8月7日、東京・恵比寿LIQUIDROOMにてHana Hope ワンマンライブ「Hearts Glow」が開催。オフィシャルレポートが到着した。
■20代最初の夏。その一歩はLIQUIDROOMから始まった
照明が暗転すると、恵比寿LIQUIDROOMを埋め尽くした観客の期待が拍手とともに高まっていく。オープニングを飾った「flowers」が鳴り始めた瞬間、会場の空気は一気にHanaHopeの世界へと染まった。
2026年8月7日(ハナの日)、自身最大規模となるワンマンライブ『HeartsGlow』。20代最初の夏を迎えた彼女にとって、この日は、この一年で見つけた“自分の居場所”を確かめる夜となった。昨年、アメリカの大学へ進学。フィリーソウルで知られる音楽の街=フィラデルフィアでジャズバーに立ち、週末にはニューヨークでセッションやレコーディングを重ねる日々を送りながら、日本とアメリカを往復してきた。その経験は心の光となり、歌唱力や表現力だけでなく、音楽そのものへの向き合い方を大きく育んだ。
だからこそ、この日のステージから伝わってきたのは、海外で経験を積んできたアーティストという肩書ではない。世界へ飛び込んだからこそ、自分自身の歌を、より自然体で届けられるようになった、一人のシンガーソングライターの姿だった。
■生演奏だから生まれる、自由で有機的なアンサンブル
「Dawn Dancer」、「Two Of Us」と続く序盤から印象的だったのは、生演奏ならではの自由さである。クリックに合わせて正確に再現するライブではなく、その瞬間の呼吸を大切にしながら、バンド全員で楽曲を育てていく。リズムは柔らかく揺れ、ギターやキーボード、ハープの響きが互いを引き立て合う。その中心でHanaHopeの透明感あふれる歌声が、自然にバンドサウンドへ溶け込んでいく。
MCで、「今日支えてくれている最高のバンドを紹介したいと思います」と笑顔で、ハープ&シンセErmhoi、コーラス&キーボード和久井沙良、ベースMarty Holoubek、ギター閑喜弦介、ドラム&パーカッションTaikimenというメンバーを紹介。その穏やかな空気感もまた、このライブの魅力だった。
アーティストとしての表現力は確実に深まっている。親しみやすさや柔らかな笑顔も増している。相乗効果高めるバランス感覚が、HanaHopeという存在をより魅力的なもの輝かせていた。プロデューサーにデビット・バロンを迎えてウッドストックでレコーディングされた、渡米後の心境を歌うセンチメンタルかつ軽快なナンバー「september」では渡米後だからこそ生まれた心の機微が滲み、「SORA」では空へ向かって風が抜けるような開放感が広がる。そしてThe Beatles「Across The Universe」のカバーでは、静かな祈りのような時間が会場を包み込んだ。
「《Nothing’s gonna change my world》。この世界でどんなことが起きても、自分の中のインナーピース、調和があればなんだって乗り越えられる。そんな大切なメッセージが込められています。そして、そのインナーピースを作ってくれているのは、今ここにいる皆さんです。」
そう語る姿には、この一年で得た確かな経験によって身につけた実感が宿っていた。
■“フォルクポップ”という、新しい時代の音楽
Haha Hopeの音楽性、それは一言で言うならば“フォルクポップ”。フォークミュージックの持つ人間味や温もりを軸にしながら、USインディー、オルタナティブ・ポップ、現代的なポップスの感覚を軽やかに横断していく、新しい時代の音楽だ。
8月5日にCDリリースした、ウッドストックでデビッド・バロンと制作した「Hearts Glow」。Hana Hopeが敬愛するboygeniusのメンバー、Lucy Dacus「Hot & Heavy」のカバーソングへと続く現在進行形の感性。それらは決して点ではなく、ひとつの線としてつながっている。それは懐かしさを再現するフォークではない。世界中のポップミュージックを吸収した先でたどり着いた、2026年だからこそ生まれる新しいHana Hopeサウンド。その輪郭が、この日のライブではこれまで以上にはっきりと見えてきた。
■「Hearts Glow」が照らした、自分だけの光
