7人組ダンス&ボーカルグループKID PHENOMENON from EXILE TRIBEが、10月21日にシングル「I’m still breathing」をリリース。大きな節目を経て新曲に織り込んだ想いとは? そして“TOKYO NEO POP”にはどんな変化があるのか? 多角的に話を聞いた。
KID PHENOMENON from EXILE TRIBEは、2022年に結成、2023年に「Wheelie」でデビューし、国内でのライブはもちろん海外のフェスにも果敢に挑みながら知名度とスキルを高めてきた。2026年には2ndアルバム『KIDS00’s』をリリース。“誰も置いてけぼりにしない”などの意味を込めた“TOKYO NEO POP”というアティチュードと、影響を受けてきたHIP HOP、培ってきたダンス&ボーカルをパッケージしてグループの現在地を示した。
7月からは初の全国ワンマンツアーを開催。なかでも初のホール公演となったSGCホール有明における『KID PHENOMENON LIVE TOUR 2026 “KIDS00’s” Special Edition』では、セットや曲目に至るまでメンバー自らが発案したうえで、その成長と想いを込めたライブは大きな話題を呼んだ。
そうして10月21日にはニューシングル「I’m still breathing」をリリース。
挫けそうな心や弱さを抱えながらも希望の光を掴もうとする姿を感情豊かなボーカルとラップで描いた一曲は、まさにグループのあり方そのものと言えるだろう。人気アニメ『夜桜さんちの大作戦』第2期第2クールエンディングテーマとしても起用され、その作品の世界観とも響き合う。
カップリングには「Black Flame」、「存在証明」に加えてSPYAIR「イマジネーション」とKANA-BOON「シルエット」のカバーを収録。ラップを加えたリミックス的な構成でJ-ROCKに挑んだ意欲作だ。
■ファンと一緒に作り上げていると強く感じた『KID PHENOMENON LIVE TOUR 2026 “KIDS00’s”』
――全国14都市15公演で行われた、KID PHENOMENONとしては初のワンマンライブツアー『KID PHENOMENON LIVE TOUR 2026 “KIDS00’s”』を終えての感想から教えてください。
山本光汰(やまもと こうた):自分たちのメッセージ性を大事にしたライブというのが大きなテーマであり、“メンバーもクリエイティブに積極的に参加する”というグループのコンセプトが軸としてありました。自分たちでライブを作り上げて、ライブを重ねるたびに毎回ブラッシュアップしていった内容をたくさんの方に届けられたのが凄く嬉しかったです。いろいろな景色を見るなかで楽しみながら様々なアイディアを形にしていける感覚もつかめた気がしていて、さらにクリエイティブを底上げするという決意もあらたに勉強になったツアーでした。
鈴木瑠偉(すずき るい):ファンのみなさんの反応が会場や曲ごとに違うというのが大きな発見でした。ブラッシュアップしたり構成を変化させることで、会場の盛り上がり方が直で変わることが体感できたことに感動しました。それがあるから同じ曲でもまったく飽きないですし、新しい楽しさがあることに気づけたのが本当に大きい経験でした。それは今後のライブにも絶対に活かされるだろうなと思います。
川口蒼真(かわぐち そうま):セットや構成をいちから自分たちで考えているから、流れやパフォーマンスへの反応をダイレクトに感じるんですよね。それに対して修正を繰り返すことで、自分たちのパフォーマンスが成長していくのが実感としてありました。そして、ファンのみなさんのリアクションによってお互いのことをもっと深く知ることができたと思います。その意味でも、僕たちとファンのみなさんで一緒にライブを作り上げているんだなと改めて強く感じました。
佐藤峻乃介(さとう しゅんのすけ):僕は今回MPC(HIP HOPでは定番の音楽機材)を使ったパフォーマンスにも挑戦しました。歌やダンスではなく、楽器の生演奏というのは自分にとってチャレンジであり、MPCのパートが来るたびにすっごく緊張して出番が終わると心底ホッとしてました(笑)。それくらい大きな壁だったんですけど、そのパフォーマンスパートを任せてくれるメンバーやライブ作りのなかで新しいことに挑戦させてくれる環境には本当に感謝しています。やり遂げた時の達成感も大きかったです。
■「I’m still breathing」心の支えになってくれたら作り上げたことの誇りになる
――ここからは10月21日にリリースとなるニューシングル「I’m still breathing」について教えてください。この曲はTVアニメ『夜桜さんちの大作戦』のエンディングテーマとして起用されていますが、楽曲を歌っての感触はいかがでしょうか?
