yutoriが、デジタルミニアルバム『心の微熱』を3月4日に配信リリース。このたび、佐藤古都子(さとうことこ/Vo&Gu)、内田郁也(うちだいくや/Gu&Cho)、豊田太一(とよだたいち/Ba)、浦山蓮(うらやまれん/Dr&Cho)のメンバー全員が本作の歌詞やアレンジについて詳細まで語りつくす、全曲解説インタビューが到着した。
■【画像】ミニアルバム『心の微熱』ジャケット写真
■「前までだったら1から7までしか見えなかったものが、7から10が見えるようになった」
――ミニアルバム『心の微熱』が完成しました。手触り、温かさ、体温感みたいなものをより感じる作品になった気がしますね。
浦山:普遍的というか、日常的、身の回りみたいな温度感は確かにありますね。でも、ミニアルバム作るってなったときに「じゃあどの曲を入れようか」みたいな話をしたときにはそんなに温度感を気にしていたわけではないんです。デモを並べて各々「これいいんじゃない」って4人で会話したときに、たまたまちょっと温かいものにみんな焦点がいったというか。
佐藤:前作の『Hertzmetre』は今作に比べたら温かさがないという印象を自分は持っていたので。メジャーデビューしたとはいえ芯にあるものは変わらないので、それをちょっと思い出すというか、原点を振り返ってみようっていう思いは、各々が持っていたのかなって思います。
豊田:ライブの作り方でも、もうちょっと広い人たちにアピールしようっていうか、そっちに向けてパフォーマンスをしようという話し合いをしたことがあって。そういうこともあって、今回はそういう曲になっていったんじゃないかな。
浦山:でも、僕も古都子も、曲を書こうと思ったときの内面的な心情はそんなに変わってはいないと思っていて。ただ、メジャーデビューしていろんなことを経験させてもらっていくうちに、それに対しての切り込み方がだいぶ変わってきた。前までだったら1から7までしか見えなかったものが、7から10が見えるようになったっていうのが、温度感というか、人間味に繋がってきたのかなって思います。
■M-1.「村人A」
――そのあたり、1曲ずつ詳しく聞いていきたいと思います。まずは1曲目「村人A」。
浦山:これは“村人A”っていう、要は主人公じゃない軸の話というか。
佐藤:言ってしまえば、モブ。
浦山:そう、モブキャラなんですけど、それを自分たちは別に嫌だとは思っていない。主人公になりたいわけではないし、村人Aは村人Aなりの妄想ができるというか。そういうイメージの曲ですね。でもギターは曲の途中で村人A側ではない、どちらかというと主人公みたいな感じでガンガン鳴っていたりとか、ベースも主張していたり、歌も主張していたりっていう。そこの塩梅は考えてましたね。ギターはどんなことを考えてた?
内田:ギターは、わりと歌の裏では基本的に村人Aなりの感じというか、出過ぎない立ち回りみたいなのを意識して。逆に歌のない箇所はちょっと主人公っぽい主張をしたいなと思って、派手めなフレーズを弾いたり、わかりやすいメロディを弾いたりみたいな。曲にとっての主人公がいるときは脇役に徹して、いないときにちゃんと目立つみたいな、歌詞へのリスペクトをもって作りましたね。
――ベースも結構動いていますよね 。
豊田:動きすぎですね(笑)。あとで聴きながら「ちょっと動きすぎたかな」って。
浦山:最初、本当に初期デモのときはまったく動かずに弾いていたんですけど、それだとおとなしい楽曲になっちゃって、「それじゃないよな」という。「出るところは出よう」って言ったら、まあ動いて(笑)。
内田:だから、リードギターをつけるときは本当に大変だった(笑)。
浦山:でもいいベースライン。
――楽曲としては構造としてはシンプルな曲だと思うんですけど、このギターとベースがいるおかげで色が出て、いい曲になった気がしますよね。古都子さんは、この曲に対してはどういう印象をもっていますか?
