■プリンセス プリンセスがこれまで発売した全映像とMVが収められたBlu-ray BOX『DIAMONDS STORY』がリリース決定!
27年前に日本武道館で開催された、1996年のプリンセス プリンセス解散ライブ最終公演の模様を完全収録した貴重なライブフィルム『The Last Live』(全35曲/約3時間)が、1月29日、全国16都市21館の映画館にて、一日限定でプレミア上映。
大阪の劇場・梅田ブルク7の上映後に、メンバーの富田京子(Dr)が登壇してトークショーが開催された。
ガールズバンドのパイオニアとして、1986年のデビューから1996年までの10年間を熱く駆け抜けた、プリンセス プリンセス。「Diamonds<ダイアモンド>」などのシングルがチャート1位となり、アルバムもミリオンセールスを記録。その勢いと輝ける存在感を、人々の目に心に焼きつけた。
メンバーは奥居 香(現在は岸谷 香)、中山加奈子、富田京子、今野登茂子、渡辺敦子。惜しまれつつも、一度はバンド活動に終止符を打ったが、2011年の東日本大震災後、2012年から2016年3月26日まで期間限定で再結成が実現。復興支援のために5人はバンドの音楽でパワーを送り続けた。
そんなメンバーの出会いから2023年2月20日で40周年。そのアニバーサリー企画『プリンセス プリンセス メンバーの出会いから40周年記念プロジェクト ―DIAMONDS STORY―』がスタートし、デジタルリマスタリングされたライブフィルムが1月から3ヵ月連続上映される。
そして、その第1弾として、1月29日に全国16都市21館の映画館にて、ライブフィルム『The Last Live』が一日限定でプレミア上映。チケットはソールドアウトとなり、ファンが劇場に詰めかけた。
■ライブフィルム『The Last Live』
上映時間になると場内は一気に27年前にタイムスリップ。オープニングで流れた映像はメンバーのリハーサル風景やプリンセス プリンセスがデビュー以来行ってきた伝説のステージの数々だ。
そして、鳥肌が立つほどの熱狂的な歓声に迎えられてメンバーがカラフルな衣装で登場すると、ライブは「SEVEN YEARS AFTER」から幕開けた。ドラムの富田が全力で痛快なビートを叩き出し、今野はキーボードで華やかな音色を奏でる。その前に位置するギターの中山、ベースの渡辺、ボーカル&ギターの奥居の3人はより動きのあるパフォーマンスで煽り、会場の熱気を増幅させてゆく。
「OH YEAH!」では観客も一斉に声を上げ、一緒にジャンプする様子が映し出された。序盤から場内は沸騰し続けてテンポよく進行。エネルギッシュなパフォーマンスで武道館の天井を突き抜けんばかりに渾身の歌声を届けていく奥居 香。まさに、“世界でいちばん熱い”時間を体感させつつ、別れのバラード「ジュリアン」では、“さようなら、このうたを贈るわ…”と歌う詞がバンドの解散とも重なるように切なく胸の奥に響いてきた。
中盤になると、「ついに解散の日がやってまいりました」と奥居が口にして、「プリンセス プリンセスの歴史がひと目でわかる、すっごいメドレーを作ってみました!」と19曲が盛り込まれた「PRINCESS PRINCESS MEDLEY」が展開される。ここではプリンセス プリンセスが発表してきた全アルバムから選んだ曲とシングル曲を年代順に並べて、「TOKYO彼女」から「相棒」まで、20分以上にも及ぶ熱演が繰り広げられた。
その後はひと息つく形で長めのトークコーナーに。メンバー全員がステージ前方に置かれた椅子に座って、奥居いわく「5人の内面が見えるような」様々なエピソードが披露された。
時折、観客にも声をかけつつ談笑し、メンバー各自が解散後の人生にも思いを馳せて語り合う様子がとてもリアルに映し出される。それは、27年の時を経たスクリーン越しでも、まるで今、目の前で彼女たちが話しているようにも感じられるほどだった。
「プリプリが解散しても、いつまでも聴いてほしい。こんな女の子のバンドがいたんだよっていうことを教えてあげて。次世代へと受け継がれていくことが、私たちは最高の幸せ。どっかでこの曲を聴いたら、好きな人の顔と私たちのことを思い出してください」――奥居がそんな想いを伝えて歌った「M」。印象的なピアノのイントロから始まり、優しく強く情感豊かなボーカルでみんなを包み込んでいった。
ライブの後半ではいっそうロック色が増してゆき、シングル曲などの音源で聴く以上に迫力ある生のパワーで圧倒していく。特効の銀テープが放たれると、「ROCK ME」ではバンドの演奏もさらに熱を帯びて、パッション弾けるパンチの効いたボーカルが炸裂! 「GUITAR MAN」では中山加奈子と奥居香がツインギターで激しくかき鳴らす場面も。奥居が「もっとやりた~い!」と叫んで加速していった「へっちゃら」を歌って、改めてメンバー紹介が行われる。
そして、印象的なシンセの音色が響くなか、「私たちは5人でプリンセス プリンセスでした」――そう噛み締めるように奥居が口にしたあと、「Fly Baby Fly」で本編を終えた。