夫松健介(それまつ けんすけ):ロックテイストがありつつもアッパーすぎない繊細な部分やラップのメロディラインなど、新しい挑戦がたくさん詰め込まれています。デビューして4年目を迎えて少し大人になって自分たちの表現が進化したからこそ、チャレンジできたことなのかなと思います。シングルの表題曲としてこれほど自分たちのダークな部分を出しているのは新しいですし、ラップチームの表現の仕方も本当に新鮮だったので、そういった意味でも成長を強く感じています。
山本光汰:前向きな部分と同時に、嘆きや孤独感といった感情に寄り添った部分がある曲なので、ボーカルとしてはかなり難易度の高いパートが多かったです。だからこそ、楽曲の背景を想像して表現したいものを自分たちでどう消化して形にするか、今回は悩み挑戦しながら歌いました。この曲が誰かの背中を押すきっかけになってくれたら本当に嬉しいですし、みなさんの日常のなかでこの楽曲が何かしらの意味を持ってくれたり心の支えになってくれたら、作り上げたことの誇りになります。
遠藤翼空(えんどう つばさ):全体的に凄く技術が必要で、それを自分たちがどう説得力を持たせて歌うことができるのかなとデモの段階では不安もありました。その分、完成した曲にはすごく愛着が湧いたし、これはまさに自分自身なのかな? と気づくことも多かったです。普段生活していくなかで、いろんな葛藤や思いを抱えることはたくさんあると思うんです。でも、僕たちはそんな“あなた”に寄り添えるように心を込めてパフォーマンスや歌を届けたいですし、みなさんの人生の支えになれたらいいなと思っています。アニメファンの方々にもこの曲をきっかけに僕たちのことを知っていただけたら嬉しいです。
岡尾琥珀(おかお こはく):今回の歌詞は“未完成な今の自分たち”だからこそ歌える内容だと感じると同時に、それがアニメの世界観と重なる部分もすごく多いんです。そのうえで、自分たちとアニメの世界観をどうすり合わせて解釈していくか、そして相乗効果を生めるかを考えながら制作に臨みました。ボーカル面では、ラップの温度感自体は低く保ちつつも弱くならないように、その根底にある強さや想いをどう言葉に乗せていくかがポイントでした。アップテンポな曲とは違うグルーヴによって、よりメッセージ性が強くなっていると思いますし、このバランスはKID PHENOMENONらしさも出ていてまたひとつ新しい引き出しになったのかなと思います。
■人の弱さにそっと寄り添えるような存在になれたら嬉しい
――今回の楽曲は、ある種のネガティブさや不安、それを乗り越えようと願う強さを内包した曲になっていると思います。自分たちの持つ弱さをシングル曲で表現することについてはどのように感じていますか?
遠藤翼空:《Fade outしてくポジティブマインド》というフレーズは、心の内側で感じていたものを引き出してくれるパートですね。人間誰しもずっとポジティブでいられるわけではないので、こういう弱さには共感してくださる方は多いと思います。でも、弱い部分を出すのって簡単なことではないですよね。普通に生きているとなるべく自分をよく見せようとしたり強く見せようとしたり、今の時代はなおさら気を張っている人が多い気がします。だからこそ、こういう歌詞やキドフェノの存在が必要なんじゃないかなと。あえて自分から弱さを見せる必要はないかもしれないけれど、人の弱さにそっと寄り添えるような存在になれたら嬉しいです。
夫松健介:ステージに立つアーティストや、それこそLDHにはキラキラしていて強いといったイメージがあるかもしれないですが、そんな人たちだって日常のなかではどこか弱さを抱えていると思うんです。リスナーのみなさんも、日常にはつらいことやネガティブな感情を抱く瞬間があるかもしれない。だからこそ、僕らもいいところばかりを見せていては、みなさんの感情にしっかり寄り添えない気がするんです。特に自分たちはそういった弱い部分も見せるからこそ、伝えるメッセージにより説得力が増すと思っています。そうすることで、ファンのみなさんもネガティブになったときに「それも認めよう。そしてKID PHENOMENONみたいに前を向こう」と思ってもらえるんじゃないかなと思います。
鈴木瑠偉:《未完成なままでいいんだ》というフレーズが一番印象に残っています。いろいろとできていないことがあっても、それもありのままの自分なんですよね。その弱さが強さに変わることもあると思いますし、自分の弱い部分や抱えている問題と向き合うからこそ、それがその人自身の強さになったり励みになったりすることもあると思います。その人にしか得られないパワーや感情って大きなものになる。だからこそ、そういう部分は肯定したいですし、楽曲を聴いてくださるファンのみなさんにしっかりと寄り添えるような音楽を届けていきたいと思っています。自分たち自身もこういった複雑な感情を大事にして表現したいです。