佐藤:結構切実な歌詞じゃないですか。《僕じゃダメですか?》っていう。そういう、控えめな性格のキャラクター像は頭の中にいましたね。
浦山:思ってることをズバズバ言えるわけでもなく、でも、ちゃんと思ってることはあるっていうね。
佐藤:そう、そういうキャラクター像かなって思って歌いました。
浦山:それがすごい古都子の歌に出てるなって。声色とかは強いというか、結構張ってたりしていて、スパーンって届いてくるけど、どこか声にずっと憂いがいる。そこは村人Aが憑依して歌ってるなって思います。
――この曲に限らずなんですけど、今回、歌が一気に進化した感じがありますよね。
浦山:表現の幅、引き出し、あとまさに憑依じゃないですけど、いろいろなキャラクターをちゃんとものにして歌っているような感じがします。レコーディングのときも役に入りすぎたのか、ラスサビの《僕じゃダメなのか?》のところで指を差す動作をし始めたんですよ(笑)。「入ってるな」って。
佐藤:やってた? 恥ずかしいんだけど(笑)。今はステージ上でギターを持って歌ってるんですけど、ボーカルレコーディングのときは、すごい手が動くタチなんですよね。
■M-2.「数%のハッピーエンド」
――「数%のハッピーエンド」はオルタナ感があって、すごくライブ映えしそうな曲になりました。
浦山:これはAメロの冒頭4行の歌詞を最初書いて。最終的に《君の声帯を潰したい》っていう歌詞に落ち着いたんですけど、気持ち悪さを出したかったんです。《盲目越して運命》っていうのもなかなか気持ち悪くて僕はすごく好きなんですけど、生活していてもその人の一挙手一投足がすごい気になって、それで不安で眠れなくなったりしたときに、君の声帯を潰してしまえば何も言えないわけで。そういう、あまり表現できてなかったし、聞いたこともない表現をしたいなと思って書きました。同時に、最後の大サビで《愛せど愛せど空回り》って言っていて。結局ハッピーエンドに縁がないというか、楽にハッピーエンドにたどり着く人生ではないなというのは自負してるので、それが出てきた。改めて自分に言われたような気がしました。
――ボーカリストが《君の声帯を潰したい》って歌うというのも…。
佐藤:だから歌うのが怖いんですよ、毎回毎回(笑)。
浦山:レコーディングのときに言われた。「怖いんだよ」って。
佐藤:でも、歌詞もサウンド感もとげとげしいというか荒々しい曲だけど、その中にサビの歌詞で歌っているようないじらしさもあるなと思っていて。そこの、トゲトゲしさといじらしさのいい塩梅を練って歌いました。
――この曲の主人公は、おっしゃったように「どうせハッピーエンドじゃないんだろう」っていう思いを持っていて、でも気持ちは止められないし…。
浦山:数パーセントは期待しているというか。逆にいえば数パーセントしか期待できない。
――それはどっちもありますよね。数パーセントしか期待できないっていうのもあるし、でも数パーセントは期待があるともいえる。
浦山:確かに。どっちなんだろうな、俺って。
佐藤:たぶん後者じゃない?
内田:そのぐらいの期待しかしてなさそうだけど、そこにめっちゃ賭けてる感じはするよね。
――サウンド面では、この曲はやっぱりギターですね。
内田:これはレコーディングの現場でイントロのリフの音作りを詰めていったんです。デモを作った時点ではなんとなくのイメージしか固めていなかったんですけど、現場でいろいろやっていました。ギターソロのところでは、デモだと1本しか弾いてなかったんですけど。レコーディングのときに同じ音色で2回弾いて、片方だけエフェクトでぶち壊すっていうのをやっています。わりとレコーディングのときの音作りで遊んでいますね。
――パッと聴いた感じ、ストレートなオルタナチェーンなのかなって最初は思うんですよ。でも、曲が進むごとにどんどん変な展開になっていくんですよね。
内田:そうなんですよね。
浦山:イントロの開放弦を織り混ぜたフレーズがすごく特徴的な曲にはなってるんですけど、それで終わらせたくなくて。だからギターソロの前にベースもワウを入れて弾いてくれ、というのをやってみたりして。確かにあそこの作業がいちばん楽しかった。
内田:そうだね。レコーディングしながらベースに「もっとスラップいける?」とか言って。
浦山:そうそう。最初ベースはちょっとバキバキにするぐらいの音でやっていて、それもいいしかっこいいんだけど、「ひとりだけ優等生いるよね」みたいな。