会場全体がひとつになって求め続けるアンコールに応えてメンバーが戻ってくると、奥居香は初めて日本武道館のステージに立った日のことを振り返る。「このまま帰ってしまいたいっていうぐらい」緊張して震えていたことを吐露し、「そこで私たち5人はこのひと言で開き直りました! カモーン! レッツ・ゲット・クレイジー!」そう叫んでゴキゲンなロックンロールチューン「GET CRAZY!」に突入する。続いて、「Diamonds<ダイアモンド>」では観客の熱いクラップに後押しされ、サビではみんなが幸せそうにシンガロングする光景が広がった。
ダブルアンコールで再びステージに戻ってきたメンバーは白い衣装に着替えていた。そして、ファンのみんなに、支えてくれた全スタッフに、「どうもありがとうございました!」と感謝の言葉を何度も繰り返して、「19 GROWING UP -ode to my buddy-」でついにフィナーレを迎えた。――それは27年の時の流れも忘れさせるほど、ライブ会場から沸き立つ熱気を浴び続けた約3時間だった。実際に劇場内でも自然と温かい拍手が贈られていた。
■富田京子(Dr)トークショーレポート
上映後のトークショーでは盛大な拍手に迎えられてドラムの富田京子が登壇。劇場に詰めかけたファンに感謝しつつ照れ臭そうな素振りで、「すごく出づらかったんです…。(映像は)27年前ですよ~」と苦笑する。
「最後のコンサートを観に来てくれた方ってどれぐらいいるんですか?」と声をかけると、場内には手を上げる人の姿が何人もいた。
その後、事前にツイッターで募られていたファンの質問も交えてMCが富田に訊いていく。まず、「ラストライブを終えて、どんな気持ちになりましたか?」という問いには、ライブを終えた夜は「全員で同じホテルの部屋に泊まった」と明かし、次の日、ビデオになる映像をみんなでチェックしたという。
その後、夕方になって家に帰り、「ひとりになった時がいちばん悲しかったです…」と当時の心境を口にする。「(解散ライブが行われた)1996年5月31日の自分自身にかけてあげたい言葉は何でしょうか?」という質問には、「(メンバー)みんなで、“このあとの人生の方が長いんだから”ってよく言ってたんですけど…。私はこれ以上楽しい日々もないし、こんな良い瞬間もないと思ってプリンセス プリンセスを終えたんです。でも、その後もとっても楽しいことはたくさんあったし、違う充実感も味わえました。まさかの再結成もあったりしたので、このあとも楽しいから安心しなさい! って言いたいですね」と笑顔を見せていた。
2012年に再結成したときのことにも言及して、「自分たちはもう忘れられてるのかなって思ったんですけど…。最初に出た夏フェスで『M』をやったら、たくさんの人が集まって来てくれて、そこで勇気づけられましたね。曲があるから大丈夫! って思えて、本当にありがたかったです」と実感を込めてコメントしていた。
現在、富田自身は神奈川県藤沢でがん患者を支援する活動をしつつ、ドラムも続けているとのこと。今は母親となって家事もしているが、「ドラムを叩いているときは“生きているな…”って感じる」という。メンバーとの交流もあり、5月にはギターの中山加奈子と名古屋でライブをするそうで、「またぜひライブに遊びにきてください!」と嬉しそうにアピールしていた。
また、「息子にドラムをやらせたいが、どうすればドラムの楽しさを教えられますか?」という質問に対しては、「うちもそんな問題を抱えています。下の子が高校生なんですけど、 楽器やればいいのになと思っていて…」と自身の同じ悩みを打ち明ける場面も。あまり強く勧めても逆に拒否されそうなので、「ママ、ちょっと練習に行くけど、見に来る?」とさりげなく誘って、練習場所に連れて行くこともあるという。そんなふうに母親となった富田の今の素顔を覗かせていたのが印象的だった。さらに、「好きなアーティストのライブとか見せて、ドラムカッコいいね! とか、うまく洗脳していくといいと思います(笑)」とアドバイスしていた。
そして最後に、「今日はありがとうございました。皆さんの元気な顔が見れてよかったです。メンバー5人、まだまだ頑張って、それぞれの道を歩んで生きています。またどこかでお会いしましょう。ありがとうございました!」と感謝の気持ちを伝えて会場を後にした。
同日、プリンセス プリンセスがこれまで発売した全映像とMVを12枚のBlu-rayディスクに収めた永久保存盤『DIAMONDS STORY』が3月22日に発売されることが発表。同作品には当時のツアーパンフレット21冊がコンパクトサイズで復刻して封入される。
時を超えて、永遠に輝き続ける5人の物語。“プリプリ40周年”は今後もまだまだ熱い盛り上がりを見せていきそうだ。
TEXT BY エイミー野中
リリース情報
2023.03.22 ON SALE
Blu-ray BOX『DIAMONDS STORY』
プリンセス プリンセス 40周年 特設サイト
https://www.sonymusic.co.jp/Music/Info/Princess/40th/