崎山蒼志が、4枚目のフルアルバム『good life, good people』を4月15日にリリース。ジャンルレスに自由に音楽を楽しむバラエティ豊かなアルバムとなっている。このたび、本作について崎山蒼志のインタビューが到着した。
■『good life, good people』はこの2年間の自分自身の混沌が漂うアルバム
崎山蒼志は自身のメジャー4thアルバム『good life, good people』に対し、「この2年間の自分自身の混沌が漂うアルバムになっていると思います」というコメントを寄せた。
前作『i 触れる SAD UFO』以降、音楽的な方向性、アーティストとしての未来、さらにプライベートな出来事や社会全体の変化などが絡み合い、メンタル的にかなり落ちていた時期もあったという崎山。この2年間を総括したワードが“混沌”だったというわけだ。
「音楽活動については『結構いろんなことをやってきたけど、これからどうしていこうかな』だったり。プライベートな人間関係でいろいろあったし、世界情勢みたいなものもどんどんよくない方向に行ってしまって。もともと社会や政治の動向はわりと見てるほうなんですけど、各地で戦争が起きてたり、そういう状況を見てるうちに、どういうマインドで曲を作ったらいいかわからなくなってきてたんです。今もまだその感じが残ってるんですけど、どこに向かって何を歌えばいいんだろう?という。ハッピーな空気をまとった歌も作りづらいし、どうしたらいいのかな?という感じが続いてましたね」
■抜け出すきっかけは読書と音楽仲間との交流
そんな状況を抜け出すきっかけは、読書と音楽仲間との交流だった。
「村上春樹さん、村上龍さんとか、お名前は知ってるけどあまり読んだことがない作家の名著を読んでみようと思って。本を読んでるときはその世界に没入できるし、頭がスッと静かになるんです。スマホのショート動画を見てても摩耗し続けるだけなんで(笑)。あとは友達やスタッフもそうだし、周りの人たちにめちゃくちゃ助けてもらったんですよ。ちょっとずつ気持ちも落ち着いてきて、今年(2026年)の1月くらいから少しずつもとに戻ってきて。いまはだいぶ元気になってきました」
制作に対するモチベーションも少しずつ回復。タイアップ曲の制作や音楽仲間とのコラボを重ねながら、徐々にアルバムを形作っていった。『good life, good people』というタイトルにも、この期間の崎山自身の状態がリアルに反映されている。
「落ち込んだり孤独を感じることもあるんですけど、仲のいい友達もいて、助けられることもたくさんあって。そのふたつの間くらいに本当の気持ちがあるような気がして。この言葉に希望を託しているような感覚もありますね」
PASTASTAのKabanagu、yuigot、トラックメーカーkosamegaと制作した「ダイアリー」(TVアニメ『SANDA』EDテーマ)、沁みわたるメロディと歌詞が印象的な「泡沫」(TVアニメ『青のミブロ』-芹沢暗殺編-EDテーマ)などの話題曲も収録された本作。
1曲目「悪魔」は《悪魔はいるんだね/僕らの心の中》というフレーズから始まるミディアムチューン。フォーキーな手触りとサイケデリックな波動が溶け合うアレンジ、心の揺れと同期するようなボーカルを含め、このアルバムの入り口に相応しい一曲に仕上がっている。
「散文的に書いた曲なんですけど、出来上がった後で“あ、こういうことを思ってたんだな”と。ここ数年は“悪魔って本当にいるんだな”と思ってしまうこともけっこうあるし、自分の心にも悪意の種みたいなものもがあるような気がして。“誰しも”とは言わないけど、そういう人もいるんじゃないかなと」
■様々なアーティストとのコラボレーション
◎原口沙輔とは2曲で“共演”
様々なアーティストとのコラボレーションもこのアルバムの魅力だ。
まず原口沙輔とは「人生ゲーム album remix (Prod 原口沙輔)」「ending routine feat. 原口沙輔」の2曲で“共演”している。
「最初に沙輔くんのことを知ったのは、MPCを叩いてる映像だったんです。そのときはSASUKEとして活動してたんですけど、すごいなって思って。その後「平成終わってるよ」という曲にめちゃくちゃ衝撃を受けて。アレンジャーやリミックスでも活躍しているし、サウンドにもすごく個性があるんですよ。
『人生ゲーム album remix (prod. 原口沙輔)』は、Mega Shinnosukeくん、紫 今さんと一緒に作った『人生ゲーム』のリミックス。沙輔くんの思うがままにやってもらったんですが、上がってきたリミックスがめちゃくちゃカッコよくて、2曲目にしちゃいました。
『ending routine feat. 原口沙輔』はふたりでスタジオに集まって、1から一緒に作りました。最初はコードとビートを作って、その場で歌も歌って。まさにセッションだったんですけど、沙輔くん、そういうときの集中力がすごいんですよ。歌詞のテーマとしては、混沌としてたり、摩耗してしまう日々から逃げ出したいというか。やっぱりそのときの気持ちが出ているような気がします」