豊田:もう、僕にとっては無理難題でした(笑)。苦労しましたけど、何度か練習してできるようになったんで、結果オーライってことで。
内田:その結果、ああいう狂気的なパートになりました。ちょっと気持ち悪い歌詞というか、変態性のある歌詞だから、こういう変なことができたのかなっていうのはあります。この曲に関してはMVもすごい変な感じに撮れているんですけど、それも全部、歌詞の変態性があるからかなと思います。
■【動画】「数%のハッピーエンド」MV
■M-3.「爪色とグラスの縁」
浦山:「爪色とグラスの縁」はすごく面白いレコーディングでしたね。今までになかったキーボーディストを入れたっていうのは、自分たちにとっても初めての経験だったので。キーボードが入ると、聴いている曲の世界観がより広がるなというか。ギター2本、ベース1本、ドラム、歌だけじゃ出せない楽曲の広がり方を身に染みて感じました。
――それが楽曲の味になってる。
浦山:ただすごい難しくて。それによってギターロックと捉えられなくなってしまうんじゃないかと思ったんです。初めてやることだからこそ、ピアノを前に出しすぎたら、俗に言う「メジャー行って変わったね」って思われてもおかしくない楽曲だと思ったので、それの塩梅をすごく気にしましたね。だからメインリフは絶対にギターで弾こうってなって。
内田:でもピアノのフレーズを抑えるとかではなく、ミックスのバランスとかですごいこだわったよね。どこの位置から聴こえてくるのかとか、音量自体とかEQ、帯域とかもすごいギターにフォーカスして「もうちょいギターのストロークが聴こえてくるようにしたい」みたいなのを結構やりとりして作っていきました。
浦山:5、6回ぐらいやりとりしたよね。あとはキメのところをいちばんでかいサウンドにしたり。そこがいちばん「バンド感」だよねっていう。
内田:2番のBメロのところに大きいキメがあるんですけど、そこはもう、いちばんでかい音で弾こうっていうのでやりました。
――この女性目線の歌詞はどういう気持ちで書いたんですか?
浦山:プライベートでも仕事でもかかわる人が増えてきて。その中で、友達とかに対しても「これは恋なのか、恋じゃないのか」っていうのがすごい曖昧になってきたんです。全員好きだし、愛は確実にあるけど、どうなんだろうっていう。それがキーワードになったなと思います。《君はずっと悲しい顔 見せないけど》っていう歌詞があるんですけど、やっぱり悲しさとか弱さとかずる賢さとか卑怯さとかを見せるのって、いちばんの愛情表現なんじゃないかなというか。そういうことを書きたかったですね。
佐藤:歌詞をもらったときは「結構勝手な人だな」って思ったんです。だって《好きだと言う気は/無いけど 離れないで》って勝手じゃないですか。でもその後に今言ったように《君はずっと悲しい顔見せないけど/誰かに見せてるんでしょ?/それ私じゃダメなの?》って言ってるから、最初に抱いた卑怯っていうイメージとは違うんだなって思いました。
――《それ私じゃダメなの?》って「村人A」でもまったく同じことを書いてるんですけど、これは浦山蓮の、どういう部分が出ているんだと思いますか?
佐藤:浦山蓮の乙女な部分?
浦山:意識してないんですよ。本当に意識してなくて。だから、本当に思ってるんだろうな。常日頃から。弱さというか。
内田:《さよなら怖いから 次会いたくないよ》は本当に回避型すぎる。すごいこじらせてる。
浦山:そうね、確かに(笑)。
■M-4.「生活」
――「生活」は古都子さんの歌の表現が素晴らしくて。わりと落ち着いた感じで始まっていくんですけど、だんだん昂っていく感じがすごくドラマチックですね。
佐藤:蓮の書いてきた今までの楽曲の中でも、すごく人の体温を感じる楽曲だなと思いましたね。言葉が合ってるかわかんないんですけど、生々しい感じ。生活の中にある生々しさがきれいに描写されてる歌詞だなって思いました。
浦山:「生活」は今まで書いてきた楽曲の歌詞のなかでもいちばん裸に近いというか、何も着てない感じの、ただ等身大そのままの歌詞を書けたなって思いますね。
――まさにタイトルどおりじゃないですけど、人の日記を覗いてるような感じがする曲ですよね。それは確かにyutoriの曲のなかでも初めての感覚かもなと思います。