ライブ最大のハイライトとなったのはバンドセッションから紡がれたスペシャルな「99 Steps」、そして、ツアータイトル曲「Hearts Glow」だった。
「この曲は私にとってすごく正直でありのままを書きました。私は、アメリカと日本、二つの国籍を持ちながら生きていて、どちらの世界でも変わった人、少し違う存在として見られることがありました。」
自身のルーツや葛藤を率直に語りながら、歌詞の中に“WildGlow”という言葉に込めた意味を説明していく。他人から見れば少し違って見えるかもしれない。でも、それこそが自分だけの輝きであり、その光を諦めず表現し続けることで、やがて誰かの心を照らす”Hearts Glow”になる。
「ありのままの自分を隠さず歌うこと。それこそが私にとっての居場所だと気がつかせてくれた大切な曲です。」
その言葉は、アニメ『さよならララ』のエンディングテーマという作品性を超え、一人のアーティストが音楽を通して見つけた答えとして響いたのである。
■同世代だから生まれた、Rol3ertとの新しい化学反応
アンコールではスペシャルゲストとして、昨年のワンマン公演『Written In The Stars』ではオーディエンスとして遊びにきていたRol3ert(ロバート)が登場。今回が初披露となる共作曲が届けられた。Hana Hopeにとって同世代アーティストとの本格的なコライト(共作)は今回が初めて。昨年12月に最初のセッションを行い、HanaHopeがトップラインやメロディを紡ぎ、Rol3ertがプロダクションを組み立てるスタイルで半年かけて制作が進められた。アメリカと日本をつなぐリモートで何度もやり取りを重ね、「昨日ミックスが完成しました!」と語るエピソードからも、この未発表曲がまさに生まれたばかりであることが伝わってくる。
完成した作品を持ち寄るのではなく、互いの感性をぶつけ合いながらゼロから育てていく。その制作スタイル自体が、いまの世代らしいコラボレーションだった。二人とも20歳。同じ時代を生き、世界を視野に活動するアーティストだからこそ共有できる感覚が、新しいポップミュージックとして確かな形になり始めていることを感じさせた。リリースへの詳細はなかったが今後の発表が楽しみだ。
■世界を知ったからこそ、日本で歌う意味が深くなる
ライブ終盤、HanaHopeはアメリカでの日々を振り返った。異国の地にも少しずつ音楽の居場所が生まれていったという。
「世界どこにいても、音楽は共通言語。どんなに違うバックグラウンドを持っていても音楽には人と人をつなげるパワーがあると思います。私も大変な時もある、迷うこともある。だけど、音楽を届けられることで私は救われています。」
その一言は理想論ではない。実際に海を渡り、文化や価値観の違いを体感したからこそたどり着いた実感だった。だからこそ最後に披露された“みんなで踊れる曲”「サマータイム・ブルース」で観客全員が「ラララ🎶」と歌う光景は、とても美しく象徴的だった。国籍も言語も世代も越えて、人と人をつないでいく。そんな力を、音楽は確かに持っているのだ。
大学卒業までは日米を行き来する生活が続くという彼女。世界へ飛び出したからこそ、日本で歌う一曲一曲がさらに豊かな意味を帯びていく。そして日本で育まれた感性は、再び世界へと羽ばたいていく。透明感あふれる歌声は変わらない。しかし、その内側には、迷いも経験も受け止めながら、自分自身の”WildGlow”を信じて歩み続ける芯の強さが育っていた。
“フォルクポップ”という新しい羅針盤を手に、HanaHopeは20代最初の夏、新しい時代の扉を静かに開いた。その一歩はまだ始まりに過ぎない。だからこそ、この先どんな景色を見せてくれるのかが楽しみでならない。彼女の“心の光”は、これから国内はもちろん、世界のさまざまな場所で、誰かの心を照らしていくはずだ。
なお追加公演として、2026年8月28日には大阪Music Club JANUSでのワンマンライブも実施。その後のワンマン公演は、後日詳細が発表されるという。
TEXT BY ふくりゅう(音楽コンシェルジュ)
PHOTO BY 渡邉隼
■【画像】ワンマンライブ「Hearts Glow」写真
■関連リンク
Hana Hope OFFICIAL SITE
https://www.sonymusic.co.jp/artist/HanaHope/




