岡尾琥珀:《何も終わってない/この痛みも全部 意味になるから》というフレーズは、オーディションのときの自分と重なるんですよね。個人的なことですが、オーディションで弟(LIL LEAGUE岡尾真虎)に負けたのは痛みを感じる出来事でした。でも、そのときのNAOTOさん(EXILE/三代目 J SOUL BROTHERS)の「まだ終わってないし、ここから勝ちを取りに行こう」というひと言で自分が大きく変わったという経験があって、その言葉がほぼそのまま歌詞になっているような気がしています。当時その言葉で前を向くことができましたし、自分が変わるきっかけになった言葉を歌っている感覚があります。自分自身のバックグラウンドと歌詞が強くつながるからこそ、これを僕が歌うことで聴いてくださるリスナーの方々にも何か影響を与えられるんじゃないかと。もしかしたら、あのときの僕と同じように前を向く気持ちになってくれる人がいるかもしれない。そんなフレーズがサビにあることが本当に嬉しくてとても気に入っています。
佐藤峻乃介:胸の中にある《壊れそうなheart》と向き合って少しずつ強くしていく過程で、その人にしか得られない経験が生まれて、それが大きな強みになると思っています。だからこそ、その感情は大切にしてほしいんです。自分の弱さを知ることでしか得られないものがたくさんあると僕自身も実感しています。強さだけが正義というわけではないと思うので、楽曲をとおしてそういう部分を感じ取っていただけたら嬉しいですね。
川口蒼真:自分は《未完成のままでいいんだ/これがプロセス》というパートは、そこに肯定がわかりやすく表現されていると感じます。ネガティブな感情も自分の一部ですから、無理に否定しなくていいと思うんですね。落ち込んでいる人に対して「がんばろうぜ」と励ますのもすばらしいことですが、個人的にはまず共感してあげることがいちばんの支えになるんじゃないかと思っています。共感してもらえるだけでフッと気が楽になるし、自分はひとりじゃないんだと思えますよね。そういう意味でも、ネガティブな感情が強さに変わるということは僕たち自身も活動していくなかで強く実感しています。
山本光汰:僕は《一人孤独に押しつぶされても/一歩ずつ前に進んでるから/震えるこの手でもまだ/誰かを抱きしめられるなら》という歌詞は、とてもエモーショナルで弱さを抱えながらも一歩ずつ前に進んでいる情景が印象的だと思っています。KID PHENOMENON自身、メンバー同士をお互いに見ているので、落ち込んでたり悩んでたりしたら「なんかあったの?」と気にかけたりサポートし合っているんですよね。自分たちもメンバーを孤独にさせたくないですし、向き合って手を伸ばすことの大事さが描かれた、心の動きを忠実に表現したこの4行のリリックが本当に好きです。
■大好きな曲だからこそ、原曲に対してリスペクトを持って取り組んだ
――また、カップリングには「存在証明」と「Black Flame」というKID PHENOMENONのライブでもおなじみの曲に加えて、SPYAIR「イマジネーション」、KANA-BOON「シルエット」のカバーが収録されます。シンプルにカバーするのではなく、ラップパートも加わったリミックスに近い感触もある構成なのも興味深く感じました。
佐藤峻乃介:今回のカバー曲はメンバーが選曲したんです。KANA-BOONさんの「シルエット」を候補に挙げたのは僕なんですが、この曲がオープニングテーマだった『NARUTO』の大ファンなんです。個人的にも本当に思い入れの強い大好きな曲だからこそ、原曲に対してリスペクトを持って取り組みました。新しくオリジナルのラップパートが入った構成になって、しかもそれが自分たちの作品だということが不思議な感覚ですし、自分たちの声で歌えていることが純粋に嬉しいです。僕自身が『NARUTO』をとおして「シルエット」を知ったように、今回の楽曲が僕たちのことをまだ知らないアニメファンの方々に聴いていただくきっかけになればいいなと思います。
鈴木瑠偉:SPYAIRさんの「イマジネーション」は僕が提案しました。オープニングテーマだった『ハイキュー!!』の大ファンで、何十回もループしてアニメを見ていたんです。だから、その曲を自分たちの声でカバーできるなんてテンションが上がりました。今までたくさん聴き込んできたからこそ、そこに翼空と光汰の声が乗ったサビを聴いた時は新鮮でしたし、「うちのボーカル、素敵じゃない!?」と(笑)。