浦山:そうですね。「キス」とか「ハグ」とか「手をつなぐ」とか、そういう言葉を使えなかった自分がずっといて。そういう曲を聴くのはすごい好きだし、腑に落ちるし、想像もしやすいんですけど、でも自分が書くとなるとそのワードをうまく使えないことが多くて、今まで避けてきたんです。でもタイトルが“生活”ってなってから、日々のいちばん近いところ、いちばん生々しいものの自分が納得する入れ方を模索したときに、あのDメロが出来て。それは自分の作詞作曲人生のなかで、ひとつ殻を破れた瞬間だったと思います。
佐藤:この楽曲はすごくキャラクター像を想像するのが難しかったんですよ。それは彼の裸のような楽曲だから。だから、生の体温を意識したぐらいで歌いました。
浦山:その生の体温が歌に現れてるなっていうのはすごい感じます。今までもそうなんですけど、古都子の歌も裸に近いというか、どストレート。裏声に行くところもすごいストレートにいってたりするのが、すごい正解の歌い方をしてくれた。それはボーカルのレコーディングしてるときに、めちゃくちゃ思いましたね。
――アレンジもそうですよね。
内田:そうですね。「生活」ってタイトルがあるからこそ、日々の生活に紛れてるものとか、家具みたいな、そういう存在みたいなのを意識してフレーズを作りました。歌がいる間はずっと風景作りに徹する感じで弾いて、そのぶん歌がないところではちゃんと主張する、みたいな。その緩急がすごく生活っぽいのかなと思います。アウトロでギターのフレーズがあるんですけど、そこも歌メロと同じくらいキャッチーなメロディをつけようと思っていました。ギターフレーズっぽくしちゃうと生活感を壊すなと思ったので、人間っぽいというか、メロディっぽいものをつけようと。ギターらしさもあるけど、歌えるっていうことをいちばん意識はしてました。
浦山:あのリフが「生活」って曲をすごくうまく包んでくれて終わるという。あれで曲がまとまったなっていうのを思いますね。
内田:(ガッツポーズ)よかったです、作曲者にそう言っていただけて。
――ベースはどうですか?
豊田:やっぱり全体を通して緩やかに上がっていく、結構壮大な、劇伴みたいな曲だと思っていて。だからベースも最初はおとなしくして、最後に行くにつれてどんどん壮大にしていくっていう。それだけに注力して弾いてましたね。
浦山:この曲は動きすぎなくていいというか、ルートに徹するから映える部分が多かったなと。ただ、ここでおいしい弾き方をしたらこの曲の強度がより上がるなっていう部分はあったので。そこの部分では太一に「なんかできるか」っていうのを言って。そのときにすごく楽曲の強度が増すベースラインを提示してくれたのがすごい印象的だった。
――『心の微熱』っていうミニアルバムのタイトルじゃないですか。その意味では、この「生活」という曲はまさに微熱感を表していると思うんです。外から見たら熱く冷たくもないけど、その人のなかには確かに熱があって、ずっと続いているっていう。
浦山:そう、高熱でもなければ平熱でもないというか。「生活」って、歌詞を読み返せば読み返すほど、倦怠感の微熱とも取れるし、考えすぎた結果の微熱とも取れるし。
内田:うん。ポジティブにもネガティブに捉えられるのが、ちょうど微熱っていう温度なのかなっていうのがあって選んだワードなので。それで言うと、どっちにも当てはまるね、「生活」は。
■M-5.「愛してるって噓ついた」
――「愛してるって嘘ついた」。これも「生活」とはまた違う意味で壮大な曲になりましたね。
浦山:そうですね。この曲は《愛してるって嘘ついた》っていうワードの引っかかり具合が、聴いたことがあまりないなっていうか。《愛してるって嘘ついた/そうすれば君が喜ぶから》っていう……。
内田:その一文がもう矛盾していて、そこがすごい掴んでくるというか。
――そう、愛してるからこそ「愛してる」って嘘をついたということですからね。
内田:そうなんですよ。ややこしいけど、そこがいいというか。マジひねくれてんだなって思います。
浦山:やっぱり、こういうディスカッションじゃないけど、いろんな意見が出てくる曲だなとは思っていて。その意見のどれも否定したくはなかったんですよ。あえて肯定もしないけど、そのワードに対してみんながどう思うか投げかけたかった。だからこそ最後のサビの歌詞は《愛してたよ本当に 嘘だと思う?》って疑問形で終わらせていて。それに対して「はい・いいえ」っていう2パターン出るじゃないですか。その「はい・いいえ」に対してもまた「なんでそう思ったの?」って問いかけると答えが分かれていく。そういうのがすごく面白いなと思って。