◎「eden」は“かもめ児童合唱団”をフィーチャー
5曲目の「eden feat. かもめ児童合唱団」には、坂本慎太郎、ゆず、曽我部恵一などとも共演している“かもめ児童合唱団”をフィーチャー。童謡的な愛らしいメロディと先鋭的なジャズを交差するセンスもまた、崎山蒼志ならではだろう。
「かもめ合唱団は「Shangri-La」(電気グルーヴ)や「以心電信」(YMO)なんかをカバーしていて。「eden」が出来たときに、かもめ合唱団の皆さんと一緒にやったらすごいことになるんじゃないかなと思って、お願いしました。レコーディングに参加してくれた冨樫マコトさん(Ba)、髙橋直希さん(Dr)とは以前からライブでもご一緒していて。ビート感や質感はお伝えしたんですけど、あとは自由にやっていただきました。テンポを速くしたり、いきなり止まったり、すごくカッコいい感じにしてくれて、これはもうおふたりの力のおかげですね」
◎前衛とポップを行き来する「ghost」は諭吉佳作/menとのコライト
前衛とポップを行き来する「ghost」は諭吉佳作/menとのコライト。諭吉佳作/menとは(原口沙輔と同じく)10代の頃から交流があり、「むげん・(with 諭吉佳作/men)」でも共演している。
「諭吉さんはメロディーセンスが本当に素晴らしくて。拍の取り方も独特だし、メロディの跳躍もすごいんですよ。サウンドメイク、言葉の選び方やハメ方もそうですけど、諭吉さんならではのものを持っている方だなと思います。沙輔くんとはまったく違う意味で、自分自身のアイデンティティがあるし、他の誰でもない音楽を作れる人だなって。「ghost」はLINEで音源をやり取りしながら作りました。諭吉さんの最初の行(《僕にくれたの?ねえ/もう1回それをして》)があって、そこからイメージを模索して続きを書いて。出来上がった歌詞を見ると“離れる”とか“さよなら”“幻影”“過ぎ去る”みたいな雰囲気、退廃的なムードみたいなものは共通していたかもしれないです」
◎Mega Shinnosuke、紫 今とのコラボ楽曲「人生ゲーム」
アルバムの最後に収められているのは、Mega Shinnosuke、紫 今とのコラボ楽曲「人生ゲーム」。公私ともに交流があるMegaは、いまや崎山の音楽的盟友と言っていいだろう。
「以前、Megaくんの曲に参加させてもらったことがあって(「海をみにいこう」)。『次は自分の曲で一緒にやりたい』という話をしてたんですけど、去年やっと実現しました。僕のデモのなかかからMegaくんが選んでくれたのが「人生ゲーム」の原型で。作っていくなかで『もうひとり入ってもらおう』ということになって、紫さんにお声がけしました。歌詞は語感ですね、どっちかというと。双六をイメージして、みんなで自由に歌詞を書きました」
■崎山蒼志のキャリアに大きな意味を持つ『good life, good people』
その他、《蝶のように/ほら、春の兆し/雪解けに/柔らかな光》というフレーズがほのかな希望の在り方を感じさせる「SOS」、恋人との別れがもとになったという「買ったばかりのものは」などを収録。
様々な葛藤を経てたどり着いた本作『good life, good people』は、崎山蒼志のキャリアにとっても大きな意味を持つことになりそうだ。
「『これからどうしようかな』というのは今もずっと考えてますね。『good life, good people』みたいにいろんなジャンルの曲が入っているアルバムも好きなんですけど、同じメンバーで、同じエンジニアさんと一緒にスタジオアルバムを作ったら、統一感のあるものになるかなとも思ったり。あとは“ソングブック”っぽいものもやってみたいし…まだ何も決まってないんですけどね(笑)。そのときの興味があることを形にするのは今後も変わらないと思うんですけど、次はどうしよう?と名著を読みながら考えているところです」
INTERVIEW & TEXT BY 森朋之
■リリース情報
2026.04.15 ON SALE
ALBUM『good life, good people』
https://sakiyamasoushi.lnk.to/glgp_PKG
【収録曲】(通常・初回共通)
01.悪魔
02.人生ゲームalbum remix (prod. 原口沙輔)
03.ending routinefeat. 原口沙輔
04.ダイアリー
05.eden feat. かもめ児童合唱団
06.ghostfeat.諭吉佳作/men
07.eden inter
08.SOS
09.買ったばかりのものは
10.泡沫
11.人生ゲーム※Mega Shinnosuke、紫今
【BD収録内容】
崎山蒼志独演二十二歳・二十二唱
2024年8月31日@品川インターシティホール
■ライブ情報
『good life, good people』
06/12(金)東京・Spotify O-EAST
■関連リンク
崎山蒼志 OFFICIAL SITE
https://sakiyamasoushi.com/