遠藤翼空:カバーさせていただいたことで、僕自身も改めて原曲の凄さを実感しました。だからこそ、ファンの方々が原曲を聴いて抱いていた楽しいとか勇気づけられるといった感情を、僕たちがカバーすることで変えてしまってはいけないですし、その想いを自分たちでもちゃんと再現しなきゃと思いました。本家のアプローチをリスペクトしつつ、なおかつ自分たちなりの個性も取り入れるように意識しましたし、そのバランスがめちゃくちゃ難しくもあり、勉強になった部分でした。
山本光汰:2曲ともまったくテイストが違うので、フレーズやパートにこだわりつつ、それぞれ違う歌い方でアプローチしたことが勉強になりました。有名な原曲をどう自分たちなりに消化して歌うかというプレッシャーもあったんですが、トラックが少しHIP HOPテイストにリアレンジされているので、そのバリエーションも歌っていて面白かったです。これをパフォーマンスしたときにみなさんがどう感じてくださるのか楽しみですし、僕たちは海外での活動も多いのでアニメファンや日本のカルチャーが好きな海外の方々にも楽しんでいただける楽曲がふたつも増えたなと感じています。
■“ありのままでいる自分を大切にする、自分を認めてあげる”というメッセージを届けたい
――アルバム『KIDS00’s』をとおして明確になったKID PHENOMENONの“TOKYO NEO POP”というオリジナルコンセプトは、ツアーや新作となる「I’m still breathing」を経てどのような意識になりましたか?
夫松健介:特にライブをとおして“TOKYO NEO POP”という言葉は今の時代にリンクしているんじゃないかと感じました。自分たちのコンセプトを体現したライブをお客さんの前で披露することで、改めて自分たちらしさについて向き合うことになったと同時に、自分らしくあることや自分自身を受け入れてあげることに寄り添う“TOKYO NEO POP”というメッセージが今の時代には本当に大切なんだとも感じました。だからこそ、日本はもちろん世界中の方に“TOKYO NEO POP”という言葉だけでなく、その奥にある深い意味も含めて届けていきたいなと思っています。
岡尾琥珀:“TOKYO NEO POP”の伝えたいメッセージは案外シンプルで、“ありのままでいい”ということなんです。でも、シンプルであるために、今は特にそれを体現するのが難しい時代になってきている気がします。だからこそ、そのメッセージを僕たちがどう伝えていくかが大事なんだと思います。僕たちもアルバムではすべてをそぎ落として素の姿を見せたり、今回の新曲では弱い部分を見せたりと様々な表現をとおして、“ありのままでいる自分を大切にする、自分を認めてあげる”というメッセージを届けたいんですよね。今後もそのメッセージの伝え方を試行錯誤しながら、アーティストとしてのかっこよさはしっかり担保しつつ、等身大の姿で伝えていく。そのバランスも大切にしながら活動していきたいです。
川口蒼真:“TOKYO NEO POP”は、“ありのまま”という意味もそうですし、“自分の居場所はどこにでもある”というメッセージでもあると思うんです。もし居場所がないと感じたときは自分で作ればいいし、何より僕たちがみなさんの居場所になれたらいいなと思っています。その想いも活動の中心にしていきたいです。僕たち自身、これからも想像できないようないろいろなことに挑戦していくと思いますし、“TOKYO NEO POP”は決まった形ではなく、自分たちの成長とともに形を変えていくものだと感じているので、今後もこのテーマを大切に掲げて進んでいけたらと思います。
TEXT BY 高木JET晋一郎
■リリース情報
2026.10.21 ON SALE
シングル「I’m still breathing」
https://kidphenomenon.lnk.to/Imstillbreathing_PKG
■プロフィール
LDH史上最大のオーディション『iCON Z ~Dreams For Children~』(読み:アイコンゼット ドリームスフォーチルドレン)男性部門の第二章から誕生した7 人組ダンス&ボーカルグループ。
東京発の新世代カルチャー“TOKYO NEO POP”を標榜、世界へ向けて独自のスタイルから繰り出すパフォーマンスを武器に若き才能たちがあらたな現象を巻き起こす。2023年 8 月デビュー。2026年6月2枚目となるアルバム『KIDS00’s』(読み:キッズダブルオー)をリリースした。
KID PHENOMENON OFFICIAL SITE
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KID PHENOMENON OFFICIAL SNS
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