――面白いとも言えるし、怖くもありますよね。「嘘ついたんだ」って言っておいて「不安だったりする?」「嘘だと思う?」って聞かれるのは超怖い(笑)。
佐藤:結構嫌ですよね(笑)。
浦山:でも結局強がりではないですけど、溺愛して戻れなくなったら怖いからブレーキを踏むっていうのが、この曲の歌詞の人のすべてだなというか。やっぱり自分が傷つきたくないんですよ。
内田:「爪色〜」のときもすぐブレーキ踏んでたよね(笑)。
浦山:100パーセントで当たって砕けたら戻れないんですよ。ぶつかってバーンってなったら修復する技術がない。だから当たらないようにするし、なんかちょっとコツン、みたいな。致命傷を食らわないように、予防線はずっと張っておきたい…んだろうね。
――そういう歌詞と、アッパーで踊れる感じのサウンドとのギャップも面白いです。
浦山:この曲のサウンドのアプローチというか音作りを考えるときには、温度感をいちばん意識したというか。氷の冷たさをすごく意識しました。冒頭、Aメロから始まってアルペジオが聴こえてくるんですけど、そこのアルペジオの音作りにはすごく時間をかけました。でも、面白いなと思うのは、それだけ温度感とか言っているけど、サビのドラムはめちゃくちゃシンバルと、バスドラを8分で刻んでいて。
――《愛してるって嘘ついた》って言いながら迫ってくる感じですよね(笑)。
浦山:その意外性じゃないですけど、そこで狂気じみてる感じに拍車をかけたというか。
――これ、ライブでは絶対にお客さんの手が上がるわけじゃないですか。こういうことを歌っているのにみんながひとつになる感じも面白いですよね。
佐藤:うん、だからお客さんとステージの自分たちの温度差が結構ある。
浦山:そこは乖離させていいと思っていて。4つ打ちなんですけど、自分たちは4つ打ちのノリ方をしないっていうのを徹底していますね。そういう、いろんなことができる選択の中で間違わなかった楽曲だなって思います。
■【動画】「愛してるって噓ついた」MV
■M-6.「僕らは孤独だ」
――ラストを飾るのは古都子さんの曲「僕らは孤独だ」。これはどういうふうに出来た曲ですか?
佐藤:私生活で何かあったとかではないんですけど、ふとしたときに「人と自分って、ひとつの命を持ったものにはなれないな」と思って。まったく同じ視点でまったく同じものをまったく同じときに見て、同じ鼓動を共有してっていうのって、難しいというか無理なお話じゃないですか。そのときに、何があっても、誰とどんな関係値になっても、どれだけ親密になってどれだけ思考を深めたとしても、孤独だなって思ったんですよね。ただ、孤独が別に悪いことだとは思っていなくて。だったら、生まれてから死ぬまでずっとひとりぼっちで孤独なのを受け入れて、後悔がないように好きなことをやって、好きなものを食べていっぱい寝て、好きな人と一緒にいっぱいいて死んでいくほうが、後悔ない人生になれるんじゃないかなって。そう思って作りましたね。
――「孤独」っていう言葉にはネガティブな響きもあるけど、この曲は決してそういう意味で言ってないっていうのがすごくいいなと思って。「孤独だからこそできることがある」とか「楽しめる」とか、そういうところがメッセージになっていますよね。
佐藤:《僕はここにいる》って歌ってるんですけど、周りの人がどれだけ変わろうが、離れようが、結局ここにいるのは自分自身であって、他の誰でもない。自分の現在地を確認して存在証明をしているみたいな歌詞になりましたね。
浦山:そういう歌詞を思い浮かべながら頭の中で楽曲を鳴らしたときに、たぶん自分が思っている孤独の捉え方とは違う捉え方をしてるなと思ったんですけど、そう思うことで意外と自分が楽になるんじゃないかなとも思いました。目まぐるしく日々が過ぎていくなかで、自分の現在地がわからなくなることってすごい多いなと思うんです。自分の心が今どこにいるかとか、そういうのも含めてちょっとふわって浮くようなことが多いなかで、《僕はここにいる》って、現在の居場所を再確認することで、自己の芯ができていくんだなっていうのを思いますね。
豊田:やっぱり「孤独」って言葉にネガティブなイメージは絶対ついてしまうと思うんですけど、それに違和感を持った古都子さんが、今一度、「孤独」って言葉の意味を見直したという感じがします。本当にこの曲の「孤独」は「人間」に置き換えられるというか、「僕らは人間だ、人間だ」みたいな曲なのかなって思っていて。人間でしかないじゃないですか、1人ひとりは。「ただの人間じゃん」っていうのを思いながら聴いていたら、すごい腑に落ちましたね。
