小手伸也 奈緒 京本大我(SixTONES)
山内健司・濱家隆一(かまいたち) 野間口徹 利重剛 景井ひな / 武田鉄矢
原作:『ロボット・イン・ザ・ガーデン』(デボラ・インストール 作 松原葉子 訳 小学館文庫)
監督:三木孝浩
脚本:金子ありさ
主題歌:milet「Always You」
配給:ワーナー・ブラザース映画
(C)2015 DI
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映画『TANG タング』公式サイト
tang-movie.jp