――しかもそういう歌詞を、このミニアルバムの中でいちばんバンド然とした音で鳴らしているのが面白い。最初はギターと歌で始まって、バンドが入ってきて、そのまま最後まで走り抜ける、みたいな。
浦山:そうですね。ドラムの音作りとかフレーズに関しては、ある程度は決めるけど、その場で出たフレーズや人間臭さを採用しようって思った部分もあって。スネアとかももっときれいな音だって作れたけど、ちょっと痛い部分やピーキーな部分もわざと出してみたりしているんです。そうやって楽器で人間くさい部分を出すっていう作業がすごく楽しかったですね。
――この曲でこのミニアルバムは終わるわけですけども。いろいろなシチュエーション、物語があるなかで、この曲があることでちゃんとyutoriの作品としてパッケージされた感がありますね。
浦山:そうですね。6曲目はもう絶対これでしょっていうのは決まってた。それぐらい、この曲はyutoriにとってアンセムになるなっていう思いもあるし、古都子自身がたぶんいちばん強くそれを思ってるだろうから。
佐藤:うん。ライブでいっぱいやって、お客さんのいろんな感情とか表情を見て熟成させたいですね。
浦山:演者のこっち側も、それぞれのメンタルによってまた変わるだろうなというのも感じるから、超楽しみです。
■最新ツアーのタイトルは『Bless you!』
――そういう意味ではツアーが3月末から始まります。今回のツアータイトルは『Bless you!』。これは誰かがくしゃみしたときにかける言葉ですね。
内田:そうです、「お大事に」みたいな。
佐藤:『心の微熱』を引っ提げたツアーになるんですけど。『心の微熱』というのは誰でも持ってるし、みんな持っていていいものなので。「心の微熱を大事にしてね、お大事に」みたいなニュアンスですね。最後にビックリマークがあることによって軽やかな「お大事に!」になるかなと思ってこのタイトルにしました。
――関東は6月7日のKT Zepp Yokohamaということで、ワンマンとしてyutori史上最大規模の会場になります。ツアーに向けて、どういう意気込みで臨みますか。
浦山:去年はワンマンツアーと周年ツアーの2本をやったんですけど、ワンマンツアーで9本回ったほうは、どこかちょっと自分たち全員、鎧を着てるじゃないですけど…。
内田:気負っていた部分もあったし、どちらかというと「俺らから何かを伝えたい」っていう思いでやってたツアーで。周年ツアーの方はもうちょいラフというか、会話するという感じで。
浦山:それにはどちらにもそれぞれのよさがあったので、それを混ぜた感じのツアーにしたいなと思います。それがいちばん『Bless you!』に繋がるというか。
内田:うん。そこにいる人全員の微熱に対して「お大事に」が言えるようなツアーにしたいなと思いますね。
豊田:yutoriとして伝えたいことは、あとはこのミニアルバムが伝えてくれるなっていうのがあるので。あとは本当にみんなを楽しませつつ、しっかり音楽で届けていくっていうイメージでできればいいかなって思っています。
INTERVIEW & TEXT BY 小川智宏
■リリース情報
2026.03.04 ON SALE
DIGITAL MINI ALBUM『心の微熱』
■ライブ情報
『yutori ONEMAN TOUR 2026 “Bless you!”』
03/28(土)福岡・福岡 DRUM Be-1
03/29(日)広島・広島 SIX ONE Live STAR
04/04(土)香川・高松 DIME
04/18(土)新潟・新潟 GOLDEN PIGS RED
05/09(土)北海道・札幌 SPiCE
05/17(日)宮城・仙台 darwin
05/30(土)大阪・大阪 GORILLA HALL
05/31(日)愛知・名古屋DIAMOND HALL
06/07(日)神奈川・神奈川 KT Zepp Yokohama
06/21(日)台北 MOONDOG
06/27(土)ソウル Musinsa Garage
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https://www.yutori.jp/






